Memory of Luteola. part6
◆ 氷の宮殿・王座の間 ◆
『ボスの討伐を確認。討伐タイムは11分22秒でした』
『討伐完了時点での存命NPC【グスタフ】【レオン】【スージー】【カヨコ】【フリオニール】、完全生存ボーナスが発生します』
『クリアランク:【 S 】を達成しました。Sランク報酬が分配されます』
『オブザーバーモードになりました』
『オーレリアへの報酬がリンネにメールで送られました』
『姫千代への報酬がリンネにメールで送られました』
『フリオニールへの報酬がリンネにメールで送られました』
『【真・氷の宮殿報酬選択箱・2個】を入手しました』
『メールを開封しました。【真・氷の宮殿報酬選択箱・6個】を入手しました』
『Sランク・MVPボーナス【◆ロストアイテムランダム箱(真・氷の宮殿)】を入手しました』
『ダンジョン脱出後、経験値が分配されます』
ちょっとごめん、報酬の箱を開けるのはとりあえず後で良い? 私はね、あそこで放心状態になってるフリオニールさんのメンタルを……例えこの後、この過去を再現したパラレルワールドから戻るとしても、ケアするべきだと思うんだよね。
「なんで、君は……一体……どうして……」
「おら、リーダー! 剣を返すってよ」
『…………』
「なんとも、ないのか……? アレを発動したなら、君の肉体は徐々に消滅に向かって緩やかに崩壊するはず……」
すみません、そいつもう肉体ないんです……。あれ……?? 動かない、動けない……!? いつの間にかオブザーバーモードになってる! もう終わったから、後は傍観者として眺めててねってこと!?
『フリオニールが【◆フォルトゥナ】を★フリオニールに返還しました』
「あ、ああ……。ありがとう……?」
『…………』
『フリオニールが元の世界に帰還します…………』
ちょいちょいちょいちょい、やるだけやって暴れに暴れて、帰っちゃったんだけどおにーちゃん!? ええ、嘘でしょう!? 自由過ぎるんだけど!?
「やるだけやって、何も言わずに行ってしまいましたね……。リンネさんと他の冒険者さんも、元の世界へと帰ってしまったようですわ」
「疑問、異界人?」
「どう、でしょうね。私が
「俺の…………だが…………」
「肉体を失って尚、生きてたってことだろうな」
「俺様には難しいことはよくわかんねえけどよ、あれは間違いなくリーダーだったぜ! それに、楽しそうだったなぁ、あのリーダーはよぉ!」
私達、見えてない……!? 帰ったと思われてるーーー!? ええ~~お話したかったのに……。出来ないなら仕方ないか……。
そう、それとやっぱり、カヨコさんは『視るスキル』を持ってたみたいね。でも『天才』は言い過ぎ、ただ魔術陣がリアちゃんが前に勉強してた文字と一緒で、覚えやすい形のヤツが並んでたからたまたまだよ。
「だが、だとしたら、コルダの死をもう一度見るなんて、無理だ……。耐えられるはずがない……」
「乗り越えたんじゃねえの? わざわざ未来から、魔神様あたりにでも頼んでやって来たんだろ? 多分? あの胸のデカいお嬢ちゃんと、脚が良いお嬢ちゃんと、猫耳のお嬢ちゃんに見て欲しかったんじゃねえの? 過去に何があったのかをよぉ。まあ、俺の単純な頭じゃそれぐらいしか思いつかんわ!」
――――そんなに大きいかな……。大きいかも……。
「リーダーのことだ、そんな単純なわけないだろ。もっと色々と、考えがあったはずさ」
「後悔? 払拭?」
「リーダー、未来のリーダーがどうしてあの剣を解放することを許さなかったのか、きっと考えがあるはず。それにリーダー? 気がついていますか? 我々は国王殺し、それに仮にもメルティスの神官達を殺した大罪人。このままこの国に居ては、ルナリエット聖王国に『なんたらの為の浄化を~』という口実を与えてしまう。早いうちに国を出るべきでしょう」
「…………未来の俺のことは、今の俺にはわからない。だが一つだけ、なんとなく伝わってきたような事があるんだ。肩肘張って、何でも抱え込みすぎだって、そんな感じの一撃だった…………。ああもう一つ、あのピコハン……。本当に効くんだな……アレって今どこ」
「「「二度と使わせない」」」
「使用禁止」
「……。わかったわかった! とりあえず、この話は終わりだ! それと、コルダの仇も……こんな形になったが……それも今は置いておこう。まずは全員を、俺達に望みを託した仲間たちを、弔ってやろう。まずは、それからだ」
「…………そうだな」
「今の俺達に出来ることをしよう」
「散っていった仲間達の為にも、そうしましょう」
「同意」
これで、終わりかな……。おにーちゃんはここは見ないで帰ったけど……。本当に起きた歴史は、最後の一人になっても戦って勝利して、剣の力を開放した影響で体がボロボロになって、その状態で戦死者と仲間全員を弔って、カヨコさんが言ってた『浄化の口実』にならないように国を出て、死に場所を求めて彷徨ってたのかなぁ……。
「(帰ろうか)」
「(帰りましょう……。おばけ殿が待っているはずです故)」
「(帰りましょうっ)」
過去のことはこれで大体わかった……。わかったけど、バビロンちゃんを崇拝するようになったきっかけとか、まだまだ謎な部分がいっぱいある。でもそれで良いのかも、そのままで。謎は謎なままで良いのかも。そこはきっと語りたくない、知られたくない部分っていうか、一人で抱えることにした部分だと思うから。
『元の世界へ帰還します……』
『お疲れ様でした。Sランククリアにより、報酬として経験値 500,000,000 が分配されました』
