第14話 チョイス
「決めるって、何を?」
俺が決めないといけない事が何かあるのだろうか。
「うん。ギルドに入る……もしくは、入らない」
シアはうーたんを撫でながら説明してくれた。
うーたんはシアの膝の上で気持ちよさそうにゴロゴロと喉を鳴らしている。
ギルド……この
冒険者ギルドが魔物討伐やダンジョンの探索、人探しやら宝探しなど
そして、その
その為に冒険者ギルドは【ギルド】という制度を持っている。
つまり冒険者ギルドという大きな組織の中に、それぞれのチームが存在するのだ。
ギルドには大小さまざまな組織があり、どのギルドにも
ギルマスは冒険者ギルドから自分達のギルドの実力に合う依頼を請け負ってきて、ギルド内のメンバーで攻略に行く。
クリアした際の報酬は冒険者ギルドから一括で受け取り、それを各ギルドの方針に従って配分する。
十人以下の小規模なギルドであれば報酬は常に全員で均等に山分けとなる場合が多いが、大規模なギルドになると、攻略パーティ単位で報酬が支払われたりする。
ギルマスによってギルドの運営方法は全然違うが、原則として、一人の
「どうして俺が入るギルドを今決める必要があるんだ?」
「ミナトはこのゲームで最も注目されている有名人になる。だから、いろんなギルドが誘いを出してくる、今も来てるでしょ」
確かに、さっきから俺のシステム画面ではフレンド申請とギルド申請の通知が止まらない。
いちいち確認するのも面倒なので、通知は切っておいた。
「ああ、だが、いつまで続くんだこれ」
「ミナトがどこかのギルドに入るか、勧誘をみんなが諦めるかのどちらか」
「そうなのか……そういえばシアは?」
「わたしはギルドには入ってない。それには理由があった。しばらくはミナトと同じ様にギルドに入らないかって申請が来てたけど、ずっと無視してたらだんだん減っていった」
なぜシアがギルドに入っていないのかは、今はまだ聞く時ではない様な気がした。
まあ、時が来たらいずれ知る事になるだろうし、教えたくないものを無理に聞く様な趣味は俺にはない。
とは言え、俺はどうすればいいんだろう。
シアの様に頑なにソロを決め込見たいという理由があるわけではない。
かと言って、どのギルドに入ればいいのかもよく分からない。
「困ってるって顔してるね」
シアはイタズラっぽい笑みを見せた。
シアもこういう表情をするのか。
最初に会った時より、シアは俺に対して少しずつ違う面を見せてくれる様になってきた気がする。
「そう……なんだよな……入らない理由はないけど、どれか一つのギルドを選ぶのってなかなか難しいよ」
「ミナト、わたしから先輩の
「ああ、頼む」
「ミナトには、三通りの進む道があると思う」
「三通り?」
「うん。一つはこのままソロで続ける方法。大手のギルドにはクラフターチームやギャザリングチームがいる所もあって、そういう所はいい装備とかアイテムとかで手厚いサポートがあるし、小さいギルドはそこにしかないコミュニティがあって、そこにしかない楽しみや連帯感がある。それらがギルドの魅力。ソロだとそういうのがないから、寂しく感じるかもしれない。でも、わたしもソロだから、サポートはしてあげられる思う」
「ソロか……」
「それに、ギルドには
「そうか、それもいいな」
「ただ、
「なるほど」
「もう一つは、自分でギルドを立ち上げる事もできる」
「そんな事ができるのか」
「うん。一定数の仲間がいれば、冒険者ギルドに申請して自分のギルドを作る事ができる」
「それはありかも」
「ただ、まず一定数の仲間を集めないといけない。気の置けない仲間を増やすか、適当に頭数を集めるかしないと」
「う……」
今の所、俺にはこのゲームの仲間はシアとレンくらいだ……
「難しいものだな……あと一つは?」
「最後の道は、ギルドに入るか、自分でギルドを立ち上げるまでの間、仮でギルドに入るって方法」
「仮で……?」
「ごめん、本当はこれを言いたかったから、今までそのための前振りしてた」
「というと?」
「わたしが前に所属してたギルドのメンバーの人が立ち上げたギルド、そこをミナトに紹介したい」
かつてシアの所属していたギルドか……興味が湧いてきた。
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