サイキック怪盗少女が幼馴染の警察官の行く末


前書き


 とりあえず今回で最終回です。ここまで拙作に着いてきてくれてありがとうございました。

 それぞれが選ぶ未来、こうご期待ください。

 ……書きすぎて普段の3話分近くあるのでご注意を。


前書き終わり

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 あの襲撃事件から数か月。


 縛られていた案内役と後続の組と合流できた山田警視正は、組織の戦闘班を逮捕、拘束した。その次の日から獄中の室山議員および蛭川などの関係各所の再捜査が始まり、それによって露呈した余罪の数々が世間を震撼させた。…肝心のシロンの故郷については、警察のさらに上の機関からの箝口令で公表されなかったが。

 前回の捜査の過程では逮捕できていなかった政府関係者、財界の重鎮、目をつぶっていた銀行などを今度こそ起訴し、ほぼすべての組織関係者を捕まえることに成功した。この期に及んでもなおも否認する輩もいたが、その決め手となったのはとあるタレコミだった。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


  室山議員周りの違法行為に関する証拠、貴方がたに託します

                          怪盗ウォーカー

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 そう書かれた書状とともに捜査本部に届いた段ボールには、今までウォーカーが関わった事件と室山議員の黒い組織のつながりとなる証拠の数々が封入されていた。山田警視正を中心に再結成された室山事件捜査班は、これを突破口として捜査をさらに進め、すべての関係者の起訴にまでこぎつけることができたのだった。

 同時期に全国で相次いでいた不審火も途絶え、組織の事実上の終焉が明らかとなった。そしてそれまで見て見ぬふりをした行政の責任問題が噴出し、内閣の退陣まで言及されるようになった。


 だが、この件の影の立役者といっていい怪盗ウォーカーは、告発書類を送ってから完全に行方をくらませたのだった__________


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 「…ミッちゃん」


 怪盗ウォーカー捜査本部。シロン捜査官は、窓辺で黄昏ていた。

 あの日、すべてを思い出したシロンは、村の事とウォーカー___ミヨのことを全て正直に話した。捜査員たちはその真の境遇に驚愕し、同情し、憤った。村野に至っては何度もシロンの頭をなでて落ち着かせていた。

 そしてシロンの報告を警察庁上層部に挙げたが………からの指示でその件に箝口令が敷かれた。山田捜査長はその理由について、


 「…サイキックに関する我が国の防衛力に関わるから、だとさ」


 という上層部の指示で、皆を納得させるしかなった。

 そしてシロンは結局そのまま捜査本部預かりで待機となった。室山事件が一段落したら所属について話し合うので、将来に少し不安を抱え始めたがそれ以上に__


 「……おい、だれかシロ…シノに声かけろよ」

 「すんません、俺不器用でして…」

 「麻賀警部、何か手はありませんか?」

 「あいつは複雑すぎてなぁ」

 

 捜査員の誰から見てもシロンは気落ちしていた。そもそも戦闘員として育成されていたなどというヘビーすぎる経歴がすでに知られていたのに、親が殺され気づいたら15歳になっていた精神年齢10歳児などという本当の過去に前例などあるはずもなく、誰もが声をかけずらかった。


 「シ…シノ捜査官。悪いけどこの写真整理してくれないか?」

 「わかりました。それとシロンでいいですよ、菅野巡査部長」


 たまに声かけても、以前の機械的な対応ではない暗い声に、事の深刻さが現れていた。


 「どうすれば…どうすればいいんでしょう」

 「救いはないんですか?」

 「…もう俺もお手上げだぁ」


 そして今日はこちらに来ていた山田捜査長も、シロンの今後について吉田副長と話していた。


 「お前はどう思う」

 「…彼女以上に多才なサイキックは世界的に見てもそうそういない。警察の大義名分もどこまで持つか…」

 「違う、この捜査班のことだ」

 「あぁ、本庁のほうでもココの解散が議論され始めた」

 「…昌、もう彼女ウォーカーは動かないと思うか?」

 「アレが送られてきたときにそういう可能性も考えていただろう、山田」


 アレ__ウォーカーの告発状には世間には公表されていないことがあった。証拠となる荷物と一緒に送られてきた一つの箱。シロン捜査官宛と書かれたその中身は、怪盗ウォーカーの腰の短刀が収められていた。


