一歩前進

◆ リンネ、ペルセウス・うみのどーくつダンジョン【入り口】 ◆


『強敵を自動回収……。【死体安置所・4】さつりくしゃーちを納棺しました』


 さつりくしゃーち、強敵だったはずなのに……。呪いのスリップダメージで死ぬとは、哀れな奴よ……。それにしても死体安置所、強敵は空きスペースがあったら勝手に回収してくれるんだ。そういえば回収してなかったなーって思ってただけに嬉しい機能。ということは……ストーンアーマーキングスライムの時にはまだ習得してなかったのかな。あの時どん太とオーレリアちゃんがやられてたら本気で危なかったらしい。いやぁ、良かった良かった。


「……うわっ」

「どうしましたの?」

「いや、死体安置所にさつりくしゃーちを入れたんだけど」

「入りましたの?!」

「入ったけど……」


 ただ、さつりくしゃーち……。これはアンデッド作成を使えないわ。『非常に強力な存在の為、支配下に置けない可能性が高いです』って警告メッセージが出てる。レベル差、倍近くあるもんなぁ……。そりゃそうかぁ……。


「アンデッド作成で起こしたら、多分暴走する」

「あら! 起こしたら仲間になるわけではありませんのね」

「シャチと戯れてみたかったなぁ……」

「レベルが上がったら出来るかも知れませんわね」

「それまで1枠潰しておくの勿体ないし、後で使っちゃおうかな」

「そうですわね、自由に使いましょう!」

 

 さつりくしゃーち、仲間にしたかった……。シャチの鳴き声って意外と高い声で可愛いんだよね。元々殺戮者なんて名前だけど、結構可愛い見た目してるんだよ。うーん、残念……。あ、そういえば【さつりくしゃのぬいぐるみ】が出てたわ! 妥協してぬいぐるみを愛でよう!


「さてと、ギルドハウス行きのポータルを出しますわね!」

「帰ろう帰ろう~」

『わうわう~(腹減った!)』

「はわっ……。気が抜けたら、お腹が空いてきました……」

「魚介類系の食材アイテムが手に入っていますし、ハッゲさんが居たら何か作ってもらいましょう!」

「おーーー……!」

『わう~! (お料理の人! つるつる!)』

「わあ! 食べたいですっ!」


 ギルドハウスに帰って、ハッゲさんが居たら何か料理を作ってもらおう……。うわぁ、もう22時なんだ! ペルちゃんがログインしてから3時間も経ったの?! 早い、早すぎる……。そしてこの時間に食べるご飯、罪の味がする予感しかしない!!!




◆ いつものギルドハウス【3号室】にて ◆




『【?服】は【マーメイドドレス】でした』

『【?鎧】は【サメハダーアーマー】でした』

『【?本】は【海の料理人・1巻】でした』


 戻ってきたらハッゲさんがちょっと離席中だったので、先に鑑定大会。最初に3階層で拾った宝箱の中身はこんな感じ。【マーメイドドレス】が一番レアリティが高くてユニーク、これは水属性魔術の攻撃力が1.1倍になるのでオーレリアちゃんに装備させることに。【サメハダーアーマー】がレア、名前に似合わず特殊効果が無くてこれは売却リスト行き。【海の料理人・1巻】はもちろんハッゲさんにあげようって話で第一弾終了。


「さあ、第二弾ですわね!」

「4階層の宝箱の中身!」

『【?長杖】は【スタッフ・オブ・フィッシュボーン】でした』

『【?アクセサリー】は【真珠のネックレス】でした』

『【?本】は【海の料理人・2巻】でした』

「「ハッゲ(さん)、恵まれてる……!」」


 第二弾もハッゲさんが恵まれてた。また海の料理人が出てきちゃったのでハッゲさん行き。そして長杖は…………うーーーーーん!!! 魚の骨だこれ、どっからどうみても巨大な魚の骨だわ! しっかり頭と尾っぽ付きの、目がバッテンになっててなんかデフォルメされて可愛いやつ!



