休憩時間は大切

◆ ローレイ・魔神殿【ギルドルーム】 ◆


『サーベルが呪われました!』

『サーベルが変質しました!』

『キラーサーベルが変質しました!』

『★猛虎の刃が更に変質しました!』

『★猛虎の刃がイレギュラー化します!!!』

『★★虎王剣が呪物化しました!』

『★★虎王剣が完成しました! おめでとうございます!』


 訂正。あのキングキラータイガー、報酬面ではものすごいガッカリボスだったけど、呪物化の面で見るともの凄く優秀でした。なんせ成功すればレジェ以上確定、ペルちゃんが死体安置所1個借りてたからEASY以外を全部持って帰って来たよ。イレギュラー率も今適当に7体突っ込んで3回と滅茶苦茶に高くてびっくり。

 それにNORMAL1体、Hard3体、Very Hard3体、これらはミドルとかグレートドラゴンみたいに別素材扱いじゃなくて、全部同じ素材のボスモンスターって扱いみたいで、レベルは成功率とかに影響してるだけで出来上がる物はレジェ以上になるんだと思う。失敗ログの変質先が同じだったし。だから素材としてメッチャクチャ優秀、だと思う。今のところは成功例しかないからそう見えるだけかもだけど。



【★★虎王剣】(最上級・ミスティック・片手剣・空きスロットなし【●】)

・【呪】クリティカル以外の全ての攻撃力-90%

・斬属性攻撃力+15%+0%

・突属性攻撃力+10%+0%

・打属性攻撃力+5%+0%

・強制クリティカル発生率+20%+0%

・クリティカル攻撃力+50%+0%

・【キングキラータイガーカード】クリティカル発生時、重篤な出血が発生する

 ――――虎王の狩りは一撃必殺である

 強化可能・装備登録者【――】・重量1.1kg



 その一撃が加えられないから負けたんでしょアンタ。まずは一撃与えられるようになってから一撃必殺って言ってくれる? あ、これおにーちゃんにどうだろう? ペルちゃんに貰った処刑戦斧+12を返しておこうかな? あげるって言われたけど、流石に+12のユニーク武器だもん。高く売れるし返して置いた方が良いと思うんだよね。とりあえずおにーちゃんにこの武器を扱って貰おうかな。


「おにーちゃーん!」

『(*´ω`*)?』

「これこれ、使ってみて~」

『(*´ω`*)!』


 ほれほれ、出来立てほやほやだよ。気に入らなかったらリネームカードで登録剥がすから、自由に使ってくれたまえ~。


「致命的な攻撃以外は威力が激減するんだけど、致命的な攻撃なら威力が激増する武器なんだけど」

『(*´ω`*)!!!!!!』

「お? いい感じ?」

『(*´ω`*)b!!!』

「おお~良かった。その斧、どうする?」

『(´ε`;)……』

「返すのね。ん、わかった。後でその武器プラス7まで強化したいから、ちょっと貸してね」

『ヾ(*´∀`*)ノ』


 やっぱり元々剣使ってたし、剣のほうが馴染むのかなー。サーベルの時は片刃の剣だったけど、虎王剣は両刃の直剣、ちょっと剣身が長いタイプだけど気に入ってくれたみたい。かなり軽々振ってたし、良さそうだね。実際1.1kgってサイズに対してちょっと軽めだし、良さげ。んじゃペルちゃんに、これ返しちゃおうかー。


「ペルちゃん~~」

「はいな?」

「これ、貰ったけど……おにーちゃんが新しい武器に乗り換えでして……」

「あら! じゃあ強化かけちゃいましょ!」

「ほえ!?」

「え? 要らないですし、どこまで行くか楽しみでしょう? 強化しちゃいましょ!」

「えええ!!?」


 ぺぺ、ペルちゃん!? これ、強化しちゃうの!? 要らない武器に対する扱いが凄いね!? え、本当に強化機がある方の部屋に行っちゃった! おにーちゃんもカモンカモン!! ついでに+7まで保護チケつかって強化するから!


「では、行きますわよ~」

『ペルセウスが公開強化を開始します……処刑戦斧+12の強化を開始します』

『ペルセウスが処刑戦斧+13の強化に成功しました』

「わ、おめで――」

『ペルセウスが公開強化を開始します……処刑戦斧+13の強化を開始します』


 行く所まで、行く気だーーーー!!???