 『…これ、神社の…』


 それはシロンの生まれ故郷の焼失した神社に代々伝わっていた刀だと書かれており、現在は重要証拠として鑑識に出されていた。


 「事実上の引退宣言だととらえれば、わざわざ送ってきたのも納得がいく」

 「だからって、シロンを放置して彼女が姿を消すだろうか」

 「…恐らく奴は一生姿を見せないんじゃないか?戸籍も分からないんだろう?」

 

 シロンの証言で調べられたあの村の戸籍関係は、すべて死亡済みとなっていた。だが、これまでウォーカーが何の問題もなく現代社会を戸籍なしで生きてきたとは考えずらく、その方面でも捜査をしていた。


 「…俺はウォーカーが律儀だと思っている」

 「律儀?」

 「本質的に善良なんだよ。だから拝島社長の件の時、何も起こさず逃げていったんだ。桝山店長の時も、見て見ぬ振りができたはずだ」

 「…それはお前の勘か?」

 「いや、ある種の信頼だな」


 山田はウォーカーがこのままシロンと一生会わないとは思わなかった。恐らく事件の最後の生き残りとして、シロンを放置するとは考えられない。ウォーカー自身も深く傷ついているに違いない。


 (出来ればシロンのことを支えてもらいたいんだがな…)


 「山田捜査長!」


 そう思案していると、部屋に村野警部補が飛び込んできた。


 「どうした?」

 「怪盗ウォーカー…ミヨさんらしき人の住むマンションを発見しました!」

 「なに!?」


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 「はぁ…ここも引き払わないといけないかな…」


 わたしはマンションの作業部屋でそうつぶやいた。

 あの村での別離の日から数か月。組織を今度こそ潰して、しばらく様子を窺っていたが、特に残党がいるという話もなかった。わたしも怪盗ウォーカーとして引退して、入学時点で病気休学扱いの高校にでも戻ろうかと思ったのだが…


 「…まさか高校の理事長がヤツラの一員だったとは…」


 通っていた私立の高校が、まさかの一時運営停止になっていたため迷っていた。

 このまま高校が再開するのを待つのも一興だろう。だが、コミュニティの重鎮だったのにヤツラに通じていた理事長のテリトリーに踏み込むのも、躊躇していた。


 「…まぁ、そろそろ身の振り方も考え時かな…」


 このまま平穏には戻れない、いや、最初からなかったのかもしれない。今回の件で警察も血眼になってわたしを探しているだろう。コミュニティも最近は対応が怪しくなってきた気がする。いっそのこと海外に高飛びするのも手かもしれない。


 「…さて、どうするか…」

 

 警察は……とりあえずなしだ。よくて政府に保護という名の監視つき生活。悪ければ幽閉されるだろう。シーちゃんとも顔合わせずらいし…

 コミュニティも最近は内部で意見の食い違いが発生しているらしく、うかつに肩入れできない。今回の件でだいぶ財力も削られたらしい。

 海外に高飛びする伝手も一応ある。だが、その後の保証もないところに生きていけるか、不安が残る。


 「…どうしよう…」


 

 コンコン



 「…何の音?」


 わたしは一度部屋を出てみると、リビングスペースの窓に何かが引っかかっていた。白い布のような…


 「…タオル?」


 どこからか飛んできたのだろうか?そう思いながら窓を開けて、タオルを見る。


 「…あれこれって」







 「ミッちゃん!!」


 その声が聞こえたと思ったら、わたしはおでこに衝撃を感じた。そのまま後ろに倒れこみながら、胸に飛び込んできた制服と宙を舞う眼鏡を見逃さなかった。


 「…いっつ」

 「ミッちゃん!ミッちゃん!!」


 飛び込んできたのはシーちゃんだった。恐らく近くの建物から【テレポート】で急接近したのだろう。自分のうかつさを呪いながら、目の前の事態に対処しようとする。


 「…お、重い…」


 シーちゃんはわたしの胸に顔をうずめながら、離れようとしない。背中に手を回されて抱き着かれているので、突き放すこともできない。このまま【隠蔽】を使っても不発に終わるし…


 「…生ぎでた、生ぎでだぁ…」


 涙声でそういうシーちゃんだが、これは非常にまずい。ここがバレたのは、恐らくコミュニティの誰かが垂れ込んだ可能性がある。いや、もしかしたらコミュニティがわたしを切り捨ててきたのかも…


 (なんて考えてる場合じゃない!今はシーちゃんを離さないと!)


