驚きのプレゼント

◆ バビロニクス・カジノエリア ◆


「――うむっ! よくぞ来てくれた、そして感謝するぞ。リアを守り抜いてくれたこと、ステラヴェルチェをこのような形で再興してくれたことを!」


 ――――誰…………?


「(リアちゃん、誰だと思う?)」

「(たぶん、えっと、エキドナ様の面影があるので、きっとエキドナ様です!)」

「(え、本当に……? 猫耳、え……?)」

「聞こえておるわーーーー!!!!! たわけめーーー!!!」

「はい! たわけです!」

「たわけ二号ですっ!」

「満面の笑みでたわけと呼ばれて悦ぶなたわけ共っ!!!」


 あ~……エキドナさんかぁ……! そういえば掲示板でえきどにゃちゃんって盛り上がってたなぁ……!!! キュートの中にセクシーさが同居してて、すごい、脳がバグる……! リアちゃんと正反対な感じ、ちょっと神々しさまである……! わ~~~ありがたや~ありがたや~~~……!!


「まあよい、ゆっくりして行くのじゃ! それとリアよ、今後このエリアに入る時は衛兵に言いつけておいたでな、問題なく入れるじゃろう」

「わ、ありがとうございますエキドナ様!」

「にゃ! え・き・ど、にゃーーーー!」

「え、えきどにゃ様!!」

「うむっ! それとそなたが探しておる赤い鎧なら、先程景品交換フロアで最高額景品を交換してな、月間カジノコイン獲得ランキングの一位の実力を周囲に見せつけておったぞ!」

「おにーちゃん、何やってんのよ……」

「なるほど、じゃあ挨拶も済みましたし、行きましょうっ! えきどにゃ様、今度暇な時に遊園地エリアで遊びましょうねっ!」

「うむっ!! そなたも、暇な時に妾と遊ぶのじゃぞ? リアの主人、リンネよ! また来るがよい! 妾はしばらく休憩なのじゃ」

「ありがとうございますっ! 是非、お願いします! また来ますーー!!」


 えきどにゃ様、良かった……。とても良かった。レーナちゃんとかエリスちゃんが見たら途轍も無い勢いで抱きついて吸いそうだなぁ……。今度匂いを教えてもらお……っ。


「あっ! 居ましたよ、ほら! こっちに気が付いたみたいですっ!」

「おー居た居た。やっほー」

『( ´ ▽ ` )ノ』


 あ、おにーちゃん居た居た。景品交換フロアからちょっと離れた場所に居たわ。ん? あれ、おにーちゃんアレは何を持ってるのかな~?? プレゼントボックス? っぽい小箱持ってるねえ?


『(*´ω`*)っ【箱】』

「これ、くれるの?」

『(`・ω・´)b』

「おおーーありがとう! ここで開けても良い?」

『d(*´ω`*)b』


 おお、やっぱりプレゼントボックスだった。なんだろう、この細長い形状……。かなり軽い? あ、もしかして昨日掲示板で騒がれてたアルティメットカードバインダー!? おにーちゃんそこまでコイン貯めちゃった? 凄いなぁおにーちゃ…………?


『【◆ペット『ちびバビロンちゃん』招待チケット】を入手しました』


 これ…………は…………!!!!!!!!?????????? ぱ、ぴぴぴぴ、ぷ、ぺぺぺぺぺ…………ペットォーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!??????



【◆ペット『ちびバビロンちゃん』】(究極・シークレット・家具系・ペット・アカウント帰属)

・【重要】本物の魔神バビロンではありません! ちびバビロンちゃんです!

・【重要】ルーム内でのみ活動可能です

・【重要】ちびバビロンちゃんはこの一体しか存在しません!

・【重要】交換時点でアカウントに帰属するアイテムです

・あなたのお部屋に手のひらサイズのちびバビロンちゃんがやってくる!

・可愛い!

・たくさん愛して、たくさん可愛がりましょう!

