第24話 ハルⅣ
「ゴールデンエクスカリバー・スラッシュ!」
ハルは叫んで手にした剣を振るう。
剣から衝撃波が放たれた。
俺はその衝撃波が来るのを見て、すれすれでよける。
スキルの発動には、発動条件がある。
モーションは、身体の動きを発動条件として記憶させておけば、同じ動きをすれば毎回勝手にスキルが発動する。
言葉はそのまま、スキル名を叫ぶのだ。
例えばさっきのハルは、ゴールデンエクスカリバースラッシュと叫んで剣を振った。
スキル名がトリガーとなって、発動しているんだ。
だけど、毎回スキル名を叫ぶのも面倒だし、時間の無駄だったりする。
そこで、〝剣を振る〟という動作そのものにトリガーを設定しておけば、毎回剣を振るだけでスキルが発動する事ができる。
但し、これには一つ問題がある。
日常的な動作にトリガーを設定してしまうと、つい間違って街中とかで誤発動してしまう可能性が出てくるのだ。
例えば先ほどの〝指を鳴らす〟にスキルが設定されているとして、その人が街の中で雑談していたりするその会話中に、つい指を鳴らしてしまったら、スキルが誤発動してしまう。
そこで、このゲームでは、
最初だけは、
例えば、指を鳴らしながら技名を叫ぶのだ。
これにより、街中や意図せぬシーンでのスキル誤発動を防ぐことができている。
一度スキルが発動すれば、以降は一定時間以内なら
だから、ハルはさっきから剣を振るだけで衝撃波のスキルを放っているわけだ。
これは魔法の場合もだいたい同じ。
だけど、それだけでは発動しないものもある。
シアの
これらは効果が大きい分、発動にかかる手間も掛かってて、スキル名を叫ぶだけでは駄目だ。
まず、呪文を詠唱しなければいけない。
呪文の文言と長さは決まっていて、効果の大きさに応じて長くなる。
これらは呪文を完璧に唱え終えた後でスキル名や魔法名を叫ぶ事で、発動する事ができる。
呪文は空で覚えてなくちゃいけないって事はなくて、最初の単語を発した瞬間から、残りの呪文はまるで映画の字幕の様に頭の中に流れてくるから、それを読み上げればいい。
この字幕は他の人には見えていなくて、あくまで呪文を唱える
だから、最初の単語だけ覚えておけば、唱えるのに苦労すると言う事はない。
だけど、この字幕というのはカラオケの字幕の様にゆっくり出てくるので、読み上げるだけだとそれなりに時間がかかる。
だから上手い
呪文があっていれば発動するから、暗記していた方がより早く魔法やスキルを発動させる事ができる。
なかなか面白いシステムだと思う。
つまり、字幕のアシストがあるから誰でも使おうと思えば使えるけど、より上手く使いこなそうとするならば、呪文の暗記は必須って訳だ。
だけど、俺はまだそんな上級のスキルや魔法は習得してないから、呪文も覚える必要はない。
だからまだ何も呪文は覚えていないし、字幕がどう流れてくるのかも見た事はない。
だから……
そう。
だから、今、俺の目の前に呪文の字幕が現れた事に戸惑っている
……これって、呪文だよな。
て事は、上級の、スキルか魔法って事だよな。
俺はそんなのを習得した覚えは……ないんだが。
——
——
……訳はわからないが、とりあえず浮かんできた呪文を唱えてみる。
ふと見ると、ハルの顔が固まっていた。
「ミナト……君は……呪文を唱えているのか……」
ハルは、俺が呪文を唱え始めた事に驚きを隠せない様子で、呆然としていた。
「ミナト……レベル10の君が……一体なんの呪文を唱えているんだ……わかっているのかい……呪文は……上級魔法を使う時にしか必要ないんだよ……」
——隠されし時、秘められし技、闇と時空の特異点。
「ミナト……君は一体、なんの上級魔法を使おうというんだ……君は一体、何の上級魔法を覚えたんだ……」
——その眼、その心に焼き付けよ。我が名はカオス。我が
「ミナト……君は一体……なにものなんだ……」
——今、解き放つ
呪文を唱え終わった俺は、一息吐いてゆっくりとそのスキルの名を口にした。
「ノートリアス。シーカー【裏】。ノートリアス・カソドス!」
瞬間、俺の視界は光に包まれた。
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