ぶっちぎりでイカれた女・2

◆ 貿易都市ローレイ・破壊された教会内部 ◆


「再臨の時は近い!!」

「霊廟に近づけるな!! 時間を稼――――うわああああああああああ!!!!!!!!」

『【死体安置所・8】から【堕落した戦闘神官ジーナ】を発射しました』

「塵と消えよ、死霊爆発」

『【堕落した戦闘神官ジーナ】が爆発しました!!!』

『【堕落した歴戦の異端審問官フォウ(Lv,69)が47,779ダメージを受け、死亡しました』

『【堕落した歴戦の異端審問官ズーラー(Lv,67)が46,512ダメージを受け、死亡しました』

『【堕落した歴戦の異端審問官コグモー(Lv,66)が47,533ダメージを受け、死亡しました』

『【死体安置所・8】に【堕落した歴戦の異端審問官フォウ】を納棺しました』


 いやー湧いてくる湧いてくる、私の爆弾の材料がいくらでも湧いてくる。束で来れば勝てると思ってる連中を一撃でふっ飛ばすのは楽しいなぁ……。時間稼ぎにならないで死んでいくのは、さぞかし悔しいでしょうねぇ~……。


「……容赦、ありませんね!」

「敵に情けは無用だよ~。海賊と共謀してこの街の人間を苦しめた奴らがのうのうと生きてるほうが、私は耐えられないね~」

「昔を思い出しまする……。情け容赦無く敵を切り伏せ、滅ぼす、愉悦ッッッ!!!」

「おのれぇええええええ!!!!!」

『姫千代が【一刀断鉄】を発動、即死!!! 堕落した歴戦の異端審問官クレス(Lv,68)の首を刎ねました!』

「――――…………」


 いやー無双無双。向かう所敵なしなんじゃない? 離れて攻めあぐねてたら死体投棄からの死霊爆発、近寄ってきたら千代ちゃんがバッサリ。そんでああやってさ、通路の曲がり角になると来るんだよ。


「今だ!! 撃て!!!」

「死ね、異端者共!!!」

「我々のローレイを守るのだ!!!」


 ほら来た、クロスボウ持ちの遠距離部隊。これで蜂の巣にしてやる、トドメだーとばかりに意気揚々と撃ってくるけどね?


「あらあら、あらあらあらあら!! 全然効きませんわ~!!!」

「な、なんで……」

「化け物……!」

「第二射、第二射構え!!!」


 ペルちゃんが突っ込んで来たら、先頭のペルちゃんを狙わないとペルちゃんに近寄られてバッサバッサ斬られるから撃たないとならないわけで。事前情報無しにペルちゃんと対峙すると、やっぱりこれが一番怖いね……。用意した遠距離攻撃、全部無効化されちゃうもんねー。あ、10人超えの経験値1獲得メッセージが流れてもうるさいだけだし、ここはメッセージカットしておこう。クロスボウ持ちはレベル低いから、爆弾にしても弱いしね。


「さあ行きますわよ、行きますわよ~~~!!!」

『ペルセウスが【乙女の突撃】を発動しました』

「がっっっ……!? っは……っ……」

「ほおら、逃げ惑いなさいな!!!」

『ペルセウスが【魔双剣・カラミティウェイブ】を発動しました』

「うわああああああああ!!!!!」

「お、落ち着け、かかかか、構え、構え……!!」

「ぁ――――」


 ペルちゃんに突撃されて先頭の大盾持ちがふっとばされて、後衛に対して双剣で二方向にカラミティウェイブ。全員当たって、ものの見事に麻痺、恐怖、発狂!! 即死が入った奴も居るかな? レベル差があると即死とか発動しやすいのかな?


「邪魔ですわよ」

『ペルセウスが【処刑掴み】を発動しました』

「や、め――――」

『ペルセウスのPPが1回復しました』


 麻痺って動けないのは処刑掴みでPP回収されて、まだ動けるやつはクロスボウを撃つけど効果なし。もうどうしようもないね~これは。短時間で10発殴れて大ダメージ与えられるような奴が出てこないと、対抗策ないよ~。


『ペルセウスが【アサシネーション】を受けました。【ペネトレイト・9】』

「なぜだ……。完璧に、首を――――がぁあああ!!?」

「あらあら、惜しかったですわね!」


 わ、隠れてるヤツが居た。暗殺者っぽいやつも居るんだ……。ここだけ詳しいバトルログ見たいかな!


