ドラゴン狩りにいこ~よっ!・1
◆ 魔界都市ローレイ・北部 ◆
久々に魔神殿から外に出てフィールドへ出たけど、ローレイにプレイヤーが結構増えてた。なんでかな~って思ったら、バビロニクスに向かいたくてローレイに行けばドラゴン定期便が出てるって聞いて来たのは良いものの、10万シルバーが無くて困ってる初心者プレイヤーさんが多いみたい。確かに、10万シルバーを初心者で無課金とかになるとキツイよね。
「しっかし、物価が上がってるような気がするな~」
「金貨袋の影響、で、すかね……バビロン様側は、か、か家具設置で宝箱から、お金出るから……」
「あ~~なるほど。え、じゃあメルティス側は貧乏なんじゃないの?」
「か、も……? あと、カジノの、カ、カードバインダーは交換不可、ですけど。出たカードはカードショップに持っていくと、買い取ってもらえるみたい、です」
「へえ~~~!! ボスカードとか凄い値段になりそうだね~」
「あまりに高いのは、買い取り不可みたいです。でも、高いので500万とか、するみたいで」
「ほえ~~…………経済回ってるなあ~」
「回ってます、ね。アバターも、最低額が50万ぐらい、かな……?」
「前って10万とかじゃなかった?」
「周りにお洒落なプレイヤーがいると、やっぱり、欲しいかなって……思い、ます」
「たーしかに。お昼寝さんとかファッションリーダー感あるし…………」
「どうして此方を見るのですか!?」
「「ね~……」」
「ね~じゃないです!! んもうっ!! んもうぅぅ!!」
『(*´ω`*)』
「おばけ殿まで!! ん~~~もうっっ!!!」
物価も上がってるけど、運営の想定してる上がり方なのかな~? むしろ今までが経済回らなすぎてダメダメだったとか? メルティス側も金貨袋出現のコンテンツがないと、プレイヤーが貧乏なままじゃないかなあ? メルティス側の発展が遅いのってなんでだろう? どうしてイベントがあんなに少ないのかな。
「メルティス側ってイベント少ないし、発展も遅くない?」
「教会上層部が腐敗してる、みたいです。献金、奉納も中抜きされてるみたいで、末端に届く頃には1割にも満たないとか、そもそも届かないとか……」
「やっぱり滅ぼしたほうが良くない?」
「ですよね、滅ぼすべき……! あ。そういえば、PvPイベントの告知ムービー、見ました……? あれってPvPって皆、い、い、言ってますけど……第一回最強決定戦なんで、プレイヤー以外も、出ますよ、あれ。それで、両陣営と無所属組から『代表プレイヤー』が選出される、み、みたいで、今日から明日にでも、運営から候補者にメールが届く、みたいです」
「へえ~~! 誰が選ばれるのかなー。つくねちゃんだったりして!」
「わ、わわわ、わっち!? わっちは、ちょちょ、ちょっと……代表なんて柄じゃ……! PvPは、好きですけど……」
「わからないよ~~??」
PvPイベントって聞いてたからプレイヤーだけだし、私はどん太達がNPCだから関係ないなーって思ってたけど、これはもしかしたら私にも関係あるイベントだね? でもそっか、ビーストテイマーとかのテイマー系職業の人が参加できなくなっちゃうから、この措置が取られてるのかな。となると、どん太達も出れちゃうねえ~……。どうしよっかな。
「あ、アレじゃないですか……?」
「お~? 人が集まってる場所があるね~」
「沼地の前、でしたよねっ! ど~んどん♪ あそこですっ!」
『わんっ!! (見えた見えた! きっとあの場所だよ!)』
「一新した装備に、強化して頂いた妖刀! 此方も徐々に力を取り戻しておりますし、楽しみで御座います!」
「刀もちゃっかり+10まで上げたからねえ、きっと強いよ~……とんでもないぐらい」
「わっちは、どういう作戦で戦えばいいいいい、いいですか??」
「自由に、全力で、ぶっ飛ばす! 倒すのは早いもの勝ちだー!」
「!!! えっへへへへへ…………!!!!」
「ミドルからですか? ラージですかっ?」
「死体が欲しいからミドルから! あ、つくねちゃん死体居る? 死体安置所持ってるよね?」
「わっちは、アレが成功した試しがないので、いいです……諦めました。そそ、それに、更新箇所も今のとこ、ないので」
「そ、そっか……。じゃあ、貰っちゃうね!」
「はいっっ!!!」
どうしようかなーって思ってる内に到着しちゃった。ローレイから北上して沼地エリアの手前にあるって聞いてたけど、フィールドにこっそりと設置してあるんじゃなくて、ポータルがある場所には石畳が敷いてあるし、夜間用の為に魔導灯も設置してあるのね、魔晶石を投入するとピカッと光るやつ。あれなら誰も居なくても見つけられずに通り過ぎるってことはなさそうだなー。ふぅ~着いた~!
