ログイン二日目は波乱の幕開け
◆ リンネ、ローレイ近郊の海岸 ◆
呪いのアイテムはないかなーと思ったら、これがあったんですね。その名も【呪いのコイン】、見た目は普通の銀色のコインで、ゲーム内で使われている通貨のシルバーとか課金ポイントのゴールドとは違う、何の目的で作られたか不明な古いコインなんだって。
これにどんな呪いが掛かっているかって言うと、これでコイントスをすると必ずこのコインを見失って、コイントスを行った人のおでこに絶対に直撃するっていうすっごい可愛らしい呪いが掛かっているんだって。お昼寝さんが実際にコイントスをして見せてくれたけど、ぴーんって飛んだ音までは聞こえたけど実物がどこに行ったのか見失って、絶対に飛ばしてないって方向にお昼寝さんが避けたのに見事におでこに直撃してた。これがなんと、200枚もギルド倉庫にあるんだから驚き。
「……謎すぎるアイテムだわ」
『わっうぅ~(変なコイン!)』
そんなわけで呪いのアイテムはどうにかなったので、今はどん太と私だけで海岸にやって来た。オーレリアちゃんへのプレゼント素材調達なので、オーレリアちゃんはお留守番。この海岸は港からちょっと西に離れたところにあって、35レベル前後の水棲系モンスターがうろうろしてるみたいで、お昼寝さん曰くローレイの岩場地帯と大差ない感じらしい。
『わっふ! (モンスター発見!)』
「二枚貝系かぁ~……。どん太、様子見に殴ってきて」
『わふっ! (わかった!)』
とりあえず見つけたのは二枚貝のモンスター。顔ぐらいの大きさで結構デカい。口をパコパコ開けたり閉めたりする時の反動を推進力にして海岸を跳ねてる。まあ一応レベルは35前後らしいから油断はしないほうがいいけど、どん太なら大丈夫でしょ。
『わうっぅぅううううううううううううぅぅぅううううううううん!!!!!! (いったーーーーーーーーーーーーい!!!!!!!)』
『おばけ貝(Lv,36)が殻を閉じ、どん太が前足を挟まれています』
見りゃわかるわ。いやあれでは死なんだろうけど、殴るより先に挟まれるとは。鈍くさい奴よ……。ああ、だからどん太なんだったね君……。
『きゃうぅぅぅううぅぅうっぅうううううぅぅぅうん!?!?! (いっっったああああああああああああーーーーーーーーーい!!!!!!!)』
『デッカイカニ(Lv,34)に尻尾を挟まれ、どん太が悶絶しています』
…………おお。モンスターのコンビネーション攻撃を食らってるよ、どん太くん。ド直球な名前の頭ぐらいの大きさのカニに尻尾をハサミで挟まれてる……。痛そうだぁ……。いやしかし、これが面白いことにシステム上はどん太はノーダメージなんだよね。生命活動に支障がない攻撃はノーダメージ、かなり痛いらしいんだけど、システム的には死ぬような攻撃じゃないからHPが減らない。だから頑張れ、どん太……。
『グルァアアアアアア!!!! (やっつけてやる!!)』
『どん太(Lv,22)が【噛みつき】を発動し、おばけ貝(Lv,36)に1ダメージを与えました』
『きゅぅぅうぅぅん……(硬い~~~~~~~)』
あ、駄目だこりゃ。どっちも決め手無しだわこれ。一生終わらん奴だ……。どれしょうがない、やっつけてやろう。
「穿て、カーススピア」
『カーススピアを発動し、おばけ貝(Lv,36)に1ダメージを与えました。呪い状態にしました』
「穿て、カーススピア」
『カーススピアを発動し、デッカイカニ(Lv,34)に1ダメージを与えました。呪い状態にしました』
『おばけ貝(Lv,36)が死亡しました。経験値 3,600 獲得』
『デッカイカニ(Lv,34)が死亡しました。経験値 3,400 獲得』
あれ、経験値低いな……。ああ! オーレリアちゃんとペルちゃんが居ない分かぁ。なるほど、これは積み重なると差が出るわ。パーティ組めるなら組んだほうが絶対お得だなぁ……。
「よし。よくやったどん太」
『くぅ~ん……(挟まれて痛かったよ~)』
「しかし死体は手に入ったんで……」
さて、それよりモンスターが消滅する前にやることをやっちゃおう。完全消滅までだいたい30秒ぐらいだから、それまでにやることをやらないと。えーっと、まずはインベントリからほうきを取り出して? 呪いのアイテムも取り出して……。これどっちをどっちに持てば良いんだろう? 右手で呪いのアイテムに触ってれば良いのかな? ほうきを左手に持っておく?