『ペルセウスが【処刑掴み】を発動、暗殺者・黒い影のカドゥ(Lv,80)に14,557ダメージを与えました。PPが1回復しました』

「あら? 随分と硬かったですわね? 離してしまったのは失敗だったかしら……」

「死ななければ、まだ活路はある……!!!」

『暗殺者・黒い影のカドゥ(Lv,80)が【トルネードスラッシュ】を発動、ペルセウスが【ペネトレイト・3】に減少しました』


 おー。ペルちゃんに一矢報いそう、回転しながら滅多斬りにするスキルかな? でも効いてないと思ってそこで手を止めたのは大失敗だわ。


「はい、お終いですわ!」

『ペルセウスが【魔双剣・ハイパースラッシュ】を発動しました』

「化け……物……」

『暗殺者・黒い影のカドゥ(Lv,80)が合計20,557ダメージを受け、死亡しました。経験値 350,000 獲得』


 惜しかった。もうちょっとでペネトレイト剥がせたのにね~。でもアイギスの準備はしてただろうし、どの道勝ち目はなかったかな? それよりこいつ、経験値入った! さすがレベル80! 多分だけど、ボス以外でレベル差がマイナス11以上になると経験値が1になっちゃうのかな? 今こっちがレベル81で、上に居たレベル70の異端審問官副長が経験値1だったし、あの時封じられた教会で倒したボスの堕ちた神官・ドゲルもレベル70だったけど経験値入ったし……あれでも中途半端な数字だったような? ボスは経験値減衰はあるけど、経験値が入る感じかな? それともボスはレベル差が大きく開いても経験値が貰える? レベル82以上になったらまた行って確かめれば良いかな~?


「経験値入った。お前は良いやつだ……」

「いいヤツの基準が経験値ですの?! アイギス!!」

『ペルセウスが【魔盾アイギス】を発動、【ペネトレイト・10】状態になりました』

「この雑魚死体と交換しよ~」

『【死体安置所・9】から【堕落した戦闘神官グラント】を発射しました』

「塵と消えよ、死霊爆発!」

『【堕落した戦闘神官グラント】が爆発しました!!!』


 よし、とりあえずこの経験値が入った暗殺者の死体と、雑魚神官の死体を交換しておこ。どうせだから爆発しとけ~。


『暗殺者・黒い影のシド(Lv,80)が45,533ダメージを受け、死亡しました。経験値 350,000 獲得』

『暗殺者・黒い影のジーン(Lv,80)が46,691ダメージを受け、死亡しました。経験値 350,000 獲得』


 あ…………。なんかごめん。見どころも無く死んじゃったね……? でもまた新しい爆弾の素材が!! 納棺納棺……あ~枠が~~~!!!


「え、まだ居ましたのね……。出て来ない内に死ぬとは……」

「暗殺に長けた者のようですね。そこそこの腕はあるようで」

「えいっ」

『【死体安置所・6】から【堕落した異端審問官ナウダ】を発射しました』

『【死体安置所・10】から【堕落した戦闘神官メターマ】を発射しました』

「あっ?!」

「まだ投げますの?!」

「塵と消えよ、死霊爆発!」

『【堕落した異端審問官ナウダ】が爆発しました!!!』

『【堕落した戦闘神官メターマ】が爆発しました!!!』


 おおおーーーー同時に爆発させることも出来るんだ! すっごいすっごい! めっちゃ使い勝手いいじゃんこの死霊術! 私これお気に入りになるかも!!


『暗殺者・黒い影のミファ(Lv,85)が45,014ダメージを受け、死亡しました。経験値 550,000 獲得』

『暗殺者・黒い影のラファ(Lv,85)が44,889ダメージを受け、死亡しました。経験値 550,000 獲得』

『暗殺者・黒い影の長ゾーラースーン(Lv,90)が合計99,143ダメージを受け、死亡しました。経験値 900,000 獲得』

『姫千代がレベル10に上昇しました』


 あ…………。あ~。なんだ、その。え~っとね。逃げなかったのが悪いね……。これが何回も何回も出来る魔術じゃないとか、そんなこと思ってタイミングを見計らってたのかな~……曲がり角の向こう側で……。


