106 異世界の考古学


僕は考古学者だった。古代遺跡を発掘し、そこに眠る歴史の断片を掘り起こすことに情熱を燃やしていた。

だが、ある日、奇妙な石板を発見してから僕の人生は一変した。


その石板には、まるで現代の文字に似た奇妙な記号が刻まれていた。好奇心に突き動かされ、僕はその石板に触れた瞬間、目の前が真っ白になった。


気がつくと、僕は異世界に立っていた。そこは古代文明が栄えた世界で、人々は魔法の力で建築物を造り、空を飛ぶ乗り物で移動していた。自分が転移したことを理解するまでに、そう時間はかからなかった。


この異世界で、僕は自分の知識が役立つと考えた。現代の考古学者として、未来の遺物を見つけ出すことで、異世界の歴史を紐解くのだ。異世界の文明がどのように発展し、どのように崩壊するのか、僕がその鍵を握っているはずだと思った。


僕は精力的に探索を続け、ついに大きな遺跡を発見した。

そこには、まるで現代日本の都市に似た廃墟が広がっていた。ビルや道路、そして壊れた看板がそのまま残されている。驚くべきことに、それは僕がかつて住んでいた世界の景色そのものだった。


「これは……未来の地球なのか?」


混乱する僕の目に飛び込んできたのは、ひとつの石板だった。そこには、こう書かれていた。


「この世界の過去において、あなたが存在したことが確認されています。」


愕然とした僕は、その場にへたり込んだ。

この異世界は、実は僕たちが未来に築くはずの世界だった。僕は「異世界未来の考古学者」として、この世界の過去を調査していたのではなく、自分自身が招いた未来を発掘していたのだ。


そして、その未来はもう一度、僕の手によって埋もれた……。

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