ギルドルームでお喋り
◆ 魔神殿・ギルドルーム【ロビー】 ◆
「いやぁ~事前情報なしでアレは絶対死ぬ。アレは酷いわ~」
「ですよね、アレ酷いですよねぇ!」
ギルドに帰ってきたらお昼寝さん達がうみのどーくつダンジョンから帰ってきてた。ちなみにレーナちゃんは0時になった途端に『やっぱり、いつもの時間になると、無理。おやすみ、またね』ってログアウトしてお布団に直行しちゃった。いつもの時間にいつも通り寝る、大事ですね……! クックさんの容姿については、寝る時に思い出さないことをお祈りいたします……。
それで何が酷いって、グレートホエール号の初見一発目のクリムゾンブラスターの話! アレは本当に酷い。こっちが『うわ~~~でっかぁ~~~』って見上げてる時に『いらっしゃいませ~死ね!』とばかりに即死極太ビームを発射して来る。初見では普通に対応困難よ。まずは全員散ってビームの着弾地点から離れるか、バリア系のスキルとかで回避しなきゃいけないとか、わかるかって。
「それで、どうやって回避したんですか!?」
「お昼寝の黄金障壁盾は3秒間1ダメージしか食らわない上に発動中は完全に状態異常無効なんだ。それを2連続で発動して5秒耐えて、後は俺がフライ返しホームランでグレートホエールの上までレイジを飛ばして、バラした」
「おうワイの活躍を『バラした』で済ますなハゲェ!!!」
凄いなぁ、お昼寝さん達はゴリ押しかぁ……! 事前にやってくる攻撃の情報を知ってるから出来る行動だよね、初見の時は散々なことをやらかしたなぁ~……。また明日辺りにでもシャチ狩りついでに行かないと。ねーさんとローラちゃん、それにおにーちゃんと千代さんのレベリングも実は半端だからね。えーっと全員のレベルを今のうちに確認しておこう。
どん太がレベル47……あっ! 上限50だから進化近いかも! リアちゃんがレベル37、上限は75だからまだまだだね。おにーちゃんがレベル18で25上限、こっちも進化かぁ……。千代ちゃんがレベル10で千代ちゃんだけ仮上限ってのが75って書いてある……? 一応上限なしみたいだけど。ねーさんがレベル5で上限50、ローラちゃんが1で上限なしね、んぉ~~~何処まで上がるかなぁ!
あ、ちなみに私はレベル81。上がっても差がないから、私はまあ良いでしょ。
「凄いよ~レイジ、火力おばけだよ~~」
「エリスちゃんのバフ付きとは言え、100k超えが出せるのは凄いよねぇ~」
「え、100k超えは凄い」
「凄いやろ~?! 合計1.5Mはダメージ出したんやで! それをバラしたで済ますんやで、このハゲ!!」
「おう!」
ひえ~……レイジさん、いつの間にか鬼火力になってる……。どうやったらそんな合計1.5Mなんて超火力が出せるんですか……。
「せや、全員覚醒して職業名が上位のモンになったで! ワイは夜叉やな!」
「俺はそもそも料理の魔人だったからな、変わってねえ」
「エリスちゃんは元々シャドウダンサーで、今はナイトメアで~す」
「僕は
あ、全員上位職になってる……。お昼寝さんは超毒だっけ、機械に効かなかったのかな。今度は酸も扱えるらしいから、機械にも対抗できそうですねぇ!
レイジさんは、夜叉か~。段々と千代ちゃんの職に近づいてるのかな? エリスさんはよく見ると影分身みたいな、どん太のドッペルと同じ分身体みたいなのが薄っすら居るような気がする! なるほど、全員上位職になって更に強くなっちゃったんですね……! 皆職業教えてくれたし、私もいつまでもギルドメンバーに内緒にしてるのもアレだし、というか薄々気がついてるだろうし!? 言っちゃおうか!
