Welcome! HELL PARTY・3

◆ 第二階層・準備エリア ◆


『300秒間、パーティ全員の全ステータスが+70されます』

『転送ポータル起動、10秒後に第二階層パーティ会場へ転送されます』

「よし、行くよ……!」

『(`・ω・´)!』

「よくってよ!!」


 よし……。準備は出来た。行こう、朱璃戦……!!


『3……2……1……転送』




◆ 崩壊した朱璃城エリア・【赤鬼・朱璃】 ◆




『転送完了。地獄パーティへようこそ!!!』


 事前情報と若干違うフィールド、既に崩壊してる朱璃城に飛ばされた! そうか、フィールドはあくまで『予想』なのね! 瓦礫が散らばる城跡、周囲は――崖下は海! 落ちたら多分、強制戦闘不能で戻ってこられないだろうね、これは!


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『蛆虫共が!! あたしの城をこんなにしちまって、覚悟は出来て――――』

「赤鬼を処刑せよ!!」

「行け行け行け行け!!!」

『ペルセウスが【処刑の号令】を発動、1分間パーティ全員の攻撃力が1.5倍になります』

『オーレリアが複数のにゃ術を発射しました!』

「舐めるんじゃないよ!!!!!」

『赤鬼・朱璃(Lv,????)が【喝!】を発動、全てのにゃ術が消滅しました』


 ――――舐めてなんかいないよ。これでダメージが与えられたら良いな、とは思っていたけど。これが決定打になるだろうなんて、全く思ってない。全部防がれたのは予想の範囲内。この一手は、リアちゃんの攻撃に注意を向けるためにやったんだから。


『どん太が【斬滅双波】、【魔狼身弾】を発動しました』


 どん太の振りが大きいこの遠距離攻撃、それと共に畳み掛けるように突進の第二波。私もアビスウォーカーで続いて、距離を詰める。これを通すためのリアちゃんの奇襲、強襲。初手でどん太が動いたらどん太が狙われるから、そうならないように注意を逸らした。ここまでは作戦通り、ここからがわからない。


「甘いねぇ!!!」

『赤鬼・朱璃(Lv,????)が【壊!】を発動、相殺! 【斬滅双波】が消滅しました』


 強い、しかも得物は――鬼に金棒ってわけね。斧じゃない!! 棘付きの金棒、鈍器系だ!!


「かかってきな、ワン公!!」

『ガアアアアアア!!!!!』

『(乗るなどん太! 急停止して金剛!)』

『どん太が【金剛】を発動しました』

『赤鬼・朱璃(Lv,????)が【壊!】を発動、Resist……。 どん太が41Kダメージを受けました』

「かったいねえ……!!!?」

『NP1を消費しました。【カーススピア】を発動します』

『赤鬼・朱璃(Lv,????)が771Kダメージを受けました。呪い状態になりました』

「ッチ! 影に何か居るね!! 死にな!!!」


 まずい、バレた!? まさか一発でバレるとは思わなかった! 他の影への転移は――――


『フリオニールが【フリスビー】を発動しました』


 さすがおにーちゃん!! いつも最高のタイミングで妨害を――――


「雑魚が!! すっ込んでな!!!」

『赤鬼・朱璃(Lv,????)が【反撃!】を発動、カウンター!』

『Σ(´∀`;)!?』

『フリオニールが【ハイパーガード】を発動、【フリスビー返し】により0.1Kダメージを受けました』


 返されたーーー!? そんなことある~~!? いやでもこの時間稼ぎのお陰で! 私は転移が出来る!


『(どん太、一撃に注意しながら後退して!)』

『ガアアアアアア!!!!』

「随分利口なワン公じゃないかあ、ええ!? あたしを前にして怯えもしない、立派な戦士の面ァしてやがる!!! ねえ!!!」

『どん太が【金剛】を発動しました』

『赤鬼・朱璃(Lv,????)が【壊!】を発動、Resist……。どん太が40Kダメージを受けました』

「かったい、ねえ!!!!!」

『赤鬼・朱璃(Lv,????)が【壊!】を発動、Resist……。どん太が39Kダメージを受けました』


 どん太は攻撃を受け続けてるけどこれでいい、千代ちゃんは――何処かに潜伏した。周囲に姿が見えない。ペルちゃんとリアちゃんはおにーちゃんの後ろ、徐々にどん太が後退、おにーちゃんは前進。いずれ接敵するからこれでいい!


