期待外れ

◆ ターラッシュ・西の平原 (イベントフィールド) ◆


【強襲! キングキラータイガー! Very Hard】(推奨レベル75~)

・最大8人パーティでの入場が可能

・期間限定イベントダンジョン (~7/12 (水)・5:59まで開催)

・ペナルティ:ダンジョン入場時、全ての状態がリセットされます

・ペナルティ:経験値上昇効果適用外 (クリア報酬分配式)

・特典:ダンジョン内で消費したアイテムは全て補填されます

・特典:クリア時に覚醒のブレイク状態クールタイムリセット投票あり (パーティメンバー1名のみ)

・1週間に3度の討伐と報酬受取が可能(毎日5:59、週は毎水曜日の5:59にリセットされます)

・クリア時、次の難易度が開放されます

・1度開放した難易度は以降も開放され続けます

・パーティメンバーは全員ポータル内に入って待機してください

・30秒のカウントダウン後、ポータル内のメンバーがダンジョン内に転送されます


 え? EASY、NORMAL、Hardモード? EASYはどん太がべしぃっっっってやって終わり。NORMALはどん太がべしぃっっっってやって終わり。Hardはどん太がドォン! べしぃっっ!! ぼこぼこっ!! どごぉぉん!! とやって終わり、以上です。他に何か必要な情報はありますか? ありませんね。はい。

 そういえばペルちゃんにいつぞや作った【★麗しのルビー】をプレゼントしたよ。速攻でネームカードで紛失しないように所有者登録して、頬ずりしてから首にかけた一連の動作が見事過ぎて、私は声を失ってましたね。その後ペルちゃんが勢いよく抱きついて来て感謝の気持ちを全身で伝えてきたよ、本当に嬉しかったのね……。うんうん、大きなルビーの宝石がペルちゃんの双峰の間に収まってて魅力的ですねえ~……。素晴らしいです。戦闘中は自動で敵味方問わずにチャームが発動するけど、味方に味方が誘惑・魅了されても敵に寝返ったりしないから、パーティメンバーは実質ペルちゃんに目が奪われる効果しかないね。それにランク2までなら私達には効かないし、行動妨害系だからレーナちゃんとかにも効かないね。無害無害。


「弱っちい……」

「そもそもちょっと大きい猫の分際で、私が王様なのに勝手にキングとか名乗ってて不愉快です!!」

「確かに……」

「許せません! ぼっこぼこです!」


 リアちゃんがなんか、面白いところでキレてるんだよね……。まさかタイガーって言う生き物が虎、猫科の生物とは思わなかったらしいのね。それで怒ってるのよ、可愛い……。頭ぽんぽんって軽く撫でちゃお~。


「わっ!? ん……っふふ~ん」

「あら、なんだかちょっと一瞬悔しかったような」

「まあまあ、とりあえず次は推定レベル100のが出てくるだろうから、次からは真剣に行こうか。とりあえずプランAで行ってみよう」

「プラン・エーですねっ! 了解ですっ!」

『(*´ω`*)b』

『わんっ! (プラン、エー!!! 大好きなやつ!!!)』

「ぷ、ぷらん、A……?!」

「そうだ、ペルちゃんはおにーちゃんの後ろくっついて行ってくれる? 間違いなくチャンスで活躍出来るから! あ、覚醒はペルちゃんが使って大丈夫だよ」

「よくわからないけどわかりましたわ!! フリオニールさんの後ろについていけばいいのね!」

『ヾ(*´∀`*)ノ』

「そう、おねがーい!」

 

 よし、じゃあ次の難易度行ってみよう。こいつはどん太より一回り小さいぐらいの虎だから、正直レッドドラゴン討伐戦と比べてかなりヌルい。多分レッドドラゴン討伐戦が発生するタイミングが、致命的に悪かったんじゃないかな? このキングキラータイガー討伐戦の発表のほうが先だったし、想定してた難易度のコンテンツより高いものが先に発生しちゃったんじゃないかなって。だってさっきのは実質グレートレッドドラゴンと同じ難易度なんだろうけど、圧倒的に虎のほうが弱いもん。