「ちなみに私は
「は? はぁ!?」
「テイマー系だとは思ってたが、なるほど……」
「え、待って、ネクロマンサーって、死体を操る系のやつ?」
「今ね、僕ね~。全てに納得した気がする~……」
「どん太も、リアちゃんも、千代ちゃんも、このフルアーマーの騎士も、トルネーダ船長も、ローレライちゃんも、全員元々死体ですね」
「う、嘘やん……。あんなに可愛いどんちゃんが……。元々死体やなんて……!?」
「まあ今も可愛いから良いんじゃねえ? というかアンデッドにしては全員自由奔放だな……そこの、騎士さん以外」
『(*´ω`*)』
「あ、ちなみにフリオニールさんは中空洞です」
『/(^o^)\』
「頭、取れよったぁ!?」
「うっそぉぉぉ…………ほわ~~~…………」
「マジかよ。すげえ、クールだな」
「ひょぇ~~~~……本当にネクロマンサーなんだぁぁ……!?」
あ、なんだろう。今まで隠し事をしてた後ろめたさみたいなのが、すーーーっと無くなった……。まあでも、ここまで揃えるまでに暴露してたら大変なことになってただろうからね。今はバレても問題ないぐらい戦力が揃ったから。私一人でほぼフルパーティ状態だからね、凄いよね……!
それにしてもおにーちゃん、頭取っただけで大ウケじゃん。良かったねぇ!?
「どんちゃんって、もとからあんなに大きい死体だったの?」
「あれはターラッシュの近くで一番最初に従者にしたアンデッドですね~。元から一回り大きいウルフで、それのレア種でした」
「あ~~さすらいウルフや! ターラッシュのエリアボスやでそれ!」
「えっ……あいつ、エリアボスだったんだ……」
「は~~今もしかしてなんだけど、わかっちゃったよ
「確か、そうでしたね……!」
「うわぁ、明日から暇さえあれば狩りに行きたい……でも見られたらさすらいウルフに何かあるってすぐバレる……どうしよ……やめとこ」
「アレが進化すると、どんちゃんになるんだぁ!」
「何回進化したらあんなでっかくなるんや……」
「それで、他は?! ここまで来たら全員知りてえぜ」
おお、ハッゲさんが興奮気味なの初めて見たかも。この人いつも腕組仁王立ちで不敵に笑うマッチョマンって印象だったから、こういう反応もするんだーってちょっと新鮮な気分……! そうそう、なんでカミングアウトしたかって言うと、リアちゃんのことを話しておきたかったからなんだよね。遅かれ早かれなんとなくバレるだろうから、じゃあ今このメンバーが全員集まってる内にと思って。
「ターラッシュの南の森で、謎の白骨死体ってサブクエあったの知ってますか?」
「ああ、手がかり全くなくてよくわかんねえやつな」
「数日前からクエスト発生しなくなったって聞いた~。僕のクエスト欄からも消えてたやつ~」
「あ! その白骨死体、起こした!?」
「ほんなら時系列的に、あの時どんちゃんと一緒におったんは、リアちゃんやないかい!」
「そうなんです。リアちゃん、最初はスケルトンから始まって……。肉を付けるのに進化させたらゾンビになったんですけど、使った肉がドラゴンの肉だったのが悪くて火を吐いちゃって喉が焼けて、再度進化させたのがあの時ギルドハウスに来たリアちゃんですね!」
「はぁぇぇえ~~…………。スケルトンの内にギルドハウス来てたら、ネクロマンサーって一発でバレてたやろなぁ」
「近くに異端審問官もウロウロしてたしね~。絶対殺られてたよ~」
「死霊絶対許さないマンみたいなのいっぱいだもんね」
「それで、リアちゃんを起こしてクエスト進んだんだろ? 何がどうなったんだ?」
「あ、それがカミングアウトした本題なんですけど……」
「「「「聞きたい(ぜ)」」」」
おおっ……。めっちゃ皆食いついてくる……! お昼寝さんとエリスさん、さつりくしゃーちのぬいぐるみからいつの間にか降りてテーブル席の方に来てるっ……!? 滅茶苦茶興味津々ですね!?
