第7話

私は順調に冒険者として歩み始めた。

レベッカさんの紹介で鍛冶屋で武器・防具を一式揃え、採取中心の冒険者生活を送っている。

採取では孤児院で作成しているアクセサリーの素材を卸す事として、今まで取っていた指導料はなしにした。

そして、アクセサリー作成の工場長的な立場自体を最初に教えた3人のうちの1人任せ残り2人を補助として管理をシスターテレサにぶん投げて完全に冒険者1本に絞った。

そうこうしている内に6歳となっていた。

何時頃お爺ちゃんの伯爵様が迎えに来るかは流石に知らないのだがとりあえず待っていればいいかと思っていた。



7歳の誕生日を迎えた。

あれ?可笑しくない?お迎えって6歳じゃなかったっけ?

私は順調に冒険者生活を謳歌していて6歳の半ば程でEランクへと上がっていた。

最近はゴブリンとコボルト程度なら5匹までは相手に出来るようになっていた。

やっぱり主人公はチートだな~とか思いながら1人で山野を歩き回り薬草、アクセサリーに使える素材、山菜、等々を採取して回っていた。

忘れていたと言っても過言ではないが、気が付けば7歳になっていた。

これは少しおかしいと思い一応調べてみることとした。


先ず、6歳に私を迎えに来る予定だった伯爵様のお爺ちゃんは私が自分の娘の忘れ形見であることを確認する為にあるアイテムを証拠として求めた。

母の形見のブローチである。

確か自分の私物管理の棚の中に・・・ハイ有りませんね・・・

では誰が持ち出したのか?・・・

考えても分かりませんから伯爵が来たかはテレえもん(シスターテレサ)に聞いてみよう。

きっと私の願いを聞いてくれるはずだ。

早速、院長室を訪問し訊ねた。


「テレえもん、教えて~」

「誰ですかそれは・・・」

「失礼しました、シスターテレサ聞きたいことがあるのですがいいですか?」

「私の解ることならいいですよ」

「伯爵様が訊ねて来ませんでした?」

「よくご存じですね~」

「あ~それでその伯爵様の用事ってなんでした?」

「何でも我が孤児院に娘さんの忘れ形見の娘が居ると言う事で引取りに来られましたよ」

「へ~それでどうなりました?」

「何でもマリーアンヌがお孫さんだったらしくて引き取って帰られましたよ」


あ~全ての謎は解けた!!

母の形見のブローチを盗んだのはアンちゃんで間違いない。

そして、最近彼女の姿を見ていないのはそういう事かと今理解した。

転生者の疑いがあった彼女はこの世界が華帝をモチーフにデザインされたことを間違いなく知っていたのだろう。

私の生存戦略の見直しを考えないといけないことに今気が付いた。


★~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~★


「おい、主人公の立場奪ったぞ此奴!!」

「どうするんだよ」


ローズマリーやその他の転生者を勧誘した神々は自分たちが創造した世界でリアルタイムで行われる人間劇を楽しんでいた。

しかし、主人公の座をマリーアンヌが奪ったことで筋書きが変わり喧喧囂囂の大騒ぎである。

一柱がポツリと言葉を漏らす。


「実に面白いですね~」


漏らしたのはロキ、ローズマリーを異世界へと連れて来た神であった。

その言葉に異を唱える神、ヘーパイストとロキは語り合う。


「面白いっておまえな~ゲームを楽しんで貰う為に彼女を連れて来たんじゃないのか?」

「彼女は楽しそうに冒険者してたじゃないですか」

「まぁ楽しそうにしてたな・・・でも、学園とかゲームの流れはどうするんだ?」

「さあ、知りませんよ?

そもそもの話、私達が下界に対して干渉するのはよくありませんよね?」

「まぁそうだな~でもさ~」

「まぁ様子を観ましょう。

(ボソッ)面白そうですし」


神々はこのまま様子を見ながら観察することで意見は一致したのである。

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