『転送ポータルを起動しました。30秒後に転送が開始されます』

「はーい、もっと詰めて~」

「んっ! どんどん狭いっ!」

『わうぅん……(僕も頑張ってるんだよ~)』

『)ヽ´ω`(』

「5人でこの狭さはきっっついですわね~~!! 転送ポータルが人間用に想定されてませんこと!? 大きすぎる従者はNGですの!?」

「この辺の改善要望出しておきたいね……。後で出しておこう~……」


 相変わらず転送ポータルが狭いな!!! ドラゴン緊急とかのポータルは大きかったのに、なんだって教会のポータル並に狭いのよ! ああ、もしかしてこれは開発当初のやつだから大きさを人間用しか想定してなかったってこと?! んーーー改善要望出そっ!! 狭い!!! 今後は大きいポータルにしてくださいって言っておこ!!!


『3……2……1……転送』




◆ ターラッシュ・西の平原 (イベントフィールド) ◆




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『ゴァアアアアアアーーーー!!!!』

『ガウアアアアアアーーーー!!!!』

「爆豪燃焼爆豪燃焼爆豪燃焼にゃんにゃんにゃんにゃんにゃーんにゃんにゃん!」

『オーレリアが複数のにゃ術を待機状態にしました』

『アビスウォーカー状態になりました。どん太の影に潜伏します』

「…………えぇ!?」


 プランA、準備の出来ていない相手への奇襲攻撃と総攻撃! 行くよ!!


『ガァアアアア!!!』

『どん太が【魔狼身弾】を発動しました』

『ゴァアアア!!!』

『キングキラータイガー(Lv,100)が【虎王身弾】を発動しました』


 向こうも突進を選択したね。どん太が突っ込んでくるんだから、それはそう。対応しないとやられちゃうもんね。予想通りで助かるよ、ありがとう。


『NP1を消費し、【カーススピア】を発動。キングキラータイガー(Lv,100)に774Kダメージを与えました。呪い状態にしました』

『ガウァアア……!?』


 単純に突っ込んでくるからそうなるんだよ。行けどん太、回り込んで横腹に突っ込め!!


『どん太の【魔狼身弾】がクリティカル!! キングキラータイガー(Lv,100)に751Kダメージを与えました。ノックバックしました』

『フリオニールが【フリスビー】を発動、キングキラータイガー(Lv,100)に0.02Kダメージを与えました。憤怒状態にしました』

『m9(^Д^)9m』

『フリオニールが【プロヴォーク】を発動、キングキラータイガー(Lv,100)が激昂状態になりました』


 これでどん太と私が飛び出して、間にキングキラータイガーが挟まって、後衛のおにーちゃんから目が離せない状態。更にリアちゃんとペルちゃんが攻撃待機中。見事に挟み撃ちの状態になったね。それで、おにーちゃんから目が離せないところ悪いんだけど……どん太が攻撃しないわけじゃないんだよ。


『どん太が【魔狼身弾】を発動、クリティカル! キングキラータイガー(Lv,100)に760Kダメージを与えました。ノックバックしました』

『ゴァアア……!!!』

『オーレリアの瞳がキラリと光りました』

「行け!! 行け行け行け行け行け!!!!!」

「あ! 処刑ですわ! 処刑処刑ーーー!!!」

『ペルセウスが【処刑の号令】を発動、1分間パーティ全員の攻撃力が1.5倍になります』

『オーレリアが【焼夷猫にゃぱーむ】【焼夷猫にゃぱーむ】【焼夷猫にゃぱーむ】【猫猫にゃんにゃん超祭ふぇすてぃばる】を発射しました!』


 どん太を攻撃するか、腹立たしいおにーちゃんに攻撃するか、そうやって迷っているから取り返しのつかない事態になる。リアちゃんはにゃ術を10個まで待機状態にできる。でも10匹までじゃない、にゃんにゃんふぇすてぃばるで召喚した無数の猫はにゃ術1個にカウントされる。そして見た目が全部一緒だから――――どれがどのにゃ術か、わかるまい。わかったところでどうしようもないだろうけど。