 帰属アカウント【リンネ】・重量0.1kg



「お姉ちゃん、それ9,999,999枚必要だそうですよ」

「え゛っ゛」

 

 嘘でしょ……? ちょっと、ちょっとカジノの景品交換リスト見せて……?


【カジノ景品交換リスト】

・【重要】全てのアイテムは交換時点でアカウントに帰属し、交換不能状態になります

・【重要】ペットガチャの商品に関して、返品の際は90%のカジノコインを払い戻します

 ………………

 …………

 ……

・【★ちびNPCペットガチャチケ】:9,999,999枚 ――プレイヤー無制限・従者系NPC1回制限

・【★★ドレスチェンジャー】:7,777,777枚 ――プレイヤー累計1回、従者系NPC交換不可

・【★★★アルティメットカードバインダー】:6,666,666枚 ――プレイヤー月間1回、従者系NPC累計1回制限

 ………………

 …………

 ……


 うわぁ……。ペットガチャで、一発でちびバビロンちゃん当てたのこの男……。本当、どうなってるの君の運……。


「あの大きな箱、あれで抽選して出たみたいですねっ! まだまだたっくさん種類があるみたいです! バビロン様が居るってことは、絶対お姉様と妹様もいらっしゃいますよねっ!」

「カレンちゃんとティスティスちゃんも絶対居るね……!! やったーーーおにーちゃん、ありがとうっ!!!!!」

『(*´ω`*)』


 やば、やば、絶対可愛い、可愛いよ絶対……! どうしよう、早くギルドハウスに帰ってご招待したい!!! いや待って、まずはこの場でおにーちゃんにお返しのプレゼントよ! そのために買った!


「それでね、いつも頑張ってるおにーちゃんの為に! これを、買ってきました! 気に入ってくれると思って……あ、プレゼントボックスに入れてなくてごめんね?」

『(*´ω`*)b』

『Σ(´∀`;)!!!!!』

『ようリーダー! やっと一番上のやつ交換でき……おいまさか、交換したのってそれじゃねえよな? 待て、そいつをしまってくれ』

『リーダー……。そいつは俺の記憶が正しければ、ピコハン……だな? 本物、か……?』

『錯乱状態。理解不能。恐怖、恐怖』

『スージー、落ち着きなさい。大丈夫よ、前のようにはならないわ、きっと』

『フリオニールが【★★ピコハン】を装備し、異空間収納に納刀しました』

『Σ(´∀`;)…………』


 あれ、おにーちゃんの部下の人達も居たんだ。そしてその反応は何よ。絶対ドラコンシールドみたいな、おにーちゃんが生前扱ってたおもしろグッズでしょ? もしかしてたたいてかぶってジャンケンポンでおにーちゃんに負けすぎて、みんなトラウマになってる系?


『撤退。龍狩、現実逃避』

『あら、スージーが……。ではリーダーこれで……』

『もうちょっとで1万点が見えそうなんだがなぁ……。現実を見たくねえから赤龍討伐に行こうぜ……』

『ああ……』

『Σ(´∀`;)!?』

「何よ何よ、さてはそのピコハンで部下と遊んで無双したんでしょ」

『( ゜д゜ )彡そう!』


 なるほど、やっぱりおにーちゃんが部下をピコピコ叩きまくってた奴だったのねこれは……。おにーちゃん豪運だし、じゃんけんで無双して一方的に叩きまくってたとか? 絶対そうでしょ、間違いなくそう。


「気に入ってくれた?」

『(*´ω`*)b!!!!!』

「それは良かった。リアちゃん、これで大正解だったねー」

「ねーーっ!」

「え、なにその反応可愛い……」


 リアちゃん可愛い……っ。ここで倒れるわけには……。ギルドルームに帰って、ちびバビロンちゃんをご招待するまでは、倒れられるか……!!