『【死体安置所・6】に【暗殺者・黒い影のミファ】を納棺しました』

『【死体安置所・9】に【暗殺者・黒い影のラファ】を納棺しました』

『【死体安置所・10】に【暗殺者・黒い影の長ゾーラースーン】を納棺しました』

「…………よし、行ってみよ~~!!!」

「今のどこによし・・の要素がありましたの?!」

「良い敵が死ぬのは良いことだよ! よしっ!!!」

「もうこれらの気配は感じませんから、よしっ、ですね!! 行きましょうリンネ殿、ペルセウス殿!!」

「納得行かない……! 納得行かないですわ……!」


 まあまあペルちゃん、落ち着いてくれたまえ~。それにこの先がどうも霊廟っぽいし? これだけ厳重に大人数で、しかも暗殺者とかまで配置されてるぐらいだからよっぽど来て欲しくないところでしょ! 行ってみよー地下霊廟ー! お、なんか韻を踏んだわ、いってみよーちかれいびょー、いいね!


「それではペルセウス先生! この扉を豪快に蹴破ってちょーだい!」

「納得いきませんけど、御機嫌ようーーーーー!!!!!」


 御機嫌ようーーーー!!! って言いながら扉を蹴破って入ってくる系の姫騎士、豪快過ぎるでしょ。さあさっきからコソコソと、こんな地下霊廟で何やってんだい! 見せてちょーーーだい!!!


「――――間に合ったぞ!!! さあ、復活せよ!! キャプテン・トルネーダよ!!!」

 

 私を差し置いてアンデッドの復活だとー? やらせるか、私が先だ!! アンデッドは私のものだーーー!!!


起きろ・・・

「えっ」

「あっ」

『【★キャプテン・アンデッド】がアンデッドとして復活しました』

『★キャプテン・アンデッドが貴方の従者になりました。名前を――――名前は【トルネーダ】です』

「グレーターリザレクション!!!!!」

『堕落した大司教ノーラノーラ(Lv,95)が【グレーターリザレクション】を発動しました』

『Miss……。対象が存在しません』

「あら~……これは、可哀想な予感がしますわ……」

「此方も、そう思いまする……」


 っふ……。一手、遅かったな……!


「ふわ~……。よく寝た……? あ~? なんだい、アンタ達は?」

「おお、蘇ったかキャプテン・トルネーダよ!! 我はこの都市の支配を取り戻すべく、お前を復活させた大司教! ノーラノーラであ――――アッ…………?」

『トルネーダが【ギロチンチョップ】を発動、堕落した大司教ノーラノーラ(Lv,95)の脳天をかち割りました』

「うるっっっさいねえ!! あたしは寝起きで機嫌が悪いんだよ!!!」


 え……? 手刀で、頭を、ぱっかーーーーんって……? 一発? どんなパワーしてんのこの人……っていうか、キャプテン・トルネーダって、女の人なの?! うわ、でっか! 背も、え、私より胸部装甲が立派じゃない……?! 真っ赤な長いボサボサ髪も、セクシー!!!

 それにしてもトルネーダさんのアンデッド作成に必要だった素材、こいつらが集めててくれて助かったわ~。装備品とか、受肉に必要なものとか、全部揃ってたもん! ラッキーなんてもんじゃないね! それに、何回か失敗すること見越してたのかな? まだ素材残ってる! あれ後で貰っちゃお~~!


「あ~……。頭が痛い、酒を飲みすぎたかね……」

「トルネーダさん……。ここがどこか、分かりますか……?」

「あ~……? なんだいずいぶん陰気臭い格好したお嬢様だねぇ? それもまた独特のエロさがあっていいけどねぇ……? あ? ここは、あたしの船じゃないね? なんだい、この墓場みたいな暗くてジメジメしたとこは?」


 んんん……! これはトルネーダさん、気がついてないな、自分が死んだことに!!! 結構気性が荒いお方だし、やんわり伝えないと。


「……もしかしてあたし、死んでたのかい?」

「ん~~~……。もしかしたら、そうかも……」

「もしかしなくてもそうですわね」


 あ、伝わったわぁ~……。理解能力が飛び抜けて高いわ~助かるぅ……!


「あ?! あんたはコルダ王女……!? じゃない…………ねえ……? そっくりだったんだけどねぇ……」

「え? わたくしはペルセウス! あなたを復活させた死霊術師、リンネさんのお友達ですわ!」

「ペルセウス王女ね、あいよ。あたしは泣く子も黙る海賊王、キャプテン・トルネーダさ!!! なんだい、その『え、知らない……』みたいな表情は!」


 どうしよう、知らない。とりあえず復活阻止の為に起こしちゃっただけとか言えない。あわわわ…………。


「此方は存じておりまする。お久しゅう、トルネーダ殿」

「え」

「えっ」


 え、なんで姫千代さん知ってるの? 嘘、知り合い? ええ……?


