強者の影響と連鎖

◆ バビロニクス・ギルドルーム【スイート】 ~お昼寝視点~ ◆


「あらあら……まあまあ……」


 いや~地獄パーティは地獄でしたねえ~って話をペルちゃんとリンネちゃんに話そうと思って部屋に入ったら、なるほど二人とも寝落ちしてるわ~。そうなんだよね、ギルドルームのルームロックって寝落ちを検知するとオートで開くようになってるんだよね。安全面考慮してさ。一応寝落ちしたのを検知した時にアラームを鳴らしてくれる機能もあるんだけど、オンにしてる人なんていないよね~普通ね~。


「……寝てる」

「寝ちゃってるねえ~」

「寝てるな」

「寝とるなあ~~」

「ん~ん~寝てるねえ~可愛い……」

「お~☆ 地獄パーティ見つけた神が寝ておる~☆」

「静かに……! ここは静謐の花園、我等はあちらで分配の時間ですよ……!」

「たし、かに……あっち、いきますかあ……」


 いや~地獄パーティ、ローレライは本当にギリッギリどうにかなった。まずレーナちゃんとうぅ~いちゃんが後先考えずにローレライを蜂の巣にして、我慢しきれずに転移で逃げ出したところをハッゲが【狙った獲物は逃さねえ!】で捕獲、ここでハッゲが石化で脱落、つくねちゃんがフルスイング一発決めたところで、ディストラクションを無理やり連続発動したローレライの攻撃でうぅ~いちゃんとレーナちゃんが脱落、レイジが翼斬り落とした瞬間に反撃で【消滅怪音波】を食らって脱落、エリスが僕を庇って脱落、最後は僕とつくねちゃんと夜家さんでタコ殴りにして、ギリッギリダメージレースで勝利してなんとかなったね。本当、ペネトレイトアーマーと防弾チョッキ借りてなかったら無理だったわこれ。


「赤黒い宝石箱なんて初めて見たねえ~」

「ですね! 初めて見ました! ハズレって言われた時はもの凄く焦りましたね~」

「これも、リンネちゃんとつくねちゃんが二重底の情報を見つけてくれてたから心臓の負担が少なくて助かったわ~」

「よ、よか、っです……」


 報酬がね、すごかったわ。経験値13億もそうなんだけど、宝箱が8個・・だったのも嬉しかったね。クリアタイムがゾロ目だった時限定で報酬が増えるみたいだけど、いやー流石に下一桁まできっちり揃えるのは人間業じゃないから本当にリアルラックのボーナスだねこれは。ちなみに55.5秒クリアだよ。


「まずはこの【★★★超合金・マグナメイカーハッピーセット】、欲しいやつ居るか?」

「ん……。リンネちゃん達に、貰った分返したいから、欲しい……」

「僕は要らないですね~」

「うぅ~いも要らないで~す☆」

「わっちも、とくには……」

「僕も要らないかなぁ~~?」

「エリスちゃんも要りませ~ん」

「ワイもいらんなあ」

「俺もいらねえ。じゃあレーナのでいいな」

「んっ!! ありがと!」

「じゃ、次は――」

 

 まずね、出たアイテムが全部虹以上の未鑑定品ドロップ揃い。シークレットスーパージュエルからは、なんと驚きの6点も出てきたよ。真覚醒の証も2枚出たし。

 それで、他に7個の宝箱から合計11個で、MVP合わせて装備と素材系アイテム含めて合計17個と真覚醒の証2枚! まずは【★★★超合金・マグナメイカーハッピーセット】をレーナちゃんが受け取り、次に【★★堕落した精神】ってイヤリングを僕。毒ダメージが受ける量も与える量も増加する装備だ~。当然欲しい。


