ちょっと一息

◆ 魔神殿・ギルドルーム【書庫】 ◆


「あ~これこれ、これだねえ」

「ありましたか!」

「あったよ~ほら」


 お昼寝さんと魔神殿のギルドルームの書庫に来たのは、とある本を探していたから。それはペルちゃんとレーナちゃんが貰って、読んでもイマイチピンと来なかったから本棚に戻した絵本。【ルテオラ聖王国の騎士】【ルテオラ聖王国の姫君】、この二冊を探してた。


「今回のダンジョンの内容が、もの凄くマイルドにされた絵本ですね……」

「姫君のほうが導入、騎士のほうが悪い王様を退治する騎士の話だねえ~」

「多分これですよね、入場フラグ……」

「リンネちゃんとどん太くんに共通してたのは、クエストクリア時にその場に居たからだろうね~。フリオニールさんは本人だから当然のフラグ持ち、リアちゃんと千代ちゃんは近くに居なかったのかな?」

「千代ちゃんを討伐するのがクリア条件だったので……」

「え゛」

「え、ええ……。復活した時の千代ちゃん、HP5パーセントぐらいで、しかもレベル125もあったんですよ。どん太のことを食べようとして襲いかかって来たんです」

「え゛」

「餓死状態から起こしちゃったんで……」

「あ~~~…………あの食欲だもんねえ~…………」


 真・氷の宮殿に入れた理由。間違いなくこの二冊関連のクエストをクリアしたからだと思う。この絵本を読んでお昼寝さんが単独で真・氷の宮殿のポータルが発見出来たなら、間違いなくこの絵本が入場フラグになってるはず。


「ん、色々その辺り聞きたいけど、これの確認をしてくるよ~」

「あ! 気をつけて下さい、あの辺りにアルトラが出没してるんで」

「あ~~あのPKモンスターね。襲ってきたらボッコボコにしておくよ~」

「はいっ! じゃあ、よろしくおねがいします! バビロニクスに戻ってます!」

「んあ~い」


 お昼寝さんがギルドポータルでルテオラ支部の方に移動して行った。これで真・氷の宮殿が発見出来たら良いんだけど…………。とりあえず、どん太達が居るバビロニクスに戻ろう…………ん? お昼寝さん、尻尾付いてたっけ? あれ? あれ?? 付いてなかったよね!? あ、アバター買ったんだあ! 後で触らせてもらお~~!!




◆ バビロニクス・ギルドルーム【スイート】 ◆




『~~♡』

「んふっ…………」

『わうわうっ (ちっちゃい魔神様、可愛いねっ)』

「どん太も可愛いぞ~~……ほれ、撫で撫でしちゃる」

『わふわふっわふわふっ♡』


 あ゛あ゛~……ちびバビロンちゃんを膝に乗っけながら、どん太に寄りかかってどん太をもふもふするの、幸せ空間過ぎる……。千代ちゃんとリアちゃんも両脇にちょこんと座ってどん太をもふもふしてるし、良い……。いい空間だ……。


