うみのどーくつにて……

◆ うみのどーくつダンジョン・入口 ◆


 ローレイに戻った時にチャンネル4に移動して、その後朝日が昇ったばっかりの時間帯な過疎気味チャンネル11に移動してきたんだけど……。港から海岸、海岸からうみのどーくつ周辺、そしてうみのどーくつダンジョンの入口まで――――誰も、すれ違いませんでした!


「人がいなさすぎる……」

「パイレーツスケルトンが出ない時間帯のローレイの海岸なんてこんなものですわ。ここは逆に夜時間が人気な狩り場ですもの」

「へえ~……。美味しいんだ?」

「流石にわたくし達にはもう美味しくないですし、うみのどーくつのモンスターのほうが1.5倍ぐらい経験値が貰えますけれど、いつでも狩れてほどほどに弱く、数もそこそこ多いのが人気の理由ですわね」

「な~るほどねえ~」


 ん~人気じゃない時間帯とかもあるんだね~。あ、でもそっか、逆にここは朝の時間帯だと人気のチャンネルになってるんだね? 朝の時間だとここは夜だもんね。時間帯によって人気不人気過密過疎があるんだね~。さて、そろそろうみのどーくつダンジョン――――。


「…………ペルちゃん、あれ見える?」

「あ~~~……。わたくしもそれ、今言おうかなと思ってましたのよね」

『わうぅ……!? (なあに、あれ!)』

「そういえば、最後に鯨列車をやっつけてから、来たことがありませんでしたね……!」

「…………やばいよ~~絶対やばいよ~~~」

『Σ(´∀`;)』

「とてつもなく邪悪な、気配を感じまする……」


 いやーーーーそういえばね、リアちゃんの言う通りあれから来てなかったよね。だからですね、こんなことになってるとは思いもしなかったんですよね。


「こっちの、青白い光のポータルが……」

「通常のうみのどーくつダンジョン、ですわね」

「で、そっちの……」

「赤黒い光の転送陣ですね……っ」

「赤黒い方、イズ、何」

「踏みたくないですわ~~~!!!!」

「私も踏みたくないですわぁ~~~!!!」

「私も踏みたくないで……ないですわ~~っ!!」

「こな――――私も! 踏みたくありませんわ~~!」

『わんわわわう~~~ (踏みたくないですわう~~)』

『ξ'ω')ξっ【✕】』


 誰も踏みたくないじゃんあの赤黒いポータルーーー!!!!! なんで? いやなんでも何もないな。わかる、だってここでやったことって言えばヘルモードクリアしかないもん、それぐらいしかないもん、このポータルが増やされてる理由! いやーーーでも踏みたくない、絶対ヤバいもん!!


「誰行く!?」

「ええ!? 踏みますのぉ!!?」

「踏んで真相を確かめないと! でも中のルールはお姉ちゃん達しか詳しくわかりませんよっ!」

『わうわう!! (いけいけご主人さま~!!)』

『ヾ(*´∀`*)ノ』

「さあ、お二人のどちらかですよ! アレ!」

「もうあれだ、ペルちゃん!!!」

「!?」


 私かペルちゃんしか踏めないなら、そりゃあもう、これよ!! これしかねえのよ!!


「いやっ!! 離して!? あ、やっぱり離さないで!? 近い! お離しになられて!? あでも」

「行くよペルちゃん!!!」

「だ、抱いたーーーっ!!!」

「わ、かなりガッツリ抱き合っていますね……!」

『!!!(゜д゜)!!!』

『わうわうわう~~ (仲良しだ~~)』

「待って、心の準備がっ!!!」

「大丈夫、怖くないよ! 私が一緒だからね!」

「やだどうしましょう顔が良いッッッ!!!!」


 抱きつき強制連行!! 行くよペルちゃん、踏むよ! うぉおおーーー突っ込めえええ~~~~!!


【地獄パーティへようこそ!!!】(推奨レベル??~)

・最大8人までパーティ入場可能

・ペナルティ:参加人数によって相手のHPが調整されます

・ペナルティ:各階層、アイテムの使用は2度まで可能

・ペナルティ:各階層、同名の蘇生・復活は1度まで可能

・該当:【反魂の儀式 (触媒としての☆5魔晶石消費はアイテム使用に含まず)】

・ペナルティ:各階層、食いしばり効果は合計2名まで

・ペナルティ:各階層、覚醒スキルの使用は1名まで可能

・ペナルティ:戦闘中の召喚系スキル使用不可

・該当:【ばびろんぱんち♡】【死体安置所系】【魔神兵召喚】【非常食バットン】【下僕ボス猫ルナ】

・特典:階層移動時 (全滅での退場含む)、全てのマイナス状態をリセット(死亡・覚醒クールタイム・消費アイテム復元を含む)

・1日1度の挑戦が可能(毎日5:59に回数制限リセット)

・覚悟が出来たパーティメンバーは全員ポータル内に入って待機してください

・30秒のカウントダウン後、ポータル内のメンバーが地獄パーティに招待されます



「「地獄、パーティ……」」

「地獄パーティですか!?」

「どう考えてもまともな名前ではありませぬ……」

『わうう~~!? (パーティ!? ご飯いっぱい!?)』

『Σ(´∀`;)』

「どん太よ、食べられるのは多分私達だぞ……」

『くぅ~ん……? (焼肉パーティとは、違うの~……?)』

「似て非なる存在ですよ、どんどん……」

「凄まじい魑魅魍魎が跋扈している場所なのでしょうか」

「怖いもの見たさで、行きたいには、行きたいですわね……」


 怖いもの見たさ、ある。とてもある。でも死亡時のペナルティで経験値3%減少は痛い……。いや、逆に考えよう。経験値が3%減少するだけで怖い場所を覗いて帰ってこられる、と! ん~~3%以上の何かを得ることが出来れば、あるいは……。