『ヾ(*´∀`*)ノ』

「あれ、帰る? もうカジノは良いの?」

『(`・ω・´)b』

「リンネさんが居る時は、リンネさんと一緒に行動したいんですよねっ」

『( ゜д゜ )彡そう!』


 おーー……。それはなんか、嬉しいじゃん。よしじゃあ、おにーちゃんに所縁ゆかりのある地、ルテオラの氷の宮殿に行く準備をしようじゃないの~。んで? どん太と千代ちゃんはまだダイエット中なわけ? あ、ギルドルームに戻ってるじゃん。じゃあ私達も戻ろうっか! それ、開けギルドポータル!!




◆ バビロニクス・ギルドルーム【スイート】 ◆




『――あーちゃん、ごめんなさい! 今日はどうしても仕事で総会に出なくてはならなくって、行けなくなってしまいましたの!』

『大雨のせいで窓割れてたの気が付かなかったから、片付けで忙しい。行けない』

『職場の片付けでな、ちっと忙しい。ギルドのことはお昼寝がやるだろうが、何かあったらよろしくな!』

『エリスちゃんは~……ぎっくり腰をやってしまいました~~……。ちょっと安静にしてま~す……』


 ギルドに帰ってくるなり悲しいお知らせが4通も……。今日は真弓ことペルちゃん、レーナちゃん、ハッゲさん、エリスさんがお休みか~。エリスさんは腰かぁ~~……。お大事に~……。そして皆仕事とか片付けとか、大変そうだなぁ~……。片付け中に怪我とかしませんように。


「…………んふっ」


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『??? ~~~♡♡』

「かわい…………っ♡」

「可愛いですね……っ!」

『(*´ω`*)』

『わうっ!!』

「か、か、可愛い……っ!!!」


 どうしよう、ちびバビロンちゃんもの凄く、もの凄く可愛いよ……。可愛いね? 可愛いよ……? 何処にでも連れていきたいのに、ルーム内でしか活動出来ないんだよね……。ギルドルームから外に出ようとすると見えない壁が出来て、それを不思議そうにてちてちって叩くちびバビロンちゃんの可愛いこと可愛いこと、心臓が7個ぐらい消し飛んだね。はー無理、8個目消し飛びそう。消し飛んだ。


『…………っ。…………Zzz』

「あ……」

「さつりくしゃーちのちっちゃい人形を抱っこして、寝ちゃいましたね……」

「奥のお部屋で眠ってて貰おう……。よいしょ、軽っ……!」

「ご飯も置いておきませんと」

『わうわう (ご飯は大事)』

『(*´ω`*)』


 ちびバビロンちゃんが起きた時にお腹すいたりしてたら可哀想だし、おやつ系のアイテムとか、あっ前に貰った、多分おさかなのソーセージとかも置いていってあげよう。言葉とか書いてあることはちゃんと理解出来てたし、『お腹すいたら食べてね、リンネより』って書いておけばいいかな……。今度、ちびバビロンちゃんのための小さいお家とか小さい家具を揃えてあげないと……!


「小さい家具が欲しい……」

「このホテルの売店に売って居ましたよ?」

『わうわう (おやつも売ってた!)』

「…………食いしん坊組、ナイス情報だよっ」


 買ってこよ、絶対買ってくる。買う。お金はまだ5,000万弱ぐらいあるんだ、幾らでもつかっちゃる……!!!!!




◆ その後暫くして…… ◆




「ふっふ~ん♪ あれ……? あ~……なるほどね、ペルちゃん達は今日無理なのか~」


 ご飯とお風呂が終わって、さてやるかーってログインして来たらペルちゃん達は休みなのか~。あ、リンネちゃんソロ状態じゃん。僕と一緒にどこか行こーって言ったら、どこかに一緒に行けるかな? ん、あれ? あの部屋ってドアにあんな看板付いてたっけ? えーっと……ん? ちびバビロンちゃんのおうち……?


「お邪魔しま~す…………わっ……」

『…………Zzz』


 ちっちゃい、バビロンちゃんがおる……!? それに何この部屋、家具がみんなちっちゃいシリーズの高級品揃いなんだけど……? ミニ高級キングベッドとかいう小さいのか大きいのか意味わからん奴に、ちっちゃいバビロンちゃん寝てるぅ……!?


