洗脳された幼馴染警察官は故郷にて…
前書き
こんなスローペースでも待ってくれていた読者の皆様に、感謝を
あ、回想シーンましましなんで注意!
前書き終わり
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「もうすぐ目的の集落跡地です」
運転している地元の警察官がそう言うと、助手席の山田捜査長は頷いた。
押収した資料に書かれた集落跡地。そこへと向かった警察庁一部面子。朝早くに警察署を出たが、ここに来るまでに7時間近くかかってしまった。
「…しかし、こんなところでヤツラは何をしていたんだ…?」
そう山田は愚痴をこぼすが、そういっても仕方がなかった。近くの町から30分、まともな舗装道路を外れさらに5分も車で入った山の中にある小さな元集落。記録では数年前の山火事で住んでいた数十名はすべて引っ越しており、土地としての魅力も薄い地域と地元警察の案内役も言っていた。
(…本当に山火事なら、だがな)
あの組織に大きな影響を及ぼしていた室山議員の指示があったのだ。ただの村という可能性は低いだろう。
ただそれ以上に山田が気になっているのが…
「…シロンちゃん?本当に大丈夫?」
「っ!大丈夫です」
後部座席に座るシロンの様子がおかしいことだった。この山に入るあたりから何度も周囲を確認し始め、時々眼鏡の奥の無表情な瞳が揺れているのだ。彼女の隣に座る村野警部補もそれに気づいており、シロンの体調を気にしていた。
(…こんな反応は、今までしたことがなかった…)
今までウォーカーとの対決以外で感情を露わにしなかったシロンが起こしている反応に、山田は一抹の不安を抱いていた。
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何故だろう。この山に近づいてから私の頭の中で何かが引っかかっている。始めてきたはずなのに、何故か知っているような感覚__
「しかし村民に被害はなかったのか?さすがに外の親類も黙っちゃいないだろう?」
「あったそうですが、妙に閉鎖的なところだったので。親戚縁者も村の誰かとくっついてばかりで、周囲の親類もいなかったそうです」
所々焼け、草が生い茂る景色。その光景に被る形で、記憶から訴えかける雪景色…。
「…そんなことありうるんですか?」
「だから我々も不気味な地域といったんですよ。閉鎖的にも程があって、そのくせ県のほうからも干渉するなと指示が手ていましたし…」
「待て、県の指示?火事の件もか?」
かやぶき屋根の家屋だったものの焼け跡から響いてくる声…。
「それ以前からですよ。
「…この村で何かとれたのか?」
「いえ、特には。ただ村の娘は、有名な神社で修行するのが習わしだったとかで…」
…初めてかいだはずなのに…なつかしい匂い。
「なんか妙にオカルト臭がするような…」
「実際この山には天狗が住んでいたとかそんな話もありまして…それを祀った神社が…」
「…もしかしてあの上の鳥居か?」
そういって山田警視正が指さした先には、半分焼けた鳥居…
ドクンッ!
「そうそう、あそこが出火元とみられる神社です」
「そうで…シロンちゃん!?」
私はその鳥居を見た瞬間、胸を押さえていた。苦しい…なんで、外部からの攻撃がないのに急に痛み出すなんて…
(…外部からの…攻撃?)
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『撃てー!』
ドドドドドドドドドッ!
