うみのどーくつダンジョン・1

◆ リンネ、ペルセウス・うみのどーくつダンジョン ◆


 うみのどーくつダンジョン。ローレイの港を東に進んでいくとひょっこりとした小さい山があり、その山を回り込むように進むと洞窟があって、そこに存在しているのがこのうみのどーくつダンジョン。これが正真正銘正式名称。正直ペルちゃんに道案内して貰わなかったら発見出来なかったぐらいわかりにくいところにあった。

 ところでなんでこんな可愛らしい名前が正式名称かと言うと、野良ダンジョンの発見者にはダンジョン命名権が与えられて、その発見者がゆるくてふわっとした名前にしたかららしい。ちなみに発見者はお昼寝さんとエリスさん。ダンジョン入場のポータルを踏むとインフォメーションに【発見ギルド:華胥の夢】【発見者:お昼寝大好き、エリス・マーガレット】と記載されているので間違いない。



【うみのどーくつダンジョン】(推奨レベル40~)

・最大8人までパーティ入場可能

・ペナルティ:火属性攻撃無効

・1日1度の挑戦が可能(毎日5:59に回数制限リセット)

・パーティメンバーは全員ポータル内に入って待機してください

・30秒のカウントダウン後、ポータル内のメンバーがダンジョン内に転送されます



 他にインフォメーションに記載されていた内容は以上の通り。火属性攻撃が無効っていうのは逆に、オーレリアちゃんのほうきのペナルティとかぶるから実質あってないようなものだし、気にしなくてもよさそう。推奨レベルは確かにちょっと高いけど、ペルちゃん曰くあくまで推奨だし大丈夫だって。


『パーティリーダーからの申請を受諾……。転送カウントダウンを開始します』

「さあ、これでダンジョン内に入場出来ましてよ!」

「わぁ~い。それにしても、普通はただの行き止まりの洞窟にしか思えないよ、ここ……」

「床に何か書いてあるのを見つけたそうですわよ。こんなに暗いのに、よくわかりましたわよねぇ~……」

「そういうスキル持ちだったりして。暗視とか」

「…………確かに、ありそうですわね?」

『カウントダウン、5……4……』


 あ~~始まっちゃう~。こういうのなんだか、わくわくしちゃうなぁ~……。


『1……0。転送』

『うみのどーくつダンジョンに入場します』

『ペナルティ:火属性攻撃無効が発動しました』


 うわ、床の魔法陣に吸い込まれる……っ!! ワープ表現ってこんな感じなんだ、エレベーターで下の階に移動する時みたいな独特の浮遊感みたいなそんな感覚。一瞬でダンジョン内に転送されちゃった。うわ、うわぁぁぁぁ…………!


「綺麗……!」

「ね! 海の中をお散歩している気分になれましてよ! とっても綺麗ですわよね!」

『わうぅぅ~~~?! (お、溺れる? 溺れない? 苦しくない?)』

「わ、っぷ…! あ、あれ? 息、出来るんですね……?」


 海! すっっっっっごい綺麗な海の底! 水の中なのに苦しくない、ちゃんと喋れる……息も出来る! 謎! 不思議! ファンタジーーー!!! 水中散歩~~!!!! ここって本当にダンジョンの中、なんだよね? 綺麗だ、綺麗過ぎる……。


「あ、来ましたわよ!」


 ん? 来た? 来たって何――――ダンジョンだもんモンスター居るわ~! そりゃそうだわ~!


『シャアアアアーーー!!!』

「ここは四方八方からモンスターに狙われましてよ! ハイパースラッシュ!!!」

『ペルセウス(Lv,32)が【ハイパースラッシュ】を発動、突撃、ウツボさん!(Lv,45)に873ダメージを与えて撃破しました。経験値 7,840 獲得』


 早速来た、早速来たけど何その名前。『突撃、ウツボさん!』って何?! モンスターへの命名権もあるの、もしかして?!


