見せ合いっこ

◆ バビロニクス・ギルドルーム【スイート】 ◆


 …………さて。ペルちゃんとお部屋で二人っきりになる前に問題発生です。


『ピピピ……罠感知:ちびカレンちゃんのいたずら (すらいむぽよよんとらっぷ)』


 な、なんて、なんて可愛い罠が仕掛けてあるんだ……。そっか、だからさっきからちびちゃんズのお部屋のところから、三姉妹神がチラチラ見てたのね。どうしよう、ペルちゃんに教えてあげるべきか、それともわざと直撃してあげるか……。いやいや、あんなに『当たるかな、当たるかな、楽しみだね』みたいな感じでキラッキラしたおめめをしてるんだから、これは当たってあげないとダメでしょ!


「どうしましたのリンネさん! わたくし、もう待ちきれませんの!」

「あ、ちょ、ペルちゃん待っ」


 あ、あ~~~悩んでる内にペルちゃんが先に~~……。ちびちゃん達を見たらみんな揃って『し~~っ』ってポーズして黙っててってやってるし! か、可愛い、これじゃ言えない! はわ、わ~~~…………。ペルちゃん、南無……!


「はや? あら? わぶっ!?」

『~~~!!』

『~~~♪』

『~~~♡♡』


 おおっふ、意外に大きめの緑のスライムが、ペルちゃんの頭にぼよんっとバウンドして……あ、ちっちゃいポータル出して逃げてった! ペルちゃん、何が起きたかわかってなくっておめめぱちぱちして周囲を見回してるけど、もう証拠品は逃げ出した後なんだなあ……。そしてちびちゃん達、嬉しそうねえ~……。あ、ペルちゃんが嬉しそうなちびちゃん達を見て気が付いたね、これは。


「あら! あらあら! 悪戯したでしょう! も~~悪い子達なんだから! こら~~!!!」

『『『~~~!!!』』』

「わー慌てて逃げてる……可愛い」

「もう、全く。お茶目な悪戯っ子さん達ですこと!」


 ペルちゃんに怒られた途端に、皆笑顔でバラバラに逃走だあ。こういうのを笑って許してあげられる人ならいいけど、許せない人にとってはご立腹ものでしょうねえ。ペルちゃんはこういうの問題ない子だけどね、もちろん相手によるけど。


「よしよし、悪戯されて可哀想だねえペルちゃん」

「あっっ!!!!!」


 うんうん。撫でる口実が出来て私は助かったけどね。ありがとうちびちゃんズ、ありがとうトラッパーカレンちゃん……。ペルちゃんのご機嫌を治す良いキッカケになったよ。


「……だっこ」

「はい?」

「抱っこ~~!!!」

「はいはい」

「んっ!!!」


 あらあら、意外と重症だったわ。どれどれ、じゃあお姫様抱っこでいいかな? そのままお部屋に入ろうか、うんうん、そうだね……。抱っこしてあげるからね……。




◆ ◆ ◆





 いやー凄いよ……。私も大概凄まじい強化を貰ったと思ったけど、ペルちゃんは私の比じゃないかもしれない。凄い、圧倒的。今後これどうするんだろうね天下一のソロ部門の人たち……。