【スタッフ・オブ・フィッシュボーン】(最上級・ユニーク・空きスロットなし)

・水属性攻撃強化(1.15倍+0.0倍)

・非常に軽い

 強化可能・重量0.1kg



 どうしてだろう、なんだろう、強いはずなのに弱く見える……。オーレリアちゃんのほうきが強すぎるせいなのか……。見た目の可愛さならいい勝負してるのに……。こっちはどうだろう?

 【真珠のネックレス】は、えーっと……。【MND】+1。え、これだけ……?! 大した値段にならないだろうからオーレリアちゃんがとりあえず何も着けてないし、着けてていいよってことで装備……うーん、第二弾は微妙だったかも。


「さつりくしゃーちのドロップ鑑定の前に、レアドロップを見るかしら?」

「うーーーん、しゃーちが先で!」

「ええ、じゃあ見てみましょうね! 出してくださる?」

「はい、これ!」

『【?クロー】は【★殺戮者のアギト】でした! おめでとうございます!』

『【?槍】は【銛】でした』

『【?家具】は【さつりくしゃのぬいぐるみ・実物大】でした』

「おめでとうございますって出てる!」

「これは、レジェンダリーの時に出る表示ですわ!」

「おおおおーーーー!!!!」


 銛はコモンの槍で残念だったけど、【★殺戮者のアギト】が超大当たりだった! 右手に装備するクローってタイプの格闘武器みたい。後、家具はもうアイコンでわかってた。鑑定しなくてもわかってた。ぬいぐるみだって……。でも、こんなにデカいとは……。5メートルぐらいあるよ?! 超デカいし、このスペースの占拠っぷりよ……! それにこの圧倒的なデフォルメ感、超可愛い……現実でも欲しい……いやもっと小さくて良いから。

 それより、【★殺戮者のアギト】の性能! 見てみよう!



【★殺戮者のアギト】(極上・レジェンダリー・空きスロット3【○○○】)

・スキル【卑怯者】を習得していない場合、装備できない

・打属性攻撃強化(1.2倍+0.0倍)

・斬属性攻撃強化(1.2倍+0.0倍)

・直接攻撃時、相手を【重篤な出血】状態にする

・直接攻撃時、相手を極稀に【即死】させる

・【武器防御】使用可能

・非常に軽い

・空き

・空き

・空き

 強化可能・重量0.2kg



 超強い。やばぁ……。そして見た目も超強いよこれ、なんせどっからどうみてもシャチのハンドパペットだもん。めちゃくちゃ可愛い! でもスキル【卑怯者】がないと装備出来ないんだ。残念。残念だよ本当に……。


「非常に強いのですけれど、卑怯者というスキルは聞いたことがありませんわ」

「うーん、効果は凄い強いのに残念だよね」

「とても可愛いのですけど……」


 装備できないのは仕方ない。それよりこの巨大なぬいぐるみをどうにかしよう。ロビーとかかなり広いから置いてても良いのかな……。邪魔だったら片付けてもらえばいいし、そうしよう。これが3号室の大半を占拠してたらさすがにマズい。


「気を取り直して……。レアドロップですわね! まずは、わたくしから!」

「たしか、槍だったよね!」


 さて! メインの鑑定タイム! これは☆2ヤバイカからドロップしたアイテムの鑑定! ペルちゃんは【?槍】が出て、私は【?帽子】が出た。何が出たか楽しみだわ~!


「…………ヤリイカですわ」

「うわぁ。うわぁ……」

「棒の先に、ヤバイカがついてますね……」

「デザインセンスよ……」



【ヤリイカ】(普通・ユニーク・空きスロットなし)

・【アイスシールド】使用可能

・弱点を突いた時、弱点ダメージ倍率加算(+0.2倍)

・直接攻撃時、たまに【スミバズーカ】が発動して相手を【暗闇】状態にする

 強化可能・重量2.2kg



 ヤバイカが、槍の穂先の代わりに付いてる……。なんっつう直球ドストレートな名前よ……。いや、うん、弱くはないし、むしろアイスシールドが張れるんだから強いよね。ヤバイカのアイスボルトのダメージがかなり落とせるし。

 で も 見 た 目 が ね ? ! 