「起動ワードは、えーっと……捧げよ!」
…………発動しないんで多分逆ですね。はい。『右手で素体を持って』、『左手に呪いのアイテムを持って』、『死体に向かって起動ワードの"捧げよ"を詠唱する』…………うわっ! 左手の甲の魔法陣が光った! これ、発動した!? うぉ、うぉお……。左手のアイテムがドロって真っ黒な泥になって溶けてる……。それが死体に吸い込まれて、こっちもドロドロになって……。
「捧げよ…………で?!」
『わう? (それにほうき、突っ込んだら?)』
「なるほど。えい」
これにほうきを、突っ込む! どうだ、どうだこれで合ってるか! うわあああああああああドロドロがほうきに引っ付いて来たぁああああ気持ち悪~~~~~~~~!!!!!
『見習い魔女のほうきが呪われました!』
『見習い魔女のほうきが変質しました!』
『見習い魔女のほうきが呪物化しました!』
『呪物【リトルウィッチブルーム・銀色の海】を入手しました』
終わった? 終わった?! あ、普通の魔女のほうきーって感じだったのに、ほうきのとこに貝殻とかヒトデとか可愛くデコってある! 柄の部分も銀色の装飾がされてるし、結構可愛いデザインかも……。いや、これかなり可愛いな! これが、武器になるんか~……。普通にほうきでも使えるんかなこれ。ちょっと使ってみよっ……。
『ザァー…………』
…………。今、ほうきで掃いたら静かな波の音が聞こえたねえ? 実際の、こっちの波の音じゃないよねえ、今の。もう一回、今度はタイミングをずらして……。
『ザァー…………』
間違いなくこのほうきからだわ~~~!! めっちゃお洒落~~~! 超いいじゃ~ん! あ、これ鑑定済みだから性能見れるじゃん、見ちゃお~。
【リトルウィッチブルーム・銀色の海】(極上・ユニーク・空きスロット2【○○】)
・スキル【ほうきコントロール】を習得していない場合、装備できない。
・【呪】火属性魔術威力半減
・【呪】使用時に波の音がする
・ほうきにMPをチャージしてブラッシングした場合、チャージMP分の【スプラッシュショット】を使用可能。最大MPチャージ量【200+0】。
・水属性魔術威力強化【1.3倍+0.0倍】
・空き
・空き
強化可能・重量0.9kg
波の音がする効果、呪いなのかぁぁ…………! こんな可愛い呪いだけだったら幾らでも作って良いわ! でも、もう一つの呪いで火属性は半減。それに対して伸びる方は水属性は1.3倍かぁ……。これって、ペルちゃんが言ってた強化ってやつをすると数値が伸びるのかな? ユニークだから+5まで安全域か~……。素材次第だけど、やってみようかな。
「よし、帰ろっか」
『わぅ~? (まだ戦わないの?)』
「今回はオーレリアちゃんのプレゼントを作りに来ただけだから、狩りはしないで帰るよ」
『わんっ! (わかった!)』
とりあえずこれで良い、これをプレゼントしよう。火属性強化用のほうきは、また機会があれば作ってみよう! ギルドメニューから、ギルドハウス行きのポータルを選んで……。よし! 帰れる!
◆ ◆ ◆
「はい、オーレリアちゃん。武器、ほうきでしょう?」
「こ、これ、良いんですか? ありがとうございます、ご」
「お姉ちゃん」
「リンネお姉ちゃん! ありがとうございます!」
オーレリアちゃんにほうきをプレゼントしてあげた。ギルドのお姉さま達にアバターをいつの間にか着せて貰ってて、【魔女っ娘ぼうし・表黒裏赤】【魔女っ娘わんぴーす】【白タイツ】【魔女っ娘ぱんぷす】がアバターにセットされてた。これ、良いのかな……と思ってたらお昼寝さんから『それあげるって~。オーレリアちゃんにプレゼントするから自由にしてって言ってたよ~』とのお言葉を貰った。良いらしい……。私アバター貰いすぎじゃない?