「おいで、ルナ!」

『オーレリア(Lv,1)が使い魔【黒猫】召喚を発動し、【黒猫ルナ】を召喚しました』

『にゃぁ~』

「ルナ、火は使えないの。アイスボルトかサンダーボルトで攻撃してね」

『んにゃぁ~』


 ん゛ っ゛ ! ! ! 黒猫召喚出来るんだったねぇそういえば!!! 超可愛い、やだ、お目々金色でくりっくりしてる……。このまま眺めてたい……。あれ、この子はパーティメンバーにカウントされないんだ。オーレリアちゃんのスキルって扱いなのかな。パーティメンバーなら経験値が増えたのに、残念。


『――――ガァァァ』

『グァアアアアア!!!! (でっかいお魚!)』

「どん太、それサメだわ! 噛まれちゃ駄目よ!」

『どん太(Lv,22)が【二段掌】を発動し、凄いタフなサメさん(Lv,50)に339、411ダメージを与えました』


 絶対モンスターへの命名権もあるでしょここ! 凄いタフなサメさん、本当にタフなんだけど! どん太の二段掌耐えた1ダメージ勢以外の普通のモンスター、こいつが初めてじゃない?! 怯んだけど、まだ諦めずにスピードを付けて再突進する気だ!


「怒り狂えし氷の牙よ、我が元に集いて氷塊となり、砕けて弾けよ! ブリザードクラッカーー!!!」

『オーレリア(Lv,1)が【完全詠唱】で【ブリザードクラッカー】を発動しました』


 オーレリアちゃん、何今の厨二病全開のかっこいいやつ! ちょっと、お姉ちゃんちゃんと見てなかった! 後でもう一回やって? もう一回後で見せて?! いっぱい魔法陣出ててかっこよかった!! それよりブリザードクラッカーってどんな魔――――


 ――――パァァァァァァァン!!!!!!!


『Weak!!! 凄いタフなサメさん(Lv,50)が2,994ダメージを受け、死亡しました。経験値 8,770 獲得』

『Weak!!! 彷徨うタコさん(Lv,48)が2,789ダメージを受け、死亡しました。経験値 7,910 獲得』

『Weak!!! 突撃、ウツボさん!(Lv,51)が2,669ダメージを受け、死亡しました。経験値 8,880 獲得』

『レベルが33に上昇しました! おめでとうございます!』

『ペルセウスがレベル33になりました。お祝いしましょう!』

『どん太がレベル23に上昇しました』

『オーレリアがレベル2に上昇しました』

『オーレリアがレベル3に――――』


 こまくないなった。すんっごい爆音と共に、氷の塊が鋭い破片になって四方八方に飛んでった。威力? すげえよ、周りに居たモンスターまで巻き添え食って死にまくってるよ。というかこいつら、水棲系モンスターのクセに氷に弱いんかよ……。


『オーレリアがレベル7に上昇しました』

「や、やりましたっ!」

「オーレリアちゃん、えらいっ! うーん、つよいっ!」

「えっへへぇ……」


 とりあえずオーレリアちゃん偉い。撫でちゃう。撫でる……。魔女帽子の上からでごめんね。ダンジョン内で装備外すのは危ないからね……。


「なるほど、ダメージ詳細分析タブでわかりましたわ。氷属性の他に突属性も含まれていますのね。突属性が弱点を突いたようですわね」

「突、属性?」

「攻撃の種類によっても属性がありますの。剣などで切れば斬属性、槍などで突けば突属性、鈍器の殴打などは打属性。斬、打、突の三種類ですわね。ここのモンスターは突が弱点でしたのね。ここに来るメンバーが斬、打系ばかりだからわかりませんでしたわ」

「なるほど。どん太の二段掌とかは打属性かな。あ、もしかしたら私のカーススピアも突かも」

「確かに、弱点になるかもしれませんわね!」


 うわ~このゲームやっぱり奥が深い。水とか火とかの弱点の他に、斬、打、突の弱点もあるんだ。オーレリアちゃんのブリザードクラッカーは、水と突属性の複合魔術ってことなんだ。私のカーススピアもスピアって名前が付いてるし、突が入ってるかも。


『グルァアアア!! (足元にも居る~!)』

『どん太が【二段掌】を発動。Weak!!! ドリルサザエ(Lv,42)に629、711ダメージを与え、撃破しました。経験値 7,220 獲得』


 …………あの前足ペチペチに【二段掌】とかいう御大層な名前が付いてるのが、本当によくわからない。しかも打が弱点の奴もいるのね、しかもしかもあれで倒せるのね……。どん太の前足ぺちぺちで負けるモンスター、哀れ。


「この調子なら、2階層目に行けるポータルも見つけられそうですわね」


 結構なハイペースでモンスターと遭遇してるけど、こんなペースで先に進めるのかな。今のところこっちはノーダメージで進行してるけど、四方八方からモンスターが来るってなると不意打ちも結構考えられ――うごぉ!?