『(*´ω`*)』

「おにーちゃん、ありがとうね。おにーちゃんのことがちょっとわかった気がする、過去のことじゃなくってね。だから、ありがとう!」

『ヾ(*´∀`*)ノ』

「ふわ……っ……ぁぁぁぁ~~…………」

「あ……リアちゃんがおねむの時間だ……」

「およっ……およよよ……猫ちゃんになってしまいました……!」

「そう、リアちゃんは眠くなって気が抜けると猫ちゃんになっちゃうんだなぁ~これが……可愛い……」

『~~~♡』

「ちびバビロンちゃんとリア猫ちゃんが、膝に……か、可愛い空間……」

「ひぃぃ~……!!」

「どん太殿と遊ぶ前に、眠ってしまいましたね……」

「あ、本当だ……わ!?」

「にゃぁぁ……!? どんどんとあ、そぶ……。おねーちゃん、とも、あそ……ぶ……。ぽんぽこ……」

「ぽんぽこ!?」

「此方を、此方をぽんぽこと呼んで、また眠りましたね……!?」

『わぅぅ~……(そんなに太ってないよ、ね? ね?)』

「…………」

「リンネ殿……?」

「ノーコメント」

「リンネ殿ぉぉ……!!」

『くぅ~~~ん…………』


 リアちゃん、寝ちゃったよ……。しかも千代ちゃんのことをぽんぽこ呼ばわりして……。悪い子なんてレベルじゃなくなって来たな最近!? あ、寝てるリアちゃんを撫でるとゴロゴロ言う。可愛い……。こんなに大人しくて賢い猫ちゃんなら飼いたいのになあ……。

 千代ちゃんは、いや太ってるって言い方は違うんだけど、その……最初に比べて黒タイツが苦しそうにしてるな~と……。そのアバターは課金アイテムじゃない、バビロンちゃんから貰った千代ちゃんのサイズに合わせたアイテムだから、標準仕様の自動リサイズ機能がついてないんだよね。私の死霊術師セットは、ティスティスお姉ちゃまが自動リサイズ機能を付けてプレゼントしてくれたみたいなんだけどね~。もしかしてバビロンちゃんって、こういう細かい機能を付けるのが苦手…………? いやいやっ!! バビロンちゃんは完璧、バビロンちゃんは完璧……!!!


「そういえば、前にやってた人魂でどわーーーっと燃焼するやつじゃ駄目なの?」

「あの……実は結構、辛くて……あれは体が火照ってですね、その……」

「あ~~~~…………大変そう」

「大変なのです」

「んぐ……っ……ふひっ…………ふへぇ……!」


 千代ちゃんも、あれは簡単に痩せられる方法じゃなかったんだな~……。体が火照って大変って、多分だけど前に魔神殿でやった時は水被って来て強制的に鎮めたんじゃないの、もしかしてだけどね?

 それで、つくねちゃん? さっきから欲望が口から溢れそうになってますけど? つくねちゃん、遠くからこっちをじーっと見つめて悶絶してるわ。つくねちゃんも、凄いツリ目で三白眼だから怖いって印象が強いけど、根っこは私に似てるところがあると思うんだよね。同じ天使嫌いとしても親睦を深めねば……。


「(ちょいちょい、おいでおいで~)」


 ほれほれっ、手招きしたら来るかな~……?


「ふぇ……!? え……? ひっ……!?」


 そうそう、つくねちゃんだよ~周囲に誰も居ないでしょ~おいでおいで~……。挙動不審過ぎてなかなかに可愛い事になってるなあの子……。


「リアちゃんの座ってた右側が寂しくなっちゃったな~~ちらっ! ちらっ!!」

「……お、お、おぇ、おひゃまひましゅ!!」

『わふっ! (さっきはありがとうね! つくねちゃんがいっぱい助けてくれたんだよ!)』

「あ、そうなんだ! つくねちゃん、どん太をいっぱい助けてくれて、ありがとうね!」

「あ、ひぇ……! こ、こちらこひょ……」


 つくねちゃん、どん太のことを助けてくれてたんだ~。それは聞いてなかった、ありがとう……! おかげでどん太はツヤツヤしたまま帰ってきましたよ!


「おや? つくね殿、爪に装飾をするのがお好きなので御座いますか?」

「んぇ……!? そ、そう、です……」

「見せて見せて~~! わ、お~……。これ、どこでやってもらえるの~?」


 お、千代ちゃんに言われて気が付いたけど、本当だ。つくねちゃんってネイルアート好きなんだ。しかも全部違うネイルしてあるし! 宇宙っぽいような、小さい宝石も付いてる……。これを付けながら戦ってたら、普通ならボロっと取れちゃうけど! そこはゲームシステムパワー、全く取れてません! とんでもないレベルで暴れて取れないネイルって、どんなよって言いたくなるわ。いやこんなのですけど。


