期待の表れ
◆ バビロニクス・ギルドルーム【スイート】 ◆
「ハッゲ、わかる?」
「わからん……どこだ……?」
「んーー……っ! これは木、ですよね?」
「木……ああ~……。あ? 庭っぽくない?」
「言われてみれば……。じゃあこれ、塀か何か?」
「お庭だ~~」
「あ~~~っぽい……。ぽいなあ~~~…………」
「どこかのお屋敷っぽい感じがするぜ。庭に、大きな木、塀があって……その奥に見える赤っぽいのは、屋根の色かなんかじゃないかい?」
「おにーちゃん、これどこかわからない?」
『(;´∀`)』
「流石に無理かー……どん太は? 千代ちゃんも」
『わう!! ……わう? (あ! 食べ物が出るチケット! じゃないね……?)』
「んー、此方には見当も付きませぬ」
現在、大絶賛【◆たからのちず・なんばー21】の解析中です……! ちびコルダちゃんとちびドレイクちゃんがクレヨンで描いた、とっても愛らしい……可愛さ溢れる思い出の風景みたいな一枚。この絵自体がお宝みたいなもんなんだけど、でもコルダちゃんが『ここだよ!』みたいな感じで矢印と★の記号で木の根元みたいなところにマークしてるから、間違いなくそこに何かが眠ってるんだよね。
全員で解析を進めてるけど、わかったのは『多分木の根本に何かがある』『広い庭っぽい場所』『どこかのお屋敷の庭?』『遠くに赤い屋根らしきものが見える』ぐらいしかわからない。一応全員で見て回したけど、ピンと来た人は誰もおりません! とりあえずスクショを撮って貰って、後はある日突然『あ!! ここだ!!』みたいな感じで発見出来ることを祈るばかりですねー。
「ちびちゃんズは、こういう効果があるんだねえ~」
「可愛いだけでも最高なのに、こんなお遊び要素があるだなんて……」
「俺は早くお迎え出来るように、ちーっと金策に行ってくるぜ。きぬちゃんもそろそろ来るはずなんでね」
「ペルちゃん、この瞬間を逃すとは……つくづくイベント運に縁がない……!」
そしてまたしてもこういう系のイベントを見逃すペルちゃん。19時までにはまだ時間があるし、ペルちゃんが見れなかったのは仕方ないにしても、うーん……!!!
「――皆様ー! ごきげんようーーー!!!」
「……まだ19時じゃないのに、来た」
「あ、早い。こんば~」
「よう!」
「御機嫌よう、ペルセウスお嬢さん」
「ペルちゃん早いけど遅いよ~~~」
「え? え? 早いけど、遅いんですの!?」
うーーーーん!!! 早くイン出来るならもうちょっと早くインしようよペルちゃーーーん!!! もうちょっと早ければ、さっきの衝撃のイベントを見逃さずに済んだのになあーーー!!!! ペルちゃんったらもうペルちゃんなんだからも~~!! まあ良いや、とりあえずメンバーが揃いつつあるし、みんなの今日の行動内容を話し合って決めちゃおう! たからのちずは、また今度ね!
