虐められっ子の雨女さんは今日も綺麗。

無名の猫

第0話 おもいで

 私が学校に来て最初にする事——それは、机に書いてある落書きを消す事。


『死ね、消えろ、ウザい、キモイ、居なくなれ』


 この世にある全ての悪口のような物が書かれた机に、一際目立って見える1つの落書き。それは、


『雨女』


 だった。


           *


「▲◾︎ちゃん。それ、どーしたの? っあ、もしかして、いたいいたい?」


 そうして、小さな男の子が心配そうに優しく触るのは私の身体中にある蕁麻疹じんましんだった。

 

「ううん、いたいけど、平気だよ。ありがとね 」


 そうして私は彼に笑いかけた。


           *

 

 小学校、私の上履きが虐めグループに盗られた時。


「辞めろよ! そんな風に▲◾︎を虐めて! 何がしたいんだよ!」


 私が虐められていた時は、そうやって体を張って助けてくれた。

 彼のお陰で段々と虐めは減っていった。

 私は、彼に感謝していた。

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