第72話 俺たちを祝福してくれる幼馴染たち
翌日。
朝からよく晴れて、気持ちのいい日。
明日からゴールデンウィークに入る。
その日の昼休み。
青い空、そして、新緑に覆われている木々がそばにあり、さわやかな風が吹いていて、心地がとてもいい、校舎の外れにあるベンチ。
その場所に、大七郎と寿屋子ちゃん、そして、春百合ちゃんが、俺と一緒に集まっていた。
それぞれお弁当を持ってきている。
四人でこうして集まって食べるのは初めて。
いつもは寿屋子ちゃんと春百合ちゃん、そして、大七郎と俺、という二つのグループに分かれて食べている。
学校内ではあるものの、ちょっとしたピクニック気分。
寿屋子ちゃんと春百合ちゃんは自分で作ったお弁当。
大七郎のお弁当は寿屋子ちゃんに作ってもらっていて、俺のお弁当は、春百合ちゃんに作ってもらっていた。
大七郎の方は、今日だけではなく、毎日寿屋子ちゃんに作ってもらっている。
俺の方は、今までの、「月一回お弁当」の一環ということになるが、これからは毎日春百合ちゃんが作ってくれることになった。
付き合うようになったので、そうさせてほしいと春百合ちゃんがお願いしてきたのだ。
以前の俺は。春百合ちゃんの負担が増えるという理由だけではなく、春百合ちゃんのことが嫌だったということもあったので、その申し出を受けてはこなかった。
今の俺は、春百合ちゃんが大好きになったが、その分、春百合ちゃんの負担増について配慮するようになったので、申し出を受けるかどうかというところについては悩んだ。
しかし、春百合ちゃんの意志は強固で、結局その申し出を受けることになった。
その分、俺は、他のところで春百合ちゃんにもっと尽くしていこうと思うのだった。
俺たちのお弁当は、まだ結婚しているわけではないが、「愛妻弁当」と言っていいだろう。
大七郎も俺も、それぞれおいしいお弁当を食べることができるので、うれしくてうれしくてしょうがない。
今日四人で集まったのは、大七郎と寿屋子ちゃんが、俺たちが恋人どうしになったことを祝福する為だった。
お弁当を食べる前に、大七郎がまず話をする。
「春百合ちゃん、そして、浜海。恋人どうしになることができて、おめでとう。寿屋子ちゃんと俺は、この日をずっと待っていたんだ。これほどうれしいことはないと思っている。これから、ずっと二人で仲良くしていけよ。そして、俺たちをお前たち二人の結婚式に招待してくれ。俺たちの方も、もちろんお前たち二人を招待するから。全員で幸せになっていこう」
と大七郎は、満面の笑みを浮かべながら言った。
大七郎に続いて話をするのは、寿屋子ちゃん。
「二人ともおめでとう。この日がくるのを大七郎ちゃんとずっと待っていた。一時期は、疎遠になっているようにも思えたから、心配していたの。春百合ちゃんと浜海ちゃんは、せっかく幼馴染どうしで生まれてきたのだから、恋人どうしになってほしいと、大七郎ちゃんとずっと思ってきた。それがこうして、恋人どうしになってくれたのだから、うれしくてしょうがないの。大七郎ちゃんも言っているけど、全員で幸せになっていこう」
寿屋子ちゃんは少し涙ぐんでいる。
「ありがとう、二人とも。俺たちを祝福してくれて。俺はこんなにもいい幼馴染を持つことができて、幸せだ。俺はこれから、春百合ちゃんを幸せにする為、春百合ちゃんの為に尽くしていく。俺の人生を。春百合ちゃんに捧げていこうと思っているんだ。そして、大人になっても、お互いに結婚をしてからも、家族で仲良くしていきたいと思っている。俺たち全員が幸せになることを願いたいと思う」
俺は力強くそう言った。
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