「リアちゃん、実はステラヴェルチェ王国のお姫様だったんですよ」
「…………はあ!?」
「マジかよ」
「今まで散々吸ってたの……。お姫様……!? ロリっ子でプリンセスで、魔女っ娘……!? 摂取できる栄養素が多すぎる!」
「エリスちょっと黙ってて」
「むぎゅ――」
「そ、それで?」
あ、エリスさんがお昼寝さんに口を塞がれちゃった……。う、うん。このままだと暴走してそれどころじゃなくなりそうですもんね。
「まずステラヴェルチェって砂漠の国なんですけど、これを建てた初代女王がエキドナっていうお方で下の階にいらっしゃるお方なんですね」
「ああ、おったなぁ……」
「居たなぁ……」
「アレって本当に本人なんだ~」
「そのエキドナさんの魔女の力を継承したのが当時のエキドナさんの末娘で、その末娘さんの末裔がリアちゃんみたいなんです」
「は~。あのぶっ飛んだ魔術にもなんや納得やな」
「なるほどな……」
「ほえ~……」
ここまでの話だと『へ~そうなんだ~』ぐらいにしかならないんだけどね、多分この先の話を聞いたら皆、怒るだろうなぁ~……。
「そんなリアちゃんは幼い頃に母を亡くして、兄姉からは存在を疎まれて、王宮内に居場所がなくなっちゃったんですね。リアちゃんが居場所を探して辿り着いたのが王宮の地下の封印の間ってところで、ここは特定の人物しか入れない霊廟みたいなところだったんです。そこでエキドナさんの亡霊に会って、気に入られて、可愛がられて、身を守る術として魔術を教えてもらってたんです」
「あんないい子が兄姉から疎まれとったなんて、ほんまそいつら人間か?」
「一応だが、王位継承権を持った妹なんだ。敵には違いねえから仕方ねえかもなぁ……だがなぁ……」
「あ、なんか胸糞悪い展開の予感が僕はしてきましたね」
この時点で兄姉にヘイトが行ってるもん、この後の話を続けたら、キレそう……キレるだろうなぁ……。
「そんな生活を数年送ってたある日、リアちゃんがいつも通りに封印の間でエキドナさんと話をしてたらリアちゃん以外に封印の間に入ってくる奴が現れたんです。それが長兄のカシュパ、カシュパは過去のステラヴェルチェに甚大な被害を齎した生命を喰らう大蛇っていう存在の力をなにかの拍子に一部手に入れて、その蛇を撃退したエキドナさんの力も得ようと封印の間から復活の儀式の書とか、大蛇の力を更に強める装備とかを持ち出したんです」
「ああほんまや、もう嫌な感じや」
「リアちゃんは既にエキドナさんから王家の首飾りを……あ、これです」
「は!? リンネちゃんが着けとるんかい!」
「でけえ宝石のネックレスだなとは思ってたが……」
「それがリンネちゃんの首にあるということは、カシュパはまだエキドナさんの力は手に入れてないんだねぇ~……」
「~~~~っっっ!!」
んーエリスさんがなにか言いたそうだけど、リアちゃんへのセクハラ発言しか飛び出してこなさそうなのでそのままお昼寝さんに口を塞がれておいてください……。
「でもカシュパはアホだったんで儀式の書が読めなかったんですね。そこで弟のディティリッヒに解読を任せた結果、その弟がリアちゃんの王家の首飾りを強奪すれば自分が先に力を得られると抜け駆けをしようとしてリアちゃんに挑んで、あっさりと返り討ちにされたんです。でもその現場をカシュパや姉二人に見られてしまって、兄殺しの罪として追われる身に。リアちゃんを慕う数人の護衛と共になんとか逃げ出したものの、大蛇の力を得たカシュパの追跡を振り切れずにあの森で毒殺された……でもリアちゃんはターラッシュに寄った時に派手な宝石が付いた腕輪を目眩ましに買っていて、死ぬ間際に王家の首飾りは地面に埋めて、カシュパは腕輪を持ち去って砂漠へ帰った……未だにカシュパは完全な力を得ていないので、殺すなら今って感じですね~」
「あのクエスト、そんなにストーリーが発展するんかいな……」
「本来は王家の首飾りの方を掘り起こして、そこからストーリーが繋がるんだろうけどな」
「本人を復活させるルートになっちゃったわけねぇ~」
「だが、儀式の書が残ってれば誰かに解読させりゃあ首飾りの存在もわかるだろ。なんで腕輪持ってったんだ?」
「あ、これです」
「「「それもあるのか……」」」
なんか私、『はい完成したものがこちらになりま~す』みたいなクッキング番組の進行みたいになってない……? ぽんぽんと重要アイテムを取り出してる気がするんですけど……?