「じ、じぶんで……そにょ……あの……錬金術師の、アルスちゃん……」

「アルスちゃんと仲良くなると、出来るんだ~!」

「そ、そうっ……! あの、えっとね……。アルスちゃん、キラキラしてて可愛いから、わっちああいうの好きで、んっと……」

「マグナ殿の妹君でしたね、昔は地味で目立たない容姿をしていたそうで御座いますよ?」

「そ、なんだ……!?」

「暗い自分を変えたいと思って、まずは容姿からと変えていくうちに、今の綺羅びやかなアルス殿になったのだとか。マグナ殿から聞いた話には御座いますが」

「みんないろんな過去があるんだね~……ね~フリオニールさん・・・・・・・・

『Σ(´∀`;)』

「あ……。フリオニール……? え、え、え、あの、さっきの、フリオニール……さん?」

「そうなんだよ~。こんなにエモーションがうるさくて陽気な魔神兵長になっちゃったけど、あのフリオニールはこのフリオニールなんだよ~」

「ほぇ…………わ、わっち、ちょっと脳がバグを、起こしそう……」


 そうだよね~あのフリオニールがこれだとは思わないよね~。ところがどっこい、このフリオニールなんだなぁ~~!! ユニークNPC全員、色んな過去があるの凄いなぁ……。本当に、この世界で生きてるんだなぁって感じがして、どっぷりこっちに浸れて楽しい……。千代ちゃんリアちゃんも、現実に居てもおかしくないぐらい、人間となんにも変わらないもんね。


「た~だいま~」

「あっ! おかえりなさいお昼寝さん!」

「おかえりなさ、いっ!!」

「無事のお帰りで」

「あれあれ~? つくねちゃんがリンネちゃん達といつの間にか仲良くなってる~。いいね~美少女勢ぞろいで……。あ、そういえばさっきのやつね、やっぱりフラグアイテムだったよ。入場不可になってたけど、ポータルみえるようになってた」

「本当ですか!」

「あ、あのダンジョン、入場フラグアイテム、み、み、み見つかった、ですか……?」

「そう~これだよ、この絵本。ペルちゃん達が貰ったやつだったんだけどね。これはギルド全員に教えて大丈夫かな~?」

「大丈夫だと思います。一応ペルちゃん達に連絡してから、ですかね?」

「そうしよっか~。まあでも一応この絵本、ルテオラの書店に行けば置いてあるみたいだけどね。わざわざ買って入場に気がつけるプレイヤーがどれだけ居るかはわからないけどね」


 さっきの絵本、やっぱり入場アイテムだったんだ! 良かった、これでギルドの人が全員入れるね。それにこれ、書店で売ってるんだ。一応一般プレイヤーの人でも入れるようになってるのね。なるほど~……。


「あ、そういえば! こっちは宮殿崩壊前にマテオをぼっこぼこにして、フリオニールさん込みで全員5人生存で倒したんですけど、そっちはどうでした?」

「こっちはね~カヨコさん以外全員死んじゃったんだ~……。しかも最初はグスタフさんが突入と同時にやられちゃってリトライ発生しちゃって、リトライ権3回の内2回は中間前で使っちゃったな~」

「3回目は、わっちが、全部殺しました……!」

「3回目は正面突入じゃなくて、二階の窓から押し入ったんだよ~つくねちゃんがね。つくねちゃん、オーバーキルが進むと壁まで走るようになるんだ~……」

「ひひっ……!」

「ひぇ~~~……」

「やはり二階に奇襲をかけるのが一番で御座いましたね、あの場は」

「反対側はどん太くんがやってくれたよ。魔狼身弾で全員ぶっ飛ばして行くの、信じられないほど爽快だった……」

『わふっ!』


 向こうはどうやってクリアしたのかと思ったら、殺られる前に殺るでクリアしてたのね……。こっちは発生しなかったから知らなかったけど、中間前に誰かやられるとリトライが発生して失敗扱いになるんだ。正史ではスージーさんとグスタフさんがやられちゃった場面みたいだけど、ゲームシステム的な問題なのかな、そこは。