『レベル91に上昇しました。おめでとうございます』
『オーレリアがレベル5になりました』
『姫千代がレベル45になりました』
『フリオニールがレベル45になりました』
『転送開始』
◆ ◆ ◆
――――それで、おにーちゃんは外に出てきて早々に、トラブルを起こしてる、と。
『アルトラ(Lv,75)が【ハリケーンスラッシュ】を発動、フリオニールにダメージを与えられません』
『щ(゜д゜щ)カモーン』
「くそっっ!!! くそっっ!!!! てめえなんかに、てめえなんかのせいで!!!!」
『カウンター! フリオニールが【マルチカウンター】を発動、アルトラ(Lv,75)に5,400ダメージを与えました』
「げはっ!?」
おにーちゃん……。もうアルトラのこと舐め腐ってるのか知らないけど、素手じゃん……顔面にいい感じのが入ってるし。というかなんでまたこいつはルテオラに来てるわけ? バビロニクス出禁になって、準指名手配状態のせいでローレイも居づらい、ルナリエット聖王国には当然行けるはずもない、あ~~……。そりゃあここに来ますわ。それで氷の宮殿でレベリング出来るって聞いたから来てみたら、おにーちゃんとばったり会ったってことね。なーるほど。
「ふ、ざけんな!!! 舐めやがって!!!」
『アルトラが【ラッシュアタック】を発動、フリオニールにダメージが与えられません』
ん~。素早いには素早いんだけど、攻撃が軽すぎて通ってないのかな。人間の、それも装甲が薄い相手ならそれでいいだろうけど、おにーちゃんは騎士鎧だからなあ~……。それに、隙間から短剣を突き刺してもそもそも中身ないし、そりゃダメージにならないでしょ。
「チートじゃねえか!! チート野郎! 運営に報告してやっから覚悟しろよ、配信もしてんだぞこっちは!」
あれ? でもアルトラ君頭上に『配信不可地域、配信停止中です』って出てるよ? 氷の宮殿とかこういうダンジョン周辺って、一時的に配信止まるんだね? え、ダッサ……!?
『☆(ゝω・)v』
「舐めやがってぇえええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!」
『アルトラがAPブレイク! 【ラストネメシス】を発動しました』
――――ピコッ☆
『フリオニールがピコハンでアルトラ(Lv,75)を叩きました』
『ピコハンが見事にアルトラ(Lv,75)に炸裂しました――大技に対するカウンターが美しい、文句のつけようがない。100点では足りない――技術点50点! 芸術点50点! 合計100点満点! 100点満点の状態異常が発生します!』
『アルトラ(Lv,75)が【停止】状態になりました』
『アルトラ(Lv,75)が【衰弱】状態になりました。ステータスが激減します!!』
『アルトラ(Lv,75)が【破滅】状態になりました。レベルが一時的に減少します!!』
『アルトラ(Lv,50)が【悪夢】状態になりました。状態異常が誘発されます!!』
『アルトラ(Lv,50)が【精神崩壊】状態になりました。MPが急激に減少します!!』
『アルトラ(Lv,50)が【発狂】状態になりました。スキルが使用不可能になります!!』
『アルトラ(Lv,50)の全ての状態異常が深刻化し、効果時間が延長されました』
『(`・ω・´)』
あーあ……。まーたやってるよ、ピコハン……。ばっちり配信止まったままだし、マテオとか過去ニールさんは割りとすぐに停止解除したけど、アルトラ君はどうかな~~……。深刻化して延長されてるし……。
「おにーちゃん行くよ、お昼寝さん達バビロニクスに帰ってるし、帰ろうよ」
『(*´ω`*)b』
「リンネ殿、
「放置」
「なるほど。ではそのように」
「どんどん達はクリア出来たでしょうか? 楽しみですねっ」
「ん、そういえばそうね~。じゃ、ギルドポータル開くよ~……あれ? ちょっと待ってね~」
まあ、良いや。とりあえずアルトラ君は放置しとこ。動けるようになったら、氷の宮殿にでもチャレンジしてくるといいよ。きっと良い経験値稼ぎになる、はず? それよりギルドポータル開かないんだけど? ああこれ、他のギルメンさんが使ってる時は一時的に使えないのね。滅多にないバッティングが発生しちゃったかー。
『…………( ̄ー ̄)』
「こら、煽んないの! あんなでも意識はあるんだから!」
『…………( ̄ー ̄)』
「ふう……。天使おばけは怖かったですね……。でも、リンネ殿に対する忠誠心のほうが、恐怖心よりも勝りましたよ!」
「お~千代ちゃん偉い~おばけはやっぱりダメ?」
「駄目に御座います。此方の幼少期に見た亡霊が……ちょっと……思い出してしまって……」
「トラウマか~……それは仕方ないね……。あ、他の人のギルドポータル使用が終わったみたい。じゃ、開くよ~」
千代ちゃんは子供の頃に見た亡霊がトラウマなのかあ……。うーん、トラウマはね~中々克服出来ないからね。仕方ないよねえ……。今度話を聞けたら聞いて、少しでもトラウマ緩和に協力出来るといいなあ。
「帰って~どんどんと~遊ぶ~~♪ ふふふふ~ん♪」
『Σ(´∀`;)』
「え、可愛い」
「ほにゃ……? 何か……?」
「え、無意識……!?」
え、リアちゃんその歌無意識に出てきたの……? 可愛いが過ぎるんだけど…………? それにやっぱり、どん太のこと『どんどん』って呼んでるじゃーん……!! わーーもう、帰ろ帰ろ!! どんどん達が待ってるもんね! 遊んでもらおうよっ!!
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