『姫千代の影に移動しました』

『(`・ω・)ノ』

『NP1を消費しました。【エピクレシス】を発動します』

『スキルリンク! 【ダークエピクレシス】が発動、パーティ全員が完全に回復しました。パーティ全員がHP20%分のバリアを獲得しました。10秒間全ての状態異常を無効化します』

「臆病者が、隠れてないで出てきなぁ!!!」

『赤鬼・朱璃(Lv,????)が【地裂撃!】を発動、パーティメンバーが平均40Kダメージを受けました』

『ペルセウスが攻撃を無効化しました。ペネトレイト・9』


 げ……!? 全体攻撃持ち!? これは、地面に接地してたら、かなり広い範囲に直接攻撃属性の打撃攻撃を与えてくるってこと!? 飛ぶ――――いや、耐えよう! 私は50K受けたけど、連打されなければ――


「鬱陶しいねえ!!!!」

『赤鬼・朱璃(Lv,????)が【地裂撃!】を連続で発動、パーティメンバーが平均160Kダメージを受けました』

『どん太が跳躍し回避しました』

『ペルセウスが攻撃を無効化しました。ペネトレイト・4』

『オーレリアが浮遊し回避しました』

『姫千代が跳躍し回避しました』

『ダメージ減少! フリオニールが0.001Kダメージを受けました』


 うーーーわーーー!! 一気にMPが、300Kも消し飛んだ、ヤバい、流石にヤバい!! 私にはバリア効果がないのが辛い、辛すぎる!! 残りMP150Kぐらいしかない、かなりしんどい!!


「その隙、貰ったよワン公!!!!!」

『ガァァ!?』

『赤鬼・朱璃(Lv,????)が【滅!】を発動、どん太が1,887Kダメージを受け、戦闘不能になりました』


 何その爆速フルスイング!? 衝撃波が出るほどの、威力!!! どん太が跳躍で避けた隙を突かれてやられた!! でも十分時間を稼いだ、これでおにーちゃんが接敵した!! ここから近接戦、私もこのままやられるわけにはいかない、出よう!


『アビスウォーカー状態を解除、飛翔を発動します』

「攻撃速度、威力、範囲、魔術や遠距離に対しての対抗策と……厄介で御座いますね」


 さすが千代ちゃん、私が影に居たのしっかり気がついてたね。さて、どうしよう……。どうすればいいか……。


『赤鬼・朱璃(Lv,????)が【壊!】を発動、フリオニールが【ハイパーガード】を発動し12Kダメージを受けました』

「そのギラギラ光る剣、怖いねえ!」

「っく!!? アイギス!」

『ペルセウスが【ペネトレイト・10】になりました』

『(; ・`д・´)……』


 ペルちゃんが踏み込もうとするとおにーちゃんを挟んで攻撃し難いように立ち回られてる、おにーちゃんも無理に踏み込むとペルちゃんを先に叩かれる、リアちゃんも割り込む隙がない……。無闇に攻撃しても【喝!】で一発で消されるからMPが無駄になる……。睨み合いに、なるよ。これは……。


「死ぬかと思った……でも、どうしよう。がむしゃらなようでかなり考えて戦ってるよ、隙がない!」

「では……思うように埒を明けましょう」

『姫千代が【妖狐化】を発動しました』

「どうす――――え」

『姫千代が【紫電脚】を発動しました』


 千代ちゃん!? 雷光脚が、ちゃっかりしっかり強化されてる!? 牙突紫電と雷光脚の相性が良かったからこう、ビビッと来たってことなの!? 凄い、まさに電光石火、一瞬で姿が見えなくなる程の速さで、紫色の雷の矢が放たれたみたいに飛んでった!!? え、もう瞬間移動と大差ないんじゃないのそれ!? 移動スキルなんだ! リアちゃんの瞬間移動対策が作動しない!!


