うみのどーくつダンジョン・2 ~イカれたアイツ~
◆ リンネ、ペルセウス・うみのどーくつダンジョン3階層 ◆
4階層へ続くポータルを見つけるよりも先に、そいつは居た。バレーボール2個分ぐらいの大きさ、でっぷりとした円錐形の真っ白ボディ、申し訳無さそうに付いてるエンペラ、黒くてまん丸なつぶらな瞳、10本の、足! そして何より、キラッと光るエフェクト!!!
このキラッと光るエフェクトはレアモンスターの証! レアモンスターは逃すな、狩られる為に生まれてきた存在だ、何が何でも倒すべし!!!
「逃しませんわよ!! ハイパースラッシュ!!!」
「穿て、カーススピア!!!」
「く、砕けて弾けよ! ブリザードクラッカー!!」
『ガゥァアアアアアアア!!!!! (きらきら! えもの!)』
『ペルセウスが【ハイパースラッシュ】を発動、☆2ヤバイカに1,227ダメージを与えました』
『カーススピアを発動、weak!!! ☆2ヤバイカに431ダメージを与えました。呪い状態にしました』
『オーレリアが【省略ブリザードクラッカー】を発動、weak!!! ☆2ヤバイカに1,470ダメージを与えました』
『どん太が【ぶちかまし】を発動、☆2ヤバイカに522ダメージを与えました。スタン状態にしました』
…………えっ! これで死なない?! このイカ硬すぎない?! あのタフなサメよりタフなんだけど?! だから『ヤバイカ』なんて名前なのこいつ?!
『2COMBO! どん太が【二段掌】を発動、☆2ヤバイカに441、425ダメージを与えました』
『☆2ヤバイカがスタンから回復しました』
『わうぅぅん?!』
『☆2ヤバイカが【アイスボルト】を発動、どん太が668ダメージを受けました』
『ギャゥゥウウゥゥン!!! (すっごい痛い~~~~!!!!)』
「どん太、下がれ!」
「カラミティウェイブ!!!」
『ペルセウスが【カラミティウェイブ】を発動、☆2ヤバイカに効果がありません』
『どん太は【カラミティウェイブ】の効果を受けない』
「巻き込んでしまったわ!」
「大丈夫、効果ないって! オーレリアちゃん、どん太が離れた!!」
こいつ!!! 硬いし耐性がガチガチ過ぎるし、魔術まで使ってくるし!!! ヤバイカって命名されてる理由がわかる、こいつ強い!!!
「怒り狂えし氷の牙よ、我が元に集いて氷塊となり、砕けて弾けよ! ブリザードクラッカーー!!!」
『☆2ヤバイカが【アイスシールド】状態になりました』
『オーレリアが【完全詠唱ブリザードクラッカー】を発動しました』
『weak!!! ☆2ヤバイカが1,775ダメージを受け、死亡しました。経験値 44,550 獲得』
『【?帽子】を獲得しました』
つ、強かった……。とにかく硬かった……。全員の総攻撃に加えて、オーレリアちゃんがブリザードクラッカーを2回も使って、ようやくかぁ……。しかも最後、オーレリアちゃんのブリザードクラッカーに反応してアイスシールドまで張ってるし。なにこれ、ログに『氷属性を含む攻撃のダメージを半減された!』って書いてあるんだけど。このゲームのモンスターのAI優秀過ぎない……?
「未鑑定の槍がドロップしましたわ! わぁぁぁ~~!! きっと良いものですわよ、これは!」
「私、未鑑定の帽子だったよ。【?】マークのアイコンで、取り出せないやつ。街に戻ったら、また虫眼鏡貸して~」
「まあ! そっちも期待大ですわね! よくってよ!」
とりあえずドロップは帽子。いやぁ~良い収穫になると良いなぁ~。
「あ、の……」
「うん? あ、オーレリアちゃん凄い! 強かった! えらいっ!!」
「あ、ありがとうござ……いえ、そうじゃなくって! 死体回収しないんですか……?」
「…………死体安置所ーーーー!!!! 間に合えーーーー!!!!!」
『【死体安置所・3】に【☆2ヤバイカ】を納棺しました』
「ナイスオーレリアちゃんっっっっっっっ!!!!!!!! えらいっっっっっっ!!!!!!!!」
「あわわわ、はわわわわわわ……」
『くぅ~ん……(僕も 撫でられたいよう)』
「…………オーレリアちゃんいい子だねぇ~~~~~!!!!!」
『 く ぅ ~ ~ ~ ~ ~ ん 』
オーレリアちゃんのナイス助言で、レアモンスターの死体まで手に入った。こりゃあ良い収穫だ……。こいつ、アンデッド作成で起こしても使えそうだし、フェティッシュにしてもいいな……。でもイカだしなぁ。可愛い見た目してたけど、撫でたりなんだりしても反応返ってこなさそうだし、そもそも地上で使えるのかな? うーん微妙、フェティッシュ用素材かな!