「コルダ王女の死はキツかったなぁ~」

「あれは、辛かったですね……許せなかった……」

「あ、思い出したら、わっち、また殺意が」

「落ち着いて落ち着いて……」

「一番怒ってたのはフリオニールさんだったはずなのに、つくねちゃんのほうがブチギレてたからね~」


 やっぱりあの場面、キレますよね……。あれは辛すぎるもん……。


「ボス戦は、つくねちゃんとフリオニールさんがマテオを滅多斬りにしてたね~。増援のほうがキツくて、グスタフさんとレオンさんのフォローで手一杯だったのに、天使の亡霊が来てからは完全に押されてたね~……あれは強すぎた~」

「おばけは怖かったです……」

「よしよし……怖かったね千代ちゃん……よく戦った……!」

「え……? あ、えっと……カヨコさんの失伝魔術が、3回当たれば死ぬけどっ、まま、ま、待ってられないのが……」

「あ~……。こっちは回復術と補助術があったからマシだったのかもしれないですね」

「それはありそう~。HPが減ってジリ貧だったからなぁ~。どん太くんと僕で漏れたのを討伐、レイジがエリート兵の相手で手一杯、グスタフさんとレオンさんが潰れてからは更に厳しかったな~」

「ボス戦も、宮殿崩壊後すぐにスージーさんが狙われたの、あれは無理……」


 あ~~あのアースクエイク、やっぱり宮殿崩壊イベントが入るやつだったんだ。というかリトライも2回、ボス戦もジリ貧だったのにこっちより終わるのが早かったのは、やっぱり火力差かな~……? こっちは本物バビロンパンチがあったとは言え、それ以外に超火力だったのはフリオニールさんしかいなかったもんね。突破できれば早かったんだろうね。


「こっちはバビロンパンチでマテオを粉砕して、復活後のアースクエイクをこっちのおにーちゃんが止めて、宮殿が崩壊しないまま二回戦でしたね。復活後に後衛殺しに来たのはこっちも一緒で、私が狙われました」

「やっぱりあのタイミングでターゲットリセットされるっぽいな~。で、当然防いじゃったわけだ、あの猛攻を」

「手札がまだ残ってたので、防ぎ切りました~。その後この、にゃんこちゃんがぶっ飛ばしてくれたのでっ」

「…………ねこかわいい」

「かわいいねぇ~……。優しく撫でるとゴロゴロ言ってるのも可愛いねえ……」

「かわいいです……」

「リア殿は可愛いですね……」


 向こうはかなり大変だったんだなぁ……。でも私が入らないとおにーちゃん達だけじゃいけないし、おにーちゃんは私と一緒じゃないと行く意味なかっただろうし、今回のパーティ割り振りは仕方ないところがあったね。


「レイジじゃなくてエリスが居ればな~。多分全員生存だったかも。あーでもフリオニールさんが死ぬのは避けられなかったかな~」

「た、たた、多分、トドメの一撃を妨害して、プレイヤーが無理やりトドメを奪うのが正解、だ、だ、だったかも……」

「あ~こっちはまさにそれでした。こっちのフリオニールがあっちのフリオニールさんのトドメの一撃を妨害して、こっちのフリオニールがあっちのフリオニールから剣を奪ってトドメを刺しましたね~」