「槍使いの方はギルドには今のところ居ませんし、土曜日のオークションに混ぜてもらいましょう……?」

「ソウデスネー……」

「では、今度はリンネさんのを!」

「あ、拡大鏡貸して~インベントリ直接鑑定が必要みたい」

「よくってよ!」


 気を取り直して私の【?帽子】の鑑定よ! さあ、何が出――――



【ちょい乗りヤバイカ】(アバター・帽子)

・小さなヤバイカが頭に乗っかる帽子用アバター!

 アバター性能・なし



 うわ出た。うわ、出た…………。うわぁぁ…………。




◆ ギルドハウス【ロビー】にて ◆




「っぐ……」

「…………ぶっ」

「っくく……!」

「なんだよ」

「だ、って……!」

「っく、あはははははは!!! なんじゃ、その頭のイカァ!!!」

「あっはははははは!!! もうだめ、むり!!!」

「ハッゲそれヤバいってもう無理~~~」

「ハッゲ、もうウルフカチューシャ絶対要らないって~~!! あっは、あ~~~おっかしいそれ!!」

「笑うな……! 可愛いだろ……!!!」


 ちょい乗りヤバイカ、適合者は……ハッゲさんだった。

 離席から戻ったハッゲさんの背後からそーっと近寄って、頭にピトッ……と乗せたらもう、もうこれしかないって。そう確信しましたね。これ以上に適合者存在しません!! 最高です!!!


「でも、ぐ…………」

「ぐ、ふ……あははははは!!! 駄目だそれ、たまに動くのが駄目だ!!!」

「リンネちゃんこれ、ドロップ? 最高なんだけど本当!」

「ハッゲさん……。似合ってます……かわ……っくふ、く、あっは……!」

「これはハッゲ以外着けれん! 着けててもハッゲの顔が浮かんでもう無理じゃ! まともに見れんて!!」


 お昼寝さん、レイジさん(ちょっと早くログインして来た)、エリスさんとペルちゃん、私でもう大笑い。そのうち話を聞きつけたギルドメンバーが集まってくる集まってくる、最終的に20人も集まってきて爆笑して、ついでだから記念撮影しておいた。ヤバイカが二本だけ足を上げてポーズ取ってるのがまた良い。これはもう、このままプレゼントしよう。


