俺は前世で、俺の恋人である幼馴染を同学年生に寝取られて、心も体も壊れてしまう。でもその後、幼馴染と同学年生の心も体も壊れていった。今世でも幼馴染はいる。しかし、俺だけを愛する素敵な女性と結婚したい。
第58話 この世を去ったイケメン冬一郎くん (春百合・蒼乃サイド)
第58話 この世を去ったイケメン冬一郎くん (春百合・蒼乃サイド)
それからのわたしは。心に浮かんでくるのは陸定ちゃんのことばかりになった。
幼い頃から今までの楽しい思い出。
陸定ちゃんを失ってしなった今となっては、つらい思い出に変わっていく。
しかし、それは、ただつらい思い出になるだけではない。
わたしが浮気をしてしまったことで、心をえぐられるような苦しみになってくる。
それだけわたしは陸定ちゃんに酷いことをした。
陸定ちゃんが受けた苦しみに比べたら、わたしの今の苦しみなどたいしたことではない。
わたしは毎日毎日、心の中で詫び続けた。
でもいくら詫びても詫びきれるものではない。
わたしは次第に食欲がなくなっていき、体の調子も悪くなっていった。
「最近元気なさそうだけど、大丈夫?」
と言って涼子さんは心配してくれた。
わたしは、
「少し調子が良くないだけ。心配しないで」
と応えた。
心配してくれるのはありがたいが、友達といる時は、元気な自分でいたかった。
しかし、一日一日と体の調子はどんどん悪くなっていく。
そして、病気になり、入院することになってしまった。
その頃には、母親もこちらに戻ってきていて、わたしの看病をしてくれていた。
涼子さんもできる限り、わたしの見舞いに来てくれて、
「大丈夫。きっと元気になれる。元気になったら、また一緒に遊ぼうね」
と言ってくれた。
心も体が壊れてしまったわたしにとって、友達のそういう言葉だけが救いだった。
しかし、病状は少しずつ悪化していた。
入院して一か月。
夏休み前になると、体の苦しみが増してきて、わたしの人生もここまでだと思い始めていたある日のこと。
予想もしていなかった情報が入ってきた、
なんと、冬一郎くんがこの世を去っていた。
入院してからは、冬一郎くんについての情報は全く入ってこなかった。
わたしが冬一郎くんと付き合っていたのは、ほんのわずかだったこともあって、付き合っていたこと自体、周囲の人たちは知らなかった。
わたしの見舞いには、涼子さんを含むわたしの友達三人が来ていた。
しかし、いずれも冬一郎くんと付き合ったことは知らなかったので、冬一郎くんの話題が出ることはなかった。
涼子さんは一人だけで来る時もある。
わたしたちの友達二人が来る時は、涼子さんと一緒。
この日も、涼子さんは友達と合わせて三人で一緒に来ていた。
みんなで雑談をしていると、冬一郎くんのことが話題になったので、友達の一人が冬一郎くんのことについて話をし始めた。
「池好くん、今まで、女子と付き合っていては捨てるということを繰り返していたじゃない? その女子たちは、最初は、『できればよりを戻してほしい』と柔らかめに言っていたんだけど、だんだんエスカレートして、『わたしともう一度付き合ってほしい。わたしは池好くんにすべてを捧げたのだから、絶対に結婚してほしい』と次々に懇願するようになった。泣き叫んで、哀願してきた女子もいたそうなの。もともと女子のことを遊びの対象としてしか思っていなかった池好くんにとっては、想定外のことで、対応に苦しむことになってしまった。それだけじゃなくて、その時付き合っていた女子と。復縁を迫る女子たちの間でも争いが発生したの。修羅場ということね。毎日にそれは繰り返され、池好くんは対応できずに心労がたまっていったという話。それで、決して心が強いとはいえなかった池好くんは、心が壊れてしまい、体も壊してしまって、つい先日、この世を去ってしまったの。気の毒とは思うけど、もう少し女子のことを大切に扱っていれば、こんなことにはならなかったのにね」
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