10月2日

第1話 久しぶり

『本日も小田急線をご利用下さり、誠にありがとうございます。次は、終点。小田原、小田原です。お出口は右側です』


 車内にアナウンスが鳴ると、電車は少しずつスピードを緩めていく。

 俺は制服のポケットにスマホを仕舞い、席を立ち上がると、ドアの前に立った。

 現在は22時。俺は帰宅部に入っているのだが、バイトをやっており、いつも帰るのは9時頃になっている。

 バイト先や、俺の行っている高校は海老名にあり、小田原までは電車で1時間程する。

 

『終点。小田原、小田原です。お出口は右側です』


 俺がドアの前に立ってから数秒後、もう一度車内アナウンスが鳴ると、それまた数秒後に電車の自動ドアが開いた。

 小田急の小田原駅は、降りる位置にもよるが電車から出て左手には、おっきいおっきい階段がある。


「ねぇ、君」


 階段を上がり改札へ向かうと、誰かに話しかけられた。

 その声は覚えてそうで、覚えてない声だった。

 誰だろう。と思いながら後ろを向くと、そこには俺と同い年と見られる女の子が立っていた。

 制服を見る感じ、俺と同じ翔西しょうせい高校の生徒だと見られる。

 容姿は……かなり良い。

 髪は黒くて長く、手脚は少し衝撃を加えると折れてしまうのでは無いのかと思う程細い。

 ウエストもそうだ。かなり細い。

 身長は……推定150後半だろうか。平均身長と言える。

 だが、残念なのが……

 そう思い、「チラッ」と胸の辺りを見る。

 やはり、ちっせぇ!

 まぁ、アニメ等でこうやって清楚っぽくて頭のいい感じのキャラは決まってそうだけどさぁ! 現実までちっさいのは少し違うんじゃねぇのか!?

 そう思いながら、俺は彼女を見つめる。


「その……なんだ? 急に。翔西の奴なんだろうけどさ。なんか、俺に用とかあんの?」


 そもそも、なんでこんなに可愛い女子が、俺に話し掛けて来てるんだ……?

 そう思い、少々(5秒程)考える。

 結果、馬鹿みたいな答えが脳裏をよぎった。


『もしかして……やらせ!?』


 誰かに虐められてて誰かに言わされてるとか!?

 ありえない事は無いぞこれは……!

 そう思っていると、彼女は少し悲しそうな顔をして、それから数秒後。彼女は無表情になってから言う。

 

「ん、なお……きみ、付いてきなさい」


 彼女は何かを言いかけ、そう言うと、歩いて改札の方へ向かった。


「やらせ告白なら早く言えばいいのに」


 小さくそう言い、改札を抜けて彼女の所へ向かった。

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