「へぇ~。ほうきなんて武器もあるんだぁ~。魔術師は長杖とか短杖だけだと思ってたよ~」
「見習い魔女、みたいで。ほうきコントロールってスキルがないと、駄目みたいです」
「ほうきコントロールって専用スキルが必要なんだ。へぇ~~~……飛べるの?」
「と、飛べるんでしょうか……」
「が、がんばりますっ!」
オーレリアちゃんはほうきを手で持たなくてもふわふわと浮かせることが出来るらしい。これがほうきコントロールのスキル効果なのかな、ちょっとしょぼいなと思ってたら……。びっくり、ほうきを小さくしたり大きくしたりすることも出来るらしい。下限は小筆サイズぐらいまで。上限は背丈の1.5倍ぐらい? 2メートルぐらいの大きさに出来るっぽい。質量保存の法則さようならのお知らせ。
「なんとなく、わかって来ました……えいっ」
「おっ、飛んでる!」
「飛んでるって言うより、浮いてる!」
『わうわうわう~~!! (すっごぉぉい!)』
「…………っっ!!!」
それで、オーレリアちゃん! ほうきに跨ってジャンプしたらちゃんと飛べた! 今は浮いてるだけだけど、ちゃんとイメージ通りにステレオタイプの魔女らしく、ほうきに跨って飛べるタイプの魔女だった! これで空中からぽんぽん魔術を使って戦ったら、様になるなぁ~…………う~ん? オーレリアちゃん、微動だにしないんだけど?
「お、降りれないです~~~~!!!!」
「あらら、飛ぶまでは良かったのにねぇ~」
「オーレリアちゃん落ち着いて、足を伸ばして地面に、こう、ほら膝を伸ばして……」
「ひ、ひざを、きゃあああああああああああああーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
あーーーー……オーレリアちゃんが、垂直に飛び上がったーーーー……。まだ、コントロール難しかったかー…………。
『オーレリア(Lv,1)が天井に頭を打ちました』
「はにゃっ!! はわわ……」
「あ、落ちてくる」
「どん太!!!!!」
『わ、わうぅぅ~~?!』
天井に頭を打って落ちてきた。うーん、どん太ナイスキャッチ。とりあえずダメージ表記がないし、怪我はなさそうだから大丈夫かな。まだまだ、ほうきコントロールは要練習ね。
「どん太さん、ありがとうございます……」
「どん太さん」
「そう、オーレリアちゃんはどんちゃんをどん太さんって呼ぶんだよ~。一応先輩? なんだもんね~」
『わうぅ~(えっへん)』
「…………凄い違和感だわぁ」
とりあえずペルちゃんが来るまでは暫く、オーレリアちゃんは
「……お? ログインしたらオーレリアちゃんが、飛んでるぞ?!」
「ハッゲ、こんちゃ~」
「ハッゲ、さん。こんばん、は」
『わうわう~』
「よう!」
「ハッゲ様、こんば、きゃあああああーーーーーーーーー!!!!!!!!」
「あ、危ねえ!!」
「あ、急速発進した。どん太さん! クッションクッション!!」
『わうぅぅ~~~』
華胥の夢の料理人、ハッゲさんもログインしてきた。最初はおっかなびっくりの様子でオーレリアちゃんを心配してたけど、そのうちソファーに座って『頑張っとるなぁ~……』って暖かく見守るようになった。頭はつるっつるで寒そうだけど。眼差しは温かいのだ。
「わ、わ……わ……!」
「こう、ほうきを動かそうとしないで、重心をずらして移動するイメージが良いんじゃないか~い?」
「こ、こう、きゃ、わ、ひゃああああーーーーーー!!!!!!!」
『わうわう~ん!!』
「こりゃあ、暫くかかりそうだなぁ!」
「はい、空飛ぶ素敵な幼女が居ると聞いて別chから来ました~」
「エリスこんちゃ~」
「よう!」
「チーッス。あ、リンネさんこんばんは~。昨日はまともに挨拶しなくってごめんねぇ~? 私の名前はエリス。ソードダンサーやってまーす」
「リンネ、です。こちらこそ、挨拶……すみませ……」
「勝手にオーレリアちゃんにアバター着せちゃったし~。ごめんごめん~」
「い、え、むしろ、ありがと、ござ……ます」
スレンダーなボディを隠すこと無く、露出度高めの踊り子風のコスチュームに身を包むゆる~くふわふわっとした女性プレイヤー、エリスさんも来た。職業はソードダンサー、一応盗賊系の職業らしい。こう見えても支援職寄りらしく、しかも魔系職。かなり噛み合わないように聞こえる通り、お昼寝さんからも『かなり難易度の高い職業』と言われてた。
「はぁ~~~…………頑張る幼い魔女っ娘、さいっこう……可愛いなぁ~~……」
「うんうん、可愛いね~」
「すぅぅぅぅ~~~~~…………。はぁ~~~~…………近くで吸いたい……」
「うっひゃぁ~」
どうやらロリコンの変態らしく、『オーレリアちゃん吸い』という儀式をしょっちゅうしに来るらしい。でもわかる。吸いたくなる可愛さが、オーレリアちゃんにはある。否定しないよ、私は。お昼寝さんはほんのちょっと引き気味だけど。ハッゲさんはドン引きしてるけど! 私は、否定しないよ!!
