第11話

学校が始まってからも菜摘との接点は無かった。クラスも違うし、部活中も基本、話す機会もない。まじで連絡先を聞いておけばよかった。今更学校でいきなり連絡先教えてなんて恥ずかしくて言えないし、他の人に頼むのも恥ずかしい。それに噂によると男子と全然関わりがないらしい。確かにおとなしそうだし、なかなか話しかけるのは難しいだろう。俺も公園ではあんなに話せたのに、いざ学校となると多分、絶対話しかけられない。どうするか。

もやもやしながら2学期を過ごしていたが、最近、加奈と話す機会が増えた。特にこれといった話ではないが、よく話しかけられる。俺も加奈と話すのには慣れた。加奈に菜摘の連絡先のことを相談しよう、と思ったが加奈にも頼みずらい。加奈はいつも元気だ。よく笑うし、冗談も通じる。気づけば1番話す様になっていた。

俺はいつも通り、学校が終わった後、公園で練習していた。そしたら、携帯が鳴った。メールの受信音。誰からだろう。ちょうど休憩をしようと思っていたので俺はベンチに座って携帯を開く。メールは加奈からだった。「暇だからメールしちゃった。優は何してるの?」との内容だった。「今公園でバスケしてるよ。」と俺は返した。特に用事があったわけではなさそうだった。他にもいくつか別の人からメールが来ていた。とりあえず適当に返す。そして携帯を閉じるとまたメールの着信音が鳴った。誰だ?開くと加奈だった。はやっ!俺はメールを開く。「そうなんだ!部活の後も練習してるなんてすごいね!よくするの?」とのことだった。開いちゃったし、とりあえず返すか。「ほぼ毎日してるよ。バスケ楽しいし。」と送った。メールの雰囲気って、なんとなく人によって全然違うよなー、とふと思った。加奈はメールからも明るくて話しやすい感じがする。するとまたメールが来た。今度は誰だ?開くと、また加奈からだった。ほんとに暇なんだな。にしても早すぎだろ。人のこと言えないけど。「えー!そーなの!?だから優はバスケすごい上手くなったんだね!」と来ていた。ひとから見たらそんなにわかるものなのか?でも、頑張りを認めてもらった様な気がして嬉しい。「ありがとう。でも、まだまだだよ。愛にもギャフンと言わせたいし、もっと頑張らないと。」と俺は返す。無意識に思いついたが、愛のにやけ面を思い出して少しイラッとした。ぜってー負けねー。そう思って俺は練習を再開する。またメールの着信音が鳴ったがたぶん加奈だろう。あとで返せばいいや。俺はドリブル、3ポイントの練習をした。もっと攻撃のバリエーションを増やして、できてることは精度を上げないと。先輩たちは上手いし、きっと他校にも、もっと上手い人がる。誰にも負けたくない。前キャプテンみたいに圧倒的に上手くならないと。

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