『ピギッ!』

『クソ弱い貝殻スライム(LV,42)が【ジェット体当たり】を発動し、389ダメージを受けました』

「うごっ……」


 クソ弱い、貝殻スライム……! またスライムだ、またスライムだ!!! しかもクソ弱いって書かれてる奴にやられた、初ダメージがクソ雑魚から!! んぐ、がぁああああああああああ!!!!!!!!


「許せん……! 穿て、カーススピア!!!!!!!!!!!」

『クソ弱い貝殻スライム(LV,42)に188ダメージを与えました。呪い状態にしました』

『グルゥ、グガァアアアア!!!!!』

『どん太が【二段掌】を発動。Weak!!! クソ弱い貝殻スライム(LV,42)に629、711ダメージを与え、撃破しました。経験値 7,220 獲得』


 …………。挙句の果てに倒せない。クソ雑魚を一発で、倒せない。やだ、私完全お荷物……? どん太とオーレリアちゃんのオマケとか言われちゃう。クソ雑魚本体とか言われちゃうやばいやばい……。あの……? これで弱点突けたとしてもね? ダメージソースにならないな、私! 対超硬ダメージ1族専用兵器だ、私!


「たまに足元から攻撃されますから、気をつけてくださいまし……!」

「ハイ。コウゲキサレマシタ」

『……くぅ~ん』

「だ、大丈夫ですか、リンネお姉ちゃん……」

「大丈夫じゃないけど、大丈夫、大丈夫よ……」


 おのれスライム……。今手元に某ゲームの某巻物があったら、根絶やし候補最有力に上がる存在よ、私の精神衛生的にこいつらは存在していちゃいけない。ジェノサイドしないと……。


「それにしても、鋭い体当たりだった……。どん太、体当たりはあんな感じの勢いでやるのよ」

『わんっ!! (わかった!)』


 しかし学ぶ物もある。あのジェット推進による一直線な体当たり、鋭さはあった。どん太にも是非見習って欲しい所存。前足ペチペチと噛みつきだけが攻撃方法じゃないってのを学んで欲しい。


『わうっ!! グルゥゥゥゥゥ…………!!! ガァアアアアアアアア!!!!!』

「お、行った」

「あれは、さっき仕留めきれなかったサメと同じやつですわね」

「だ、大丈夫でしょうか? ルナ、どん太さんが危なかったらサンダーボルトで援護して!」

『んにゃぁ~』


 行った行った、早速どん太が体当たりを仕掛けに行った。それもさっき倒せなかったタフなサメに……さて、どうなるでしょ~か!


『どん太(Lv,23)が【ぶちかまし】を発動し、凄いタフなサメさん(Lv,50)に522ダメージを与えました。スタン状態にしました』

『2COMBO!! どん太(Lv,22)が【二段掌】を発動し、凄いタフなサメさん(Lv,50)に428、455ダメージを与えました』

『3COMBO!! どん太(Lv,22)が【噛みつき】を発動し、凄いタフなサメさん(Lv,50)に690ダメージを与え撃破しました。経験値 8,770 獲得』


 おおお~~~。コンボって何、まあコンボはとりあえず置いといて、綺麗に流れるような動作で倒せたねぇどん太。スタンさせて一気に畳み掛ける、良い感じだった。


「あら、格闘系の職業で発動するパッシブスキルですわね、コンボアタックは。どんちゃんは格闘系が板に付いてきたのかしら」

「へぇ~。どん太、いつの間にか段々強くなってきたねぇ」

『わうぅぅ~♡ (倒せたよ! 褒めて褒めて)』

「よしよしよしよし……」

 

 よしよし、よくやった。褒めてやろうどん太…………ん?


「あっ! きゃああーーーーー!!!!!?」

『クソ弱い貝殻スライム(LV,44)が【ジェット体当たり】を発動し、オーレリア(Lv,7)が412ダメージを受けました』

『黒猫ルナが【サンダーボルト】を発動し、クソ弱い貝殻スライム(LV,44)に590ダメージを与え、撃破しました。経験値 7,600 獲得』

『オーレリアがレベル8に上昇しました』

『オーレリア(Lv,8)が死亡しました』

『黒猫ルナが身代わりになりました』

『オーレリア(Lv,8)が復活します』


 あっ……オーレリアちゃんの、尊い命が……! そういやHPが紙装甲だったんだ! 黒猫ちゃんが犠牲になって助かったけど、黒猫ちゃんが泥になって消えてしまったぁ……。うごごご……。


