第28話 様々なアドバイス
「アドバイス、ありがとな」
大七郎は、俺のアドバイスを受け入れた。
そして、寿屋子ちゃんとデートを楽しみ、寿屋子ちゃんに癒されたということだ。
その後、大七郎は、
「お前のおかげで、またテニスをする気力がでてきた。ありがとう」
と感謝をしてくれた。
でも俺は、
「お前にまたその気力がでてきたのは、俺の力ではなくて寿屋子ちゃんが癒してくれたからだよ」
と言った。
俺は、アドバイスはしたが、大きな力になったのは寿屋子ちゃんの方だ。
俺の力などほとんどないと思う。
しかし、大七郎は、
「いや、寿屋子ちゃんに癒されたのも大きいけど、お前が俺に進むべき方向をアドバイスしてくれたことの方が大きいと思っている。お前には感謝の気持ちで一杯だよ」
と言ってくれた。
それはありがたいことだった。
その後の大七郎は、快進撃が始まり、連勝を重ねて行った。
大七郎も寿屋子ちゃんも、そして春百合ちゃんと俺もそれを喜んでいた。
ところが、俺からアドバイスを受けて以降、大七郎は俺のことを周囲の人たちに、頼りになる男だと話すようになっていった。
そして、その話を聞いた人の中から俺に相談をする人たちが出てきた。
大七郎としては、俺の評判を良くしたいと思って言っているのだと思う。
それはうれしいことではあるだが、俺としては、まだまだ性格の改善を進めている最中のところだ。
自分としては、買いかぶりもいいところだと大七郎に言ったのだが、相談を受けた以上はきちんと対応しなければならない。
相談には全力でいつも接していた。
結果として、的確なアドバイスをすると言われて感謝されていた。
ただ、俺はもともと人付き合いが苦手な方だった。
その為、俺が相談に応じているということは、一部の男子しか知らなかった。
そういった俺のところに来た初めての女子の相談者がつやのさんだった。
俺と同級生。
つやのさんは、まだ古沼に対して、あきらめておらず、復縁できないか模索していたのだが、とにかく捨てられたことで心が壊れかけていた。
恋の相談は、それまで男子からはされていたが、女子からはされたことはなかった。
しかも、恋以外の相談でも、女子からの相談は初めてのこと。
俺は、最初戸惑ったが、一生懸命接することにした。
そして、俺は、
「今は悲しむだけ悲しんだ方がいい。そして古沼とはよりをもどそうとは思わない方がいい。もしよりが戻ったとしても、あなたは古沼にまた捨てられてしまう可能性が強い。あなたのようにかわいくて、魅力のある女性だったら、きっと古沼以上の男性に出会えるはず」
と言って励ました。
つやのさんはその後、立ち直っていった。
彼女は俺に感謝をしてくれたが、俺に対しては特別な感情はもたなかった。
俺も特別な感情は彼女には持たなかった。
今は別々の高校。
元気でいるといいと思っている。
しかし、その他の女性については、心が壊れてしまった人もいると聞いている。
それでも古沼とよりを戻したいと思っているそうだ。
そういう話を聞く度に、悲しい気持ちになる。
古沼はもう一度よりを戻したとしても、また捨てる可能性が強いと思う。
そのようなことを続けていれば、いずれ怒りは古沼に向くだろう。
このままでは修羅場が訪れる可能性がある。
それでも古沼は春百合ちゃんに声をかけてきたのだ。
あきれてものが言えない。
そう思うと、反撃はしたいところだ。
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