第23話
2024年8月
芸能人は歯が命……
一昔前に流行ったCMだが芸能人じゃなくとも歯は動物にとって大事な財産である。
うちのオジサンの家系は歯がボロボロだ。
そのせいかどうか知らぬがオジサンの親戚には歯科医と歯科に携わる人が多い。
古いところではオジサンの母方の実家の長男が開業したところから始まる。
この方は第二次世界大戦後 戦地から帰還した後実家を改修して地元の先生として
貢献していたようである。軍に務めていた時は大尉と云う位である。この方が亡くなったあと長男が跡を継いだが早世し、その跡を継いだ三代目も60歳半ばで肝硬変で亡くなった。三代目には3人の息子がいて これまた長男が跡を継いだ。
しかし長男は ある宗教の教祖各に祀り上げられ数年で閉院してしまった。
母親が熱心な信者であった事が大きな影響を及ぼしている。
この国では信教の自由が保証されているから親戚であってもタテマエは口出し出来ない。 と云っても、ギクシャクは残ったままで半世紀経った今でもほぼ断絶状態だ。
早世した二代目には男兄弟が4人、女兄妹が2人いて妹の方が昨年亡くなった義母
である。男兄弟の末っ子の息子が歯科医になり 彼が結婚したお相手も歯科医である。 だが、彼は50代の若さで肝臓がんを患い帰らぬ人となった。
彼の病気が発覚した数年後に離婚している。子供はいなかった。
そして、彼の姉の娘二人のうち長女は歯科医 次女は歯科技工士と云う歯科家族なのである。他にも親戚の中に一人歯科技工士がいる。
離婚の原因は彼の父親が残した莫大な借金によるものだと聞いている。
「働いても働いても……義父の借金を返すためだけに働いているみたいだ……」
とは、元奥様がポロリと漏らした一言である。
とてもよく解る。
うちのオジサンの実家も小さな会社を経営していて それなりに回っていた様だが
長男が跡を継いだ途端雲行きが怪しくなり、当時吹き荒れていたバブルに乗っかり
見事に弾き飛ばされて最大50億の借金を背負った。個人商店に毛がはえた程度の会社には絶望的な数字である。うちのオジサンは実家とは関係ない一般の会社員だったが、弟はこの会社の社員だったからヒドイ目にあった様だ。倒産によるその後の家族崩壊はまるでドラマみたいな展開だった。
うちも、直接の関係はないと云っても決して無キズでは済まなかった。済む筈はない。今に至っても弟夫婦は長男が許せず、昨年母が亡くなった時も長男に報せる必要はないと頑なであったが、私は、人として親の訃報は報せるべきとオジサンの背を押して連絡してもらった。報せを聞いて葬儀に来る来ないは長男が決める事である。
結局 来なかったが……まぁいいさ。
話が大きく逸れたが オジサンの歯がいよいよダメになりつつある。
ここへ引っ越す前の前の地域でインプラント治療に踏み切っている。
当時はオジサンも50歳そこそこの現役であったから高額なインプラントも何とかなった。しかし、二人の息子の学費で我が家は火の車。私は腹の中で「何を言い出すんだこのバカは……」と、怒り狂っていたが 入れ歯は死んでも嫌だと駄々をこねる50のオジサンに他の選択肢はなく渋々承知した経緯がある。たしか150万以上つぎ込んだはずである。
あれから23年経ったオジサンの口の中はボロボロだ。勿論、年三回の定期検診は
一度もサボらず通っている。遺伝と云う要素があるのなら間違いなく遺伝じゃないかと思うが…ネットで調べたらそんな遺伝はないんだって。
先日 抜けた歯の治療に行った時 今度抜けたらインプラントか入れ歯しかないと先生に言われたらしい。先生はインプラントを2本追加すれば何とかなると言ったらしいが、確か最初にインプラント入れた時も これで一生大丈夫みたいな事を言われて治療に踏み切った記憶がある。オジサンの作り話?
さぁーどうしましょう
よた日記 @0074889
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