第24話

2024年  12月9日     

 数か月ぶりにこのページに戻って来られた。

長編の「ホスピタリティ」が完結したからだが、今のところ次の出玉が無いので

アイデアが湧いてくるまで待つ。と、云っても経験値多彩な私のポケットには

まだまだありそうな、なさそうな。ただ問題はそれをどうやってストーリーに組み立てていくかが大きな課題である。  うーーーーーん、悩ましい……


6月から、週一だったバイトが週二になった。

最初、私に仕事の手順を教えてくれた異次元のHさんが現状をギブアップしたからである。 無理もない話で83歳でダブルワーク。しかも、こちらでもダブルワークだったらしいのだ。

私が契約の際、割り当てられた担当は、一階の売場フロアーの床の巡回清掃、客室トイレの巡回清掃、ペットボトル粉砕機で潰したボトルの回収、別階の社食フロアーの床清掃、別階にある喫煙室の灰皿交換と床清掃だ。私にはこれでいっぱいいっぱいである。当然アクシデントはつきもので、トイレが溢れたり、売場フロアーを 何だか知らないが垂れ流していく客がいたり、ガムを吐き捨てていったりと枚挙にいとまがない。そんな時、私とペアを組んでいる夜組のパートナーMさんが言った一言でHさんの状況が知れたのである。

Mさんから 「もし私に何かあって休む様な事があったら担当外のフロアーもよろしくね」と、サラッと言われ非常に驚いた。担当外と云えば二階から四階の巡回床清掃と客室トイレと従業員トイレの巡回清掃と全館のゴミ集め等々……(まだある)

手抜きでいいからと言われても、そもそも何処をどう手抜きすればいいのかも分からないし未研修だ。私は正直に「担当外の作業手順が分からない、できない」と、ハッキリ答えた。 Mさんはバツの悪そうな顔で「まぁ…そうだよね…」と言いながらHさんの話を始めたのである。

Hさんは一人で、現在私とMさんがペアを組んでいる作業を担っていたのだ。

つまり、ほぼ全館。

本来二手に分かれてする作業を一人でやっていたのだから当然身体は悲鳴をあげるだろう。この時私の脳裏に、面接した本社の人間が漏らした言葉が蘇った。その時は解らなかったのだが実際作業してみて後々、面接官の本音が無理筋の放言と解ったのである。面接官は、「一人でもできる仕事」と言ったのだ。とんでもない!!!!!

私たちは生身の人間で機械ではない!!!!!                    Hさんは何故二人分の作業をしていたのか?と、云う疑問が湧いてきた私はMさんに理由を訊いてみたがMさんは首を傾げるばかりだった。  それで私は、もしかしてHさんは二人分の給料で引き受けているのか?と、考えたりもしたがスッキリしない。そんな疑問を頭の隅に置きながらのタイミングで 事務所の責任者Oさんから

「Hさんが、もうこれ以上一人で切り回せないと言って来たからその穴埋めを、、、」と、私に打診してきたのである。

私は正直厭だったが、Hさんの為に…と云うOさんに一歩譲って取り敢えずやってみます、と応えたがあくまでも暫定回答で決定ではない。暫く様子を見させて頂くと付け加えた。  以来、週二が続いている。やはり体力の消耗が激しくいつまでやれるか分からない。モヤモヤしながら続けていたある日、再びMさんから例の担当外の作業の事を言われて前回と同じ回答で切り返す事に。

出来ないものは出来ない。 こっちは それで気にいらなきゃいつでも首を切ってもらっていいんだよ、ってなもんで強気で生意気だ  ――へへ……――

週二日になった事で必ずHさんとパートナーを組む曜日がある。

「引き受けてくれて本当に助かった」「一人で大変だった」と言うHさんに私はずっと疑問に思っていた事をストレートに尋ねてみた。Hさんは、私が考えていた二人分の給料の部分は明快に否定したが一人で作業をする事になった経緯はむにゃむにゃと言葉を濁す。言いたくないと云う気持ちは解ったが、今度は、何故言いたくないのか?と云う疑問が湧いてくる。しかし、私はここでやめた。言いたくない意思表示をしている人に赤の他人が詮索するのもどうか……と思ったから。

ダブルワークをしていたHさんがこちらの仕事だけ選択して専属になり、こちらのダブルワークも解除された事で心身ともに健やかになったのならそれでいいのだ。

良かったかどうか本当の事は分からないが。




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