178日目 異世界-4
「実は、僕もこの前【結界魔法】を習得したんです」
「なに?」
「騎士団との外界遠征で魔法を数時間浴び続けたんです。
そしたら【結界魔法師】と【結界魔法】、【広域耐魔法結界】を習得しました」
「ほぅ……」
「すげぇな、いよいよ万能お化けだ」
「さすがはケンだ!!
サワナ様、ケンが【結界魔法】を使えるなら僕よりも適任です。
魔法はケンに任せるべきですね」
クラールが生き生きとサワナ様に話す。
「いや、ダメだ。
外界は持久戦だからな。
【結界魔法】が使えるやつは多ければ多いほどいい」
「いや……でも……」
「往生際が悪いぞ。
なんなら、泥じゃなくて糞にしたっていい」
何?
泥?
糞?
どういうことだ?
「はい……わかりました」
クラールがあからさまに落胆する。
「決まりだな。
狭間とクラールは【結界魔法】の修行。
ローシュとショーンは引き続きペアで狩りと組み手だ」
◇
建物の外には、テーブルとティーセットがあり、サワナ様が優雅にお茶を飲む。
「狭間はとりあえず訓練の流れを見ておけ」
「はい」
【結界魔法】の修行か。
何か特別な鍛え方があるのだろうか。
「おい、さっさと【結界魔法】を使え」
「はい……」
クラールの周りに一瞬光の膜が見えた。
【結界魔法】を発動したのだろう。
「あれが【超狭域耐物理結界】だ。
自分の周りのみに展開できる物理結界だな」
「なるほど……潔癖のクラールらしい魔法ですね」
「いくぞ」
サワナ様が合図すると、クラールの上2m程度から何か落ちてくる。
あれは【転移】か?
ボタボタ……
いや、【土魔法】だな。
「ひぃ……」
泥だ。
ただの泥がクラールの上から落ちてくる。
「あの、これが修行なんですか?」
「そうだ」
潔癖のクラールに泥がかかる。
「ひぃぃ……」
「クラールが汚れているところは初めて見ました」
ただの泥だが、彼にとっては相当苦痛なはずだ。
「いや、実際は汚れておらん。
【超狭域耐物理結界】が発動しているからな。
結界の上に泥が乗っているにすぎん」
「ひぃぃいぃぃ……」
「それでも相当嫌なんでしょうね」
「ぼ、僕の髪に泥がぁ!!」
「えっと、僕は何をしたらいいんでしょうか?」
同じ【結界魔法】を鍛えるとしても、僕が泥を被ったところで何も習得できる気がしない。
「お前は【広域耐魔法結界】を習得したと言っていたな。
だったら魔法だな。
お前、一番耐性の低い属性はなんだ?」
「【土耐性】は持ってないですね」
「ならお前も【土魔法】だな。
クラールの横に行って【結界魔法】を使ってこい」
「はい!!」
「ひぃ……ひいぃぃ……」
僕は小走りでクラールの横へ行く。
「ひぃぃ……」
「僕の【結界魔法】は耐魔法用ですけど、使った方がいいんですか?」
「そうだ。使っておけ」
「ひぃぃ……」
僕は悲鳴を上げるクラールの横で【広域耐魔法結界】を使用する。
「できました」
「いくぞ、避けるなよ」
サワナ様が合図すると、石の塊が飛んでくる。
ドガッ!!
僕の右肩に石がめり込む。
これは【ショットストーン】なのか?
にしては威力が強いぞ……
「フフ……」
これは良い。
さすがサワナ様だ。
これを機に【土耐性】を習得できるし、HPも上がる。
その上新しい【結界魔法】まで習得できる可能性がある。
「サワナ様!! 次の【土魔法】お願いします!!」
「ダメだなこれは……魔法がご褒美になっている。
拒絶反応がなければ新しい【結界魔法】の習得は厳しいぞ……
(【狂戦士】が発動する懸念もあるな)」
「フフフ……」
「ひぃぃ……」
「………………」
「フフフフ……」
「ひぃ!! ひぃぃ!!」
「………………」
「次!! お願いします!!」
「ひぃ……あ!! 【狭域耐物理結界】習得しました!!」
「え!? もう!?」
さすがはクラールだ。
早くも新しい【結界魔法】を習得したのだ。
「なんなんだコイツらは……」
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