 「あの、どいてくれませんか…」

 「嫌だ!ぜったいどかない!」


 さらに腕の力を強めるシーちゃん。やばい、筋力強化剤も使ったと資料に書かれた腕力で、さらに締め付けが厳しいことに…!


 「…すいませんがどちら様でしょうか?」

 「っ!!またそんなこと言うの!?」


 そういって顔を上げてわたしを睨むシーちゃん。涙目で赤くなりながらも強い意志を宿す瞳に、思わず視線を外してしまった。


 「…ミッちゃん」

 「…離してくれない?胸が苦しいから…」

 「そういって逃げる機でしょ!素直になってよ!!私を見て!!」

 「わたしに!!…そんな資格はないから…」


 そしてわたしはシーちゃんを引きはがそうと【サイコキネシス】も使うが…


 「…この分からず屋ぁ!」

 

 ゴツン!


 シーちゃんが胸に頭突きをする。たまらず【サイコキネシス】も解除してしまう。


 「いっ…」

 「どうしてそんなに私を拒むの…?そんなに私の存在が目障りなの!」

 「…違う!」


  そう言って強く言い返すわたし。


 「…わたしは、罪人だから…」

 「…知ってるよ、貴方が本来なら逮捕されなきゃいけない存在だって」


 …組織を壊すために、わたしは多くの罪を犯してきた。その全てが償えるとは思っていない。


 「…もう、シーちゃんとは一緒にいられないんだよ…」

 

 もう、シーちゃんには気にかけてくれる大人もいる。心配してくれる仲間もいる。その輪の中に、わたしは入れない。


 「だから…わたしは…」


 『あー、ウォ…ミヨさん、いいだろうか?』


 突然、声が聞こえてきた。聞こえたのは、シーちゃんの脇のポケットの辺り…


 「…山田捜査長?」

 『話したいことがある』

 

=====================================


 「結論から言うと、

 『はい…?』


 近くに止めたパトカーの中で、山田はやさしく話し始めた。


 「君には重要な証人として、協力してほしいんだ」

 『…どういうつもりですか』


 通信機の向こうから困惑の声が聞こえる。今まで逮捕に動いていた捜査班のトップがこんな交渉を始めればこうもなるのはわかっていたが…


 「…上からの指示でね。ウォーカーに関する捜査は今後と言われてるんだ」

 『はぁ…?』

 「このまま捕まえられず、迷宮入りになったほうが被害が少ないといわれていているんだ」


 今の世間における怪盗ウォーカーは、組織を壊滅させたヒーローとみられ好印象だ。下手に逮捕したりすると警察に非難の矛先が向くかもしれない。ただでさえ室山事件での対応に非難があった警察の威信を、これ以上失墜させたくないんだろう。何より…


 「きみがまだ情状酌量の余地があると俺は思うんだ」

 『…でも、サイキックに人権なんて…』

 「、だよ。俺たちが求めているのは一般市民の平穏だ。逮捕はその過程にすぎない……だから頼みたいんだよ。もう二度と、シロン…シノや君のような人間が生まれないように、ヤツラを追い詰めたいんだ」


 通信機の向こうに沈黙が訪れる。


 『……わたしからもお願い。ミッちゃん、わたしと一緒に来て』

 

 そう懇願するシロンの声も聞こえる。ここに来るまでに山田はシロンにも、ミヨとどうしたいかについて聞いた。帰ってきた答えは__


*************************************


 『正面から、話し合いたいです。もう、ウォーカー…ミッちゃんだけに、すべてを背負わせたくない』


*************************************


 幼馴染のシノとして、そして1年で培ったシロン捜査官として、彼女はそう答えた。


 『…ハァ、わたしの負けだよ。山田捜査長殿、シロン捜査官』

 『ミッちゃん…』

 『わたしの身柄、あなた方に託します…お願いしますね?』

 「あぁ、マンションの近くで待っている。ゆっくりと来なさい」


 そういって山田は通信機のマイクを離した。そして村野にハンカチを渡す。


 「ジロンぢゃん…よがっだでずねー…ウッ」

 「ああ、このチャンスを逃していたら、二度と立ち直れなかっただろうからな」

 

