回復魔法しか使えない私が勇者パーティを追放されたが他の魔法を覚えたら最強魔法使いになりました

秋伯(しゅうはく)

第1話回復魔法しか使えない私

 私の名前はエマ。勇者パーティの回復役として日々努力している者。なぜ勇者パーティに入っているのか不思議でしょう。


 それは私が、まだ冒険者になって日が浅い頃にまでさかのぼる。


 冒険者ギルドでライセンスを取得して初めてのクエストに行こうとした時でした。


「どうしようかな~」と声を漏らしながら、冒険者の掲示板を見て依頼をどれにしようかと考えていると……


「ねぇ、そこのお嬢様ちゃん」


 突然男性から話しかけられて、驚いて体が動かなかった。ゆっくりと、体を男性の声の方に向けると、そこには男性二人と女性が一人いました。何を話せばいいのか分からずに黙っていると、男性の一人が言いました。


「お嬢様ちゃんは、誰かとパーティの組む予定あるの?」


 聞かれて初めはナンパかと思いましたが男性の目にはそんな犯罪を感じる雰囲気はしませんでした。


 私は、生まれつき人の目を見るだけでどうゆう感情を思っているのかわかる。そして、善人か悪人かも区別できる目である。


「そんな、予定ありませんけど……」


 すると、男性は手を叩いて言う。


「それは、ちょうどいい……俺らのパーティに入らないか?」


 まだ冒険者になって日が浅くパーティを組んでも足を引っ張るだけだろうと思い、私は言った。


「いや……まだ成り立てですし……パーティの組んでもあなたたちの足を引っ張るだけですよ……」


 私が言うと男性は手を合わせて神社にお参りする感じのポーズで言った。


「お願いだ……入ってくれ……」


 困惑して、黙り込んでいると相手パーティの女性が言った。


「ほら困ってるじゃない…ごめんねこんな男二人で…」


 女性は、男の人の頭を鷲掴みして強制的に頭を下げた。やっぱり、女怖い……と思いながら言った。


「わかりました……入ります」


 そう言うと、男性は気持ち悪い笑みを浮かべながら近くの椅子に私は誘導されて座り、自己紹介が始まった。


「私の名前は、アリスよ。よろしくね~」


 女性の名前は、アリスというらしい。この辺の地域では聞いたことない名前で少し困惑しながらも私は小さく会釈をした。


「俺の名前はダイよろしく」


「俺の名前はジャックよろしくな」


 気持ち悪いやつの名前は、ダイかと思いながら私は立ち上がり、自己紹介を済ませる。


「私の名前は、エマです。よろしくお願いします」


 言い終わると、三人は「よろしく~」と返してくれるのだった。


 私はパーティを組んで正解だと思った。パーティだと、苦戦している時でも仲間がいると心の余裕が違う。私は自分のできることをパーティの仲間に尽くした。


 クエストを、パーティと日々こなしていると、だんだんと魔法の使い方が慣れてきた。


 そしてある日、森で討伐依頼をしてる時…


「クソ…」


 ジャックがモンスターを攻撃しようとした時反撃を喰らってしまった。私はすぐに向かい……


「今回復しますねー」


 そう言いヒールを打つ。私の仕事はこれしか無くなっていた。モンスターに攻撃などはできない……する魔法がない。私はそこは自分の欠点だと深々思った。

 仲間からは「ありがとう」と言う声を聞くが……私の中では満足いっていなかった。


 そして、居酒屋で飲んでいる時ダイが酔っ払っていて衝撃の一言を言った。


「俺たち、実は勇者パーティなんだよね~」


 私は本当か嘘か判断できずにいた。それからの毎日は、勇者パーティなのか……?と考えてながらモンスター討伐をする日々だった。


 ある日、私がモンスターから怪我を負ってしまう。すると、ジャックが少しイラついた表情を浮かべながら言った。


「大丈夫か?」


 私は、頷いてジャックの手を借りて立ち上がり、自分の体の傷を癒す。すると、ダイが小声で言う。


「回復役は怪我をすんなって」


 私は耳を疑った。ダイがそんなことを言うはずがない。自分は、お荷物なのかな……と思いながら討伐まで行った。



 これが、私が勇者パーティに入った理由だ。だた誘いがきて入っただけ。私の実力がとかでは決してない。


 今、私は廊下を歩いている。今日はダイから大事なお話があるみたいなので部屋に向かった。すると、他の二人も揃っていた。私は思わず……


「二人もいたんだね」


 そう言うが二人とも一切反応してくてなかった。私はダイの対面上の椅子に座り緊張感を持ちながら固唾を飲む。


 そして、ダイが口を開ける。


「お前、今日でこのパーティ抜けろ」


 私には、現実逃避をしたいくらい聞きたくない言葉だった。


「なんで!どうしてなの!?」


 聞き返したがダイは何も言わなかった。ダイは少しイラつきを見せていた。


「お前がお荷物だからだよ!」


 今まで、溜まっていたダイのストレスが今発散されようとしている。前から、思っていたが私はお荷物だ。だから、このパーティにいる意味はなかったのだ。すると、それを見ていたアリスが言った。


「ダイ言い過ぎよ」


 ダイの暴走を止めようと、声をかける。そんな雰囲気の中私はポツリとと言った。


「わかりました。今日で抜けます」


 私は悲しみと悔しさを胸に秘めながら部屋を出た。アリスとジャックは何かを言っていたが私の耳には届かなかった。


 私は、悲しさを紛れさせようと街に中を歩きに歩いた。

 時刻は夕方、私はやがて、街の路地に座り込んだ。


 私のメンタルは弱かった。まるで豆腐のように。すると、前から足音がして私の前で止まる。


「お嬢さん…何かあったのかな?」


 見上げると、そこには優しそうなおじいさんが立っていた。これが私が追放されるまでのお話。そして、師匠と出会ったきっかけでもあったのだった。


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