178日目 異世界-2
「あの、それでどうしてここにいるんです?」
「だから、お前の居場所がないからだ」
あ……そうか、そういうことか。
危険人物を中央東に置いておけないってことか……
「そうですね……」
「あー……まぁ、元気出せよ、誰も死ななかったんだろ?」
「ケン、【狂戦士】は大きなダメージを受けなければ発動しないんだよね?
だったらしばらく後衛に徹すればいいだけだよ」
ショーンとクラールが気を遣ってくれる。
「私も狭間様に助けられました。
あのとき、狭間様がいなければ人面によって騎士団は半壊したはずです。
あの人面の猛攻の前では【チャージリフレクション】を使うほど攻撃に耐えることができなかったのです」
「ありがとうございます……」
ローシュさんも気を遣ってくれているようだ。
「あの、僕がここにいることはわかったんですが、どうしてみんなここにいるんですか?」
「目的は二つだ」
サワナ様が教えてくれる。
「一つは外界の調査。
まぁ私が前からやっていることだな。
そして、もう一つは私を狙っているというふざけた奴をおびき出すためだな」
「それって……」
「兄貴のことだよ」
なるほど。
それでショーンもここにいるんだな。
「でも、ローシュさんはどうしてここに?」
「ローシュは外界の調査に必要なのだ。
まぁそれについては、追々説明してやる」
「にしても、危険なんじゃないですか?
中央東にいれば安全だって話でしたけど……」
ショーンの兄シャールはかなり強いって話だった。
「そうだ。
もしダーハルトの話が全て本当だとしたら、中央東にいても意味がない。
騎士団も、シトンも、ロゲステロンも誰も相手にならないだろうな」
「だったら……」
「私を誰だと思っている」
サワナ様は上唇を舐める。
「対策は万全だ。
中央東に引きこもるより、はるかに強力なヤツを用意しておいた。
使用すれば、まず間違いなく辺りが消し飛ぶからな……外界が最適なのだ」
マジか……マジなんだろうな……
「いや、けどよ、賢者様つったって、接近されたらやべぇんじゃねぇの?」
「ははは!! まさか青臭いガキに心配されるとはな!!
お前ら、ちょっと来い!!」
サワナ様が外に出る。
僕たちも続いて外に出る。
「お前らの最強の技を撃ってこい」
「おいおい、いいのかよ……」
「当たり前だ。
まずショーン、お前の技がへなちょこだったら、この装備をしてもらうぞ!!」
うわ……でたよ……
真っ黒いブーメランパンツ。
「外界にまで来て、あんな装備してられるかよ……
ケン!!
【補助魔法】全部頼む!!」
「了解!!」
僕は全ての補助魔法をショーンにかける。
「スゥー……」
ショーンが深呼吸をして構える。
マジだ……
周辺にビリビリと緊張感が走る。
凄まじい覇気だ。
「は、狭間様……彼は一体……」
ローシュさんもショーンの実力を感じ取っている。
「いや……一体どれだけ強くなってるのか僕もわかりません」
「本気で……いくぜ……」
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