第2話 師匠

 私は、おじいさんを見上げていた。

 おじいさんは私を数秒見つめて言う。


「お嬢さん、もしかして家がない?」


 私は、考えた。

 私は、前は勇者パーティと一緒に同行していたため宿なども一緒に泊まっていた。

 だが、今の私は追放されて居場所がない。

 そして、私はおじいさんに言う。


「家は……ありません……」


 私が俯きながら言うとおじいさんは言った。


「なら、うちへ来ないかな?」


 私は新手のナンパかと思ってしまったが、こんなに優しそうなおじいさんがナンパなどするはずがない。そして、おじいさんの顔には笑顔が溢れたいた。


「いいんですか…?」


「いいんじゃよ」


 おじいさんは、笑顔で手を差し伸べてくれた。こんなに、優しい人は生まれて初めて会ったと思った。おじいさんの手を少し借りながら立った。

 そして、おじいさんは言った。


「お嬢さん名前は?」


 そう聞かれて、私は躊躇いなく言った。


「エマです!」


 元気よく言うと、おじいさんは微笑みながら言言った。


「よろしくな、エマ」


 こんな笑顔私の名前を言ってくれるのは、母親以外誰もいなかったので驚いた。

 おじいさんは私に背を向けて言う。


「じゃぁ、私の家へ案内しよう」


 そう言いながら、おじいさんは歩き出した。


 私は歩きながらおじいさんに言った。


「ここから、家は遠いんですか?」


 おじいさんは足を止めてこちらに振り返って言った。


「まぁまぁ、遠いけれども歩けばすぐ着くぞ」


 そう言われて、少し私は安心した。おじいさんの方へ駆け足で追いかけたのだった。




 おじいさんと歩いて十分ほど経った。

 私は、少し歩き慣れていないせいか、少し足に疲労を感じ始めていた。後少しで街を抜けそうだ。初めてこの街を出る。

 人生で見たことのない景色を私は見ることになる。



 私は街を抜けて思わず声が出てしまう。


「わぁー!!」


 この声におじいさんが反応して、こちらをに振り向く。

 私は、恥じらいを感じていると、おじいさんは言った。


「ここ、夕日が綺麗じゃろ?わしのおすすめスポットの一つじゃ」


 そう言いながら、おじいさんは再び歩き出した。夕日を見ながら歩く。

 人生で空がオレンジ色になっていることを見たことはあるが夕日、本体を見たことはなかった。


 私は、この感動をいつまでも覚えているのかと疑問に思った。

 そして、おじいさんと歩き始めてまぁまぁな時間が経った。

 私は痺れを切らしておじいさんに言った。


「まだ、つかないんですか?」


 そう聞くと、おじいさんは振り返って言った。


「うーむ、後少しじゃ。頑張るんじゃ」


 そう言われて、私は気合を入れ直して再び歩き始めのだった。




 数分後おじいさんが急に止まり、私はぶつかりそうになったが危機一髪のところで回避した。


「ついたぞ」とおじいさんが指を指しながら言った。


 私は指す方向に視線を送ると……そこには森に囲まれた一軒家だった。

 私は、こんな家にこれから住むのかと思ってしまった。


 近くまでくると、まぁまぁ綺麗なお家だった。そして、おじいさんがドアの前で止まり言った。


「お先にどうぞ」


 そう言いながらおじいさんはドアを開けた。私は申し訳ないと思いながら、おじいさんを先に行かせるようの腕を動かすのだが……


「お先に入っていいんだぞ」


 二回目を言われて私は一声言って入った。


「お邪魔しまーす」


 そう言いながら入ると、外見とは見違えるほどの景色が広がっていた。


 すると、階段を降りてくる人がいた。私は、降りてくる人に視線に変えると……


「あら、お客様?」


 そう言いながら階段を降りてくるのは、おばあさんだった。そして、美肌だった。


 おじいさんは、おばあさんの方に向かって言った。


「ルーナ、紹介する。街中で拾ってきたエマだ」


 私は急におじいさんに振られて、私は慌ててお辞儀をする。そして、挨拶をした。


「エマと言います。これからよろしくお願いします」


 すると、ルーナは微笑んで言う。


「よろしくね~若い子がきたのはいつぶりかしら…料理の腕を振るう番が来たのね!」


 ルーナは腕に気合を入れていた。私は、苦笑しながら言う。


「お二人は夫婦なんですか?」


 そう聞くと、二人は笑っていた。何か、おかしいことを言ったのかと思ってしまったが…おじいさんが言う。


「私たちが夫婦に見えるかしら」


 ルーナは口元を抑えていった。私は言う。


「見えます」


 そう言うと、二人は見つめ合っていう。


「「夫婦ということにしときます」」


 二人は息の合っていて本当に夫婦ではないのか……と心の中で思ってしまった。

 私はルーナさんに連れて行かれて部屋に着いた。私は部屋に入り言った。


「こんなに大きな部屋でいいんですか?」


「誰も他にいないから存分にに使っていいわよ」


 ルーナはどこかへいってしまった。私は部屋の中を探索して以前誰かが使っていた痕跡があった。私はそれを手に取ってみようとしたが、ドアがノックされた。


 誰だろうと思いながら、ドアノブを触れてドアを開けると……


「ご飯じゃ」と端的に言いにきたおじいさんだった。


 おじいさんの後について行き、私は食卓に向かうのだった。

 向かうと、大きい机にたくさんのご飯があった。私はこんなに食べられないと思いながら座った。


「お食べ」


 そう言われて、私は食べ始める。一口食べて私は言った。


「美味しい~」


 ルーナは嬉しそうな顔をしていた。私は、おじいさんに聞く。


「おじいさんって名前なんですか?」


 そう聞くと、おじいさんは私を見て言った。


「テオだが…」


 その名前を聞いてどこかで聞いたことがあると思ったが思い出せなかった。

 私は、ルーナの手料理を頬張るんだった。

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