174日目 異世界-4

「麻雀の台は持ち帰ることができそうですな」

「他は無理そうなんですか?」


「はい。ルーレットは大きな台で、さらに地面に固定されております。

 強引に外せないことはありませんが、あれだけの大きさになると【ストレージ】の容量を埋めてしまいます」

「見に行っても大丈夫ですか?」


「えぇ。中に魔物はいませんでしたし、問題ないでしょう。

 ローシュ、頼む」

「はい。承知しました」

念のためローシュさんが護衛についてくれる。


「それから、数名【光魔法】を使えるものも同行させましょう。

 では何かありましたら先程の【コール】という非常に便利ま魔法で連絡をください」

「了解です」


僕はローシュさん達と一緒に地下室へ入っていく。

地下の中は埃っぽいが、思ったほどではない。


「虫、というより、生物自体がいませんね」

「はい。地下を好む魔物もここにはいませんでしたね」


「ここです」

ローシュさんが麻雀卓が置いてあったところに案内してくれる。

正方形の溝がいくつかある。

「この溝に麻雀卓が乗っていたんです?」

「そうですね」

しかしわかりにくいな。

風化して溝のようなものになっているだけだ。


僕は再び【パーセプション】を発動させる。

なんだろうか。

この溝からさらに地下、そして全体が繋がっているようにも感じられる。


「こちらの台がおそらくルーレットですね」

「なるほど。確かに大きいですね」

でかい。

みんなこの周りで賭けをしたのだろう。


それから他にもいくつか不明の台がある。

向こうの世界で言うなら、ポーカーやブラックジャックなどをするのにちょうどいい大きさだ。


そして僕は再び【パーセプション】を発動させる。

やっぱりこれ、地下で繋がってるよな……


「こっちって行きました?」

「はい。一通りは見てまわりました」

僕は地下で繋がっている方向へやってきた。


「ここかな?」

コンコンと壁を叩く。


【パーセプション】!!


間違いない。


「この奥に空間があります」

「なんと……」


「ぶっ壊しますね。【魔影脚】!!」

僕は壁に【魔影脚】を打ち込む。


バゴオォン!!


ガラガラと音を立てて壁が崩れ落ちる。


「お待ちください!!」

中に入ろうとするとローシュさんが呼び止める。


「え?」

「一度騎士団長をお呼びください」


「あ、そうですね」

僕は【コール】を使用する。


『トロゲンさん、壁の向こうに部屋がありました。

 隠し部屋みたいな感じです』

『なんと!! すぐにそちらに向かいます。

 狭間様はそれ以上お進みならないようにしてください!!』


『了解です』

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