 あの日以来、それまでの無表情から想像もつかなかった悲しい表情で過ごしていたシロンを思い出し。二人は安堵する。無論、捜査本部でも今回の山田の提案に難色を示した人間はいた。しかし、麻賀警部や菅野巡査部長がミヨを保護する必要性を訴えて納得させた経緯もあった。


 『とりあえず、事件の全貌が一番見えてるのもそのミヨじゃねぇのかぁ?』

 『報復で動く輩もいるかもしれませんし、ここは保護という形で納得させたほうがいいかもしれませんよ…素人意見ですが』


 そんな二人の言葉でとりあえず意見がまとまった捜査本部。結局みんな、仲間であるシロンのことが心配だったというのもある。


 「とりあえず、彼女の証言でどこまで進むか」

 「まぁ、がのじょは律儀だという山田さんの認識が正しければいいんですが…シロンちゃん、今どうしてる?」

 

 まだ涙声ながらも今後の心配をし始めた二人だが、ふと通信の向こうの足音も消えたことに違和感を感じた。


 「…シロン、どうした?なにかあったのか?」


 そのまま20秒ほど経過しても無音な通信機に、山田も話しかける。


 『…なに、これ…』


=====================================


 「なに、これ…」


 そうシーちゃんがつぶやく横で、わたしは頭を抱えていた。

 念のため着替えを取りたいと衣装ケースを漁った後、玄関まで向かったわたし達。そしてその途中で作業部屋の前を通ったのだが、先ほど音がしたときに扉を開けっぱなしにしていたのを失念していた。その結果、シーちゃんがちらっとのぞき込んで…そのままフリーズした。


 「…なに、これ…」


 シーちゃんの目に映るのは、誰にも見せてこなかった、窓のない3畳の部屋の中。パソコンデスクを置き、犯行に使う小道具類をおいた戸棚。そして__


 「…………?」


 


 「…え、どう、いう…?」


 そしてシーちゃんはわたしをジト目で見た。不味い、なんか温度が下がり始めた気がする…!


 「…ミ…ウォーカー、聞きたいんだけど?」

 「な、なんでしょぶっ」


 動揺して噛んでしまった。


 「あのポスターの写真、いつ撮った奴…?」

 「ク、クロノ精密の時…?」

 

 二度目のバトルの時に撮影した写真を、コミュニティの伝手を使ってポスターにした自信作だ。


 「あのタペストリーは?」

 「一般販売のやつです」


 ちなみに資金はウォーカーとしての仕事代だ。


 「その隣のマネキンに着せてる私の改造制服は?」

 「け、経費で…」


 『シロン捜査官に化けるから』といって作ってもらい、結局使わなかったやつだ。


 「なんで私が睨んでるアングルが多いの…?」

 「え、ええと…」


 所々に張られているお気に入り写真は、凛々しいながらも猛々しいシーちゃんのカットだらけだ。


 「こ・た・え・て」

 「い、いやぁ、本当にシーちゃんなのかなぁて研究した名残りで」

 「へぇ?睨んでるのがそんなに気になったんだ、ここでやろうか?」

 「お願いします!ここで睨んでくだ………あ」


 誘導尋問に引っかかってしまった。


 「…もしかしてなんだけど?私に罵られたくて怪盗続けてたの?」

 「…ち、ちがうよ」

 「じゃあ、その右腕の震えはなに?」


 そういってハッと右手をみても、昔のように震えてなかった。そして改めてシーちゃんを見ると、【雷撃】の前段階のスパークが走り始めていた。


 「…罵られたかったんだ」

 「誤解だよ、わたしは普通にシーちゃんのことを…」

 



 「この変態犯罪者ぁぁぁぁぁーー!!」



 その言葉と同時に腰の手錠を取りだした。


 「公務執行妨害および窃盗の容疑で逮捕する!!」


 そういってわたしに手錠をかけるシーちゃん。


 「…全く、こんなのに振り回されていたなんて…ほら、さっさと行くわよ…?」


 