「おらよ! ヤバイカリングフライ! タフなフカヒレ煮、彷徨うタコのコリコリ揚げ、ウツボさんの蒲焼だ!」

「絶対美味しいじゃ~ん。いっただっきま~~~す!」

「料理のレベルが上がってないか?!」

「おう! (ガッツポーズするヤバイカ)」

「ぶっ……! げほっげほ……!」

「そのイカアカンわ、ホンマにアカンわそれ!」

「絶対ダンジョン攻略中に思い出すじゃんそれ~!」

「これを黙って頭に乗せたリンネちゃんの罪は重い……」

「ふ、ふ……! っふ……!!」

「☆2ヤバイカからドロップしましたのよ。キラッと光るヤバイカから」

「ほえ~あのダンジョン出るんか、レアモンスター!」

「モンスターもポータルもランダムで出るから、確かに居てもおかしくないか~」

「それにしても、これはアカンやろ!! ハゲにイカ乗ってるだけでオモロイのズルいわ~!」

「ハッゲのマスコットパワーが急激に上昇したな……」

「可愛いだろ? (セクシーポーズを取るヤバイカ)」

「ぐ、げほ……! お前それ、絶対コントロール出来るだろ!!!」

「やめろそれ!!! げほっげほげほ!! あっははははは!!!!」


 よし、出すタイミングを失ってたけど、ハッゲさんに注目が行ってる今のうちに……。さつりくしゃのぬいぐるみ・実物大を、出しちゃおう。よっこい、しょっと。


「「「「「「「「――――!!!!!!???????」」」」」」」」

「あ? なんや? なん――――なんじゃあこりゃああああ!!!!」

「きゃ、きゃわ、きゃわわわ……!」

「なにこれなにこれーうわぁふかふかぁ!!」

「ちょいハッゲ、ここ座って!」

「おう」

「可愛いシャチ? これシャチだよね? 可愛いぬいぐるみに寄っかかる、頭にイカ乗っけたハゲのおっさんの絵面強すぎ!!!!」

「ちょ、これ、これもレアドロ?!」

「これは、えっと、えっと……! は……っ……はっ……ひっ……!」


 そっと置いておくはずだったのに、大注目されて、不味い、出る……! 過呼吸が、過呼吸来る……!


『わっふぅ』


 おお、どん太……。私が見られると喋れなくなるのを覚えていたのね……! 皆の視界を遮ってくれて、偉いぞどん太……。


「どん太に乗って、ダンジョンを走ったら、高速移動のペナルティで出てきたんです……。殺戮者、ってモンスターを倒して、出ました」

「殺戮者!?」

「あ!!! これ僕がチャージダッシュで移動してた時にやられた奴の正体かー!!」

「ああ、お昼寝が言ってたのこれけ! ホンマにおったんやなぁ!」

「レベル99でしたわ」

「そう! レベル99! 急に背後から【スクリューアタック】ってスキルでやられたんだ~!」

「きゃわ……。きゃわわわ……」

「これ、ロビーに置いててくれるの?!」

「え、は、い……。邪魔、だったら、片付けて、ください」

「ギルドロビーの家具がソファーばっかりでがらんどうだったから、でっかくてインパクトのあるのが増えてよかったよ~!」

「ワイもこれ置いといて欲しいわ~」

「置いといて……置いといて……ふわふわ……」

「あんたふわふわの好きねぇ~」

「どんちゃんと、いい勝負かも……また違う、ふわふわ……」


 良かった、概ね好評だった。さつりくしゃのぬいぐるみはここに置いておこう。どん太と並ぶと、いやぁ制圧力があるなあ……。このひろーいロビーから寂しさがなくなる。


「あ、どん太で思い出した……。どん太、進化」

『わんっ!! (そうだった!)』

「え? 進化? どんちゃん進化するの?」

「もふもふ方向でお願いします……」

「そうでしたわね! 素材は何が必要ですの?」

「ワイが持っとる素材に使えるのがあったらやるでー」

「ウチも何かあったらあげる!」

「俺のようにキュートに進化してくれ」

「お前は頭にイカ乗せられただけだろ!」

「…………改めて見てもそれヤバいわ」


 そう、そういえばどん太の進化が出来るんだった。素材は【☆3魔晶石、10個】に【ミスリルインゴット10kg】、【証系アイテム】! ☆3魔晶石はあるけど、ミスリルインゴットなんて見たことないし触ったこともない。証系アイテムってなんだろう、あれなんか見た覚えあるな……。


「――ミスリルインゴットか~。1キロのがあるで」

「ウチもあるよ、1キロ分あげる~」

「ギルド倉庫に1キロ分あるよ!」

「残り7キロ誰かないー?」

「わたくしが2キロ分持ってますわ!」

「素材の鉱石が102個ある……」

「お、金属加工機に突っ込んだら出来るやんけ」

「☆3魔晶石がない……」

「ありましてよ!」

「じゃあ、あげる……。纏めて渡すから、ちょーだい」

「ええ、よくってよ!」


 なんだか、皆からぽんぽんぽんぽんって出てきて、揃いそうなんですけど……。え、ええ……いいのかな……。あ、そういえば今金属加工機の方に行った人、名前まだ聞いてないや。すっごい暗い感じで、なんだかシンパシーを感じちゃうんだけど。紺色のゴスロリドレスもよく似合ってらっしゃる…………。


