Memory of Luteola. part5

◆ 氷の宮殿・王座の間 ◆


『魔神パワー消失! 次の水曜日5:59以降の祈祷まで【★ばびろんぱーんち♡】が使用出来ません!』


 バビロンちゃんから授かったパワーが、消えた……! 焼肉パーティ中にこっそり授かった、炎龍女帝ドレイクを奉納したことに対する見返りが、一週間に一回しか使えない覚醒スキルより超重いスキルが、使用不能になった……。けど!! やった、あのトカゲ野郎を粉砕してやった!! 木端微塵よ!!! これが本物のバビロンちゃんのパワーの一端、どうだ思い知ったか!!!


『――――それじゃ、後は頑張りなさ~い?♡』

「え?」


 え? バビロンちゃん、後って……ああ、後ろの残党狩りね? うんうん、頑張る~~!! さ~て、それじゃあ残るは聖龍神マテオの近衛兵達だけだよね~…………?


『なるほど、大した威力だ……』

『聖龍神マテオ・コア(Lv,????)が【眷属吸収】を発動しました』

「うわぁあぁぁああ!!!!」

「か、体が、崩れ……」

「マテオ様万歳ーーーーーーー!!!!」

『聖龍神マテオ(Lv,????)が復活しました』


 まだ生きてる!? バトルログに表示されてるのは、コア!? そうか、聖核……! コルダ王女のことを絞りカスとか模造品とか所詮作り物の命とか色々言って蔑んだくせに、自分だってその作り物って呼んだコルダ王女と一緒じゃん! 眷属、配下の近衛兵も天使食らいをやって天使の力を取り込んでたのか、それを吸収して再生しようってワケ!? 上等、何度でもぶっ飛ばしてやる!


「リンネ殿!」

「お姉ちゃん!!」

「あの配下を吸収してる白い水晶みたいなやつ、あれがアイツの核! あれを潰さないと、倒せないみたい!」

「承知ッ!」

『余に近寄れると思うたか! いでよ、亡霊達よ!!』

『聖龍神マテオ(Lv,????)が【コールスレイヴ】を発動、エンジェルゴースト(Lv,120)が多数出現しました』


 …………あ゛っ゛?


「正念場」

『スージーが【スピットファイア】を発動、聖龍神マテオ(Lv,????)に中ダメージを与えました』

「積み上げよ、討ち滅ぼされよ、骸を晒せ! ランス・オブ・ヴラド!!!」

『カヨコが【失伝魔術:ランス・オブ・ヴラド】を発動、聖龍神マテオ(Lv,????)が特大ダメージを受けました』

『Weak!!! 多数のエンジェルゴースト(Lv,120)が極大ダメージを受けました』

『まだ歯向かう気か!! 無駄だ、ゆけ!! 奴らの骸を余の前に並べよ!!』

「グスタフ、レオン!! 離れるな! 二人で確実に倒せ!」

「わーーってる!!」

「言った側から離れるな脳みそ筋肉!!」


 ゴーストになっても聖属性な上に天使の姿のままなのこいつら? は? 何様? こっち側にすり寄ってきたくせにぃぃ……! 郷に入れば郷に従えって言葉知らないのかこいつらぁ……!!! リアちゃんの双子の姉妹はちゃーんとバンシーになって現れたのに、こいつらただ半透明になっただけじゃん~~……!! 許せないぃぃぃ……!!!!!

 ――――カヨコさんのそれ、闇魔術? 死神術分類? ちょっと、借りれないかなぁ……???! 借りるね???


「……積み上げよ、討ち滅ぼされよ、骸を晒せ! ランス・オブ・ヴラド!!!」

『カヨコから失伝魔術を継承しました』

『パッシブスキル【ジーニアス】を獲得しました』

『【ランス・オブ・ヴラド】を発動、Weak!!! 聖龍神マテオ(Lv,????)が極大ダメージを受けました。呪い状態になりました』

『Weak!!! 多数のエンジェルゴースト(Lv,120)が極大ダメージを受けました。全てのエンジェルゴーストを撃破しました』


 カーススピアより使いやすいじゃーんこれーーー!!! いやクールタイム1分は重いな……!? カーススピアが3秒で撃てるのを考えたら、激重よ!! でもあの醜い憎たらしいエンジェルゴーストを一掃! さあこれで8対1よ、ギッタンギッタンにしてやる!