「リアちゃんが兄を殺した時に、一緒にずたずたに切り裂かれたみたいで。一部しか復元できなかったみたいなんです。さっき王宮に忍び込んでこれ盗んできました」
「自分、えらい手癖悪いなぁ!?」
「ステラヴェルチェ王都に辿り着いたのはポータルが使えるようになってたからわかってたが、王宮内部にも入ったのか。中はどんな状態だったんだ?」
「まずステラヴェルチェ王都は住人NPC全員がカシュパに生命を奪われてアンデッド化してます。王宮には直近の配下と一部の商人は生かされて豪華な生活を送っているようです。それとリアちゃんの姉二人とカシュパも王宮にいます。カシュパは現在儀式によって力を得る方法を探っている状態、それと大蛇が現れた大穴の奥に力の根源があると推測して大穴をアンデッド化させた住人に掘らせています。リアちゃんは明日王宮を火の海に沈めるそうなので、明日の午後にでも滅ぼしに行こうかなと」
「ワイも行くわ! 絶対おもろいで!」
「姉二人は殺しちまって良いのか?」
「良いそうです。あ、でも出来れば住人NPCだけは殺さないでおいて欲しいかなぁって」
「ん、了解~。住人は弔ってあげたいもんねぇ」
「そう、ですね」
「俺も行くか。やっぱ狩りは面白え、クックさんの手伝いは午後抜きにさせて貰うか」
「ぷはぁ!! エリスちゃんも、いきまぁす!」
「僕も行くよ~。じゃあ明日の予定は、午前中にうみのどーくつダンジョンに行って~、ちょっとのんびりしてから、ステラヴェルチェ殲滅戦だぁ!」
明日も充実した一日になりそうだなぁ~……。あ、そういえばお昼寝さん達って廃教会の裏ダンジョン知らないっか、それも教えちゃお。
「そういえば廃教会の裏ダンジョンなんですけど」
「「「「は??」」」」
「あっ、ネタバレなんですけど、大丈夫ですか……?」
「「「「言いな」」」」
「は、はい……」
うお、凄い圧……ッッッ!!! 教えなかったらぶっ殺すぐらいの、圧……ッッ!!! ダンジョンの情報は共有しようがルールですもんね……!!
「1階でドゲルを倒したら、封じられた教会のクリア報酬を廃棄して裏ダンジョンの『禁じられた聖域』に行けるんです」
「あそこ裏ダンジョンあったんかい……。ドゲルが逃げる前やから、天使とゾンビガン無視やなぁ」
「今のレベルなら楽勝に無視出来んだろ」
「確かに~! 最初っからバフもりもりでぶっ飛ばせば良いよね~」
「それで、禁じられた聖域の内容!! 僕は知りたいですっ!」
「禁じられた聖域の敵は全部、人間と機械と天使を融合した機械系モンスターで構成されてます。制限時間が20分で、最初は2体だったかな……銃持ちでした。それを抜けると銃持ち2体と剣とハンマー持ちの4体構成、最後は銃持ち5体と四本腕の特殊変異体が1体で、切れ間なく攻撃して来ます」
「なんとか押しきれそうっちゃ押しきれそうか……?」
「制限時間に焦って判断ミスが出そうやなぁ」
「ちなみにレベルがかなり高くて、最低でもレベル75だったはずです。最後はレベル100超えてました」
「ひぇ~~……あ、まっさつしゃーちも超えてたね」
「超えてたね~。でも機械系だからHP高そ~」
そういえばさっきの話で、お昼寝さん達もまっさつしゃーちを倒したらしい! 報酬は虹が4個、全部【ボスカードバインダー】だったんだって! せーのっで全員開けたら、ゴブリンリーダーとかオークリーダーとかゴブリンキング、そんなのだったらしい……。どれもHPが上がるだけのハズレボスカード感が凄かったらしい。
ちなみにお昼寝さんだけ体用のカードの【爆進するマンモスエンペラー】ってカードを引いたらしい。効果は驚きの【常時ハイパーアーマー】【スキル、皇帝の爆進が使用可能】【行動不能系状態異常無効】と、とにかく『止まらない』の能力を集めた神カードを引き当てちゃったらしい。この人の運、ぶっ壊れてない? 凄いんですけど。