『オーレリアの一部の【焼夷猫にゃぱーむ】は【雷撃猫にゃんだー】、【氷撃猫ぶりにゃーど】でした! トライエレメント!! クリティカル!! キングキラータイガー(Lv,100)に合計3,211Kの複合属性ダメージを与えました!』

『スキルリンク! 【トライにゃん】が発動、キングキラータイガー(Lv,100)に更に3,442Kの複合属性ダメージを与えました!』

『キングキラータイガー(Lv,100)の呪い状態が解除されました』

「にゃんにゃおーん! にゃおにゃおにゃおにゃおにゃお!! 爆豪燃焼破裂凍結!!」

『オーレリアが複数のにゃ術を待機状態にしました』

『ガォ…………ォ…………』


 これが、カヨコさんの言っていた『初級魔術も使い方次第』の真髄。発生が非常に早い初級にゃ術を初手で大量にスタンバイさせて、攻め時に大量放出。別属性三種の初級にゃ術同士が組み合わさることでトライエレメントマジックが発生、威力が激増する。そして何より恐ろしいのが、リアちゃんは偽装工作のお陰で発動したにゃ術の見分けが不可能!! ここで待機させてるにゃ術はカヨコさんから学んだ防御用魔術の【カウンターミサイル】や【スペルキラー】かもしれないし、攻撃用の初級にゃ術かもしれないし、まさかの大にゃ術を待機させているかもしれない。発動しているだけで牽制になるのよ。

 ところで、そんなところで寝転んでて良いのかな? ペルちゃんがチャンスを逃すまいと突っ込んで来ているよ? 私もどん太も、トドメを刺すための一撃を準備しているけどね。手負いの獣は怖いから、何かする前に殺さないと。先手は常に私が貰う。先手は私の物なんだよ。そして君の番は、永遠に来ない。


「オーーーーッホッホッホ!!! オーバースラーーーッシュ!!!!」

『NP1を消費し、【ネガティブバースト】を発動しました。300秒間、パーティ全員の全ステータスが+70されます (効果量の上限に達しました)』

『ペルセウスが【オーバースラッシュ】を発動、キングキラータイガー(Lv,100)に合計2,225Kダメージを与えました』

「まだまだ、まだまだですわ!! オーッホッホ!! オーーーーーッホッホッホッホ!!!!」

『ペルセウスがPPブレイク! 覚醒スキル【プリンセスクライシス】を発動! キングキラータイガー(Lv,100)に2,155Kダメージを与えました』

『ペルセウスが更に【プリンセスクライマックス】を発動! キングキラータイガー(Lv,100)に4,263Kダメージを与え、撃破しました!』

『MVPはペルセウスです』


 なんだ、どん太と私が攻撃する前に終わっちゃった。それにしても、オーバースラッシュ? 前のハイパースラッシュより光が強くて巨大化してたから、ハイパースラッシュより上位のスキルかな。ペルちゃんがいつの間にか知らぬ間に強くなってるよう~怖いよう~~。

 それにしても呆気ないな~……。まさかこれで終わりじゃないよね? さて、次の難易度を――。


『全ての難易度をクリアしました。おめでとうございます』

「「「え゛っ」」」

『Σ(´∀`;)!?』

『わう……? わうぅ……? (え? どうしたの? 次のに行こうよ?)』


 は……? これで、終わり? EXTREMEモードとか、HELLモードは? なんで? なんでないの?? え、本当に、本当に終わり?? 嘘だよねえ、これで待機してたら裏難易度とかが開放されたりするんだよね!?