「あぁ……? ああ!!! 誰かと思えば懐かしいねえ! 国落としじゃないか!!!」

「そ、その名前は、あのっ!」

「あーあーごめんよ、姫千代なんて可愛らしい名前が付いてたねえ! あの時より随分元気そうじゃないか? じゃあ、あたしが死んでからそんなには時間も経ってないってことかねぇ!」


 あ~~~…………。多分、多分なんですけど、お会いしたの随分昔のことなんじゃないかなぁ~~~~って…………。


「およそ、300年振りで御座いますよ」

「さん……あっはは!! あたしを騙そうなんて、そうは…………これ、あたしの墓?」

「そのように御座いますね……」

「…………今、何年だい?」

「今は、メルティナ歴で言うと、1147年に御座いますね」

「322年も前じゃないかい!? 300年どころじゃないよ、あんた今何歳だい?!」

「と、歳は! その、えっと、秘密で御座います!」

「今メルティナ歴1170年でしてよ?」

「…………此方も、23年も、死に晒しておりましたようで御座います!」

「ああマズい、目眩がして来たよ……。あたし、もう一回寝て良いかい……?」


 千代ちゃん…………。少なくとも322歳オーバー確定だぁ……。その頃には国落としって呼ばれてたんだから、もっと上だぁあああ…………!!!!! 


『ナ、ゼダ……! 許セン……! 我ノ、ローレイ…………』

「頭をかち割られてまだ生きてるのかい! 大したもんだ、大司教の生命力はゴキブリ並だねぇ!」

「あっ……。一番奥のお墓、アレに用事があるから、死霊爆発はちょっと使えないんで……」

「仕方ないですわね! トルネーダさんは武器は何が得意ですの?!」

「トルネーダ殿は両手斧、二本持ちに御座います」

「「両手斧を二本?!」」

「おうさ! お、いいねえ、この紫色の戦斧! 気に入ったよ! 後一本はこのあたしの墓の隣にある、雑魚戦斧で構いやしないよ」


 おわー。今ログ見返したら本当だ、経験値入ってないわ。堕落した大司教ノーラノーラ(Lv,95)の頭をかち割りましたっては書いてあるけど、倒したとか殺したとか一切書かれてない。これはこっちのミスだなぁ……。これで死なないとか、普通思わないからね。


『ミ、ヨ……!! コレガ、我ノ授カリシ、天使ノ肉体ダァ!!!!』

『堕落した大司教ノーラノーラ(Lv,95)が変身します!!!』

『堕天使ノウラエル(Lv,100)に変身しました!!!』


 あ~。どうしよ、木端微塵に破壊したくなって来た……!!! 私が嫌いな天使の中で、いっっっっっっっっちばん嫌いな奴が出てきた!!!!! 天使のクセにこっち側にすり寄ってくるクズ、ゴミ!! 黒い天使の羽をつけただけで『堕天使で~すwww』って言い張ってくるクソカス!!! 悪魔側に近寄ってきたクセに『いやこっち天使なんで~www』って、未だに天使を名乗るゴミカス野郎がぁ…………!!!!


「あ~……。あーちゃんが一番嫌いな……」

「あたしもああいうのは嫌いだね。半端だし、何より天使ってのが気に食わない」

「天使はまともではありませぬ。話など聞く価値もありませぬので斬った方が……」

「あ、奇遇ですねぇ!! 私も天使嫌いです! おら死ね! 穿て、カーススピア!!!」

『Weak!!! 堕天使ノウラエル(Lv,100)に2,881ダメージを与えました! 呪い状態になりました』

『グァアアア……!!!』

「聖属性!」

「そんじゃあ、久々に一緒に殺ろうかい! 国落とし!!!」

「その名前で呼ばないで下さいまし!!!!」


 呪い効くよぉ!!! 呪い効いたねぇ!!! 聖属性だね聖属性!! ちゃっかりトルネーダさんに渡した戦斧、あの時出た【★バイキンアックス】だよ! それ闇属性なんですよトルネーダさん、アレに特効ですねえ!! あ、ペルちゃんも攻撃属性が無だけじゃなくて闇にも出来るんだっけ! うわっは~~~!! 特効祭りじゃ~~~!! 天使は皆殺しよ!!!


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