「あら、アンデッドにしませんの?」
「イカのアンデッドって、アタリメとかにしかならなそうだし……」
「…………なんだか嫌ですわねぇ!」
「嫌でしてよ!」
「そうですわねぇ!」
「そうでしてよ!」
なんにせよ、レアモンスター討伐で嬉しい収穫だわ。これで後は4階層行きのポータルを見つけるだけだね! さあ、次行ってみよう!
◆ ◆ ◆
『――――ヤバイカを撃破しました。経験値 11,550 獲得』
『レベルが44に上昇しました。おめでとうございます』
『ペルセウスがレベル44に上昇しました。お祝いしましょう!』
…………つらい。
「き、来ましたわ……!」
「もうMPがないです!!」
「穿て、カーススピア!!」
『カーススピアを発動、weak!!! ヤバイカに474ダメージを与えました。呪い状態にしました』
『わうわうわう~~……(こいつら頑丈過ぎるよ~嫌いだよ~!)』
『どん太が【ぶちかまし】を発動、ヤバイカに579ダメージを与えました。スタン状態にしました』
「だぁあああああ!!!!」
『ペルセウスがヤバイカに579ダメージを与えました』
『ペルセウスがヤバイカに614ダメージを与えました』
『ペルセウスがヤバイカに557ダメージを与えました』
『ヤバイカがスタンから回復しました』
「穿て、カーススピア!!」
『カーススピアを発動、weak!!! ヤバイカに475ダメージを与えました。呪い状態にしました』
4階層へのポータルが、見つからない……。しかもリポップして湧いてくるのが、ヤバイカばっかりしか出てこない……。これだけ殴ってもまだ死なないの、本当こいつヤバい、ヤバすぎるイカだ……。私のカーススピアに突属性があって、それでダメージが1.5倍になってるけど『だから何?』ってレベルのダメージソースで泣ける。これはジリ貧、オーレリアちゃんもMPがカッツカツで溜まったらブリザードクラッカー、溜まったらブリザードクラッカーみたいな状態。挙げ句黒猫ルナが使う魔術の消費MPもオーレリアちゃん持ちらしい。そりゃなくなるわMP。
『グァアアアアアア!!!!!! (あーもう! 倒れろ倒れろ!! )』
『ヤバイカが【アイスボルト】を発動、どん太が688ダメージを受けました』
『どん太が【二段掌】を発動、ヤバイカに441、425ダメージを与えました』
「まだ死にませんの?! ハイパースラッシュ!!!!」
『ペルセウスが【ハイパースラッシュ】を発動、ヤバイカに1,379ダメージを与え、撃破しました。経験値 11,750 獲得』
他のモンスターより微量、経験値が高いんだけど……。こんだけ硬いと流石に不味い。不味過ぎる。コスパが非常に悪い……。できるなら相手したくないんだけど、逃げてる内に二体目とかに囲まれると流石にヤバい。しかもアイスボルト、氷の矢みたいなのを撃ってくるから遠距離でもダメージを受ける可能性があってウザい。しかも更に最悪なのは、魔術に対してボーンシールドが反応しないってこと。究極にウザい。
「ヤバイカ恐るべしですわ……」
「どうにかならないかな、こいつが居ると戦闘がキツくなる……」
どうにか、こいつをあっさり倒す方法がないもんか……。即死はカラミティウェイブが効かないから駄目、単純にHPが多いから呪いも効果薄、完全詠唱のブリザードクラッカーにはアイスシールドで半減を貼ってくる、どん太はぶちかましでスタンを取ってもスタン解除までに退避が間に合わずにアイスボルトの反撃が確定……。うーーーーーん。
「……そういえば、直接攻撃してきませんわね」
「…………そういえばそうかも」
「あら? じゃあわたくしが死ぬまで殴ればいいだけなのでは?」
「え、アイスボルトが危な…………あーーーーー」
「あーーーーですわ。わたくし、アイギスの性能を忘れていましたわ!!」
あいつ、攻撃が魔術しか見たこと無い! ペルちゃんがアイギスで無効化出来るじゃん! うごご、アイスボルトの威力が苛烈だからすっかり気を取られてた。そうか、ペルちゃん無双の可能性があるな、こいつ相手は!
「ま、また来ましたわ! やってみますわよ、アイギス!!!」
『ペルセウスが【魔盾アイギス】を発動、【ペネトレイト・3】になりました』
「頑張れ、ペルちゃん……!」
本当異常なペースで湧いてくるヤバイカ! ヤバいのはスペックだけじゃなくて、湧きペースもヤバいよコイツ! でもこれでペルちゃんのMP消費だけで倒せたら実質ほぼ出費なし、頑張れペルちゃん!
「やぁああああああああ!!!!!」
ちょっとログがうるさくなるけど、詳細バトルログオンにしよう……!