「今まで、これを使ったことが?」

「いいえ、今この場で!」

「なるほど、流石魔神様の――――いえ、気を引き締めていきましょう」

『無駄だ無駄だ、何度でも蘇るぞ! それにこの程度、掠り傷程度にしかならんわ!!!』

『聖龍神マテオ(Lv,????)が【コールスレイヴ】を発動、エンジェルゴースト(Lv,120)が多数出現しました』


 なんか今一瞬、カヨコさんに『視られた』感覚があったんだけど、これは多分ステータスか何かを覗かれたな……!? バビロンちゃんサイコー教の信徒って見破られた気がする!

 そんでマテオくんがなんか吠えてる! またあの【自主規制】エンジェルゴースト出てきた!! あーーーーぶっ飛ばしたいぶっ飛ばしたい!! あっ、グスタフさん達の方に流れちゃった! 大丈夫かな……。千代ちゃんと三人だけど、なんとかなって欲しい!

 それで? 掠り傷程度にしかならんわって言ってるけど、私はさっき見ました~見ちゃいました~お腹からゴボッと血が出たの見ました~~!! あ、血が出る描写は苦手だったら簡易化があるけど、こういう時に効いてるかどうかわかるから私はオンにしてるよ。今回はそれが功を奏したねえ……!


「フリオニールさん! 効いてる効いてる!! さっきの核を潰せば殺せますよ!!」

「っ!! ああ、やってみるさ!!」

『(*´ω`*)b』


 あ、そっちのフリオニールじゃないですおにーちゃん。おにーちゃんはさっきの意味不明なピコハン攻撃、もう一回頑張って決めてね……? 期待してるからね……?


「こっちに来たのは任せろ!!」

「迂闊に踏み込むな!」

「おめーは慎重過ぎるんだよォ!!」

「それぞれの持ち味を活かすしかありますまい!」


 あのエンジェルゴースト、近接職のグスタフさん達が優先か! おにーちゃん達はさっきのバビロンパンチで遠くに吹っ飛んだから、グスタフさん達のほうが近いって判断した……かな? とにかく、そっちに流れたエンジェルゴーストは頼みましたよ!


「聳え立て、猫ちゃん障壁みゃおーんうぉーる! あっ! 耳出ちゃった……!」

『オーレリアが【猫ちゃん障壁みゃおーんうぉーる】を発動、周囲に猫耳付きの岩盤の壁が複数出現しました』

「……!」

「スージー、後になさい!」


 あ!? そういえば何か違和感があると思ったら、リアちゃんが猫耳としっぽを隠してたんだ! スージーちゃん、それを見てビクッと反応したけど……もしかして猫が大好き!? カヨコさんに止められなかったら絶対にこっちに来てたよね!?


「引っ込めるの手間なら、もう出しっぱにしておいて! 可愛いから!」

「わ、わかりました~~っ!!」

「戦意向上」

『――――征くぞ、まず貴様からだ! さっきの一撃、返させて貰うぞ!!』

『聖龍神マテオ(Lv,300)が【聖龍身弾】を発動しました』


 ヤバ、気になることが多すぎてあいつの動向をしっかり見てなかった。こっちに来てるじゃん……。あれ、なんかレベル下がってる? 気の所為じゃないね?

 それより今はアイツの攻撃――――遠距離攻撃は猫ちゃん障壁に隠れれば防げるけど、完全に接近されたらこの岩の壁は意味ないからね。いやでも聖龍身弾なら、魔狼身弾と大差ない攻撃なんだったら、ボーンシールドで一発なら防げるはず。その後即時ボーンシールドを発動すればいい。おにーちゃんは流石に間に合わない、二発分稼げれば、何かしら反撃出来るはず。大丈夫。私ならやれる……!


『破ァ!!!!!』

『【ボーンシールド】状態が解除されました』

『小癪なァ!!!!!』

『聖龍神マテオ(Lv,300)が【爆裂多段拳】を発動しました』


 多段攻撃は聞いてないかなーって……。仕方ない、さっきの消費から一分以上は経ったなら使える。使いたくなかったけど――――!


「不死障壁盾!!!」

『【不死障壁盾】状態になりました。5秒間全ての攻撃・状態異常を無効化します』

『聖龍神マテオ(Lv,300)の【爆裂多段拳】を無効化しました』

『聖龍神マテオ(Lv,300)の【尾撃】を無効化しました』

『な、にぃ……!?』


 っく~~攻撃が熾烈過ぎる! 本当は後4分耐えてもう一発、今度はドッペルの方のばびろんぱんちをぶちかましてやろうと思ったけど!! でも、これでも良い! ここまで足が止まったなら、そりゃそうよ! あの御方が黙っちゃ居ないのよ! マテオよ、後衛組が近接攻撃をして来ないと高を括って私に狙いを定めたんだろうけど、それは――――大きな間違いだねえ!!