「え? うわぁ!?」
「ボ、ボスモンスター……!?」
「違う違う、掲示板で見たことある! あの子はどん太君だよ!」
「わ~~~どん太君~~~!!! おっきいねえ~~! 皆さんも、こんにちは~!」
「ど、も……お騒がせ、してま……あ~~…………」
「向こうはドラゴン討伐に来てんだから、邪魔してやるなよ~」
「ドラゴン討伐に来たやつ邪魔するとなんとかトラって呼ばれるぞ~」
「ドラゴン討伐を邪魔する男……一体何トラくんなんだ……」
「お前らもなんとかトラか?」
「あ、いや、すみません! 可愛くってつい……ご迷惑をおかけしました!」
「だ、大丈夫です、よ……」
あのPKモンスター、ここでも迷惑行為しまくってたのか……。迷惑行為をするやつが何トラって呼ばれるぐらい浸透してるって、よっぽどよ本当……。でもアイツのおかげでこうやって邪魔されずに済む結果になったのは、ある意味功績……反面教師? なんていうか、まあラッキーですねえ。
「知らない人にいきなり絡まれるの、苦手なんだよね……」
「わかる、わかる、わかる……とてもわかります……」
「あ、でも私もつくねちゃんにいきなり絡んじゃった。ごめんなさい」
「うれし、かったから、大丈夫ですっ」
つくねちゃんにもいきなり絡んでたわ、人のこと言えないな私も。たまたま向こうが嬉しいって思ってくれたからよかっただけで、迷惑だけど渋々ついていくかぐらいな感じだったら不味かったね、私が勝手にシンパシー感じただけだし、気をつけないとなぁ~……。
「じゃ、ミドルから、行きましょうっ」
「ん! ミドルから行っておこうか~どん太~エサだよ~」
『わうっ!!』
「どん太殿なら一撃で御座いますね」
「いけーどんど~ん!」
『(*´ω`*)』
そんじゃ、ミドルから討伐して行きましょうかね! えっと? 一応だけどダンジョンの概要見ておこうかな?
【ミドルレッドドラゴン討伐戦】(推奨レベル45~)
・最大8人までパーティ入場可能
・インスタンスダンジョン
・ペナルティ:制限時間10分
・ペナルティ:ダンジョン入場時全状態解除
・1週間に1度、報酬が受け取り可能(毎週水曜日5:59に回数制限リセット)
・パーティメンバーは全員ポータル内に入って待機してください
・30秒のカウントダウン後、ポータル内のメンバーがダンジョン内に転送されます
あ、大体こんな感じで全部決まってる感じかな。これの推奨レベルのところがちょっとずつ変わってる感じね。毎週水曜日のメンテナンス日に回数リセットが入るから、火曜日までにクリアしておけばオッケーなのも変に時間に追われなくていいね。これがクールタイム制だと『あ、後●●時間後にドラゴン討伐戦のクールがーー』『え、わたくしまだクールタイムがあけていませんわ!』ってことが発生するだろうし。この水曜日毎にリセットのほうが絶対にいい。
「それじゃ起動するよー。どん太詰めて~」
『わうわうっ(痩せたから入れるよっ!)』
――――お前もしかして太りすぎるとダンジョン入れなくなるんじゃ…………。
『ミドルレッドドラゴン討伐戦への転送がリクエストされました……30秒後に転送が開始されます』
「あ……。どんどん、帰ったらお風呂」
『わうっ!?』
「実はちょっとくちゃいですっ」
『わうぅぅ!?』
「確かにお風呂に入れたことないかも……」
「え……? 臭わない……あ、におう……?」
『Σ(´∀`;)』
「魔神殿の大浴場を借りるといいかも知れませんね。どん太殿はオスですが~……きっと特例が認められることでしょう!」
「マジカルバスタオルを買えば入れるんだっけ」
「プレイヤーは、そう、ですねぇ……! どんなことをしても、見えないし、外れない……」
「じゃあどん太、皆で頑張って洗うから帰ったらお風呂ね」
『くぅ~ん…………』
「入ったことないから不安なのかも? 気持ちいいですよっ?」
「だ~いじょうぶ、きっと気に入るから! じゃ、とりあえずドラゴン倒してからね~」
『わふっ…………』
『転送を開始します……』
くぅ~んじゃないんだよ。リアちゃんがくちゃいって言うんだから入るの! まあでも初めてだからね、不安なのも致し方ないかも? あ、それより始まるからそっちに集中しよ~。まあどうせ一撃なんだけどね、どん太が真っ直ぐ行ってどーんよ。
『3……2……1……転送』
◆ ◆ ◆
『どん太が【魔狼身弾】を発動、特効! ミドルレッドドラゴン(Lv,60)に321,440ダメージを与えました』
『2COMBO! どん太が【食い千切り】を発動、特効! ミドルレッドドラゴン(Lv,60)に669,145ダメージを与え、撃破しました。経験値 1 獲得』
『COMBO発動により、どん太ドッペルが出現しました』
『MVPは【どん太】です』
『MVP報酬は【やわらかドラゴンサーロイン・中】でした』
まあ、そうなるな……。あ、宝箱……木か……ゴミめ…………。とりあえず死体を収納しておこう……次!