「ちび、バビロンちゃん……。主人は、リンネちゃんかぁ……!」


 これ、リンネちゃんがまた何かで手に入れたやつかぁ……! なるほど、本物のバビロンちゃんではないけど、この世に一体しか居ない超高級激レアペットなわけね……。盗ろうとすると、リンネちゃんのインベントリに強制的に転送されて戻る機能とかも付いてるんだ、安心設計だ~……。いや、めっちゃ可愛い……。

 それに食べ物のゴミとか、ちゃんとリンネちゃんが『ここにゴミは捨ててね』って書いてあるところに捨ててあるし、すっごい偉いじゃん……。あれ? なんかデカい方のゴミ箱に…………ええ…………。


「なんやねん……。ちっと早く帰って来てもうて、かわええなって、撫でようとしただけやんけ……」

「…………ぶっ飛ばされたって、やつ……?」

「……せやな」


 デカい方のゴミ箱に、レイジがぶちこまれてるんだけど……。そうか、ちびバビロンちゃんに負けたか……。そしてゴミを捨てるっていう動作をきっちりやってくれたのね……。


「既にしっかり、躾がされてるんだねぇ……」

「なんっちゅう躾の仕方しとんねん……」

「まあまあ、とりあえずさ、こんばんは」

「おん……。おばんどす」


 いやぁ~……。可愛くって、強さもきっちりペット界の魔神クラスの強さがあるのね……。説明文を見るに、シークレットレアリティでこのギルドルームの外には出られないみたいだけど……。他所に情報が漏れないから、まあ良いか~。


「レイジ~。それで、リンネちゃん達は~?」

「ああ、氷の宮殿に行くって書き置きがロビーにあったで。見てへん?」

「見てなかった~……ね、うるさくて起きちゃうかもしれないし、ロビー行こ~」

「おん、せやな……」


 リンネちゃん達はルテオラに向かったか~。氷の宮殿、僕たちも行ったことないんだよね~。どれどれ、じゃあエリスが……あ~エリスはぎっくり腰か~。レイジと僕と、後誰か来たら行こっかな。後はそう! ドラゴン討伐、週一までの報酬ももらってないし。水曜日の5:59でリセットだから今日明日には行きたいな~。


『…………Zzz♡』

「幸せそうに寝てる……。寝ててもハートマーク出てきてる……無限に見てそうだからロビー移ろう……」

「ほんまかわええなぁ。どこで手に入ったんやろ」

「あ、ほら~。レイジこそちゃんと書き置き見てないじゃ~ん」

「あん? ああ、カジノのコイン10M枚のやつがこれやって……後はカレンちゃんとティスティスちゃんもあるかもしれないって書いとるなぁ……」

「全員揃えたい欲しかない……」


 カジノの10M枚のシークレット商品、これなのかぁ……!!! 是非後2点、ちびカレンちゃんとちびティスティスちゃんも揃えたいよね~。あ、今度から暇な時カジノ行こうっかな~? 僕、音ゲーとか身体動かすの得意だし、スタイリッシュアクションフィッシングがやりたいな~。今度いこーっと。


「それにしても、リンネちゃんあの格好で寒そうだよね」

「どんちゃんに包まってぬくぬくしとるやろ~。リアちゃんと千代ちゃんのほうが寒そうやわ」

「あれ、千代ちゃん呼びになったんだ? 師匠じゃなくて」

「師匠より千代ちゃんって、対等に呼んで欲しいらしいで。他の皆にも千代ちゃんって呼ばれたい言うとったで」

「ほえ~。じゃあ今度から千代ちゃんって気軽に呼ぼーっと」

「おん、ええな」


 リンネちゃん達も色々頑張ってるんだし、僕も頑張らないと~。じゃあまずは……。皆がログインしてくるまでカジノに行こうかな……。


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