青物

はちさされやさん

第1章 走れエッチオ

第1話 


 聖也くんは足が早い。

 学年でも1番だ。

 6年生よりも早いんじゃないかなっと僕は思ってる。


 運動会の徒競走で聖也くんの番がきた。

 スタート位置に立って、走る準備をする。

 右足を前、左足は後ろに。前屈みになり腕はだらりとたらし手は握らない。

 すごくリラックスしているのがわかる。


 パンッッッ!!


 ピストルがなった。


 と同時に、聖也くんが飛び出す。

 手のひらで空中を掻くように前から後ろへ腕をふる。

 聖也くんの走り方は独特だ。


 その走り方のせいか、聖也くんはみんなから

 エッチオと呼ばれてる。

 何かのゲームのキャラクターと似た走り方らしい。

 正樹くんがつけたらしいけど、

「ちがうちがう、エツィオだって」と言ってくる。

 同じに聞こえるけどなぁ…


 でも僕は彼を名前で呼んでる。

 そのキャラクターしらないしさ。


 聖也くんはぐんぐん加速して他の子を引き離していく。

 断トツで1位だ!


 僕は入賞できなかったから、自分のクラスの待機場所から正樹くんと一緒に見てた。

「エツィオすげぇ!!ありゃ1馬身はあったぞ!」

「なにそれ?」

 正樹くんは良くわからない言葉を良く使う。

「それよりさ、聖也くん走ってるときに手のひらに何か持ってなかった?」

 僕は正樹くんに問いかける。

「ん?なんももってなかったよ?んなことより断トツだったぜ!3馬身はあったぞ!?」

「いやわかんないよ、なんか増えてるし。」


 他の子にも聞いたけどやっぱり見えなかったみたいだ。

 僕だけしか気がついてないのかな?


 聖也くんは、走るときに手のひらに何かを持って走ってる。

その持っているもので、足が早くなってるんじゃないかと僕は疑っている。

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青物 はちさされやさん @honsomewaknbera

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