第15話

やってきました帝都、私は帰って来たぞーー!!この間ちょっと来ただけだけどな。

公爵家の依頼では学園3年間の護衛がメインで15歳から入学するまでは基本的に入学の為の勉強とヒルデガルド嬢との親交を深めて欲しいとのことである。

報酬は破格であるが、入学できるように学力をつける必要もあるし、万が一、不合格で学園へ入学出来ない場合はミッション失敗とし、報酬は無いこととなっている。

どんな学力が必要か知らないけど、まぁ日本人の学力の高さ考えると多分余裕ではないかと予想している。

先ずは帝都の冒険者ギルドへ行き到着と公爵家への連絡をお願いしないといけない。

レベッカお姉ちゃんからは紹介状を書いて貰っているので受付で渡さないといけな。


冒険者ギルドに到着して早速受付へ・・・既視感がある。

1つのカウンターだけ誰も並んでいない。

カウンターを見ると、髭面の厳つい壮年の男性が座っていた。

まぁ空いているから良いか~とそのカウンターに行こうとしたところで冒険者に止められる。


「お前見ない顔だな?」

「はい、今日、依頼で帝都に到着しました。帝都に来たことの報告にきました」

「そうか、それであのカウンターへ行くつもりか?」

「え?何かあのカウンターに行くと不味いんですか?」

「いや・・・カウンターに座っているあの男が見えるか?」

「ハイ、髭の紳士ですね」

「紳士って・・・まぁいい」


話しているとカウンターよりその男性が出て来て声を掛けてきた。


「おい、何故そこで止めるんだ?」

「いや・・・」

「問題無ければその子を止める権利はお前にはない筈だが?」

「そうですね・・・」


冒険者はスゴスゴと立ち去って行った。


「おい、そこの・・・名前は?」

「あ~はい、ローズマリーと言います。それとこれ」


髭の受付にレベッカお姉ちゃんの紹介状を渡した。

彼は徐に封を切り紹介状を読み始めた。

読み終わるとこちらを見て訊ねてきた。


「お前はレベッカの知り合いなのか?」

「はい、レベッカお姉ちゃんは冒険者になった時から担当受付としてお世話になってました」

「ほ~レベッカが目を掛けているとは有望そうだな」

「え~照れるな~そんな褒めないで下さいよ~」

「期待してるぞ、あのレベッカのお墨付きだからな」

「さいですか・・・」


あのって何だよ思ってしまう。

レベッカお姉ちゃんは本当に何をしたのだろうか?

紹介状にも何が書いてあるのか怖くなってきた。

彼、髭の紳士改めガイさんは元S級冒険者で現在は普通の冒険者ギルド職員をしている。

何故、元Sランクが平の職員なの?と思うだろ、それにはやんごと無き事情がある。

元Sランクなので地方のギルマスなりやって欲しいのがギルド側の意見なんだけど、奥さんがここ帝都のギルド職員なので、ここを離れたくないと駄々を捏ねて、帝都の平ギルド職員を好んでやっている変わり者なのである。

ちなみに、レベッカお姉ちゃんから帝都のギルドで紹介状はギルドマスターかこのガイさんに渡すように言われていた。

ガイさんの特徴を聞くと「髭」と言っていたので間違いなく渡せて満足である。

どうやら全て読み終わったようである。


「公爵家に連絡取っておくから明日またギルドに来るといい」

「了解であります(ビシッ)」


この世界で通用するかは不明だが、敬礼しておいた。


★~~~~~~~~~~~~★


「旦那様、ギルドより使いの者が依頼の冒険者が到着し面会を求めている旨を伝えてきました。」

「そうか、明日来るように伝えてくれ。

それと、ヒルデの方にもこの件を伝えておいてくれ」

「畏まりました。」


早速来たようだ。

ヒルデが推す冒険者の少女、調べてみればヒルデと同じ年齢で既に冒険者ランクCらしい。

しかも、ランクCの最年少到達記録である。

将来有望な冒険者と誼を結ぶことはこのアースガルド公爵家にとっても喜ばしい事である。

私も会うのが非常に楽しみである。




「ヘ~クチュン!!」


誰か私の事を噂してるのかな?

まぁ気のせいかもね~

クシャミした私は、宿帳を記載しながらそう考えた。

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