「このぬいぐるみの寄付代と思って~大丈夫大丈夫、正直ぬいぐるみの価値のほうが高いと思うから~」

「マイホームとか買って、これを置くってなったら1000万ぐらい軽く行きそうだよな」

「1000万やったらワイが1,500ぐらいで買うわなぁ」

「1,800」

「1,900や!」

「2,000!!!」

「はいはい、オークションじゃないよ~。それにこれ・・は、土曜日でしょ~」

「おお、ワイのウルフカチューシャや!!」

「レイジには絶対渡さないから」

「ウチも欲しい~~。ターラッシュのレアモンスター化したウルフでしょ? ターラッシュ籠もろうかなぁ……」

「確定ドロップじゃない可能性があるのが辛いよね」

「こんだけ狩られてて出ないってことは、多分レアモンスター限定なんだろうなぁ」

「はい、出来たよ……あげる……」

「ありが、とう、ございます……」

「ん…………」

『07XB785Yさんから【ミスリルインゴット・10kg】を受け取りました』


 なんて読むのその名前?! ぜろ、なな……なんで?! なんでそんな名前にしたの?!


「レーナって、呼んでね……。シリアルコードと、ハンドルネーム入れるとこ、間違えたの……」

「うっそぉ……」

「ほんまやで! レーナは名前を入力するところに勘違いしてその英数字入れたんやで! 初日はショックで死にそうなぐらい真っ青な顔しとったわ!」

「レーナちゃんが原因で、天使から直接『あなたの名前を教えてね』って言われるように改変されたんだっけ~。そんなのあったね~」

「ず~~~ん…………」

「露骨に落ち込んでいらっしゃる……」


 ああ、私が天使を問答無用で殴り飛ばすキッカケを作ってくれた人なのかぁ……! 最後には我慢しきれずに殴ったかもしれないけど、圧倒的に殴るタイミングが早まった原因だわ。間違いなく。


「改めて、リンネ、です。よろしくおねがいします……」

「んっ……よろしく……。リアモジュ同士、仲良くしようね……」

「…………ん゛っ゛?!」

「んっ……」


 レーナさん、リアモジュ?! あぁ~~本当だぁ~~!! 変更箇所髪色、銀髪だけ変更してて後なにも変えてないの?! え、じゃあリアルでも目の色青いの? ひょぇえええ~~~……。美少女ぉ~~…………。オーレリアちゃんの一個上のお姉ちゃんって感じで、ロリっ子系アバターなのかと思ったのに! リアモジュ!! 世の中は凄い、こんな奇跡みたいな子が居るんだぁ……。


「見慣れて忘れとったけど、レーナはリアモジュやったなぁ」

「というか、リンネちゃんもリアモジュだったの?! お昼寝に、エリスに、ペルセウスさんとレーナちゃんは知ってたけど、ひょわ~~~。すっご……! うちのギルドさぁ、リアモジュ多すぎない?」

「レイジとハッゲもリアモジュだよ~」

「…………ハッゲ、そんな」

「おう。なんだ?」

「ハッゲは、リアルでも……。つるつる……」

「スキンヘッドは逆に金掛かるやろ。大変やなぁそれ」

「おう! 永久脱毛して、毎日スキンケアが必要だぜ!」

「意外にお金掛かってるんだ!」

「おうよ」


 リアモジュの人結構居るんだなぁ……。でも確か、リアモジュにすると操作性が上がるとかペルちゃんが学校で言ってた気がする。同期が早いから、避けたいって思った時にはもう避けれてるとか。その一瞬の間が、PvPとかだと大きくなるって聞いたけど。皆PvPするのかな。


