第10話

「あ~る~晴れた~昼下がり~(略)~ドナドナドナ~子牛を乗せていく~」

「何じゃその歌は?」

「この歌は子牛が売られていくと言う悲しい現実を伝える歌です」

「何故それを今歌う?」

「え?何となくですが何か?」

「物悲しくなるから止めてくれ」

「仕方ないですね~」


お約束のゲイツさんとの掛け合いをしながら道を進む。

今日はD級から受注可能なクエスト護衛をゲイツさんとその仲間たち同伴で行っている。

商人の護衛で帝都まで商品を届けに行く。

実はこの商人さんは知り合いだった。

察しの良い人は気が付いただろう、そう、アクセサリーを買ってくれていた商人さんなのだ。

名前はルイスさん、ミリオネラ商会の商会長なのである。

どこかで聞いたような気がするが、多分、気のせいであろう。

他2名の商会員が荷馬車の御者として同行している。

続けてゲイツさんの仲間達、ケビンさん、アルベルトさん、チェスカさんの3名。

ゲイツさんは盾職、ケビンさんは斥候、アルベルトさんは剣士、チェスカさんは紅一点の女性魔法使い。

リーダーはゲイツさんでみんな仲も良くバランスのいいチームである。

何故このメンバーで護衛することとなったのかと言うと、仲の良いゲイツさんがD級昇格のお祝いに護衛任務のレクチャーをしてくれることとなった。


「今日の晩飯は私が作るよ!!」

「ほ~ローズ、期待して良いんだな?」

「それは食べてから判断してくれよ!!」

「ルイスさん、ローズが晩飯は作ると言っていますが良いですか?」

「ハイ構いませんよ。

何でしたら材料を少し提供しますね」


ゲイツさんがルイスさんに了解を取ったので私が食事を作ることとなった。

鉄は熱い内に打て!!である、飯テロも続けることに意味がある。

今日の献立は~オーク肉提供して頂いたので定番のあれですね!!

魚醤にショウガを摩り下ろし投入、蜂蜜、ゴマ油少々で合わせ調味料完成。

オーク肉を少し厚めにカットして焼いて合わせ調味料投入で少し焼き蒸らして完成。

みんな大好き生姜焼きモドキである。


「「「「「うぉ~~~~~~~美味い」」」」」


やはり一味も二味も足りないがこちらの世界ではかなり美味しい方である。

皆満足して頂いたようだ。

ルイスさんが話し掛けて来た。


「ローズマリーさんは相変わらず面白いアイデアをお持ちのようですね。

これからも何かありましたら私の方にお声がけください。」

「はい、何かありましたらお声がけさせて頂きますね」


運の良いことに元々面識があった程度のルイスさんから認知された様である。

何か面白いアイデアを思い出したら頼らせてもらおう。


★~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~★


ミリオネラ商会

ゲーム華帝では重要アイテムを買える商会として認知されている。

帝国でも指折りの商会であるが、商会長が現場主義で何時も飛び回っている。

その為、商会長の奥さん、先代商会長が帝都に常駐し商会全体を仕切っている。


私はルイス、ミリオネラ商会の会長をしている。

以前、孤児院のアクセサリー買い取りの商談でローズマリーさんとの面識はあった。

あの時は孤児院の院長のテレサさんの陰に隠れて話す機会はあまりなかったが、注目はしていた。

冒険者となり頭角を現して来てただ物ではないと更に注目していた。

今回運よく私の帝都行きの護衛の中に彼女は居た。

食事を作るというので様子を見ていたがやはりただ物ではない。

ここは顔繫ぎしておくことにした。

彼女からは金の匂いがする。

これは私の勘ではあるが私の勘はよく当たる。

次に彼女がミリオネラ商会に私を訪ねて来るのが非常に楽しみだ。

また面白いものを見せてくれるかもしれない。

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