 「…シーちゃんの手錠、えへ、これはこれで乙なもので…♡♡」


 

 「本当に気持ち悪いわ、こいつ!」


 そしてその状況に浸るわたしを横目に、通信機を取り出すシーちゃん。

 

 「村野さん!急いできてください!この変態を預かってください!」

 『へ、変態…?』

 「待ってシーちゃん!!せっかくの幼馴染の再会だよ!積もる話をパトカーの中でし…」




 「私の幼馴染は!幼いころに木に縛られて焼け死にました!」




 そういって踵を返し、出ていこうとするシーちゃん。


 「待って、せめて玄関まで連行してよ!」

 「一人で行け!この変態!」




 「シーちゃん!!シーちゃァァァァァァンンンン!!」




 



=====================================


 




















 あの保護から2か月後_____満月の夜に。


 「いやぁ、思った以上に早く娑婆に出られたわ」

 「…なんでコイツと一緒に…」


 わたしとシーちゃんはとあるビルの屋上で待機していた。

 結局、わたしは重要参考人として警察で取り調べを受けた。その過程で罪を自白し、拘置所で生活する毎日。たまにしか会いに来なかったシーちゃんは、すっかり汚物を見る目でわたしを見るようになってしまった。


 「しょうがないじゃん。一人だと危険なんでしょ?」

 「だからって、元犯罪者まで動員するの、普通?」


 ところが急に都内で連続テロ事件が起き、警察がてんやわんやしている中でわたしの条件付きの一時釈放案が出た。シーちゃんと一緒にテロ組織を捕まえること、これを聞いてすぐ頷いたわたしは、今こうして外に出ているというわけだ。


 「そんな顔しないでも、お互い戦った中でしょ、捜査官殿?」

 「…貴様とコンビを組むなんて、考えもしなかった」

 「まぁ、わたしもそう感じてたかなぁ」

 「…ただ」

 「ん?」

 

 そういってシーちゃんのほうを見る。


 「死なないでね、ミッちゃん」

 

 すこし陰のある表情で、そう懇願していた。


 「…じゃあ約束、今度はきっちり一緒に帰ろう」


 そういってわたしはアイマスクをつける。さすがにウォーカーの服装は完全に返してもらってないが、これだけは渡された。


 「それでも帰ってこなかったら…」


 


 

 「捕まえてごらん、シロン捜査官♡」

 

 そしてビックリしたシーちゃんも、微かに微笑む。


 「あぁ、捕まえてやるよ、怪盗ウォーカー!」


 『シロン!賊が出た!追跡頼む!』


 耳につけたインカムから山田さんの声が聞こえた。そして二人で【浮遊】を発動させて__


 「じゃあ、行こうよ!ミッちゃん!!」

 「もちろんだよ、シーちゃん!!」


 わたし達二人は、夜の空を駆けるのだった。


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サイキック怪盗少女が洗脳されちゃった警察官幼馴染を意識しちゃう話 短編版


                                 FIN






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後書き


 これにて本作は完結です!ここまでありがとうございました!


 いやぁ、最初は妄想で出てきたちょっと(?)おかしい怪盗の活躍を書きなぐる日々。その過程で登場人物も増え、愛着もわき、自分の納得する結末へと持っていけるか不安でした。短編のつもりだったのにあれよあれよと5万文字超えてしまいました。それでも彼女が勝手に動いてくれたからここまで来れました。

 そしてこんな低い文章力の拙作についてきてくださった読者の皆様にも、感謝をしています。今読み返してももう少しうまい表現があったんじゃないかという表現の稚拙さで戦々恐々としています。それでも面白かったという人は、評価してください。

「面白くなったぞ、時間返せ」という人でも感想ください。それがわたしの糧になります。


 最後になりますが、本当にここまで読んでくれて、ありがとうございました。別れの言葉に『さよなら』は言わない主義なのでただ一言だけ。

 

 またいつか、どこかで。

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サイキック怪盗少女が洗脳されちゃった警察官幼馴染を意識しちゃう話 短編版 冬月 蝋梅 @tougetu

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