病気ならない体に転生させてくれって頼んだら魔導人形に転生しました

@KURONOINU

第1話 「転機」

(口の中血の味がする周りもなんだか騒がしいな)



 意識が遠のくのを感じる。これで僕は終わるんだな。まぁ楽しい人生だったかな?


 僕は小さな頃から病弱だった。

 でも小学生になったぐらいの頃はまだ外で遊べるくらいには元気だった。でも10歳になるくらいの頃高熱がいつまでも治らなかった。おかしいと思った両親が病院に連れてって検査をしてくれた。


 白血病だった。


 でも両親はいつも病院に来てくれたし辛くはなかった。治療を続けていくうちに段々と良くなっていって12歳から13になるくらいには退院することができた。中学校に行くこともできた。体育祭も修学旅行にも行くことができた。流石に体育祭は運動制限で種目には参加しなかったけど。それなりに楽しむことができた中学校生活だった。その後高校受験をして無事受かって通学のために駐輪場を借りに市役所に行ったときだった、僕は倒れた。白血病が再発していたらしい。何種類かの抗がん作用のある薬を使ったりして治療していったけどどんどん悪化していった。余命宣告されたときは辛かったな。もし生まれ変われるなら二度と病気なりたくないな。



 ―――――――――――――――――――――


 あれ?ここってどこだ?自分は椅子に座ってる。眼の前には1メートルくらい離れて机で寝てる女の人?がいる。あれ立てない、起こしに行きたかったんだけど。しょうがない。


「すいません!ここってどこかわかりますか?」


 結構大きな声で起こしてみたけど起きるかな?お?ビクってして起きたな、きょろきょろしてる。こっちに気づいたみたいだ。寝てたときは顔が見えなかったけどきれい人だな。もう一度声をかけてみるか。


「寝てたところすいません、ここってどこですかね?」

「寝てませんよ!ちょっとぼーっとしてただけですからね!」


 女の人は手を振って大げさに否定してるけど今更無理なんだよな。


「えっと、ここがどこかって話でしたよね?ここは死んでしまった人の魂の行き先を決める場所です。天国だったり別の世界だったり―あっ!まだ名前を言っていませんでした、私はリエナという名前です。女神やってます。」

「よろしくお願いします。えと天久隼斗です。」


 なんかこんな美人な人と話すのって緊張する。魂の行き先を決めるってどういうことなんだろうか?あと立とうとしても動けないしどうなってんだ。


「すみませんなんでか立てないんですけど動けるようにするのってできますかね?」

「ごめんなさいそれはできないです。あなたは今魂だけの状態でして、座っているように見えているだけなんです。」


 女の人は申し訳無そうに謝っている。なんかこっちまで申し訳ない気持ちになってくるな。


「そうですか、では魂の行き先を決めるというのはどういうことなんでしょうか?」


 今はこれを聞かないわけにはいかないだろう、この人が言っていたことが本当なら僕は死んでしまったんだろう。この空間にいつまでもいる訳にはいかないしできることも少ないだろうし、行き先というのをさっさと決めてしまおうか。


「はい、死んでしまった生き物の魂は例外なくこのような空間に来るようになっています。そして天国や地獄行く他、あなたが生きていた地球とは違う別の世界で生まれ変わってもらっていただくなど、あなたには転生と言ったほうがわかりやすいでしょうか?このような措置を取らせてもらいます。」

「転生ですか―」


 病院のベットから動けなくなったときにスマホでみていた異世界転生もののネット小説と同じようなことだろうか?


「その前に天国か地獄ってこの場でわかりますかね?」

「あなたは特に悪行をしていないのでまず間違いなく天国に行けると思いますよ。」


 なら実質天国か異世界かってことか。


「天国に行くのと異世界行きは何が違うんでしょうか?」

「では説明しましょうか。天国へ行ったのなら数年過ごしていただいた後ランダムに選ばれた地球の生物に生まれ変わってもらいます。異世界へ転生はあなたが転生したい生物または条件を行ってくれれば、それにあった生き物に記憶を持ったまま即刻転生することができます。」


 なるほどそう聞くと異世界転生の方がよく聞こえるな。異世界転生してみようかな?


「ですが異世界転生する人には、難しことではないですがある頼み事をしています。」


 まぁそりゃそうだよな、なりたいものに転生できるだけなんてそんなうまい話なわけないよな。


「その頼みごとってなんなんですか?」

「世界の停滞を解消してもらうことです。」


 世界の停滞を解消するってどういうことなんだ?


「解消するってどういうことなんだろうという顔していますね。順を追って説明しましょうか。まず前提として、世界は複数あります。そして通常世界には最低でも一人私たち神が管理しているものなんですが、最近管理している神がいない世界が急増しているのです。所詮空き家と一緒ですね。管理者には停滞した世界に見切りをつけて消して世界を増やしすぎないという役割もあるのですが、管理者でない神にはそういったことがルール上できなくて困っているんです。」

「なるほど、停滞を解消いうのは具体的にはどんなことをすればいいんですか?」


 転生するにしても何をすればいいかわからなければ話しにもならないしちゃんと聞いておこうか。


「近年試験的に開始されたものなんでぶっちゃけ解消なんてしなくてもいいですよ、むしろ天国の維持費用の削減っていう効果のほうが大きいので転生してくれるだけで助かりますしね。」

「なんか、神様も大変なんですね…」

「あ〜分かっちゃいます?この間なんて―」


 おっと?長くなりそうだ。




 ―――――――――――――――――――――


「マジでブラックすぎて神の転生を許可する法案もできそうなんですよ〜」

「それはやばいですね。」


 あのあとから30分くらいリエナさんの愚痴を聞いている、一人でいるし寂しかったんだろうか。楽しいし仲良くなっていってる気がするからいいんだけど。あんまりこうやって人と話す機会もなかったしな。


「あっすいません、もうこんなに時間が、不快でしたよね私いつも話が長いって言われるんです。」

「いえいえ、べつにいいですよ。楽しかったですし。」

「えと、それで天国へ行くか転生するか決まりましたでしょうか?」


 それはもちろん―


「転生でお願いします。」

「わかりました。では転生したい生物の希望など言ってください。」


 転生したいものはないけど条件なら死ぬ直前にも考えていたしすぐに思いつく。


「絶対病気にならない丈夫な体に転生することってできますか?」

「そのくらい朝飯前ですよ!任してください!少し待っててくださいその条件にあったものを探しますから!」


 なんか会話したあとから楽しそうだな、リエナさん。やっぱり一人っで寂しかったんだろうな、気持ちはいたいほどわかる。


「見つかりました!世界の名前はアレスティアといいます。剣と魔法の世界ですね、スキルやステータスがあるらしいです。あっ!何に転生するかはお楽しみにしましょう。」

「へーいいですね、ゲームのような世界ですかね?楽しみです!」

「では転生させますね!いってらっしゃーい!第二の人生楽しんでくださいね!」


 お?段々と足から消えていってるなそれと眠くなってきた。


「私も―転―する―――――きるように―――ら―ちらに―――し―すね!」


 なんか言ってるけどわからないな。とにかく転生したら自由に過ごそう。



























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