『キャー!』
『テロリスト!?なぜこの村をねら、ブゥ!?』
『ヒャッハー!!おいおいその程度か―?』
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…迷彩服を着た男どもが人を撃っていた。まるで狩りを楽しむかのように…
「シロン!大丈夫か!?」
山田警視正がのぞき込む。いつの間にか車は止まり、乗っている3人とも私を見ていた。
「シロンちゃん!顔が真っ青!大丈夫?」
「…わ、私は…」
「シロン捜査官?だっけか、車に酔っちまったか?」
「もしそうなら、外の空気を…」
そう皆さんが心配するが、私の体は震えていった。
「…クソッ!」
そういうと山田警視正は、車から降りて私の席の横のドアを開く。
「シロンッ!どうした!?」
そう山田警視正が…
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『どうした!何があった!?』
『電気が、あのガキが雷を出して!』
『クソ!マジで天然ものがいたのか!』
『隊長、どうします?』
『出来る限り村人を連れてこい!サンプルとしてあの方がお望みだ!』
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…これは、なんだ。この頭の中に流れる映像は…夢なのか…
「シロン!おい、まだつながらないのか!?」
「山田さん!ここ携帯がつながりません!」
「え、さっきまで通信機繋がってたのに…」
…あの鳥居も…夢で、見たような…
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『みんな逃げろ!ここにももうじき来るぞ!』
『あなた!お母様たちは!?』
『…ねばっているが多勢に無勢だ!子供たちも…』
『おじさま!シーちゃん!』
『ミ*!?生きていたのか!』
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…鳥居の前でいる黒髪の若い巫女服の女性と子供。そして後ろの男が私を引っ張って…
(…私?私が……私は、ワタシは…)
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『…サヤ、二人を頼んだ』
『お父様!』
『おじさま!』
『来るがいいテロリストどもがぁぁぁぁ!!!!』
『…ッ、こっちよ二人共!』
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「シロンちゃん!?シロン捜査官!?どうして、どうして!?」
「クソッ意識が混濁しているのか!?」
誰かが私の体を揺すっている気がする。腕が痛い、強く、強くつかまれて…
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バァン!!
『…お母さま!』
『おばちゃん!』
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映像の中の巫女服の女は、頭を撃たれていた。黒髪から覗く黒い瞳に映っていたのは、幼い子供。
…幼かった私___
「…あ」
そして全てがつながった。その巫女は私の、
「…おかあ、さん」
「…シロンちゃん?」
「シロン?」
わたしはふらりと座席を出て、【テレポート】で鳥居まで飛ぶ。その奥にあったのは焼け落ちた神社跡だった。
「ッ、この横に!」
そしてその神社の脇にある林を、少しずつ思い出しながら走っていく。
(そうだ、私は、この村で…この奥で!)
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『くそ、この無能力のガキが!抵抗しやがって…。おい、そこのでかい木にふん縛っておけ!』
『フグググ!
『隊長!消防がポイントA2を通過!そろそろ撤退しないと…』
『わかっている!』
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この奥にある秘密の道へ向かっている途中で、謎の部隊が私ともう一人を捕まえていた。もう一人が抵抗したけど、二人共早々に縛られて…
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『おい、いくら何でも火の勢いが強すぎだろ!?』
『くそ、撤退する!サンプルは!?』
『その子以外はまだ転がしていて…』
『バカ!…クソが!こいつだけでも持っていくぞ!ほかは始末だ!』
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そのまま私はヤツラに連れ去れていった。もう一人の子を置いて…
(そうだ、この奥のご神木に、あの子が…)
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『シーちゃん!!シーちゃん!!』
『いたっ、離して!』
『隊長!!ほかの村人は始末しました!!』
『よし!このまま帰投するぞ!!』
『シーちゃん!!シーちゃぁぁぁん!!!』
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そのまま火に包まれそうなご神木に縛られたままだった…夢にも出てきていたあの子……
(…ミッちゃん!)
そうだ、もう少し、もう少しでご神木に……
「…え」
そこにあったのは、黒焦げになったご神木。その幹には、焼けたロープが落ちていた。
「…あ」
そういえばあれから何年たった?4年…いや5年前だ。
「…ああ」
そうだ、今まで思い出していたのは過去の光景。ずっと昔の光景。変えられない過去。
「…ミッ……ちゃん」
遅かったんだ。何もかも。あの日見た光景の後で、彼女は恐らく…
「……あ、」
もう遅い。それを直感でわかってしまった。
「…ああああアアアアァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!」
_____________________________________
後書き
*)注 ミヨは死んでません
↑を何度打ち込もうとしたことか。
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