ログアウト7日目 ~イベントに備えて~
◆ 自室 ◆
『ここまでにしておきましょう。これ以上は対戦想定が我々専用になってしまいますから。我々も勉強になりました』
カヨコさんのこの一言で、ブツリとスイッチが切れたみたいに急に力が抜けた。その途端に急激に睡魔と倦怠感に襲われてダウン…………で。ペルちゃん達からのメールに気がついたのはそのタイミングだった。ハッとして時間を見たら24時近く。急いでペルちゃんとレーナちゃんに謝罪のメッセージを入れたら、向こうもPvPの訓練をしようって話になったらしくって皆で交代交代でタイマン模擬戦をやってたらしい。本当だったらダンジョンとか行くはずだったのに、申し訳ないなー……。つい熱中して6時間近くもやってた……。とりあえず皆ログアウトし始めた頃だったから、また明日直接会って謝ろう。
「……忘れないうちに覚えたことを書いておこうかな」
ん、とりあえず今日覚えたのを書いておこうかな。
・開始直後はまともな対策が取れていないので先手必勝。立ち会いで素早く殺す
・開始後魔術師系の人がカウンター系魔術を用意し始めたら慎重に。カウンター対策が必要
・相手が突撃攻撃を選択する場合、派生の攻撃に注意すること
・転移系スキルは自殺行為。転移阻害や強制転移地点変更、転移拘束等を構えられてる事が多いので強敵相手には絶対に通用しない
・アビスウォーカーは転移系ではなく移動系なのでトラクタービームトラップに引っかからない。ただし、どの影に入ってるかバレてその影を攻撃されると、強制でクリティカル・2倍弱点になるので過信できない
・ボス属性が防げる状態異常はランク2まで。ランク3以上の非常に重たい状態異常は通ってしまう
・相手の詠唱よりも先回りして対抗属性のバリアを貼れば無駄行動に抑えられるが、属性バリアは弱点属性が強制的に増えるのでそこを狙われる可能性もあるので注意が必要
・不死障壁盾は火属性攻撃が通り、更に威力が4倍に跳ね上がる。属性バリアも剥がれるので完全無敵ではないことに注意が必要
私に関してはこんなところか。どん太達は……。
・どん太の超咆哮は『カウンタースクリーム』に引っかかるので、初手以外は慎むべき
・どん太は最初期に的になりやすい。徹底して防御に専念するか、奇襲特攻、超咆哮で立ち上がること。中途半端な行動をするとすぐに死ぬ。
・どん太の巨体で繰り出す地獄行き超特急での超加速突進は光るものがあるので、これを上手く活用すれば有利に進められる
・リアちゃんは初級にゃ術を多用して偽装工作することで、上級にゃ術がどれなのかわからなくすることが出来る。これはカヨコさんの
・ただし、待機状態に出来るにゃ術は10個までなので、それを超える数の猫を待機させることが基本的には出来ない
・黒猫ルナ、もしくはバットンの召喚可能回数は1回と制限がつくので、召喚のタイミングには注意
・集団戦において最強の殲滅能力がある反面、やはり脅威となりやすいので狙われやすい。本人に回避スキルがないので、崩れると一気に崩れる
・おにーちゃんは言うことがない。強い。
・カヨコさん達とバビロンちゃんのところに奉納品を持って祈願しに行った。上手くことが進むといいんだけど……。
・千代ちゃんは水月・驚天動地に変わる【雷光脚】を修得し、高速移動で移動速度を確保することに成功。
・不完全だった無双連斬には依然として課題が残る。レオンさん曰く『合っていない剣術を無理やり再現しようと振り回している』と言われて苦い顔をしていた。本人も自覚があるらしい。こればかりは私も何も口を出せない領域なので『千代ちゃんの信じる道を私も信じる』とだけ伝えたところ、きょとんとした表情の後に笑顔を見せた。何か打開策が生まれると良いけれど
・他の技、攻撃を仕掛けるタイミングに関しては『まともに相手をしたら首が八つあっても足りない』とレオンさんに言われるほど。それをなんとか凌ぐレオンさんも大概化け物だけど、確実に押す実力差がある
こんなもんかな。後は、全体的に困ったのがPKと違って公式PvPは食いしばりが発動せずにノックダウンすること。復活スキルはリアちゃんの身代わりスキルが使い魔が居れば一回きり発動するけど、それもHP10%での復活だから殆どあてにできない。しかも使い魔がやられてた場合はもちろん発動しない。ちなみにおにーちゃんは鎧が破壊されても再生する効果は1回までの制限で、HP50%で復活する。この差に関してもおにーちゃんはつっよい……。
