第10話 再出発
最期にこんな記載がありました。
「その年の年末、葬儀を終えて、しばらくしてアタシはこの海辺の街から、東京の実家に帰ってきました。
葬儀の最中も、一切毅然とした態度を崩さなかったアタシですが、ヒデくんのご両親や親戚に見送られ、初めて彼と一緒にこの地に立った時を思い出したときです。
そのときになって、初めて哀しみが胸中に溢れかえり、帰りの列車の中では涙が止まりませんでした。
そして、今、アタシは東京の実家に戻って、ひとつだけ決心したことがあります。
それは生まれ変わろうということです。
アタシはもう一度社会に出ようと決意しました。
そして一生懸命に生き抜いて、よく頑張ったねと天国でアタシを待っていてくれる彼の元へ辿り着くまでは、何がなんでも生き抜いていこうと決意したのです。」
これをもって、この海辺のブログは一切更新されることがなくなり、それからしばらく放置されていたものの、いつの間にか退会処理されてしまい、まさに海の藻屑と化したわけです。
あれから17年の歳月が経ちました。
私はいまだにブログを続けています。私のような小説投稿マニアにとっては、ブログや小説投稿サイトこそがその発表形態としては最適ツールのような気がするのです。
近時においては、使い勝手がよいSNSの発展によりブログの利用者が激減しているとも聞きます。
しかし、ブログが大流行したその昔、その中にはたくさんの感動がありました。
私自身、たくさんのブログ記事を読んできて、創作活動の糧にしてきたところがあります。
しかし、この「海辺のブログ」、これこそが最も感銘をうけたものであり、そして、本当に出逢えてよかったと今でも忘れられないものなのです。
了
※この話は私の創作に基づくフィクションであり、全ての
個人、団体とは一切関わりのないことを最後に申し上げ
ます。どこか遠い国の御伽噺とでも想っていただければさ
いわいです。
海辺のブログ @suzuki1017
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