第6話 ウル要塞攻防戦
ウル要塞にいる全ての兵士達にバイマンの号令が下った瞬間、その場にいた兵士たちがカトゥーロ達めがけて突撃してきました。
カトゥーロ達もその場で応戦しますが、バイマン中将麾下の兵士は皆、士気が高く屈強であり、最初の内は押されてしまいます。
(流石に手強い…剣士、戦士、重装兵とバランスよく取り揃えてやがる。しかも士気まで高いと来やがった…!)
カトゥーロは敵を斧で次々になぎ倒しながらも敵の手強さに内心驚いていました。しかしカトゥーロ一行も精鋭揃い、簡単にはやられません。
ロレッタやディーナ、メリッサら新規参入したばかりの戦士達も魔導兵器や斧、ナイフを使い、一人また一人と敵兵を倒していきます。
押されたり押し返されたりの状況を続けながら敵部隊と交戦している最中、突如その場に光の矢が次々に降り注ぎました。
「うおっ!!?」
「な、何これ!?」
「光の矢!?」
光の矢が刺さった兵士たちはその場で悲鳴を上げて倒れ伏します。
カトゥーロ一行は何とか躱した…かに見えましたが、ケインが片腕を抑えて痛そうにしています。
降り注いだ光の矢に動転している最中、もう次の敵部隊が突撃してきたのです。
「ケイン!大丈夫か!?」
「も、申し訳ありません閣下…。右腕に刺さったみたいです」
「んもう!しっかりなさいよね!」
「ケインさん!俺達が敵兵を抑えておくから無理をしないで少し下がっていてくれ!」
「わ、分かった…死ぬなよ、カルロス。お前が死んだら俺は閣下に顔向け出来ないからな」
カルロスらが新たに来た敵部隊を相手取っている間、後ろに撤退したケインはドミニコの杖でどうにか回復すると、
ケインは素早く包帯で右腕を巻き再び交戦を開始します。
「出来の良い後輩に情けない姿、見せられっかよ!」
そう自分に発破をかけると銃を両手に、光の矢を躱しながらカルロスらの後方から銃撃を容赦なく加え、敵兵を倒していきます。
敵部隊との激戦が続く最中、光の矢の降った範囲を見てカトゥーロはあることに気づきます。
(あの光の矢、もしかしたら壁から遠ざかれば当たらねえんじゃねえか…?)
そう考えたカトゥーロはこう指示を出しました。
「みんな!壁から離れろ!!」
そうして全員壁から離れると案の定、光の矢は降ってこなくなりました。
しかし、それでも敵部隊は手強く、相変わらず押される展開が続いています。
「ぶっ殺してやるぜ!!」
「うおおおおおおお!!!!」
死をも恐れず次々に突撃してくる敵部隊を相手にカトゥーロ達は奮戦するも苦戦し、敵の勢いに押されていきます。
また、押されている最中に光の矢の範囲に入ってしまったことで再び光の矢が降り注ぎだしました。
徐々に敵兵たちに押されていきとうとう壁際近くまで追い詰められてしまいます。
このまま押し切られて殺されるかに見えた次の瞬間、カトゥーロは突然叫びます。
「今だ、ヴィクター!」
その掛け声を聞いたヴィクターは階段から急いでカトゥーロら一行の元に駆け付け、一気に敵兵を薙ぎ払いあっという間に押し返しました。
「閣下!ご無事ですか!?」
「ああ、どうにかな…!後方はどうなった?」
「部下たちに任せました。何、しばらくは持ちこたえますよ。ここからは私が道を切り開きます!」
「上等!んじゃ行くぜ!!」
押し返された兵たちは動揺を隠しきれず、その勢いで徐々にカトゥーロらはオライオンの兵士達を押し返していきます。
ヴィクターの奮戦もあって次々に敵の兵士達が倒されていき、
敵側の勢いも目に見えて減っていきますが、ここでカトゥーロはある違和感を感じていました。
(確かにあの号令はバイマンの声だった…なのに何で奴は突撃してこねえんだ…?)
そのことで何かピンときたカトゥーロはヴィクターに何か言おうとしましたが、その次の瞬間、
ドガアアアアアアアンッ!!!!
耳をつんざくほどの凄まじい轟音が壁から響き渡ったかと思うと、何とヴィクターが落盤の下敷きになって倒れ伏していました。
「ヴィクタァァァーーーッ!!!しっかりしろーーーーっ!!」
「う…うぐっ……ううう……」
騎乗していた馬も落盤で即死しており、ヴィクターは全身血まみれとなっていました。カトゥーロが急いで瓦礫を退けていると、
「ウルァッ!!!」
次の瞬間怒号とともに巨大な斧が飛んできたので、カトゥーロはヴィクターを抱えて素早く躱します。
「畜生…ドミニコ!早く!早く手当てを!!ディーナ、ヴィクターを頼む!」
「わ、分かりましたわ!!」
「おう、分かった!」
ドミニコも急いで応急措置を施し、動けないヴィクターをディーナが抱えて戦線から一旦退きます。
巨大な斧が飛んできた場所は衝撃波で噴煙が上がっていました。
その噴煙の方からおどろおどろしく重々しい声が城内に響き渡ります。
「これはこれは…イスヴァルド王国のカトゥーロ・マディア将軍じゃありませんか。このような場でまたお会い出来るとは光栄ですな。我が国の兵士達のおもてなし、十分にご堪能頂けましたかな?」
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