「【★★★料理本:山が呼んでる】は俺貰っていいか? レベル100以降でも効果がある料理が作れるようになるらしい」

「むしろそれは寄付でしょ~」

「僕もハッゲさんにはお世話になってますから、寄付賛成ですね。枠取りなしで!」

「ええやろ、ハゲもろとき」

「え、いいのか? 貰うぞ?」

「わっちもいいと、おも、ます……」

「うぅ~いちゃんも賛成で~す!」

「当然~おっけ~おっけ~」

「ん、ハッゲ、貰うべき」

「おお、サンキューな!!」


 【★★★料理本:山が呼んでる】はハッゲに寄付。枠取りなしだからこれで残りの品を2品ずつ公平分配すれば配りきれるね~。あ、ちなみにペネアーマーは夜家さんとつくねちゃん、防弾チョッキは僕が貰ったから、その枠はリンネちゃん達に装備返す枠として取ってあるんだよね。報酬枠を先に潰して、これが欲しい人~って感じで配ったやつだから。

 【★★紅月】は大太刀、これはレイジ行き。地獄融合とか聞いちゃったから、もうレイジも刀を地獄融合する気満々なんだよね。よっぽど千代ちゃんに見せてもらった妖刀が格好良かったんだろうねえ~。抜刀時に華が散るみたいなエフェクトと紫色の雷光が走るらしいよ。

 【★★ソードハイヒール】はうぅ~いちゃん行き。強化値+12も必要だけど、姿勢維持に悪路走破、浮遊まで付いてくる上に蹴り技強化があるらしいよ。うぅ~いちゃんも結構変……あ、特徴的な戦闘スタイルだから、並のライトシューターと比べると天と地の差なんだよね。

 【★★★ピンクリボン】はモンスター用の装備、これはつくねちゃんが貰った。何に使うんだろ、ああ、どん太君辺りにプレゼントするのかな? どん太君好きだもんね~。リンネちゃんが気に入ってくれるといいね。

 【★★ペネトレイトブレストアーマー】、【★★防弾チョッキ】、【★★防弾ジャケット】はリンネちゃん達に返す用として、僕とつくねちゃんと夜家さんが1枠潰し。これで僕とつくねちゃんは枠がなくなったけど、まあ他に欲しいのないからいいかな。ちなみに、申し訳ないんだけど軽甲装備のブレストアーマーのほうが好みだったから、リネームカードで僕の防弾チョッキとブレストアーマーを交換にしました。てへ……。

 後は、採掘速度が上がる装備とか、採掘時に減少するHPを軽減する装備とか、+7チケット欲しさにゴミスティックを欲しがった人に公平に分配。そして最後に残ったのが…………真覚醒の証だねえ……。


「どうする? これ、8人分貯まるまで僕が預かる……?」

「正直使うってわかってるからな、金で殴り合う戦いにしかならねえ。不毛だぜ」

「ハゲが不毛言うんですかあ」

「……ぐ、ぐぇ、っひひ……」

「つくねちゃんその笑い方やばー!!」

「夜家、夜家さん、悪いでしょ、今の……っぐ……ふへ……!」

「いまのはハゲが悪いわ! アカンで!」

「寝てる子いっぱいいるんだから~起きちゃうよ~」

「お、せやなあ……」

「明日以降も、固定で行きませんか? あ、他のギルドメンバーさんに申し訳ないかな、それだと」

「いや~一応周知しておくけど、行けない可能性があるからねえ。発生条件がわからないし~」

「確かにそうですね……。行けるメンバーが確定してる内に、とりあえず回しますか」

「真・氷の宮殿とかのハイレベルコンテンツをクリアした人が対象とかじゃねえか?」

「それだと、僕がまだやってませんね……」

「あ~じゃあ違うのか。なんだろうな、わかんねえな」


 地獄パーティ、どういう理屈で行けるようになるんだろう~……。気になるけど、本当に発生条件がわからないから困るよね。今のところ、恐らくリンネちゃん達が言ってた『ヘルホエール号を撃破する』とかも絡んでるんじゃないかなーっては思うんだけど。


「夜家さんヘルホエール号は倒したんだっけ?」

「あ、話を聞いたのを試しに行ってきましたね。きぬさんと、つくねさんと、うぅ~いちゃんと、コナーさんと、赫さんとミッチェルさんが一緒だったかな? 排熱中に排気口を6箇所全部潰したら暴走しましたよ!」