「最後のボスは2体で、サイボーグ化したドゲルと、機械化して復活したドゲルの恋人ですね。ドゲルの恋人の方が【ガンハザード】っていう凶悪スキル持ちで、クールが物凄く短い一斉射撃スキルを使ってきます。遠距離攻撃と直接攻撃属性の爆撃を混ぜてくるんで、受け切るにはかなり耐久力が要ると思います。ドゲルは基本的に恋人のサポートで、一定ダメージまで無効化するバリアを張ったり、そのバリアを著しく強化したり、ショットガンも持ってましたね。こっちは攻撃が通ればそこまでHP高くなかったはずなんで、バラすのは結構余裕でした」
「恋人の方は、硬いんか?」
「すっごい硬かったです。300万までは無いはずですけど、250万よりは多かったはずです」
「かったいなぁ!? 最大バフまで積んで、覚醒スキルまで撃てばなんとかなりそうやなぁ……」
「そっちはレイジとハッゲの仕事だわ~」
「おう。ぶっちゃけぶった斬り包丁もう要らねえかもしれねえ……まあ、打撃通らない相手用か」
「倒した状態によって、最後の報酬が変わるみたいです。私達はドゲルと恋人を復活させてからぶっ殺すっていうDエンドで終わりました」
「どうやったらそんな外道行為が出来るんや!?」
「おおう……。わざわざアンデッド化して起こして、殺したのか……」
「よっぽどだよそれ、そこまで憎たらしかったかぁ~……」
あいつら私のこと恋のキューピッドとか呼んだからね。殺されて当然なんだわ。今度からは速攻でぶっ飛ばして終わりにしよ……。
「撃破条件で変わる報酬、かぁ~。面白いなぁこのゲーム……」
「ほな、明日朝にそれやって、うみのどーくつ行かへんか?」
「いいぜ。明日は仕事がねえからな」
「エリスちゃんもいきまーす。7時?」
「7時なら僕もう寝ないと、眠くて起きれないよぉ~……あ、リンネちゃんは?」
「私はどん太達を連れて行くとその時点で7人パーティなので……」
「パーティメンバーにカウントされるんかい!」
「じゃあ、ペルセウスと一緒に行く感じか? レーナはこっちで連れて行くか?」
「レーナちゃんとペルちゃんがどっちの便で行きたいかですかねぇ~」
「そういえば、どんちゃん達が他のパーティに入ることって無理なの?」
…………どん太達の、貸出。死体安置所に入らない可能性があるから、ちょっと怖いなぁ。ああ、でも葬儀屋NPCから死体安置所借りられるんだっけ……? それに入れて貰えば、なんとか……。なるかな?
「どうでしょう、試したことないんで……。それに死んだ時に私の死体安置所に入るんですけど、それが作動するかも怪しいんで……」
「ほえ~ネクロマンサーって死体安置所をそうやって使うんだ、葬儀屋から借りてるの1個じゃ大変じゃない?」
「あ、私10個あるんで」
「「「「10個」」」」
「は、はい……。ネクロマンサーのスキルなんで、死体安置所は……」
「え、ずるい」
「それええなぁ……。でもワイは自分で戦う方が好きやからなぁ……」
「俺も向かなそうだな」
「僕も~。というか維持費がヤバいよね、冷静に考えて。それにダークマンサーでも触媒が必要なんだからさ、ネクロマンサーなんて触媒! 触媒! 死体維持費! レベリング! 費用! 費用! 費用! みたいな感じになりそうじゃない? 普通だと」
「あ~~なりそ~~~……どんちゃん、よく食べるもんねぇ」
「各従者の装備更新、食費、死んじまったら復活に使う触媒の費用、他にも色々と金がかかりそうだなぁ……」
「アカン、ワイ絶対管理できん! 羨ましい思ったんが間違いや、そんなん無理や!」
「実際装備更新結構、PKで賄ってるところがあるかも」
「それは賄ってるって言ってええんかぁ!?」
「なんか、別ゲーしてる感が凄い……!」
「いやぁ~リンネちゃん完全に別ゲーしてるよ、間違いなく……」
「本当に同じメルティスオンラインやってるか?」
「バビロンオンラインやってます……」
「エリスちゃんもそれやりたいですぅぅ!!!」
「僕もそのタイトルのほうがしっくり来るよ最近は」
「だな!」
「ワイもメルティス要素がないなぁとは思っとった!」
だよねだよね、もうメルティスオンラインじゃなくてバビロンオンラインやってるよね! やっぱアレよ、改名して貰わないとなりませんねぇ、バビロンオンラインに……!