◆ ◆ ◆
『どん太が【魔狼身弾】を発動、特効! ラージレッドドラゴン(Lv,75)に221,431ダメージを与えました』
『2COMBO! どん太が【爆滅二段掌】を発動、特効! ラージレッドドラゴン(Lv,75)に合計441,501ダメージを与えました』
『COMBO発動により、どん太ドッペルが出現しました』
『3COMBO! どん太が【食い千切り】を発動、特効! ラージレッドドラゴン(Lv,75)に1,404,334ダメージを与え、撃破しました。経験値 1 獲得』
『MVPは【どん太】です』
『MVP報酬は【やわらかドラゴンサーロイン・大】でした』
まあ、そうなるな…………。いや~どん太よ、強くなったねえ……。そういえばこっちの討伐戦はクリアタイムが表示されなくなったのね。あれは緊急だけかー。あ! しかもこっちが91レベルになったからなのか知らないけど、経験値が1になってる! 前は20M弱ぐらい貰えたのにな~……残念。あ、宝箱。銀か…………。ゴミめ…………。
『【死体安置所・6】に【ラージレッドドラゴン(Lv,75】を納棺しました』
『【?剣】を入手しました』
『【?服】を入手しました』
『【?靴】を入手しました』
『勝者の証を入手しました』
「あ、勝者の証出たよ~」
「あ、はい……。初心者用の転職アイテム……もう安いですよね……」
「ね~。いや~しっかし、人間だけなら食べるのに消費しきれるか微妙なぐらいの量が手に入ってるんだけどね~……ね~~」
「こ、此方は、暫く、我慢しまする……」
「いっぱい食べる千代ちゃんが好きだなぁ~~~」
「え!? じゃ、じゃあ、ちょっとだけ……! あ、で、でも……!」
「栄養が体の何処かに偏るの……わかります……わかる……」
「わかる~……」
「此方の太ももばかり見ないで下さいまし!!」
「「ふへ……っ」」
千代ちゃん、絶対ちょっとじゃ済まないんだろうなぁ~……。そしてつくねちゃんも、栄養が偏ってる勢だからね、低身長の割にお胸が……。下着とか特注なのかな? あの身長であのサイズってなかなかないよね普通。
『わっふわっふわふわふっ♪』
「どんどん、ご機嫌ですね~~」
『わうぅぅん!!』
「…………かわぁぁ……いぃぃ…………」
つくねちゃん、どん太がウッキウキでこっちに戻って来てるの見てうっとりしてるじゃん。可愛いよね、狼なのに愛嬌があってずるいと思う。でもここまで人懐っこいとなると、もしかしたらでっかいワンコかもしれない……。どん太はワンコだった……?
「次はグレートかな~。このダンジョン内から連続で『次の難易度へ挑戦する』が選べる機能いいねえ、いちいち戻らなくてもいいの便利だわ~」
「この難易度が行けたから、次も行けるって、お、お思っちゃう、かも……」
「確かに。でも次はHPが10Mぐらいあるんだよね~」
「ありますねぇ……。難易度の上がりっぷりに、最初は、笑っちゃいました……ふへっ……」
「前はレーナちゃんが居たから簡単に倒せたけど、今回はどうかな~?」
「あっ! 私凍らせま~す! 壁出して、凍らせての順番でいいですか~っ!」
「オッケー! じゃあつくねちゃん、最初に猫ちゃん障壁が出てくるから、攻撃はその後ね!」
「猫ちゃ…………???????」
いやーそういえば、うちのパーティメンバーはワンコちゃんに猫ちゃんに狐ちゃんにおにーちゃんと、動物だらけのパーティだねえ。もしかしたら死霊術師じゃなくてビーストテイマーなのかもしれないな私! え? おにーちゃんは男だから狼なのよ、獣のくくりで合ってるでしょ? 合ってる。
「それじゃ、次はリアちゃんが障壁、不慮の事故の為におにーちゃんは防御の構え! その後凍結させて低体温が出たら…………狩りじゃ……!」
「狩りじゃ~~っ!」
『わうわう~~~!!!』
「狩りで御座いますね~!」
『ヾ(*´∀`*)ノ』
「狩りだ~~……!!」
よーし、じゃあ次! グレートレッドドラゴン、HPは推定10M! 初手のブレス(が、飛んできたような気がする?)を回避した後、凍結からのぼっこぼこタイム! こっちはドラゴンと戦いに来たんじゃないのよ、肉を狩りに来てんのよ! まともに戦えると思うなよドラゴン共~~!!
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