「行ってみない……?」

「はい、あーちゃん……! 補填は消費アイテム復元を含む、階層移動時は全滅時も含まれるなら、これを使いましょう!」

「これは……?」

『ペルセウスから【★★★フェニックスのお守り】を受け取りました』



【★★★フェニックスのお守り】(極上・アルティメット・消費アイテム)

・貴方は死亡した時、このアイテムを消費するか選択することが出来る

・このアイテムを使用した時、貴方は完璧な状態で復活する

・復活後【再生の炎】状態になり、10秒間無敵になる

・このアイテムを使用した場合、このアイテムは破壊され復元不可能になり【★★★フェニックスフェザー】を1枚獲得する

・特殊な効果によりアイテムが復元された場合、【★★★フェニックスフェザー】が没収されて【★★★フェニックスのお守り】が補填される

・なんらかの理由で【★★★フェニックスフェザー】がアイテムインベントリに存在しなかった場合、補填されない

 盗難、ペナルティドロップ無効・重量なし



 うっっぉぉ……なんっだこれぇ……!? どこで手に入れたのよペルちゃん、これぇ……!?


「ペルちゃんこれどこで手に入れたの!?」

「だいぶ前に、ローレイを海賊から開放した際にローレイの領主から頂いた品ですわ! まだ2つありますの!」

「ぎょえーーーーーー…………借りるだけ、借りるだけね!! 後で返すから、返すって言ったのに受け取らなかったら来週お弁当作らないから!」

「え゛っ……ど、どうしましょう……あの、辛いものは、抜きにして頂けるなら、受け取りますわ……?」

「ん……わかった! 辛いの抜きね! え? もしかして辛いの駄目だった?」

「ん~~~~……!! あ、まり得意では、ないかも……」

「ちょっとは行けるのね」

「ちょっとぉ!? ちょっとも駄目ですわ! おねがい、甘いほうが好きですの!!」

「そっかそっか……。じゃあ、ちょっと甘めに作るね……」


 そうっかあ……。ローレイを海賊から開放した時にね~……。ローレイ領主の家宝だったりしない、これ? まあ今はペルちゃんのものだし! それに補填されるし、使い放題だ――――あ、同階層で2回までしか使えないんだ。気をつけないと。


「それじゃ、準備はいい……? 行ってみようと、思うんだけど……」

「ちょっと怖いですけど、上を知ることは大事です! カヨコさん達にも言われました!」

「そうですね。此方もどこまで通じるか、知る機会になりましょう」

『わうわうわう~~!! (強い敵に食べられるか、僕が食べるかだね! 頑張ろ~!!)』

『(`・ω・´)!』

「やる気十分ですわね……。では、死亡した場合はわたくしとあーちゃんでこれを1回ずつ。どんちゃん達は反魂の儀式? でしたかしら? それで起こす、あら? 事前の強化などは出来ないとは書いていませんわね?」

「あ、本当だ……。ということは、事前のバフ前提の強さってことじゃ?」

「…………入ってすぐに戦闘だと困りますわね」


 うわ、本当だ。事前のバフを入れても剥がれないみたい。先にバフを掛けてから、それから入ろうっか……。


「阻め、ボーンシールド!」

「アイギス!」

「にゃ術も用意していいんでしょうか……。凶弾阻む盾となれ、カウンターミサイル!」

「無双緋影は、抜きませぬ。いえ、決して甘く見ているわけでは御座いませんので……」

『(*´ω`*)!』

『わんっっっ!!』

「沈め――――」


 千代ちゃんは考えあって緋影御前を抜かないのね。わかった、千代ちゃんの修行の成果を信じようね。とりあえず、後はペルちゃんの処刑の号令だけかな。効果時間が短いから、これは入ってからでも十分間に合うし大丈夫だね。


『転送ポータルを起動しまし――――勇敢なる者達よ。見事これを討ち滅ぼしてみせよ――――30秒後に、地獄パーティへ招待されます』

「……!」

「何か声が入りましたわね……何者なのかしら……」

「バビロン様よりは格下ですよっ!」

「あ、それもそうか。じゃあ存分にぶっ飛ばしてやろうねえ」


 よし、行くぞ~……。招待されてやろうじゃないの、地獄パーティとやらに!! かちこみじゃーーーい!!!




◆ 地獄パーティ・1階 ◆




『地獄パーティへようこそ! 1階層ボスエリアにて、主催【死の海の魔女・ローレライ】がお待ちしております。開催場所は【荒れ狂う海の船上】が予想されます』

『準備が出来ましたら、正面のポータルにお進みください。10秒後に転送が開始されます』


 ろーれ……ら……い……?


「これは……。所謂、ボスラッシュというやつかもしれませんわね……。それにローレライといえば、あのローラさんですわよね……?」

「同一個体じゃない、と信じたいけど……。多分、過去にローレイで猛威を振るったボスが出てくるのかも……」

「かも、しれませんわね……。となると……」

「…………行こう。時限系のバフは、掛け直してから」

「わかりましたわ」

「にゃ術は引っ込んでないみたいです!」

『わん!!!』

『(`・ω・´)b』


 なるほど。わかった。そういうダンジョンなんだろうね、ここは。じゃあ――試させて貰おうかな、過去のローラちゃんに私達がどこまで通用するのか。行くよ皆、ローラちゃん……。対戦、よろしくおねがいします。


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