「だ、大丈夫?! 大丈夫じゃないわな、死んでるわ!」

「ご、ごめんなさい、油断して……バットン!」

『オーレリア(Lv,8)が使い魔【コウモリ】召喚を発動し、使い魔バットンを召喚しました』

「バットンは本当に、身代わりにしか使えないから役に立たないんです……あうぅぅ……」

「どん太、オーレリアちゃんを守ってあげるのよ……」

『くぅ~ん……』

「あらあら、身代わりで生き延びられて良かったと思うべきかしら……。そういえば、わたくしは時間経過でPPが回復しますけど、オーレリアちゃんはWPの回復条件はなんですの?」

「同じく、時間経過みたいです。3分に1回復します!」

「3分、結構長めですわね……。気をつけて進みましょう!」

「は、はい」


 オーレリアちゃんのWP、ウィッチポイントは3分に1回復するので、黒猫召喚は既に回復している分を除いて凡そ3分後。使い魔はどちらかしか出せないみたいで、死亡した時はこうやって随時召喚しておかないと駄目らしい。ちなみに使い魔にもHPがあるから、普通に使い魔がやられる可能性もある。なかなか、管理が大変そうだわ……。


「…………そういえばリンネさん? どんちゃんやオーレリアちゃんが死亡した時、どうしますの?」

「あっ」

「えっ、まさか確認なさっていない?!」

「イヤーーーーソンナワケナイジャナイデスカーーーーヤダーーー」

「確認していませんのね?!」


 …………言われて気が付いた。どん太とオーレリアちゃんが死亡したら、どうなるんだろう? 復活方法は? 全然確認してなかった……。そういえばスキルとか暫く確認してなかった。前はアンデッド作成と、アンデッド強化しかなかったけど……増えてる!!


「【死体安置所】って言うスキルが増えてる……。このスキルを発動した時に、棺桶が出てきて、死体を5体までストック出来るって……。どん太が死んだら、自動的にここに回収されるみたい」

「なるほど……復活は、ありませんの?」

「【反魂の儀式】で、復活できるみたい! NP全消費で、最大クールタイムが10分かな……。すぐに復活したいなら、対応するレアリティの魔晶石を砕けって」

「魔晶石! レアリティが高くなると、装備の強化に必要で高いの……。でも、復活できるなら良かったですわ!」

「うん、良かった良かった……」


 死霊術に、【死体安置所】と【反魂の儀式】が増えてた! 死体安置所は今のところ2枠がどん太用とオーレリアちゃん用で埋まってて、残り3枠はフリー。アニメイト・フェティッシュ用に死体回収しても良いかも!

 反魂の儀式はNP全消費で使役アンデッドを復活出来る。ただしNPを5消費して、これの回復が1当たり2分だから、10分掛かるみたい。魔晶石を1個砕くごとにNPが1緩和されるから、5個砕いたら0秒で復活も出来るけど、どん太とオーレリアちゃんは既に☆3魔晶石が必要みたい。ちなみに、この前エリアボス報酬で貰った箱から☆3魔晶石が11個出てるから、一応2回までなら連発して復活は出来るけど、装備強化素材らしいからあんまり使いたくなくなった……。


「……安心したところで、ハイパースラッシュですわ!!!」

「わっと?!」

『ペルセウスが【ハイパースラッシュ】を発動し、彷徨うタコさん(Lv,49)に999ダメージを与え、撃破しました。経験値 8,420 獲得』

「あのタコはふわふわ~っと漂ってきて目潰しをしてきますから、厄介でしてよ!」

「気をつけまーす……」

「気をつけますっ!」

『わうわうわ~う』

「……どんちゃんのお返事が、どうにも気が抜けますわね」

『わう~?』


 とりあえず懸念材料はなくなったから、この調子で進行しよう。どん太とペルちゃんがガンガン行って、私が様子を見て、オーレリアちゃんがいのちをだいじに。一応、1日1回しか入れないみたいだからね。丁寧に攻略しようね……。




◆ ◆ ◆




 ――――パァァァァァァァァァン!!!!!