「そうなんだ、ほえ~今度行ってみるか~」

「え、行きますか? 今から」

「行く~? 行く~!?」

「エリスちゃんはもうここまで来たら明日はギックリ腰が酷いことにして休みま~す」

「ワイは仕事遅いから平気や」

「わっちも、だ、大丈夫……」

「あれ、全員大丈夫じゃん……レーナちゃ~ん?」

「…………わ。起きてる」

「大丈夫だ。動きゃ起きる。行くぞレーナ!」

「ハッゲがやる気。負けてられない。行こ、朱璃に負けた恨みを晴らす」


 …………はい。そうです、朱璃戦は負けました。まず敗因はレーナちゃんが初手スナイピングショットを撃ったのがまず。これがまさかのフルスイングで打ち返されて、レーナちゃんが初手で瀕死+バリア状態。そしたら怒って猪突猛進で突っ込んできてからの【神速乱打】でボコボコにされてレーナちゃんが乙。そして大問題攻撃の【大激震!】があっという間に飛んできて全員食いしばり無効の一撃必殺で乙。僕とレイジで復活したけど、残念ながら向こうのHPが40%ぐらい残った状態で全滅しました。朱璃強いわ~……単純にね、パワーとスピードとテクニックが上。強すぎ。これに勝ったの? 信じられないんだけど……。リンネちゃん達強すぎない?


「ほんじゃ、レベル95を目指して一狩り行きますかあ~」

「本戦前にレベル100と真覚醒8枚集めたいな」

「だねえ~。リンネちゃん達においていかれるぅ~」

「リンネさん達、凄いですね。あの相手に勝てるなんて……。あ~でも、アレは僕が悪かったのかな~……すぐにバリアか無敵か張るべきでしたね」

「いや~猪突猛進は聞いてなかったからねえ~……。リンネちゃん達は畳み掛けるように第二第三の攻撃を出したから、突っ込んでこなかったんだろうね~」

「どんちゃんで釘付けにしたって言ってたな」

「せやな。あれは誰か逆に突進して、突っ込んでこないように前衛でタゲ取りする必要があるんやろな」

「多分、周囲に複数人集まってたら大激震~~!! なんだろうね~☆」

「た、ぶん、そう……。ペアになってから、来ても神速乱打、だけでしたし……」

「まあ~負けちゃったし、今はもう何言ってもたられば・・・・だよ~。次はどうするか、まあ次がいつ当たるかわからないけどさ~? その時にまた相談だね~」

「あ、日替わり……」

「日替わりはきっついよな。明日はその、リンネちゃん達が負けた魔王が出る可能性があるんだろ?」

「怖いわ~~。またローレライ戦からがええわ~~」

「勝てる相手、じゃないと……レベル、上がんない……」

「地獄はそう甘い所じゃあないだろうねえ~……」


 まあまあ、本当にいい経験になったよ。世の中にはとんでもなく強い相手がいるんだな~って。上を目指すための良い目標になった。次は勝ちたいな~。あ~せめて、魔王戦まで行って『いや~アレは無理だよぉ~』ってリンネちゃん達とお喋りしたかったなあ~……。


「よし! うみのどーくつは宝箱いっぱいだから、今度こそインベントリガラガラにして行こ!」

「そうですね、行きましょう!」

「じゃあ、このペネ装備3個と……」

「ハッピーセット……返す、返しきれるか、微妙だけど。あ、ちびドールもそのうち、完成させないと……」

「ああ、そういや作ってたんだっけ~。どう、できそう?」

「難しい……。直せはした。ただ、デザイン、複雑……」

「そこは本業、頑張ってくれや」

「んっ!!」


 気を取り直して、うみのどーくつのヘルモード行こうか~。排熱中に排気口を潰せば暴走ね、よ~し……朱璃に負けた恨み、とことん晴らしちゃうぞ~~!!


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