「だ、段々、掴めてきた気が、しますっ!!」
「お~。スムーズに飛んでる感じはないけど、初心者が飛ばしてるドローンよりはカクカクしなくなったねぇ」
「あのほうき、どこで手に入れたの~??」
「つくり、ました……」
「はぇ~………………は? つくった?」
「え? あれ作ったの?」
「あ?! あれ作ったのか?!」
「え、はい……」
「「「マジで?!」」」
あ、どうしよう。皆の興味がオーレリアちゃんから私に向いた、コレは困る、困る……!! まだ話慣れてないから、過呼吸出ちゃうかもしれない……っ!!!
「教えても良い感じになったらそれ、教えて~!」
「過度に詮索はしないぜ。ここのルールだからな」
「へぇ~。武器作れるんだ~……。黙っておくからね~?」
「は、はい……。ありがとう、ございます」
良い人達!!!!! 私ここ、好き!!!!!
「……そういえば、ペルちゃん待ってるんだよねぇ?」
「そう、です」
そうだ、ペルちゃん! ペルちゃんなかなか来ないんだけど、どうしたんだろう?
「そろそろだなぁ……」
そろそろ? あ、本当だ。そろそろ19時にな――――
「オーーーーーーーーーーッホッホッホッホ!!! 皆様、御機嫌よう~~~! ペルセウスが来ましたわあああああああああああああーーーーーーーーーーーーーー!?!?!?」
「ああああああーーーーー!!! ペルセウス様、ごめんなさ~~い!!!!!!!」
――――事故だ。事故が起きた。魔女っ娘とお嬢様が追突事故を起こした……。
「あ~~やっぱりそこだったかぁ~!! 流石にスクショしたぁ~~……!!」
「消して! おねがい消してちょうだい!!!」
「だっはっはっはっは!!!! なんで丁度そこに出てくるんだよ!!! あーーーっはっはっはっはっは!!!!!」
『わっふぅ!』
「ペルちゃぁん、19時ぴったりにいつもそこに来るもんね~。なんという奇跡的タイミングか~」
「ペルちゃん、見ちゃった……」
「あーちゃんお願い忘れて!!! オーレリアちゃん、大丈夫だったかしら?! 痛いところはなくって?!」
「だ、大丈夫です! 私こそ、ごめんなさい! ごめんなさい!!」
ペルちゃんはどうやら19時ぴったりにログインして来るらしい。そしてその瞬間に奇跡的に、飛行訓練中のオーレリアちゃんがぶつかった。いやぁ、良いもの見れちゃった。完璧超人のペルちゃんの、奇跡的に生まれたお茶目なワンシーン……!
「ふ、っふふふ……! あー……!! おっかしい、優雅に決まるハズだったのに……!」
「はぁぁああぁぁ~~!!! もう、恥ずかしいですわぁ~~……!!!」
あー本当、楽しいなぁオンラインゲーム。こういうのがあるから楽しい。さあて、じゃあペルちゃんも来たことだし! オーレリアちゃんの飛行訓練をもうちょっとだけ見守ってから、狩りに行きますか。そういえばまだやってないことあったっけ? 昨日鑑定はして貰ったし、呪物は作ったし、後は~~~…………あっ!