「え~~~い!!!!」

『なん――――』

『にゃ王様が【にくきゅーすたっふ】で攻撃にゃ! すごい、とても効く! くりてぃかるも出た! 哀れなトカゲ(Lv,300)は脳みそぐらぐらしてるにゃ! 超大だめーじだにゃ!!』

『――――』

「ふっとんじゃえ~~!!!」

『にゃ王様が【にくきゅーすたっふ】で攻撃にゃ! すごい、とても効く! 哀れなトカゲ(Lv,300)は大きく吹っ飛ばされたにゃ! 超大だめーじだにゃ!!』


 脳天に強烈なのが一発、すかさずボディにフルスウィングを一発!! リアちゃん、ナイスショーット!!! お~吹っ飛んでる吹っ飛んでる!! きれいな放物線を――――


「超好機」

『スージーが【デッドエンドショット・闇】を発動、クリティカル!! 聖龍神マテオ(Lv,300)が極大ダメージを受けました』


 スージーちゃんが吹っ飛んでる最中のマテオの顔面に決めた!! 着地地点は読める……なら!! ――――カヨコさん!!! よし、目が合った! 向こうも頷いた、クールも終わった! 行ける!


「「積み上げよ、討ち滅ぼされよ、骸を晒せ! ランス・オブ・ヴラド!!!」」

『合成魔術【ヴラドの庭】を発動、無数の死の槍が敵を貫く!! 聖龍神マテオ(Lv,300)が極大ダメージを受けました』

『――――グガァァ……!!? ガ、ッハ……!?』


 選択を間違えたんだよ、お前は! 私に真っ先に攻撃したことだけじゃない、これまで数々の選択を、お前は間違えたんだ。今ここで滅びるのは、お前が選択を誤り続けてきたことへの報い。必滅の報いなんだよ!!!


「――――これで、終わらせてやる」

『★フリオニールが【限界突破】を発動しました。全てのステータスが驚異的に上昇しました』

『★フリオニールが【◆次元消滅斬】の発動スタンバイになりました』

『(´・ω・`)』


 後は、フリオニールさんがやってくれる。終わりだよ、これで。今度こそ終わり――――。




 ――――ピコッ☆




『フリオニールがピコハンで★フリオニールを叩きました』

「…………は?」


 は…………?????????


『ピコハンが見事に★フリオニールに炸裂しました――正面なら最高でしたね――技術点40点! 芸術点50点! 合計90点! 90点の状態異常が発生します!』

『★フリオニールが【停止】状態になりました』

『★フリオニールの【限界突破】が解除されました』

『★フリオニールが【◆次元消滅斬】の発動に失敗しました』

『(*´ω`*)』


 ちょっと、えっと? なにやってんのおにーちゃん……!? この、今からフリオニールさんが仇を取るよ、殺るよって場面で!? 


『☆(ゝω・)v』

『フリオニールが★フリオニールから【◆フォルトゥナ】を奪いました』


 いえーい、ぴーすぴーすじゃないんだよおにーちゃん!?!? いやフリオニールさんの持ってた剣奪ってるし、何やってんの本当に!?


『貴様……は……っ!』

『…………』

『フリオニールが【◆次元消滅斬】の発動スタンバイ状態になりました』

『な、ぜ、だ……!? それは、主である、フリオニールにしか、使えない、はずの――――』

『( ̄ー ̄)』

『フリオニールが【◆次元消滅斬】を発動、聖龍神マテオ(Lv,300)に壊滅的ダメージを与えました』

『聖龍神マテオ・コア(Lv,300)が砕け散り、消滅しました』


 …………やっちゃったよ。ええ……? えええ…………????


『★フリオニールの【停止】状態が解除されました』

「なん…………だと…………?」

「理解不能」

「あれは、リーダーにしか使えないはずの……。まさか……。そんな、これは、こんなことが……?」

「消えた……? おう、ぶっ殺したのかトカゲ野郎をよぉ!!」

「…………そのようだな」

「リンネ殿~!! 終わりましたね! あ、納刀納刀……」

「お姉ちゃん! さっきのはナイスガードでしたねっ! 隙だらけになって攻撃しやすかったです!」

「なん…………だと…………???」


 言いたいことは沢山あるんだけど、過去のフリオニールさんが! それどころじゃないの! 完全に放心状態になってるの!! おにーちゃん、責任取ってよぉ!! 過去の自分が理解出来なくて困ってるからぁ!!!


『d(*´ω`*)b』


 いえ~~~い、じゃないんだよおにーちゃん!!!!!


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