『報酬としてパーティ全員に経験値 50,000,000 が分配されました』

『覚醒のブレイク状態クールタイムリセットは【ペルセウス】に投票が決定しました』

『3分以内に報酬を2個選択し、退出してください』

『3分後に強制退出となります。注意してください』

「え、終わり……?」

「終わり……ですの……?」

「…………これでキングなんですか? これで? 冗談ですよね? ベビーの間違いじゃないんですか?」

『わうぅぅ!? (えーーー終わりーーー!?)』

『_| ̄|○』


 本当にこれで終わりじゃん……。しかも宝箱、金金銀銀から2個って……しょっぼ……。さっきがようやく1個だったからこれからだと思ってたのに、ええ? ええ???? 本気でこれ、まさか初心者用の討伐コンテンツ??


「ちょいペルちゃん、うみのどーくつのさ、ヘルやる……?」

「…………やりましょうか」

「どう? どん太達も、やる?」

『わううぅ!!! (やる~~!! こいつじゃ満足出来ないよ!)』

「不完全燃焼です!! もう二度とこんなザコザコキング相手にしたくないです!!」

『(;´∀`;)』


 そうかそうか、全員不完全燃焼か……。そうだね、そうだよね……。まさかこれで終わりだなんて思わないもん……。じゃあ、とりあえず現状最高難易度のさ、うみのどーくつのヘル……またやりにいこうか。


「熱排気モードで排気口を壊せば、熱暴走するんじゃないかって予想で終わってたよね」

「そう! そうでしたわね。では排気を妨害して、熱暴走させる方針で行きましょうか」

「あの、蒸気みたいなのが、ぷしゅ~~~って出てるところを叩けば良いんですよね?」

「そうそう。熱排気中にあれを壊したら、多分暴走すると思うんだ。そしたら真シャチが2体出てきて~って流れになると思う」

「大ボスが飛んでいる相手優先、赤いのがダメージを与えた相手優先でしたかしら? 黒が素早い相手優先でしたわね」

「鯨列車リアちゃん、赤いのはおにーちゃんとペルちゃん、黒いのは私とどん太でやってみようか」

「それが良いですわね! では、この金箱さっさと開けて行きましょ!」

「ん、いこいこ」


 そうと決まればさっさと金箱開けてこんなところはおさらばよ! 死体も一応回収したけど、ん~~……ローレイの魔神殿でササッとくっつけて、倉庫にぶん投げて次いこ。それよりもしゃーち達のほうが良い! ボスエリアまではガンガン飛ばして、赤いのだけはちゃんと狩って――あれ、私の呪い効果のスリップダメージ前の装備みたいに強化されてないけど大丈夫かな? あ、カーススピアのHP減少効果に基礎ダメージの一部が乗ってるんだった。秒殺だね。大丈夫だわ!


『【?剣】を入手しました』

『【?斧】を入手しました』

『【?マスク】を入手しました』

『【?マスク】を入手しました』


 ……え、しかも宝箱の中身、合計4個!? 二重底チェーーーック!!! んーーーー…………。


「二重底もないんですけど……」

「ええ……しょぼぉ……」

「ショッボイ……シケたキングですね……」

『わうぅ~…… (美味しくなさそうだったし……)』

『(´・ω・`)』


 もう二度と来なくてもいいんじゃないかな……。時間の割に経験値はそこそこ、美味しい気がするけど……3回だけだしなあ……。


「んー……とりあえずこいつだけ経験値5,000万もあるんだし、後2回やれるし、どうせ2分ぐらいでしょ? やってから行く?」

「2回ぐらい、転送込み5分ですか。そのぐらいやりましょうか」

「う~~…………。にゃんにゃんふぇすてぃばる連打でいいですか?」

「ああ、それでいいかも……」

「それがいいかもしれませんわね……」

『わうわう……』

『(´・ω・`)』


 残り2回、テキトーに消化したら倉庫に収納するもの放り込んで、うみのどーくつのヘルモードに行こう!! 絶対そっちのほうが楽しいもんね!! あっちは毎日出来るんだよ!? よーし、ごーごー!!! 夜は短いっ! ペルちゃんとは遊べる内にたっぷりあそぼ~~!!


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