「…………あっ。そういえばこれ、どうしようかな」
ウルフカチューシャ、これ高く売れるんだよね? これどうしようかな?
「…………」
「…………」
「…………」
「あっ、それ、忘れてましたわね。売りますの?」
あ、れ……? なんだか、お昼寝さんと、ハッゲさんと、エリスさんの目つきが変わった……? 気がするんですけど…………?
「100万」
「150」
「200出すね」
「250」
「300は出す」
「330!」
「380かなぁ~~~」
「400!!!!」
え、え、え、えっ、その、その数字はなんですか? まさか、いやまさか、それ金額じゃないよね? 400万シルバーってことじゃ、ないですよね……?!
「500万! 僕は500万出すね!!! ハッゲは要らないでしょ、これ!」
「ハゲに犬耳着いてたら可愛いだろうが!!!!」
「ぜ~~~っったい要らないってハッゲ、ネタキャラ感ヤバいよそれ~」
「お、お待ちになって?! まだリンネさんが売るって言ってませんわよ?!」
「「「そうだった!!!」」」
「「「どうなの?!」」」
ど、どうなのって、私はこれ、着けないし……。
「売りたい、ですけど……」
「では公平に、ギルド内でオークションすべきですわ! ここに居合わせたから格安でリンネさんから買えたとなったら、絶対に恨まれますわよ!」
「ぐぬぬぬぬ、正論……っ!!」
「やべえ、俺オークションで金作ってこねえと……」
「ずっる~い!! 私もお金作る~~~!!!!」
ウルフカチューシャだよ? 皆冷静になって……? これ一つに、そんなに価値ある……?!
「…………リンネさん、その顔はわかっていらっしゃらないようだから例え話をしますと、今後再販の見込みがない限定1着のみで、ゴスロリ社から超可愛い新作が出て手に入る可能性があったとしたら、欲しいですわね?」
「欲しい」
「そういうことですわ」
「そっかぁ……!」
そうか、そうか、そういうことかあ~……! これ、どん太がどん太になる前の遺品、こんなに高いのかぁ……!
「ギルド告知、出しま~す……」
「これ、一時的にお昼寝さんに、預けていいですか……?」
「…………どうしよう、持ち逃げするかも」
「あんなこと言ってるが絶対しないから預けといていいと思うぞ」
「えっへへ~……開催は、土曜日でいいかな~?」
「大丈夫、です」
不安だけど大丈夫みたいだし、売れるなら売りたいし……。お昼寝さんに預けておこう。私が持ってると、狩り中にPKされて取られる可能性もゼロじゃないし。昨日の報復飛んでくる可能性あるもんね。お昼寝さんは話によると、あんまりギルドハウスから出ないみたいだから。一番安全だと思う。オークションの開催は、明後日の夜ね。
「じゃあ、この装備の情報をギルド告知欄にペーストして、試着出来るようにして……。これでどうだっ!」
『【ウルフカチューシャ】のオークションを土曜日の21時にします。参加希望者はお昼寝大好きまでメールか、直接伝えて下さい』
「おーいいね。いいねぇ……」
「うわっはぁ~~~染色出来る~~~これ染めれる~~~。絶対買う、絶対買う、絶対買う……」
「リンネさん、これは大事に預かっておくね……! 僕、今日からここに引きこもるから!」
「今日からも、だろ」
「今日はちゃんと【うみのどーくつダンジョン】行ってレベル上げてるよ~だ」
「あ、本当だ~上がってるじゃ~ん」
「よろしく、お願いしますっ」
ここまで大きい話になるとは思わなかった……。昨日最低100万ってペルちゃん言ってたけど、さっきの感じだとまだまだ上がりそう。怖いなぁ~……。
「は、はわ、はわ……! マナが……」
「あ、オーレリアちゃんがマナ切れだ」
「どん太ーーー!!!」
『わ、わうぅぅ?! (大丈夫ーーー?!)』
「あら、マナ切れのまま狩りには行けませんわね。回復を待ってから行きましょうね」
「ご、ごめんなさ~い……!」
レベルも上げに行こう。オーレリアちゃんのマナ切れが回復したら出発にしよう……。ここに居ると、楽しくていつまでも狩りに行かなそうだもん。名残惜しいけども、そうしよう……!!
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