第2話 反撃準備
少しすると傭兵団らしき武装集団がカトゥーロ一行のいる郊外にまでやってきました。
三集団ほど居るようでしたが、カトゥーロ一行が武装しているのを見て作戦の失敗を悟ったのか逃げようとしました。
すると、
「突撃開始!一人も帰すなぁ!!」
カトゥーロの合図で一斉に全員が突撃し、驚愕した彼らは退却のタイミングを失います。
その隙に、カルロスとカトゥーロは傭兵団の一集団に突撃しました。
カルロスが剣で敵を薙ぎ、カトゥーロが斧で敵をのし、あっという間に取り押さえられてしまいます。
その様子を見た残りの集団は戦意を完全に喪失し、逃走しようとしますが、
「逃がすかああああああ!!」
単身騎馬で突撃したヴィクターにより気圧されてしまい、
その隙に傭兵団の他の1集団は彼に切り込まれ、単身であっさりと制圧してしまいました。
そして残った一集団もケインが銃を乱射し、あっという間に立っているのは一人となりました。
「ひ、ひぃぃぃぃ…!!」
「ケイン、殺すな。こいつらに聞きたいことがある」
カトゥーロは殺害しないようケインに言うとケインは銃を収めました。
そして残りの一行が彼らを取り押さえ縛り上げます。
「さて、お前らの目的はなんだ?」
「……」
反応がなかったので、カトゥーロは武装集団の一人の腹を素手で殴りました。
するとその一人は大きく吹っ飛んで倒れこみました。
よく見ると血を吐いて苦しんでいます。
「ガブゥアッ…ア……アァ………」
「あ、ああ…」
「どれだけ強え精神持っててもな、身体は嘘をつかねえんだぜ。このまま一人ずつ、全員死ぬまで続けようか?」
なんとカトゥーロの拳は一人の胴体を貫通しており、拳には血がついていました。
それを見たほかの傭兵団は完全に反抗心を喪失し、口々に情報を吐き始めました。
「なるほどね…黄牙の。オライオン帝国とドンパチして疲れた所を後ろから奇襲してズドンパ、てわけか。連中ならやると思ってたよ、内乱も収まったことだろうしな」
「閣下。如何なさいますか」
「こいつらを王都に連行するぞ。残りは王都で話してもらおうぜ」
「は」
「ああ、ドミニコ。悪いがその俺が吹っ飛ばした奴、手当てしてやってくれ」
「はぁい」
ドミニコが吹っ飛ばされた一人を治療すると、傭兵団を王都へ連行します。
この一件は王都でも話題になり、報告を聞いたエドワード7世は怒り狂います。
「黄牙めが…!よくも舐めた真似をしてくれたな!あのクソ国家に正義の鉄槌を下してやる!!総軍を率いて討伐してくれるわ!」
しかし、何かピンときたカトゥーロは国王をいさめます。
「陛下。お言葉ながら、オライオン帝国と黄牙連邦が結託している可能性があります。まずはオライオン帝国を抑えるのが先かと」
「オライオン帝国が…確かに組んでいてもおかしくはないな。オライオン帝国も憎いが今は力が足りん…」
「私めから一つ提案がございます。ウル要塞を攻め落とすのです」
「ウル要塞だと!?あそこは確か…」
「国境沿いにあるオライオン帝国最大の要塞です。あの要塞を占領すれば当面の間は攻め込みづらくなります。その隙に黄牙連邦を討伐してしまうのです」
「しかし、あの要塞はわが国が十年かかっても攻め落とせなかった難攻不落の要塞だぞ?いくらそなたとて…」
「手はございます陛下、何卒私にお任せください。ご許可を頂ければ必ずや落としてみせましょう」
「む…そこまで言うのであれば止めはせぬ。しかし、無理はしてくれるな。そなたは我が国の希望なのだ」
「有難き幸せ」
カトゥーロ一行が王城から出ると、斥候らしき女性が近寄ってきました。
「カトゥーロ様、ご報告が」
「おう、お疲れさん、メリッサ少尉。何か情報は得られたかい?」
「はい。あの要塞を守っているのはバイマン・ヨアヒム・ボルツ将軍だそうです」
「へぇ~あの人食い鬼が、ねえ」
その話を聞いた途端一行は騒然とした。
「ボルツ将軍…ですって?」
「オライオン帝国の三強じゃねえか!!」
「おいおい…マジでか。よりにもよって力のバイマンかよ」
「閣下!危険すぎます!!奴はオライオン帝国でも最強の戦士、いくらなんでも無謀です!!やはり隙を伺うべきかと」
ヴィクターはカトゥーロに進言するが、カトゥーロは不思議と落ち着いた表情だった。
「心配すんなって、手はあるからよ。それに隙を伺っても意味ねえよ。あの鬼がそんなホイホイ隙を見せるとも思えん」
「オヤジ…大丈夫なのか?やっぱりやめたほうがいいんじゃね?」
カルロスもカトゥーロを心配しますが、カトゥーロの意思は変わりませんでした。
「だから手はあるつってんだろ。こういう時に嘘ついたりなんざしねえよ」
「……」
「とりあえず!お前ら、今日はゆーっくり休んでくれ、決行は明後日だ。作戦は決行日に話す。いいな!旨い飯も用意すっからよ!鱈腹食っとけよ、な!」
カトゥーロはそういって部下たちを説得しますが、今回の情報が非常に衝撃的だったため、不安を拭えないでいるようでした。
とはいえ、一度決まった決定を覆すわけにもいかないので彼らは宿舎に戻ることにしました。
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