第11話 遠之 えみ作
2023年 12月
今年も残りわずか。稀にみる猛暑をかいくぐり体調を崩す事もなく
2024年にリーチをかけられた事は有難い。
野球好きな私にとっては「WBC]優勝で始まり、「アジアプロ野球チャンピオンシップ23」優勝で締めくくった事も嬉しい。
ある意味、ヌルッと週一4時間のバイトしかしてない私だが憂いはある。
テレビをつければ 毎日戦争のニュースの他に恐ろしい事件が起きている一方で
クリスマスだ御節だとかしましい。
オーバーツーリストの問題もあって、世の中平和なのか世紀末に向かっているのか、よく解らない。我が家は年金だけが頼りの完全年金生活者で公団住まいであるから高額な国民健康保険料と介護保険料には毎回目を剥いている。
いつだったか……厚労大臣が 「いくら以上が高額所得に当たるのか」と云う記者の質問に「300万」と答えたらしいが、これが本当だとしたら「300万」のどこが高額所得なのか……私は未だに理解できないでいる。誰か教えて‼
私は長年ワーカーホリック気味の生活を送ってきたので ついた渾名が「マグロ」
なんでも、回遊魚のマグロは泳ぎをやめると沈んで死んでしまうから、だとか。
今も働いているいるのは、お小遣い稼ぎプラス マグロの名残り。そして、どんな形であれ社会の流れに首を突っ込んでいないと不安だからである。
今、この国を動かしている一部の超高齢者にも通ずるものがあると思っているが、彼等は不安よりも 唯々支配力に憑りつかれている怪物かもしれない。
いづれにしても、規模は違えど根本は同じだ。唯々、自分の為にしがみついているのだ。
かと思えば、「高齢者は集団自決」論をぶち上げて炎上した若い先生もいるから 全く世の中油断できない。
私個人の偏見だが、この先生が言いたかった事はチョットだけ理解できる。言い方は乱暴で極端に聞こえるが 「安楽死」「尊厳死」と云う、一応まともに聞こえる
これらの言葉通りの死を欲している高齢者は確かにいるから。
今年の春102歳で亡くなった義母がそうであった。
98歳の時 転んで怪我をして、入院したのが寝たきりのキッカケだった。
オシャレが好きで口が贅沢だった義母にとって、不自由な入院生活は想像に難くない。コロナで面会できなくなるまで、面会の都度 義母が言っていたのは「何故、生かしておくのか」と云う悲痛な訴えだった。私も、もし、私も同じ立場になったら
義母と同じ事を言うかもしれないと本心からそう思ったからである。
ピンピンコロリが理想だが、こればかりはそうもいかない。
私は常々 法然上人の禅勝房伝説の詞を思い切り歪曲して都合のいいように解釈しているのだが、ここ最近 昔のことを掘り下げて小説を書くうち、これまで無事に生きてこれた事を奇蹟にさえ思う様になった。
一体どれほどの人達に支えられ恩を受けてきた事か。時には傷つけ、傷つけられ、ふみ潰したり、されたりしながら生きてきたが、どう考えても受けた恩の方が圧倒的に多い。圧倒的だ。まるで、何かに守られている様に。
たまたま、周りにいた人達が優しかったのか、私がその都度 都合のいいように解釈してきただけなのか。それとも、こんな風に過去を振り返るのは、気付かぬうちに死神が近付いていて「忘れてはならぬ」と言っているのか。
もし、そうだとしたら……お答えしましょう。 ええ……忘れていましたが、 ちゃんと思い出しました。いい事も悪い事もすっかり。
願うのは、3人の子供たちと5人の孫が戦争や紛争に巻き込まれず、小さな幸せを糧に分相応に生きてくれる事。
こんな事を書くとまるで遺書みたいだが、私は、二番目に書き上げた小説の続編を書き終えるまでは執筆活動を続けるつもりなので そう簡単には死なない自信がある。 PV数は地の底を這っているが 私自身、書いていて楽しいので死神が迎えに来るまで書き続ける。
―――「マグロ」は泳ぎ続ける――― へへ……
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