「覚悟ッッッ!!!」

「ッ!?」

『姫千代が【牙突紫電】を発動、Weak!!! 赤鬼・朱璃(Lv,????)に3,114Kダメージを与えました。大きくノックバックしました』


 横槍を入れた!! 攻撃がまともに刺さった!! 雷系が弱点!? 雷系は風属性に分類されてたはず! そうか、この時代の朱璃は風吸収の行動がまだないんだ!! どうする、MPは少ない、でも……いや、使い時!! 死を恐れて勝利は得られない! 相手を殺すってことは殺される覚悟も必要!!


『(リア、ちゃ、雷――――)』


 念話でMPがぁぁぁ!!! 50Kしかないよぉお!!! 今ので通じたなら、どうか……!


「!! 煌めけ雷光、有象無象の区別なく、我が敵を――――」

「今ッ!! 攻め時で――」

『ペルセウスが【処刑の号令】を発動、パーティ全員の攻撃力が1.5倍になりました』

「っく!! しゃしゃり出てくる!!!!!」

『( ゜д゜)!!』

『赤鬼・朱璃(Lv,????)が【神速乱打!】を発動、ペルセウスのペネトレイトが消滅! クリティカル! 557Kダメージを受け、戦闘不能になりました』

「はぁっっ!!!」

「甘いねえ!! それは甘ったれた一撃だねえ!!!」

『姫千代が【一刀断鉄】を発動、MISS……。赤鬼・朱璃(Lv,????)に回避されました……』


 ペルちゃんがやられた!!? いや、フェニ守りで1回復活する! 今の千代ちゃんの攻撃はペルちゃんの死体から離す為にわざと甘い攻撃をした! あの刀を見て金棒がぶった斬られるかもしれないって、怖気づいた! 向こうは退いた、行ける!! MPもちょっと回復した、なら!!


『ペルセウスが【フェニックスのお守り】を使用、完全な状態で復活し、【再生の炎】状態になりました』

「アイギス!!」

『ペルセウスが【ペネトレイト・10】状態になりました』

「無駄なこと!!」

『赤鬼・朱璃(Lv,????)が【神速乱打!】を発動、MISS……。ペルセウスが【再生の炎】状態で無効化しました』

「なにぃ!? こいつは、一旦退く……!」

「深淵の脈動、ネガティブバースト!!!」

『300秒間、パーティ全員の全ステータスが+70されます』

『赤鬼・朱璃(Lv,????)が呪い状態になりました』

『ペルセウスの【再生の炎】が終了しました』


 逃がさない! 押せ押せ押せ押せ!!!


『(´゜д゜`)』

『フリオニールが【プレッシャー】を発動、赤鬼・朱璃(Lv,????)が【精神衝撃】状態になりました』

「っく!? 鬱陶しい、光る剣の女から、炎が消えた! お前を先――――がっ?!!!」

『フリオニールが【フリスビー】を発動、赤鬼・朱璃(Lv,????)が0.05Kダメージを受けました。【激昂】状態になりました』

『m9(^Д^)9m』

『フリオニールが【プロヴォーク】を発動、赤鬼・朱璃(Lv,????)が【怒髪天】状態になりました』

「…………!!! 落ち着くんだ、あたしはこんなところで……!!」

『赤鬼・朱璃(Lv,????)が【克己】を発動、全ての状態異常を解除しました』


 克己!!! 千代ちゃんと同じ、印術が使えたの!? 全部解除されたのは厳しい――――けど!! それは隙が大きいでしょう、流石に!!


「――――処刑される覚悟は、出来たかしら!」

『ペルセウスが【処刑の号令】を発動、1分間パーティ全員の攻撃力が1.5倍になります』

「殺されるのは、あんたらの方だッッッ!!!!!」

『赤鬼・朱璃(Lv,????)が【大爆震!!!】の発動スタンバイ!!!』


 金棒を、振り上げた!! これは、凄まじい威力の範囲攻撃の予感がする!!! これは、不味い!!!