「ごきげんよう~……皆様、まだ起きてらっしゃったのね~……」
「あれ、ペルちゃんスッゴイ元気ないけど……」
「やっほー」
「よう!」
「なんや元気あらへんなぁ!」
「ちゃお~」
「はぁ~……。マグナさんに雑すぎる、センスがないと怒られましたわぁ~……」
「マグナって言うと、禁忌の技術者ってNPCか」
「そうですわ~……」
あ、プリンセスペルセウスちゃんが……。いやこれはしょんぼりペルセウスちゃんだわ。マグナっていうNPCにボロクソ言われて来たみたいだね……。何があったのやら……。
「このメタルハートと、バタフライメモリーを見せたら、機械生命体でも作る気か? なら教えてやらんでもないって言われたのですけれど……」
「とんでもなく難しかったのね……」
「そうですの~……あ! 明日教会に行きませんこと!?」
「さっきその話してたの。2パーティに別れて行くんだけど、ペルちゃんとレーナちゃんどっちか私のパーティに入ってダンジョン行く? 朝の7時から予定なんだけど」
「行きますッ!!! 早いもの勝ちですわ! レーナさんは、一緒に行きたいですけれど……」
「そう、私がなんと7人パーティなんですね~」
「増えましたわねぇ……」
「じゃあレーナはうちのほうで連れてくか。レーナが行きたいって言えばだけどな」
「行くっしょ~」
「ほな大体決まりやな! ワイはもう寝とくで! あ、フレ送ってええか?!」
「あ、いいですよっ!」
『レイジからフレンド申請が届きました』
『お昼寝大好きからフレンド申請が届きました』
んんっ!?
『エリス・マーガレットからフレンド申請が届きました』
『ハッゲからフレンド申請が届きました』
皆便乗して送ってきたねぇ!? よし、全部許可許可許可許可っと……! わあ、わあああ……! 現実よりお友達が多いよぉ……!! 嬉しいね!!!
「よよよ、よろしくおねがいしますっ……!」
「僕も送っちゃった~! 許可してくれてありがと~!」
「やった、リンネちゃんとフレになれたっ!」
「俺もちゃっかり送ったぜ。よろしく! 許可してくれてありがとうな!」
「フレンドが増えて、嬉しいです!!!」
「サンキュな! ほなワイは寝るで、また明日!」
「乙~」
「おう、またな」
「また~」
「お疲れ様でした~」
「御機嫌よう~! わたくしもショックが強いので寝ますっ!!! 皆様また明日~!」
『レイジがログアウトしました』
『ペルセウスがログアウトしました』
あ、ペルちゃんも落ちちゃった。じゃあ私も落ちようか、明日の7時だから……6時ぐらいに起きておけばいいかな? ねーさんとローラちゃんも、その頃には復活してる、はず……ギリギリ。
「私も落ちますね。また明日です」
「おう、俺らも寝るぜ」
「エリスちゃんも~またね~」
「いっぱいお喋り出来て楽しかったよ~。またねー僕も今日も落ちて寝よう……」
よし、じゃあおやすみなさい! ログアウト、ログアウトっと……。
『ログアウト処理中です……干渉――――またね、イカれ女~! まいほーむ嬉しい♡ ありがとね~♡』
ア゛ッ゛!!! いい夢見れる!!!!!!!!!
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