07XB785Yレーナさんから【フレンド申請】が届きました。メッセージが付いています……『ゴスロリ、好き? 今度お話、しよ?』』

「ん゛っ゛……?!」


 レーナちゃん先輩からフレンド申請が届いた……! ペルちゃん以外のお友達、初めてだわ……。良いのかな、でもそう、すっごいシンパシー感じるお方だし、良いかな……。


『07XB785Yさんからのフレンド申請を受諾しました』

「~♪ (小さく手を振ってる)」


 あらぁ~レーナちゃん先輩可愛い~……。今度時間が取れた時にお話しよう~……。


「そうや、進化するんやったわ! はよ見たいで!」

「そうだった、ハッゲのハゲよりどんちゃんの進化だよ~」

「そうでしたわね!」

「おう、楽しみだな!」


 そうだったどん太の進化! あれでも証系アイテムが足り……あっ!! そうだった、最後にさつりくしゃーちから手に入ってた、王者の証! じゃあ進化できるじゃん、えーっと進化先は……3種類あるね。



【メタルワーグ】(無属性・動物系・大型)

・非常に硬質な体毛と化したワーグ。不死属性を失う代わりに――


 あ、これ最後まで読んでないけど却下です……。もふもふじゃなくなったら、どん太に価値ないんです……。


【ワーグ】(不死属性・悪魔系・特大型)

・レッサー・ワーグからの基本進化系。全ての能力が大幅に上昇する。

・更に体躯が一回り大きくなり、その強靭な肉体は並大抵の攻撃では傷つかない。

・爪、牙などはミスリルを硬化させたものに代わり、鉄製の防具は簡単に引き裂く。


 お~~……。特大サイズになるのかどん太……。これかな~? 一応、最後のも見ておこうかな?


【チャンピオン・ワーグ】(不死属性・悪魔系・大型)

・レッサー・ワーグからの派生進化系。全ての能力が超大幅に上昇する。

・体躯は大きくならないが、より引き締まった肉体と明晰な頭脳を手に入れ、そして巨大魔狼の王者に近づくだろう。

・爪、牙などはミスリルが変質したものに代わり、同じミスリル製の防具であっても容易に引き裂く。

・体術系スキルを獲得する。


 これですわ~! チャンピオン・ワーグ! 完全にワーグの上位互換じゃん、これでワーグ選ぶ人居ないでしょ~! どん太はチャンピオン・ワーグ決定! これで、決まり~!


「進化、させます」

「お、楽しみやなぁ……」

「わっくわっく……」

「進化祝いのケーキもあるぞ!」

「あ、いちごケーキ! 後で食べるー!」

『どん太(Lv,MAX)がレッサー・ワーグから【チャンピオン・ワーグ、どん太(Lv,1)】に進化しました! おめでとうございます!』

「おおお、なんや、なんや? えらいハンサムになった感じがするで!」

『わふっ……(ケーキ! お腹減った! かっこいい? 強くなった! お腹減った!)』

「…………どん太はどん太だわ」

「ギュッと締まった感じがするな」

「おー、スリムになった。スリムどんちゃん」

「わ……。もふもふレベル……あがった……。ボディも、引き締まってて、良い……」


 すみません。明晰な頭脳、どこですか? 進化後の第一声が『ケーキ!』二言目は『お腹減った!』なんですけど……。すみませーん……不具合報告したほうがいいですか~……?


『どん太がパッシブスキル【ドッペル】を獲得しました』

『どん太の【ぶちかまし】が強化され【魔狼身弾】になりました』

『どん太の【二段掌】が強化され【爆滅二段掌】になりました】

『どん太が【超咆哮】を取得しました』

『どん太のステータスが大幅に上昇しました』


 あ、まだステータス上昇してなかったんだね! じゃあこれでどん太も頭良くなったね! よかったよかった! いやぁ~バグかと思ったわ。安心しちゃった~。


「良かったね、どん太」

『わふっ……(うん! お腹減った!)』


 全然頭良くなって無いわ。やっぱバグだわこれ。いや待てよ、明晰な頭脳ってもしかして、1が2になったレベルなんじゃ? そうだね、1から2になったら2倍だもんね! ワーグ基準の明晰な頭脳ってことだねこれは、きっと……。


『わおぉぉん(お腹なでなでして~)』

「お腹、撫でて欲しいの……。よしよし、う~ん……でっかいワンちゃん……」


 そして王者に近づくだろう(笑)。


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