170日目 異世界-3

「うぉぉぉ!!」

ガキンッ!!

ドドドッ!!


あたりに【聖騎士】たちの雄叫び、金属音が響き渡り地面が揺れる。

凄まじい戦闘だ。

僕は棺に乗り、担がれた状態で戦況を観察する。


確かに、前回同行したところよりも戦闘が激しい。

前線の消耗も激しく、先頭の【聖騎士】たちが次々に入れ替わる。


先頭から後方へ移動した【聖騎士】たちが一定数になる。


【エリアハイヒール】!!


【回復魔法】だ。

この神輿、デザインはどうかと思うが、担がれているため周りの状況がよく分かり、適切なタイミングで【回復魔法】が使える。


「狭間様!!」

「はい!!」


遠方から鋭い針が飛んでくる。


【ガード】!!


ガキンッ!!


僕は棺の蓋を盾にして、受け止める。

担がれているので、【空間魔法】無しで周りの状況が把握できるのは良いが、その代わり魔物からも見えている。

その分目立っているわけだ。



そのため、さっきのように物理攻撃が飛んでくるが、この棺の蓋が大盾になっているのだ。

【ガード】を発動させればダメージはそれほどない。

それに、最前線の【聖騎士】たちが、挑発系のスキルを発動しているため、それほど頻繁に攻撃がくるわけではない。


この棺のデザインはどうかと思うが、安定して外界を進むことができている。


「大物が来たぞ!!」

「ローシュ小隊長!!」

「………………」


流石に外界だけあって、魔物1体1体が強い。

そして、その中でもひとまわり大きい爬虫類の魔物が突進してくる。


ローシュさんが、合図とともに前線へ出る。


ドガンッ!!


魔物の突進、質量は相当なものだと思うのだが、ローシュさんはその場に留まり、逆に大盾で魔物を吹っ飛ばしている。

大盾によるカウンターだ。


この【聖騎士】たちのなかでもローシュさんは実力者なのだろう。

大物が出てくると、ローシュさんが前線へ出てカウンターをぶちかますのだ。

そして、魔物の勢いがなくなると、前線から退く。


【エリアハイヒール】!!

【エリアハイヒール】!!

【エリアハイヒール】!!


さすがに消耗が激しい。

カウンターベースだが、ダメージはもらっている。

カウンタースキルは、タイミングを外すと、ただの防御スキルになるようだ。


【ハイリカバリ】!!

【ハイリカバリ】!!

【ハイリカバリ】!!


これは想定外だが、魔物が多く、SPの消費もなかなかにあるようだ。

MPと魔石には余裕があるので【ハイリカバリ】も使っておく。











「………………」

「なるほど、シトン様が無理だと言っていたこと、理解できたよ」

クラールが言う。


「クラールみたいな中衛が【聖騎士】の後ろから弓矢で攻撃するのはどう?」

「いや、ダメだね。魔物の意識が前線からそれる。

 正直余計なことはしないほうがいいだろう」

「クソ…………」

ショーンは納得ができていないが、何も言うことができないようだ。


「ここにいましたか」

カルディさんだ。

今僕たちは第七戦線にいる。

中央東から探しに来てくれたのだろう。


「来てください。ダーハルトが目を覚ましました」




【大盾:Lv0】New

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