174日目 異世界-5

「ではまいりましょう」

地下でトロゲンさんたちと合流する。


僕は【パーセプション】を使用する。


「しばらく真っ直ぐですね。障害物なんかも無さそうです」

「承知しました。では、狭間様は後方からついてきてください」


「了解です」

僕はトロゲンさんたちについていく。


カツカツカツカツ……


石の通路に足音が響く。


「奥に部屋がありますね。魔物なんかはいなそうですよ」

僕は【パーセプション】で把握した状況を伝える。


「こ、これは!?」

「な!!」


奥の開けた部屋には、大きな正八面体の物体がある。


「これ、まだ生きてません?」

八面体の物体は宙に浮いているのだ。


「魔石……のようですね」

僕は再び【パーセプション】を使用する。


「おそらくですが、これが動力源です。

 この魔石から、麻雀卓やルーレット、他の台に【結界魔法】がかかってたんだと思います」

「バカな……賭博の不正防止にこれだけ大掛かりなものが?」


ビィー!!

ビィー!!

ビィー!!


「な、なんだ!?」

大きな音、サイレンが鳴り響き、赤い光が点滅する。


「まずい!! 一旦離れるぞ!!

 冷静に、列を崩さず、狭間様を中心に動け!!」

「「「はい!!」」」

【聖騎士】たちは冷静に隊列を作り、僕を中心に外へ移動する。


「外に変化は!?」

「いまのところありません!!」

外にいる【聖騎士】が言う。


いや、これは違うぞ!!

「まずいです!!

 結界が張られました!!」

僕は大声で言う。


【パーセプション】が使えない。

これは……この結界は記憶に新しい。

マヤシィナでタイラと戦ったときの……


「結界内に閉じ込められています」

「閉じ込められる!?」


「はい……以前閉じ込められた【結界魔法】と同じ感覚です」

「確認します!! 結界に近い方角はどちらですか?」

僕はすぐさま【魔影装】に切り替える。

【空間魔法】が使えないからだ。


「一番近いのは向こうですね。ドーム状に包まれてしまったと思います」

「承知しました!! 隊列!! 進行!!」

トロゲンさんの号令で【聖騎士】全員が列になり、結界の境界へと進む。


「そこです!! 前方に注意して下さい!!」

「こ、これは……」

トロゲンさんが見えない壁に手を当てる。


「下がれ!!」

他の騎士達を後方へ移動させる。


「フン!!」

トロゲンさんが大剣で攻撃を繰り出す。


ガギンッ!!


空間の歪みが見えるものの、外に出られそうにない。


トロゲンさんが剣を高く掲げ構える。

大技が来るぞ……

周囲がビリビリと痺れる。


「【爆裂剛剣】!!」


ドゴオォォォォオン!!


爆音、爆風から相当な威力だったことがわかるが……


「ダメですな」


ズドオォォォン!!


突如後方から大きな音が聞こえる。


「今度はなんだ!?」


「後方に触手を持った魔物を確認!!」

隊列後ろの【聖騎士】が大声を出す。


僕はすぐさま【魔影装】で確認をする。


長さ4、5mのタコの足のような触手が3本うねっている。

先程の音は触手によるものか?


こ、これは!?


「人面です!!」


「お、おめだづぃ……ば、ばんぶん……ごどす!!」

こいつ、しゃべったぞ!?

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