「…………ちょっと何言ってるかわからない」

『ヾ(*´∀`*)ノ』

「ノ、ノリノリでやってそう」

「やってましたね……」

「やってたか~」

「ちなみにランクはSでした」

「こっちはBだったね~。Aランクはもう一人ぐらいか、それともフリオニールさん以外全員生存かな~。これより下はCランクか、失敗かもね~」

「報酬、あけた……?」

「あっまだだわ!」

「そういえば、どんちゃんの報酬は【とくもりドラゴンステーキ】だったんだけど、食べさせて大丈夫だったかなぁ……」

「…………多分? ねえ、どん太。どっか調子悪いところない?」

『わんっ! (おいしかった!)』

「美味しかったか~~……」


 どん太はどん太用の報酬が出てたか~……。まあ、どん太が美味しかったって言うならそれでいいかあ……! 後でまたドラゴン狩りにいかないとな~。それより、報酬の箱あけてないや! えーっと、あったあった。【真・氷の宮殿報酬選択箱・8個】、開けてみよう!


「よいしょ、これでしたね~報酬を選べる奴ですね」

「お~ちっちゃい宝箱だ」

「こっちは、ランダム箱でしたぁぁ……」

「おお~可愛らしい宝箱で御座いますね!」

『わふっ? わふわふっ?(これは? えらべるの?)』

「じゃ、えっと選べる物リストを…………」


 えーっと、選べるものは――――


【武器 (セットに含まれない)】

・【★牡羊の大槍】

・【★牡牛の大斧】

・【★双子の双剣】

・【★蟹の超硬盾】

・【★獅子の長剣】

・【★乙女の魔導杖】

・【★天秤の長弓】

・【★天秤の長刀】

・【★卑怯な蠍の爪】

・【★射手の魔導弩】

・【★山羊の重撃槌】

・【★水瓶の大砲】

・【★人魚の鞭】


【シリーズレジェンダリー防具 (セット装備)】

・牡羊の重甲鎧セット

・牡牛の重甲鎧セット

・双子の革鎧セット

・蟹の超硬鎧セット

・獅子の軽甲鎧セット

・乙女の魔導衣セット

・天秤の戦衣セット

・蠍の超硬鎧セット

・射手の革鎧セット

・山羊の軽甲鎧セット

・水瓶の重甲鎧セット

・人魚の羽衣セット

 

【レジェンダリーアクセサリー (セット装備)】

・北斗七星セット【物理職用】

・南十字星セット【魔術職用】

・厳冬の暖かな慈愛セット【補助職用】


【特殊】

・炭鉱夫フルセット【武器込み9点フルセット】

・武器用確率アップグレードキット【3個】

・防具用確定アップグレードキット【2個】

・アクセサリー用確定アップグレードキット【1~3個】


 めっちゃ入ってるじゃん……。


「ちなみに、ランダムって何が出ました……?」

「僕はねー北斗七星セットってやつ~」

「わっちは、炭鉱夫フルセット……」

「レイジがどくもり・・・・ドラゴンステーキだったね~……。案の定毒が盛られてるドラゴンステーキだったよ~~。僕のやつと交換してあげたさ~」

「え、それでいいんですかお昼寝さん!?」

「うん~。僕に毒は効かないからね~。美味しかったし、毒関連のスキルも覚えたから最高だよ~~!」

「ええ……。ええ…………」


 レイジさん、それこの選択箱じゃ選べないやつじゃないですか……。すっごい運使ってませんか……!? そしてどん太もランダム箱の中からランダム出現専用をピンポイントで当てて、とくもりドラゴンステーキを出したのね、君の食事への執念凄いな?