◆ バビロニクス・修練場 ◆
『――――で、団体戦の相手をして欲しいというわけで御座いますか』
『了承。快諾』
『断る理由もない。マスターリーダーの戦闘修練、ぜひ相手をさせて貰おう』
『おっしゃあ!! このグスタフ様がいっちょ揉んでやるぜ――――ぐおぉあああああああ!!!!!!!!!???????』
『m(_ _)m!!』
「そういう意味の揉むじゃないと思うよおにーちゃん、大丈夫だよ、過剰だよ……」
『…………言葉が悪かったですね。グスタフが悪いということで』
『賛同』
『まあ、当然だな。とりあえず始めるか』
「よろしくおねがいしますっ!」
『わうっ!!! (よろしくおねがいしますっ!!!)』
「お相手、宜しくお願い致します」
『く、ぐぉぉ……! 模擬戦前から一発は卑怯だろ、リーダー!』
『(゜Д゜)?』
『くっそぉぉぉ……!!!!』
ん、で! お昼寝さん率いるパーティで、ペルちゃん達は超スピードでドラゴン狩りを終えてくるらしいんで、私はあの後ドラゴンの死体処理にてきとーーーに装備をぼっこぼっこ投入したんですね? 全敗しました。はい。全損です。
気分転換にお外を散歩に行ったら丁度おにーちゃんの元部下の皆さんが歩いてきて、軽く挨拶をして――――そういえば、この四人に団体戦の模擬戦頼めば良いのでは? って閃いてお願いしたら、見事快諾を得ることが出来ましたので、今から模擬戦をするというところです!
ちなみに向こうは牡牛のグスタフさんが大斧を扱うバーサーカー系、獅子のレオンさんが片手剣のソードマン系、射手のスージーさんが後方火力支援のマスケッティア、乙女のカヨコさんが後方支援兼火力支援のソーサレス。こっちはどん太、私、リアちゃん、千代ちゃん、おにーちゃんは次にどん太と交代。基本的には4対4でやることにした。
『(´ε`;)』
「お願いね、おにーちゃん!」
『いつでも良いぜ!!』
よーし、コインを弾いて床に落ちたら開始……。いっくぞーーー……!! 落ちた!! 開始――――
「阻め、ボーン――――」
『うおっしゃーーーーーーー!!!!!!!!』
『スージーが【スナイピングショット】を発動、クリティカル! 224Kダメージを受けました!』
『スージーが【スピットファイア】を発動、クリティカル! 合計74Kダメージを受けました!』
「うっ……!?」
『驚愕』
『わうぅぅ!? (大丈夫!?)』
「聳え立て、猫ちゃん――――』
『汝等を火炙りの刑に処す』
『カヨコが【ファイアストーム】を発動、パーティ全員が平均110Kダメージを受けました!』
『姫千代が【水月】を発動、回避しました』
まずいまずいまずい!!! 何も出来ないんですけど!!? グスタフさんが突っ込んできてるし!!! ファイアストームに強制ノックバック効果があるし、いやきっつ!? でも千代ちゃんだけは抜けた、スージーちゃんかカヨコちゃん落としてーーー!?
『グスタフが【★グスタフストーム】を発動、クリティカル! 防御無視! どん太が377Kダメージを受けました』
『スージーが【デッドエンドショット】を発動、クリティカル! どん太が325Kダメージを受け、戦闘不能になりました』
どん太ーーーーー!!!?????
「か弱き我らをお救い下さ――――」
『スージーが【スナイピングショット】を発動、クリティカル! 223Kダメージを受けました』
げっほ……!? の、喉、撃たれた……!? 詠唱、潰された……!
『オーレリアが【神出鬼没】を発動、テレポートしました』
『カヨコの【トラクタービームトラップ】にかかりました!!! オーレリアが行動不能になりました!!!』
はーーーーーーー!!!!??????
『レオンが【獅子連斬】を発動、姫千代が切り払いで回避しました』
「っく!!?」
『なるほど、かなり動きが良い。修正しよう』
『レオンが【獅子連舞】を発動、クリティカル! 姫千代が214Kダメージを受け、戦闘不能になりました』
千代ちゃんが、嘘、こんなあっさり――――。
『おっしゃあああああああ!!! 貰ったあああああああ!!!!!!』
『【★グスタフストーム】を受けました。クリティカル! 防御無視! 377Kダメージを受け、戦闘不能になりました』
『カヨコが【滅び逝く空間】を発動、オーレリアが致命的な一撃を受け、戦闘不能になりました』
『勝者、グスタフチーム』
や……。やば……。どうしよう、今まで本気で負けたことなんて一回もなかったから、ショックが、ショックがヤバい……。え……? マジで……?