・ステータス

【名前】ペルセウス

【レベル】100

【属性】闇属性・悪魔系・中型

【性別】女性

【職業】真・闇姫ダークプリンセス

【カルマ値】-750


【HP】260,000

【MP】20,000 *5

【PP】20/20


【STR】8+200

【AGI】8+300

【TEC】8

【VIT】8+550

【MAG】408+100

【MND】8


【スキル】

【闇姫】

【攻撃系】

・カットイン【MP5%】【高速移動】

・アルテマセイバー【MP10%】【前方範囲斬属性大ダメージ・即死】

・ハートブレイカー【MP10%】【前方範囲打属性大ダメージ・即死】

・トゥームセイバー【MP10%】【前方範囲突属性大ダメージ・即死】

・チェックメイト!【MP50%】【前方範囲全属性超ダメージ・超即死】【PP10】

・通常攻撃ハイパースラッシュ化【パッシブ】


【特殊系】

・魔剣【ハルパー】作成【1本辺りMP5%】

・魔剣【ハルパー】マスタリー【属性変更:無・闇・念】

・サクリファイス【PP1】【ハルパー1本破壊、2分間パーティ全体攻撃力1.5倍】

・アイギスの加護【PP1】【ペネトレイト 15+5 】【消滅率95%】

・可憐なる闇姫【VIT+400、STR+200、AGI+200、MAG+100】

・優雅なる闇姫【一部装備ペナルティ・常時威力最大】

・地獄三姉妹神崇拝・超【パッシブ】


【真覚醒スキル】

・アポカリプス【PPブレイク】【超範囲極大ダメージ・消滅】【パーティ全体ペネトレイト 10+5 】【自身にペネトレイト 100+5】



【装備】

右手:ハルパーの紋章【○】

左手:アイギスの紋章【○】


――――


アクセサリー【腕】:★★★アディクション・オブ・ケルベロス【ペネトレイト+5】




 真・闇姫。ペルちゃんは真・処刑姫と迷った末に、パーティプレイ向けの性能がある真・闇姫を選んだらしい。それにともなって処刑する黄金だった腕輪の呪い状態が外れて両手に紋章として移動、腕輪はただの金のガントレットに装備が変わっちゃったみたい。なので、ペルちゃんが作成保護チケットいっぱいくれたので、やりました……。地獄結晶【死の海の魔女】を素材にした、アニメイト・フェティッシュを! その結果が、そのアディクションっていう腕輪ですね。え、効果ですか? もう見とうないレベルにございまする。ひええ……。



【★★★アディクション・オブ・ケルベロス】(最低最悪・アルティメット・アクセサリー【腕】・空きスロットなし【●】)

・【呪】直接攻撃によるダメージを受けた時、超毒状態になりダメージの半分を30秒掛けて受ける

・【呪】同じアクティブスキルを連続で使用した時、毒、猛毒、超毒、致死毒の順に状態異常を受け、HPに20%、40%、60%、80%の順に毒系ダメージを受ける

・同じアクティブスキルを連続で使用した時、MPが10%回復する

・同じ敵を同じアクティブスキルで攻撃した時、5秒間全属性攻撃力20%上昇 (最大2回重複)

・毒系による派生状態異常を受けない

・毒系による行動障害、ダメージ以外のペナルティを受けない

・【魔界門番長ケルベロスちゃんの肉球スタンプ付きカード】

 ┣バリア、オーラ、回数系シールド回数強化

 ┗バリア、オーラ、回数系シールド発生時免疫状態

 ――――もう止まらない、もうやめられない! 破滅するその時まで!

 強化不可・装備登録者【ペルセウス】・重量0.1kg・重量ではない重さ・・を感じる



「んっふふふ……♡」

「ご満悦ですねえ~……」

「当然! デメリットなしですわよ!?」


 そうなんです、ペネトレイトは『外部から受ける状態異常は無効』なんですけど、内部……つまりペルちゃんが原因で受ける状態異常はかかるんです。ペルちゃんが怒れば憤怒が付くとかそういうこと。で、カードの免疫効果……これはペルちゃん最初は全然気にしてなかったんだけど、この装備に絶望的に噛み合ってしまったんですね。ここまで激重デメリットがついているのに、ペルちゃんはペネトレイト発動中はカード効果で免疫状態になって、毒効果を受けません!!!

 つまり、ペルちゃんは同じアクティブスキルを連続で使用すればMPが10%回復し続け、更にそれが同じ敵なら全属性攻撃力が40%上昇した状態になり、永続的に毒の派生効果と行動障害が発生しません!!! だってこれ『この装備による毒の派生効果』って書いてないもん。


「なんてものを、作ってしまったのでしょうか……」

「変質4回、イレギュラー1回? 素晴らしいですわ~!! 最高の真覚醒祝いのプレゼントですわ、あーちゃん!!」

「良かったねえ~良かったねえ~~……!」

「こうなったら毒デメリットがある装備で強力なものは、今後乗り換え対象ですわね……」

「前の私みたいなことになってるよそれ。絶対誰も使わない系装備を好むゲテモノ姫になってるよ」

「だって強いんですもの!!」


 ペルちゃんが以前の私みたいな状態に……。いやでも、セット装備じゃない装備同士のシナジー効果で強化されるの楽しいよね。免疫状態は毒以外の状態異常にも効くみたいだから、まだまだ悪いことできそうだよね。これから私の作る呪物で、今使ってる黒姫セットを超えるような装備ができちゃったらどうしよ……。

 

「で、そろそろ聞きたいんだけど……いい?」

「どうぞどうぞ!」

「まずこのカットイン、効果は?」

「千代さんの紫電脚までは行かないものの、かなりの高速で移動出来るスキルですわ! 乙女の突進から攻撃がなくなった代わりに、移動速度が激増しました!」

「ぎょえー移動スキルまであるし……」


 更に与えちゃいけないもの筆頭みたいなのが与えられてるよこの人。カットイン、あ~~~これアクティブスキルだから、2回発動するとアディクションでMP消費無しに出来るよ……。ひ~~え~~……。


「各種攻撃スキルは……」

「斬、打、突でそれぞれ異なる前方範囲攻撃ですわ! カラミティウェイブがなくなった分、スキルが全て範囲攻撃……まあ今までも範囲のようなものでしたけれど! 広域になりましたわね」

「通常攻撃がハイパースラッシュ化……」

「最大4メートルまで伸縮自在ですわ!」

「あれ、待って? 魔剣作成もアクティブスキルだよね?」

「そうですわね? ふっふ~ん♪」

「魔剣作りたい放題じゃん…………」

「そのうち、偽バビロン様が扱っていたサウザンドエッジ? でしたかしら? あれも使えるようにして見せますわ~!」

「ひっ……サクリファイスは、ああ号令の代わり……。魔剣一本壊せば号令いらずか~」

「ちなみに魔剣は放置すると5分で消えますわ」

「それでも5分はあるのか~……」


 ぶっ壊れてる。ペルちゃんがどうしても見せたがってた理由がわかった気がする。それにしても真覚醒、誰でもここまで強くなっちゃうのかな~。今後レベル100以上のプレイヤーには気をつけないとなあ~……。


「ちなみにペネトレイト、わたくしは5%で消滅が免除されますわ」

「は?」

「ペネトレイトが削れる可能性が95%ということですわね!」

「は? 覚醒のペネ105回の方は?」

「そちらもですわね!」

「は????」


 いやーーーーペネ20の時点で頭悪いなーって思ってたのに、5%の確率で剥がれないで耐えるの!? え、それ、つまり単純な話なんだけど、20のほうはペネ1枚増えてるようなもんじゃ……。しかも105の方も剥がれない可能性があるとか、ええ……どうなってんのそれ。いや~これ最悪、最後の1枚が、例えば5回殴っても剥がれなかったとか言うクズ運も発生しかねないってこと!? ぎえ……。


「あ……でも、指輪が……」

「え、指輪どうしたの」

「スカイフィッシュカードの効果が、レベル100で最大でしたの。つまりAGI+100が限界、スロウ無効もペネトレイト効果で耐えられますし……。それに、人魚の涙の直接攻撃時20%で被ダメ無効が、装備ペナルティに引っかかって効果が発動していませんの」

「え~~……死に装備になってるんだ」

「バリア、オーラ系、被ダメ時にダメージ無効系が潰れていますの。優秀なペネトレイトがあるから、他の手段でのダメージ軽減が許されていない調整がされていますわ。食いしばりは発動するみたいですけど」

「なーるほど……。じゃあペネがなくなったペルちゃんはもう、カスということ……」

「カス!? カスは酷いですわ!?」

「実際、防御手段が何もなくなるからねえ……」

「た、確かに、確かに……」


 しかし、ペルちゃんはペネの切れ目が命の切れ目になるのか……。ということは、ネクロフォースの被ダメ無敵効果はペルちゃんには効かないってことね。んやーまあ、しょうがないかー。


「じゃあじゃあ、今度はあ~ちゃんのステータスですわ!」

「ん、そうだね。見せてあげよう……。ほら」


 じゃあ今度は私のステータスを見せてあげよう。ほれ、刮目するがよい。


「…………え、わたくしのペネがカーススピアで削れますの?」

「削れますねえ……」

「…………今後射撃とか魔術でも、直接攻撃持ちがあったら過信できないということ?」

「です、ねえ」

「ステータス+150・被ダメ時無敵3秒・HP20%回復・状態異常回復、これ正気ですの?」

「です……ねえ……」


 まあまあペルちゃん。壊れた性能同士、仲良くしようじゃあないの……。ほら、ゆっくりと見るがいいよ……ふっふっふ……。

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