12 隣人の秘密


私は隣人のことが大好きだった。彼はいつも笑顔で挨拶してくれたし、時々お菓子や花を持ってきてくれた。彼は作家だと言っていたが、どんな本を書いているのかは教えてくれなかった。

私は彼の本を読んでみたかったが、書店にも図書館にも彼の名前は見つからなかった。


ある日、彼が旅行に出かけると言ってきた。一週間ほど留守にするという。

私は、彼の部屋の鍵を私に預けてくれれば、郵便物や植物の世話を引き受けると提案した。

彼は快く引き受けてくれた。私は彼に感謝したが、心の中ではもう一つの願いがあった。それは彼の部屋に入って、彼の本を見つけることだった。


私は彼が出かけた後、すぐに彼の部屋に向かった。鍵を開けて中に入ると、驚くべき光景が目に飛び込んできた。

部屋の中は本で埋め尽くされていた。本棚や机や床やベッドやソファや窓際に、本が積み上げられていた。私は目を疑ったが、それらの本はすべて彼が書いたものだった。表紙には彼の名前が書かれていた。


私は興奮して本を手に取った。タイトルは「隣人の秘密」というものだった。私はページをめくってみたが、そこに書かれていた内容に衝撃を受けた。

それは私と彼の関係を詳細に描写したものだった。私の名前や容姿や性格や趣味や好みや夢や秘密まで、すべて正確に書かれていた。私は恐怖と羞恥と怒りで震えた。


私は本を投げ捨てて、部屋から飛び出した。私は彼から離れることを決めた。

私は彼が帰ってくる前に引っ越すことにした。私は二度と彼に会わないことにした。


その日から一週間後の早朝。

私が新しい部屋で目覚めると、ドアの前に一冊の本が置かれているのを見つけた。

表紙には「隣人の秘密 その2」というタイトルと、彼の名前が書かれていた。

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