『オーレリアの瞳がキラリと光りました』

『オーレリアがCPブレイク! インフィニティにゃんこぱわーを解放しました! 次に発動するにゃ術の威力が超極大に上昇します!』

「――――にゃんだぁあああああーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」

「ああっ!?」

『_(┐「ε:)_』

『オーレリアが【雷撃猫嵐にゃんだーすとーむ】を発動しました!! 周囲に無差別に雷の猫が落ちます!!』


 リアちゃんが、叫んだ!? にゃ、にゃんだーーー!? おにーちゃんが、伏せた!? 何そのエモーション!?


『避雷針!!! 赤鬼・朱璃(Lv,????)に【雷撃猫嵐にゃんだーすとーむ】が全て直撃しました!!! Weak!!! 合計21,145Kダメージを与えました! 【麻痺】状態になりました!』

「あ――――が…………」


 …………!!! この、威力……!!! おにーちゃんは自分に落ちてこないように伏せたのね!!


「さらば……。さらば、朱璃……!!!」

『姫千代が【奥義・無双国落】を発動、クリティカル! 赤鬼・朱璃(Lv,????)に5,554Kダメージを与えました。赤鬼・朱璃(Lv,????)が致命傷を負いました…………』

「か、はっ……! あ、あたし、あた…………し……は……」

『MVPはオーレリアです。おめでとうございます』

『MVP報酬は【?鈍器 (黒)】です』

『地獄パーティ第二階層をクリアしました。おめでとうございます』


 え、まだ、朱璃は倒れてないし、死んでないけど…………?! あれ、動けない……。あ、オブザーバーモードになってる! あ、MVP……? そっか、これで撃破扱いなんだ、ここからは見てろってことね……。


「ああ…………。朝日が、綺麗だ…………。結局、あの、太陽も……。手に入らなかった……な……。これ、が……なにもかもを、欲しがった、報い、か――――」

『赤鬼・朱璃が崖下に落下しました……』

『地獄結晶 【赤鬼】を【死体安置所・6】に納棺しました』

『討伐報酬は階層移動時に発生します』


 あ…………。ああ…………。なんか、最後は、物悲しかったけど……。でも、この後朱璃は、あのキャプテン・トルネーダに至るんだよね……? この先のストーリー諸々を知らなかったから、駄目だったのかなあ、私は……。あ、オブザーバーモード解除された……。


「やった…………?」

「やったよ、倒した……。倒した!」

『(*´ω`*)』

「リアちゃん!! 凄い威力だったね!!」

「えっへへ!! お姉ちゃんが雷って言ってくれたからです!」


 ……!! リアちゃんのこの上目遣いは、お耳ぴょこぴょこは……!! 間違いない、撫で待ち!!! よし、今はここに居る皆をいっぱいいっぱい愛してあげよう!! うんうん、私には皆が居るんだ!


「わっ!! えっへへへへへ…………」

「千代ちゃんもおいで!」

「……! さ、先程撫でられた、ばかりですから」

「じゃあお姉ちゃん独占で~す! にっひっひ……えっへっへっへっへ……!」

「リアちゃん、すっごい悪い顔してる自覚ある?」

「え? あります!」

「悪い子だねえ~~~!!! でも可愛いねえ~~!!!」

「んん~~~~っっ♡」

『(*´ω`*)』

「あ……あっ……あう」

「ペルセウス殿、後でこっそり撫でられに行っては?」

「そ、そんな! わたくし、そんなんじゃありませんのよ!」

「そうで御座いますか?」

「そうで御座いますの!!!」


 ペルちゃんめ、素直じゃないねえ~~……。可愛い……。はあ~~……どん太、やられちゃったけど……倒せてよかった。それにしても強かった、1人でこの人数相手を圧倒出来る程だなんて、強すぎるよ……。さて、私はもう覚悟してますけど? 来るなら来れば? 次の主催者アナウンス。


『お帰りのポータルは青いポータルにお進み下さい。次のパーティへご参加の場合は赤いポータルへお進みください』

『地獄パーティ第三階層にて、主催【地獄行き海底鯨列車・ヘルホエール号】がお待ちしております。開催場所は【海中庭園フィールド】が予想されます』


 …………あれ? もしかしてボーナスステージでは?


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