「どくもりととくもりの奴、ランダムでしか出ないみたいですね……選べないです」

「え、じゃあレアなの2個も出しちゃったんだ、ラッキーだねえ」

「炭鉱夫は……選べる……?」

「選べるね~。でも選びたいとは思えない内容だから、ある意味ラッキーなのかも……?」

「んう~……。た、確かに、でも、バビロニクスの大穴で、採掘量増えるし、そ、そ、装備中、インベントリも拡張あって、いいかも」

「へ~結構良いセットなんだそれ。欲しかったかもしれない~」

「ふへ……♡」

「んじゃ~~……。リアちゃんように南十字星、アクセアプグレキットをとりあえず1個、千代ちゃんって布装備と革装備だとどっちが良いの?」

「え? 此方ですか? 此方は布の方が……多分?」

「じゃあ天秤の戦衣セットに、防具用アプグレ2個入りが2個と――――」

「待って待って? どんだけ選べるのそれ!?」

「え、8箱あります」

「ええ……。ランクSでクリアし直して来たいんだけど……!?」

「も、もう遅い、し。レアなのでたから、オッケー……ね?? ね???」

「そうだねえ……そうしよう」


 ご、ごめんなさい、なんかすみません……。とりあえずリアちゃん用のアクセとアクセアプグレでとりあえず2箱消費、千代ちゃん用の天秤の戦衣とアプグレで3箱、残り3箱か~……。そっちは後で考えとこ!


『【天秤の戦衣セット】を選択しました。男性用・女性用を選択してください』

『女性用が選択されました』

『【★天秤の鉢金】を入手しました』

『【★天秤の戦衣】を入手しました』

『【★天秤の不平等】を入手しました』

『【★天秤の草履】を入手しました』

『【防具用確定アップグレードキット【2個】】を入手しました』

『【防具用確定アップグレードキット【2個】】を入手しました』


 よし、とりあえずこれで良いね。後はリアちゃんの南十字星セットかな。


『【南十字星セット】を選択しました』

『【★アクルックス (指輪)】を入手しました』

『【★ミモザ (ネックレス)】を入手しました』

『【★ガクルックス (腕輪)】を入手しました』

『【アクセサリー用確定アップグレードキット【1~3個】】を入手しました』

『【アクセサリー用確定アップグレードキット【1個】】を入手しました』

『【アクセサリー用確定アップグレードキット【1~3個】】を入手しました』

『【アクセサリー用確定アップグレードキット【1個】】を入手しました』

『【アクセサリー用確定アップグレードキット【1~3個】】を入手しました』

『【アクセサリー用確定アップグレードキット【1個】】を入手しました』


 はい。はいじゃないんだけど、はい。残り1箱になっちゃいましたね! 1~3個入りで1個しか引けない雑魚ですわよどうせわたくしは!! ぐぬぬぬぬ!!!


「とりあえず後一個は置いておいて……。これ、あるんですえーっとチャットログにペタっと張って……【◆ロストアイテムランダム箱(真・氷の宮殿)】、これです!」

「シークレットアイテム……?」

「ランクSだから、報酬、増えてる……? あ、MVPそういえば、フリオニールさんに取られてるから……」

「あ~~~~」

「やっぱり横取りしないと、なんですね……」

「なんかすみません…………。あ、あけても……?」

「あけよう~~!! 楽しみだね~」

「んひ……楽しみ……ですね」


 さっき運がなかったのをここで取り戻す! さあ、今度こそ良いの出てよ…………いや待てよ…………。今私は運気がない……。ここで取り戻すとか、絶対このままの流れでゴミが出るに決まってる……。


「…………」

「ん?」

「ど、しました……?」

「ねえ、今目があったよね?」

『☆(ゝω・)v』

「ピース、したね? おにーちゃん、はいこれ」

『Σ(´∀`;)!!!!』

「あけて? 私じゃゴミしかでない。わかる、流れがない……。お願いね?」

『d(*´ω`*)b』

「お~……英断だ~……」

「期待、期待……ふふふ……」


 さあ、頼みましたよフリオニールさん……。その最強の運命力で凄まじいアイテムを引き当てちゃってくださいよ……。ね?


『フリオニールが【◆ロストアイテムランダム箱(真・氷の宮殿)】を開封します!』


 さあ、何が、出るかな……!!!??



『【◆ちびコルダちゃん (ペット)】を入手しました』

『Σ(´∀`;)!!!!!』

 

 


 やりやがったねえ、やりやがりましたねえ…………。

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