「あ。おにーちゃんの挑発スキルは、そういえばやっぱり強かったな……。挑発の効果が視線固定なのは凄いわ……」
そうそう、挑発の効果。怒り・憤怒・激昂・怒髪天の順でランク1から4までの状態異常がつくけど、この憤怒辺りから『怒らせてきた相手に視線が行ってしまう』って効果があって、激昂・怒髪天になると強制的に視界のど真ん中に固定されるのが本当に強力だった。スージーちゃんが狙いたい方向とぜんぜん違う方向におにーちゃんがいるせいで、後衛の火力がほとんど機能停止状態だった。そういえばおにーちゃんが居る回は、やっぱり凄い楽だったな……。
「…………後は、アンデッド憑依か」
一応、アンデッド憑依も試した。【非常に親密】以上の好感度が得られてるアンデッドを憑依させて戦うことが出来たけど、単純に4対3になる感覚しかなかった。ただ、憑依元のアンデッドが瀕死でも憑依可能だったし、憑依後のステータス上昇効果も変化がなかったから、どん太辺りが瀕死になったら【ソウルリンク・ワーグ】状態になるのはアリかもしれない。まあちょっと、ワーグのお耳としっぽ、それに手足が狼の手足に容姿が変化するのがアレだけど……。
ちなみにおにーちゃんとソウルリンクすると【ソウルリンク・ダークナイト】、千代ちゃんだと【ソウルリンク・妖狐】、リアちゃんだと【ソウルリンク・にゃ王】だった。どうもアンデッド憑依は種族の方が選ばれるらしい。千代ちゃんが憑依したから妖刀が使えるってことはなくって、千代ちゃんが憑依したら狐耳と人魂しっぽが生えて印術が使えるだけだった。一番どうしようもなかったのがおにーちゃん、あれはもう……
「…………よし!!! 寝る前にこれだけまとめておけば、睡眠中に勝手にまとまるはず!」
とりあえずこんなところにしよう。明日からイベントが開催されるんだし、それに明日で躓いたとしても明後日から軌道修正すればいいんだからね。まずは――――バビロンちゃんの特殊イベントを見る!! そこからだね!! んーーー楽しみだああーーー……特殊イベント楽しみだああ……!!!!!
「……? あれ、つくねちゃんからメッセージ来てる」
あ、ノートに書いててスマホ見てなかったから気が付かなかったけど、つくねちゃんからメッセージが来てた。ええっと、ああ~そういえば…………。
『そういえばわっちが、ノリと勢いで、着けてみたいなんて言って、被せてもらった【片耳垂れ黒うさ耳】、わっちのキャラ帰属になってて外せないです!! ど、どうしましょう!!』
あーそっか、リアちゃんに被せたやつと同じかー。あの、キャラ帰属になるやつね。特に詳細を見ずにつくねちゃんに被せたからなあ~。ん~、どうしよう、ねえ~……。ここでお金はいらないよ~って言ってもなあ~……。わかる、わかるんだよね。つくねちゃんはいくらお金は要らないって言っても気負いして申し訳ないです……申し訳ないです……ってなるタイプのはずなのよ。
『今度、バニースーツと、うさちゃんしっぽも揃えよう。そしたらそれを一番最初に見せてくれたら、お金なんて要りません! 絶対一番最初に見せてください!』
よし、どうよ。
『え、そんんんなななわっちの見ても何もおもおもmそdまおもあ』
お、落ち着いて、つくねちゃん!!
『わっちのそんなの見ても、面白くなくないですか!? は、恥ずかしい……!』
『絶対かわいいから見せてっ!! ねっ!!! ねっっっっ!!』
『圧が強い!? わ、わかりました、すみません、ありがとうございます。絶対に、最初に見せます。おやすみなさい』
『おやすみ~~』
よし、勢いで押し切ったな……。外せないものを今更値段~なんてね、ちょっとむずかしいからね。いや~私とつくねちゃんしか精算するメンバー居なくて良かった~……。ぐへ……つくねちゃんの黒バニー……私が独占じゃーん……ふへ……。
「…………寝れるかな」
やば、ちょっと想像しちゃった。寝れるかな今日……。いやいや、明日から大事なイベントが始まるんだから寝ないと……よーし、電気けーしてっ! おやすみなさいっ!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます