第3幕(6)

■野っ原


       夕焼け空。中央にひまわり。ゴーンと鐘の音。

       下手から、長吉とゆきが歩いて来る。


ゆき   :「それから、どうしただ?」

長吉   :「それからだか? 名主様、すっかり冷え切っちまってよ、一週間くらい、熱出して寝込んだってよ。」

ゆき   :「ちょっと、可哀想だったなや?」

長吉   :「そうでもねえよ。あの氷は、いつもなら、ほとんど余って溶けさせちまうだ。使い道が出来て、良かったんでねっか?」


       夕空を、カラスが鳴きながら飛んで行く。


長吉   :「(空を振り仰いで) もう秋だなや。」

ゆき   : 無言で空を仰ぐ。

長吉   :「な、おゆき! うちまで走って帰るべ?」

ゆき   :「うん!」

長吉   :「よーい、ドン!」


       二人、舞台上手へ走って行く。

       舞台暗転。


第3幕 終

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