『ペルセウスが処刑戦斧+13の強化に失敗しました。装備が破壊されました……』


 あーーー壊れちゃったーーー……。もったいないーーー……。


「あら、大量の★5魔晶石と+7強化スキップチケットが貰えましたわ」


 おおー壊れると単純なロストじゃなくて、一応こういったチケットも返ってくるんだ……。しかも全装備対応の+7スキップチケット……。一瞬、要らないユニークで+13とか目指してーって思ったけど、+7なら普通に保護チケで叩いたほうが安いか……。


「はい。どうぞ、乗り換えでしょう?」

「え!! い、良いの!?」

「わたくし強化する部位がありませんし、+7までならあっという間ですし。+0の武器があるなら丁度いいでしょう! それに前も言いましたけれど、わたくしこれが原因で負けるとか嫌ですから。リンネさんが要らないなら破壊一択ですわ。売るなんてあり得ませんの」

「そっか〜……! ありがとうペルちゃん~~~!!!! また何か呪物出来たらあげるね!」

「え? ええ! その時は家宝にしますわね!」


 ペルちゃんの家の家宝に並ぶのはちょーーーーっと畏れ多いかなぁーーー!!! でもそっか、前も言ってたもんね。自分の作った武器が原因で負けたら嫌だって。返したらこうなるのも道理かー……。んっ! それじゃあ、このチケット使おうか! ペルちゃんありがとっ! +7チケット使うね、助かる助かるっ!!


「おにーちゃんそれかーしてっ!」

『(∩´∀`)』

『【★★虎王剣】が【★★虎王剣+7】に強化されました』

「おー……斬と突と打が追加+14%、強制クリティカルとクリダメが追加+7%か~……強いね~」

『(`・ω・´)!!!』

「強制クリティカル……?」

「多分、致命傷にならないような場所でも強制的にクリティカルが発生するんじゃないかな?」

「初めて見る表記ですわね……。流石に、鎧を掠っただけでは発生しませんわよね?」

「あ! 課金の鑑定鏡だと、装備の効果の詳細も調べられるんじゃなかったっけ!」

「そんな機能がありましたの? 調べられるといいのですけれど……見せてくださる?」

『(*´ω`*)b』


 ん、どれどれ、強制クリティカルの詳細を見せてみ~……。あ~やっぱり、鎧とか盾に当たった場合のダメージだと流石に発生しない、クリティカルが発生する可能性がある部位に当たった時、強制的にクリティカルになる可能性が+27%ってことね。なーるほど……。つまり生身の部分に当たらないと駄目なのね。あれ、機械系には無力じゃない? この武器。


「機械系だとクリティカル取るの無理そうじゃない……?」

「動力系や油圧系に当たるとクリティカルが出るそうですわよ、機械系は。弱点の見極めが重要な武器ということですわね。ありがとう、フリオニールさん」


 機械系でもクリティカルって出るんだ。へえ~……。じゃあ、本当に使い手次第って感じの武器だねこれ、おにーちゃんなら扱い切れるか。大丈夫だよね。あれ、そういえばペルちゃん……?


『(`・ω・´)b』

「ん、そういえばフリオニールさんって呼ぶようになったね?」

「ちょ、ちょっとした心境の変化というやつですわ! ふふっ……!」

『(*´ω`*)?』


 なるほど、そういえば真・氷の宮殿に行ったんだっけ? あれに行ったらおにーちゃんのことを『フリオニールさん』って呼びたくなる気持ち、わからなくもないね! そうだ、出来た残りの武器もペルちゃんに見せてあげよーっと。


「そうそう、これ見て~他に3個もできたんだ~」

「…………あ~。え? ええ!? これ凄くありませんことぉ!?」

「これ凄いよね~」

『!(゜д゜)!』


 他にできた装備はね~。これで~す!



【★猛虎の前足】(上級・レジェンダリー・ガントレット・空きスロット1【○】)

・【呪】魔術攻撃力-100%

・斬属性攻撃力+15%+0%

・突属性攻撃力+5%+0%

・打属性攻撃力+15%+0%

・サイズペナルティ無視

・空き

 ――――猛虎の一撃、受けてみろ!

 強化可能・重量1.0kg



【★★タイガーバズーカ!】(最上級・ミスティック・大砲・空きスロットなし【●】)

・【呪】虎王は常に全力。この一撃で全てのMPを消費する

・【呪】虎型砲弾を発射する

・【呪】物理攻撃力を全て魔術攻撃力に変換する

・魔術攻撃力+50%+0%

・強制クリティカル発生率+20%+0%

・【キングキラータイガーカード】クリティカル発生時、重篤な出血が発生する

 ――――虎!! 虎だ!!! タイガー!!!!

 強化可能・装備登録者【――】・重量4.0kg



【★★虎ッキングリュック】(最上級・ミスティック・アクセサリー【その他・マジックバッグ系】・空きスロットなし【●】)

・【呪】万が一落としたり置き去りにしても追跡して戻ってくる

・【呪】アバター装備不可

・マジックポケット【5】

・アイテムインベントリ重量制限が拡張 (合計200kgまで所持可能)

・スキル【だいじゃーんぷ!】使用可能

・着地ダメージ無効

・【キングキラータイガーカード】50%でクリティカル無効、25%で強制クリティカル無効

 ――――可愛くっていっぱい詰まる! ジャンプも軽々!