『ペルセウスがヤバイカに621ダメージを与えました』
『ペルセウスがヤバイカに652ダメージを与えました』
『ペルセウスがヤバイカに599ダメージを与えました』
『ヤバイカが【アイスボルト】を発動、ペルセウスが無効化しました』
『ペルセウスがヤバイカに579ダメージを与えました』
『ペルセウスがヤバイカに614ダメージを与えました』
『ペルセウスがヤバイカに557ダメージを与えました』
『ヤバイカが【アイスボルト】を発動、ペルセウスが無効化しました』
『ペルセウスがヤバイカに579ダメージを与えました』
『ペルセウスがヤバイカに614ダメージを与えました』
『ペルセウスがヤバイカに557ダメージを与えました』
『ヤバイカが【アイスボルト】を発動、ペルセウスが無効化しました』
『ペルセウスがヤバイカに687ダメージを与え、撃破しました。経験値 11,800 獲得』
ぎょえーーー…………。10回も斬ってようやく撃破は重すぎる。でも完封してる! 凄い! これでヤバイカは消費ほぼ無しで倒せるけど、改めて何このアイスボルトの使用頻度。ヤバすぎ……。攻撃態勢を取ったら2秒に1回撃ってくるじゃん……。
まあとりあえず、今まで倒したヤバイカのHPをダメージログから追って計算すると こいつらのHPは大体5,500前後らしいね。タフなサメさんが2,500前後だから、コイツ倍だよ倍。倍以上。本当にイカれている。イカだけに。イカだけに!!!!! うるさいわ!!!!!
「倒せ、ましたけど……。うーん……ですわね」
「うーん……」
皆がピンピンしてる状態で安全に倒せるのは良いけど、時間がかかる……。人の欲望は底がないからね、安全に倒せるってなると今度はなるべく少ない手数でサクサク倒したいってなるのよ……。
「通常攻撃の威力は、これが限界なんだよね?」
「大振りにすればする程威力が上がりますけれど、これ以上は……」
「うーん……。あの時、バビロンちゃんに言われた『それだけ~?』が気になるんだよね。きっと、何か魔剣にまだ機能があるんじゃないかなって」
「確かに……。ですが、短剣形状と長剣形状以外は、見つけられませんでしたわ」
ペルちゃんの魔剣ハルパーは、バビロンちゃんに『それだけ~?』って言われてたし、まだ何かあるんじゃないかな~っても思うんだけど。うーん、威力が増えるなり手数が増えるなり、何かないものか……。威力……。手数……。手数……。う~ん?
「ところで長剣を抜いた後に、短剣って出せないの?」
「えっ」
「え、いや出せないのかな~って……」
「…………プリンセスガントレットに、一本しか内蔵されていないと思いこんでいましたわ。確かに、二本出せるかも……!」
もしかしたらもしかして、右手で抜ける長剣と、左手で出せる短剣……同時に出せたりするんじゃなかろうか。これで出せたら、バビロンちゃんに『視野が狭い』って言われたのも納得なんだけど……。あっ。
「あっ……」
「あー……」
「出せ、ましたわ……」
「これは視野が狭いって言われますわ~!!」
「視野が、狭いですわぁ~……!」
出せたよ……。二本目……。これは視野が狭い。怒られて当然……。
「ついでに、こう、合体とか……」
「が、合体?! こ、こう…………あっっ」
「あっっ…………」
「「視野が狭いですわぁ~~~~!!!」」
しかも合体して、大剣に出来たよ、魔剣。これは視野が狭い。怒られて、当然…………!!!
『わう~!! (また来たよ、白くて硬いの!)』
「どうしますか? 一回なら、撃てます!」
「わたくしが、殺りますわ……!!! 下がっていなさいな……!!」
ペルちゃん、悔しそうだわ~……。ちょっと涙目だった……。そうだよね、まさか二本目が出せるとか思わないよね……。でも確かに、魔剣のススメには『二本は出せない』って書かれてなかったね、確かに…………。
「だぁあああああああ!!!!!!!」
『ペルセウスがヤバイカに1,425ダメージを与えました』
『ペルセウスがヤバイカに1,552ダメージを与えました』
『ペルセウスがヤバイカに1,591ダメージを与えました』
『ペルセウスが【ハイパースラッシュ】を発動、ヤバイカに2,994ダメージを与えました』
「決着ゥゥーーーーーッ!!! ですわァーーーー!!!!!」
うっわぁ。魔大剣モードのハイパースラッシュ、4メートルぐらい伸びたんだけど……。やっばぁ……。つっよぉ……。
「これ、MPの消費が2倍以上ありますわぁーーーー?!」
「でしょうねぇ……」
そして、今の一瞬でMPが200ぐらい溶けたらしい。なんっつう消費量よ。ペルちゃんはMPが1,600ぐらいで、職性能的にMPの回復速度がちょっと遅めらしいから、やっぱりヤバイカは重い、重いね……。一瞬で倒せるけど……世の中うまくイカないもんだわ。
「ダメージ的には、最後のハイパースラッシュ無しでも……」
「どんちゃんにぶちかまして貰った後に、わたくしが殴れば良いのかしら」
「ハイパースラッシュ無しならMP消費効率良いかな。どん太、今度からアイツには初手でどん太のぶちかましを使うのよ。いい?」
『わんっ!! (わかった!)』
「オーレリアちゃんは、私と一緒に周囲の警戒をしようね。もしも2体目が来たら足止めするの」
「わかりました! 頑張りますねっ!」
とりあえずこれで回してみよう。はぁ~。早くイカゾーンを抜けたい……。4階層まだ~……?
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