『Weak!!! マッチョマックスペンギン(Lv,55)が2,455ダメージを受け、死亡しました。経験値 10,550 獲得』

『Weak!!! 彷徨うタコさん(Lv,48)が2,720ダメージを受け、死亡しました。経験値 7,910 獲得』

『Weak!!! 突撃、ウツボさん!(Lv,51)が2,739ダメージを受け、死亡しました。経験値 8,880 獲得』

『Weak!!! 凄いタフなサメさん(Lv,50)が2,955ダメージを受け、死亡しました。経験値 8,770 獲得』

『Weak!!! 彷徨うタコさん(Lv,48)が2,721ダメージを受け、死亡しました。経験値 7,910 獲得』

『Weak!!! 突撃、ウツボさん!(Lv,51)が2,991ダメージを受け、死亡しました。経験値 8,880 獲得』

『レベルが42に上昇しました。おめでとうございます!』

『ペルセウスがレベル42に上昇しました。お祝いしましょう』

『どん太がレベル29に上昇しました』

『オーレリアがレベル20に上昇しました』


 何度見ても、オーレリアちゃんの【ブリザードクラッカー】が格好良い。ロリで魔女っ娘な可愛いオーレリアちゃんが格好良い詠唱するの、脳の中でバグが起きる。とっても素敵な映像だ。

 ところで、なんでこんなにオーレリアちゃんの攻撃力が高いかって言うと、オーレリアちゃんのスキルの噛み合いと武器の効果、そして弱点属性の噛み合いがあってのことらしい。

 まず【完全詠唱強化】の効果で、オーレリアちゃんは魔術の起動ワード以外にも追加で詠唱することで魔術の威力が最大1.5倍になる。更に弱点属性で威力2.0倍。そして武器効果で1.3倍。合計約3.9倍の威力で魔術をぶちかましている計算になるらしい。それでも元々1,000ダメージぐらいはあるんだから怖い。これで私に直撃したら瀕死になるわ。


「――カラミティウェイブ!!!!!」

『ペルセウス(Lv,42)が【カラミティウェイブ】を発動しました』

『周囲のモンスターが【恐怖】【麻痺】【混乱】状態になりました』

「怒り狂えし氷の牙よ、我が元に集いて氷塊となり、砕けて弾けよ! ブリザードクラッカーー!!!」

『――――ダメージ表記省略モードが選択されました』

『複数体のモンスターを撃破しました』

『経験値合計 86,720 獲得』

『オーレリアがレベル21に上昇しました』


 それと、ペルちゃんが新しいスキルを手に入れてた。カラミティウェイブ、ドス黒いオーラを放射状に発射して、ドス黒いオーラの波に飲まれた相手に【恐怖】【麻痺】【混乱】【即死】を付与する。即死は格上相手には成功率低めだけど、他の状態異常はかなり成功率が高い。これで動きを止めた後に、オーレリアちゃんがブリザードクラッカーをぶちかます。このコンボが強すぎる。

 私の仕事? オーレリアちゃんが死なないように【ボーンシールド】を張ること。攻撃を受ける直前に、一発だけ攻撃が止められる骨の盾が出現して攻撃をガードしてくれる。見た目が滅茶苦茶禍々しいから普段使いはしたくないけど、今は見られて不都合な人には見られてないし、使ってみようかと思って使ってみたら、いやあ使い勝手が良いでやんの。

 ちなみにこれ、複数人に掛けられる……。当然全員に掛けた。なんとアイギス使用状態のペルちゃんにも掛けられた。ペルちゃんのペネ数(攻撃を受けても無効化する回数)が実質プラス1回だよ! やっべー。


「どん太~。あれ生きてる~」

『グルゥァアガァアアアア!!!!』

『どん太が【ぶちかまし】を発動。突撃、ウツボさん!を撃破しました。経験値 9,110 獲得』

「楽勝ですわね! 3階層まで行ければ十分かと思いましたけど、結構行けそうですわ!」

「いろんな方向からモンスターが来るのも、慣れてきましたっ!」


 特にオーレリアちゃんが即死じゃなくなったのがデカい。心に余裕が出来て、攻略スピードももりもり上がった。この調子で4階層を目指して行きたいね!


「…………あれは?」

「あ、あれは!!!」


 ん? なんか、4階層に行くポータルよりも先に、キラッと輝くエフェクトが出てるイカが居ますけど。なんですかアレ?


「レアモンスターですわ!!!!!」

「レア、モンスター!!!」


 レアモンスター! あれが、レアモンスター! あのキラって輝くエフェクトが出てるのが、レアモンスターなんだねペルちゃん?! あれは絶対に狩らないと、絶対に倒そう!!!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る