「つ、強すぎ……ない……!?」
「油断していたわけではありませぬ……。水月に、頼りすぎておりました……」
『水月というのですか。空間移動を見て、空間移動に対して罠を仕掛けましたが、まさか二人も使えるとは。二度目の罠起動を警戒して発動し損ねましたか』
「ええ……。リア殿の捕縛を見て、発動は危険だと……」
『正しい判断です。本命を捕縛し損ねたので、再度罠を展開して待っていました。しかしレオンの攻撃範囲に迂闊に踏み込んだのは悪手でしたね』
『驚愕。マスターリーダー、超強固』
『マスターリーダー、何か防御系の技はないのか? 自分だけでも安全を確保し、脱出。その後回復魔術を使うべきだったな。スージーが潰したあれは回復魔術の陣だった、そうだろ?』
「そうです……」
『オーレリアさん、もっと詠唱を素早く。遮断の判断は良かったものの、こちらの後出しで詠唱負けは魔術師として致命的です』
「うっ……ご、ごめんなさい……っ」
ガ、ガチ反省会、始まっちゃったんですけど……。いや、凄いありがたいんだけど……。ちょっと待って、ショックから立ち直る時間とか、頂けませんか??
『この修練場はなぁ! この変な装置を叩くと、完全に回復するんだぜぇ!!』
『グスタフにより修練場入場時の状態にリセットされました』
『では、次はどん太殿が見学になりますね。リーダー、お願いします』
『(*´ω`*)b』
あ、これ、ヤバい……。スパルタ教育だ……。と言うかおにーちゃん、これが普通だと思ってるってことは……。このスパルタ教育、おにーちゃん仕込みじゃん!!??? 全盛期はこんなきつい訓練を、回復機能とか抜きで、命の保証無しでやってたってことでしょ!? 狂ってないこの人達!?
『ああ、蠍のサリーと蟹のクーガーが居れば……』
『復活期待』
『d( ・`д・´)』
『期待している。リーダー。マスターリーダーも』
『おう、マスターリーダー!! リーダーが強くなればなるほど、俺らの仲間が復活出来るかもしれねえんだ、頼む! また会いてえんだ!』
『懇願。故、強化訓練』
『私からもお願い致します。リーダーを、我々の仲間を、宜しくお願い致します』
「あ…………。が、頑張ります!!! 皆、また再集結出来るように!」
『(*´ω`*)!』
私への、期待の現れってのもあるのか……! よし、じゃあその想いに応えないと……! その前に……。
「リアちゃん、千代ちゃん、どん太、おにーちゃんも。最初は向こうにボロッボロに負けたけど……。私、このままボロ負けで何回も負けっぱなしじゃいられないよ! 皆は強い、今まで強すぎる相手と当たってこなかったせいで、私達には練度がない! チームワークがない! 向こうは強い、でも確実に超えられるはず。これは次に進むチャンスだよ、しっかり食らいついて行こうっ!」
「……! わかりました、頑張ります!! 詠唱の速さ負けなんて、悔しすぎます!!」
「鈍っておりました。日和り過ぎておりました。これが実戦なら首が数度は飛んでおりました。今一度、気を引き締めまする。もう、相手を甘く見たり致しませぬ」
『わんわん!! (僕、おやすみだけど、もう動けないでやられたり、しないよ!!)』
『(*´ω`*)……!』
よし、皆もやる気だ! 負けてられないよ!! このまま代表で出たら、レベルだけ高い雑魚って笑われちゃう!! 燃えてきた、やってやる!! 次は、一人だけでも良い、絶対に誰か倒す! こっちの行動を通してやる!!
「行くぞーー!!!」
「「おーー!!!」」
『わうーーー!!! (頑張るぞーー!!)』
『ヾ(*´∀`*)ノ』
――――行くぞ! 対戦、よろしくお願いします!!!!!
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