 強化不可・装備登録者【――】・重量0.1kg



「できちゃったんだよね……。マジックバッグが……」

「以前に出た、シャチさんリュックと同じ……いえ、ジェット推進がない分弱体化……あら!? でも置き去りにしても戻ってきますのね!? 一概には比べられない機能が……」

「そうそう。これ強いよね~って思ったんだけど、装備できる様な人が……」

「…………前もありましたわね、この問題」

「というわけで、ギルド内でオークションに出そうかなーって」

「なるほど、いい考えですわね! 欲しい人が落札すればよろしいですわ!」

「ね~」

『(*´ω`*)』


 虎ッキングリュック、前に出たシャチさんリュックと同じ様な性能かなーって思ったけど、比較にならないようなオリジナル性能があって面白いんだよね。それにインベントリが倍になるわけだし、欲しがる人は多そうだな~……。でも、申し訳ないけど安くは売れないかも。実はこれ、イレギュラーが2回も発生した激レア品なんだよね。形状変化イレギュラーと、アップグレードイレギュラーのダブル発生で出来た凄い物なんだ~。やっすい値段では売れないから~……。


「1億スタートかなあ」

「い、ち……!? おく……!?」

「高いかなあ?」

「あのね、安いと思いますわよ……。現状どうやっても拡張出来ない機能の強化ですし、前のオークションよりも世間一般もお金の回りが良くなりましたから、上位勢の富豪は常時2億ぐらいは持っているはずですわよ」

「……ペルちゃんは?」

「わたくしは今は3億程。単純に今まで溜め込んでいた素材類が高騰して高く売れているだけですけれど」

「ほえ~~~~……。なんか相場不明で売り辛いなあ~……どうしよ~」

「金貨袋でのお金の増え方が大きいですわね。ですが、カジノや強化などで散財しているプレイヤーが多いので、結果的に減ってきている傾向ではあるようですわね……あら、相場がわからなくなってきましたわ」

「浪費も激しいのね……ギルドで売るかどうかも、悩む……」

「う~ん……。そうですわねえ……」


 カジノか~。おにーちゃんは前にシュタークさんにお金を借りて、カードバインダーから何かいいカードを引き当ててシュタークさんにお金返したみたいだけど……あれ? おにーちゃん実はへそくり持ってる?


「そういえばおにーちゃんってカジノコイン以外に、お金持ってる?」

『(ヾノ・∀・`)』

「んーないんだね? ん? 何その頭の上で手をぴょこぴょこさせるの……ああ! カムイちゃん! カムイちゃんに、あげた!」

『(*´ω`*)b』

「なるほど、カムイちゃんの食事代ね。あ? じゃあそれまでは持ってたんだ。使わないで持ってて良かったね。でも今はないなら、これから必要な時困るし……。あ、このリュックに入れて、おにーちゃん達に預けておこうっか!!」

『(*´ω`*)!!!』

「ああ、それが良いかも知れませんわね! スージーちゃん辺りが持てるかもしれませんわね、白い虎のリュック……ちょっとかわいらしいですけど、スージーちゃんなら可愛いですし。行けそうですわね!」

『( ̄ー ̄)!!』

「悪い顔しちょる……。じゃ、これに1000万ぐらい入れておいて、次あった時にスージーちゃんかカヨコちゃん辺りに渡そうか!」

『(`・ω・´)b』


 よしよし、良い引取先が見つかった。これは次にスージーちゃん達に会ったら渡しておこう。ん、待って、今一瞬クーガーさんの顔がチラッと脳裏をよぎったのはなんで? まさか、いやそんな、スージーちゃんが背負うよ。間違いないよ。そんなことないよ……。


「よし、じゃあうみのどーくつダンジョン行こうっか!」

「まだ22時、行けますわね! 行きますわよーー!!」

「あ!! 出発ですか!? ちよちよも帰ってきましたよ!」

「ただいま、戻りました……」

「千代ちゃん!? いけない、これはカロリー不足の顔!!! おにーちゃん、何か食べるもの貰ってきて!? さっきのバッグのお金使っていいから!」

『Σ(´∀`;)!?』


 千代ちゃん!? こ、こんなにクタクタになって……! あれでも胸周りも太ももも無事だ……。まだ軽症か……!? いやいや、千代ちゃんがここまでゲソっとしてるんだから、ご飯を、ご飯を与えないと!!!


「きっと、此方は、役に立ってみせまする……。全盛期の……此方を、取り戻して……」

「だからって最初から全速力で走ったら息切れしちゃうよ! ゆっくりでも良いから、確実に歩いていかないと!」

「……! そう、そうですね。ふふっ、有難う御座います」


 千代ちゃん、急ぎすぎだよ……。なんだって千代ちゃんは一生懸命だけど、ちょっと不器用なんだから、もう……。でも一生懸命な千代ちゃん、格好良いね。早く力を取り戻したかったんだよね、ありがとう。でももう少し、休憩時間を大事にしようよ。

 とりあえず千代ちゃんにはご飯を与えて、今日はお休みして貰って英気を養って貰ったほうが良いかも? まずはご飯! 千代ちゃん、今おにーちゃんがご飯持ってくるからね、甦れ~~~……!!!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る